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華街の占者  作者:
4/12

華街の占者(4)

一番、古い記憶は檻の中の世界だった。


暗い、光の届かない場所で『()』続けていた。

過去を、今を、先を。

(こいねが)われるままに、その望みを視た。

視なければ、何をされるかわからなかったから。その恐怖から逃れるために視た。



けれど、その世界は突然終わった。

終わらせたのは二人のオトコの人。


一人は黒灰色の髪に金の目をした人。

もう一人は白金色の髪に紅い目をした人。



彼らは私に世界を見せてくれた。




彼らは私にとっての絶対のヒト。

彼らに逢って、はじめて私は『椎』になれたから。



だから付いて行くことを決めた。

少しでも役に立てるなら。

彼らのために出来ることを―――そう、思った。





それがどんなに罪深いことだったのか、当時の私は分かっていなかったけど…





     ―――――







長い眠りから目が覚め、椎はゆっくり身体をおこした。

その時、右の足首に違和感を感じた。視線をやると、そこには繊細な細工の施されたアンクレットがあった。


「―――なに、これ―――」


そして、気を失う前の光景が頭を過ぎった。


「そうだ…」


みつかってしまった。

彼につかまってしまった?


「どうして…」


どうして、私をさがすの?


わたしはもう必要ないのでしょう?







だって、わたしにはもう、確か(・・)な未来を視る力はないのだから。

もう、彼らの役に立てない。


そう思って、離れたのに。


なのに、どうして?


―――どうして、連れ戻したりするの?





椎の目から涙が一滴(ひとしずく)零れた―――

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