mess
世界は死で溢れている。この宇宙にとって人間の死は、流れ星のように一瞬の出来事にすぎない。その大きな存在に対して、僕らはちっぽけな存在なのだ。それゆえに、生きることが地獄だった。
一定のリズムを刻む音がきこえる。僕が目を覚ますと、白い天井と見知らぬ顔が映った。
「気分はどうかな?」
見知らぬ顔の人に尋ねられた。どうやら"また"、神に生かされてしまったらしい。僕が微笑むと、その人はメモにペンをはしらせる。
「自分の名前と年齢わかるかい?」
僕は微笑んだまま沈黙しているとその人は続けた。
「ショックもあって記憶が曖昧なんだろう。君は、三田雄一郎、7歳だよ。暫く安静にしてるようにね。」
その人はそう言いながらペンをはしらせたあと、部屋から出ていった。三田雄一郎、これは誰かが勝手につけた名前だ。本当の名前は僕にもわからない。
ドアの向こうから2人くらいの女性の話し声が聞こえる。
『あの部屋の子、両親が殺されちゃったらしいよ...お家もめちゃくちゃで強盗殺人に遭ったみたいなのよ』
『可哀想に...あの歳で自分以外の家族亡くして...』
『幸いあの子だけ助かったみたいだけど、ほんと可哀想よね...。』
僕のお家は強盗の被害に遭い、家族が殺された。そして幸いにも僕だけが助かった。だそうだ。
その夜、両親は話していた。
『おまえは本当の子じゃない、怪物の子だ』
それは違うよ。僕はほんの少し、他の人間より"そういう"本能が強いだけ。そして、どこかの星からやってきた怪物が、僕の中に住みついている。だから僕は怪物の子じゃない。
両親は理解してくれない。それもそうか、"本当の家族"じゃないから。じゃあ家族ごっこはおしまいだね。僕はそいつらを処刑した。
この地球にはたくさんの人間がいる。でも僕は、独りぼっち。