【オレオレ詐欺】
「はい、もしもし?」
「もしもし?オレオレ!オレだよ!」
「…?まさし…かい?」
「そうそう…まさし!」
「久しぶりじゃのぉ!元気にしとるんか?」
「いや、実は…今大変でさ…早急に300万必要になっちゃって…、お金…振り込んでもらえないかな…?」
「そうかい!…じゃが…300万とは…大金じゃな…あともう少し待ってはもらえんかの?」
「少しってどんくらいだよ?」
「こら!まさし!あっちへお行き!」
「…?」
「すまんすまん!猫の名前もまさしにしたんじゃ…で、何の話だったかの??」
「300万…いつなら振り込めるんだ?」
「また明日電話くれないかのぉ~」
「婆ちゃん急いでくれよな!」
ガチャ…プーッ…プーッ…プーッ…
次の日…
「もしもし!婆ちゃん!?」
「もしもし?誰だい?」
「…?あれ?婆ちゃんは?」
「?婆さんなら二週間前に死んでるよ」
「…え!?」
「自殺だよ自殺!息子のまさし君がさ、孫のゆうと君と公園で遊んだ帰りに2人ともトラックに跳ねられてさ、車道に出たゆうと君を助けようとしたまさし君までも…で、その次の日、猫を飼ってきて、猫にまさしって名付けてんだよ、婆さんも頭どうかしちゃったんだろうな~可哀想に…で、アンタ誰なんだい??」
「……」
ガチャ…プーッ…プーッ…プーッ…
2日後、
「はぁ、オレオレ詐欺も難しいもんだな」
ニャァ…ニャァ…
「よお、この公園じゃ見かけない猫だな~」
ニャァ…ニャァ…
「可愛いな~、よしよし、ほら、パンの食いかけ食べるか?」
ニャァ…ニャァ…ムシャムシャ
「うまいか?よしよし、あ、おい!?どうした!?あ、危ねーぞ!!!」
キキーッ ドン!! ガシャァン!!
「う……ここは……?」
「森下さん?大丈夫ですか?」
「…病院…??…うッ…いてぇ…」
「森下さん…無理なさらないで」
「ッたく…ついてねぇや…」
「憑いとるよ、命だけでも助けてやったんだ有り難く思うんじゃな!!!!」
「……!!!!!?」
ニャァ…ニャァ…
「森下さん、治療費、300万円になります」