4月23日
最近彼がよそよそしい
携帯の中身を見せてくれない
残業ばっかり
連絡もしてくれない
もう付き合って4年だよね?
明日で5年
結婚したっていいじゃない
そしてこの間聞こえてしまった言葉は
「もう俺、あいつの彼氏じゃないから」
あなたの嫌いなところも癖も
全部全部直すから
直すからさ
前みたいに目見て話してよ
「少し買い物に行ってくる」と言い私は屋上へと向かって電話をかける
電話の相手は彼
「私だけど…」
「どうしたんだ? 忘れ物か?」
「……あの、さ。あなたが私のこと嫌いなら直すから。こっから飛び降りて新しくなってまた…」
「飛び降りる!? 何言ってんだよ…おい!!」
「だ、だって聞いちゃったんだもん『もう俺、あいつの彼氏じゃないから』って…」
「…………」
「なんで黙るの? ねぇ」
「…お前どこにいるんだ?」
「マンションの屋上よ」
しばらくして彼は息を切らして屋上のドアを開けた
「まずちょっと落ち着け…」
「落ち着けるわけないでしょ…最近冷たいよ。携帯だって見せてくれない残業ばっかで連絡もくれないし…
あなたに嫌われたのならもう私死にたいよ…」
「………聞いてくれ。明日、何の日か覚えてるか?」
「私達の記念日よ」
「…俺と、結婚してくれ」
「はぁ?! 意味わかんな…」
彼は携帯のカレンダーの画面を突きつけた
4月のカレンダーにはスケジュールが毎日のように入っている
バイト・給料日・残業
4月23日
給料日・記念日・プロポーズ
「え…?」
「もう彼氏じゃないってのはさ、結婚したら俺、旦那になるから…って意味なんだけど、誤解招いたなら謝る。ごめん」
「……ううん。こっちこそ変な勘違いして…死ぬ…とか…ごめん」
「んと…これ…開けてみて」
彼は携帯をパタンと閉じて、私の手のひらに乗せた
携帯を開けると指輪の画像
「俺と結婚して下さい」