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エクソシスト:オリジンズ  作者: Syntax


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9/15

試練が始まる

十六人が立つ。

残るのは、選ばれた者だけ。


力ではない。

やり直しもない。

あるのは――動きと、本能のみ。


ここは、身体が裁かれる場所。

誤魔化しは通用しない。


カイトも、その中に立っている。


だが、その瞬間――

前へ進むのか。

それとも、取り残されるのか。


朝の気配が道場に静かに落ちていた。音ではなく、皮膚に触れるような重さを伴って。いつもの稽古のリズムは消えていた――ばらけた動きも、気軽なやり取りもない。そこにあったのは、より鋭く、より意図的な何か。十六人の生徒が木の床に静かに並び、裸足で、等間隔に立っている。その存在だけで、言葉を必要としない緊張が部屋を満たしていた。


カイトはその中に立っていた。


姿勢は完璧ではない。だが、もう崩れてはいない。重心は以前よりも低く、足は正直に床を捉えている。肩にはまだ硬さが残り、手にはまだためらいがある――それでも数日前と比べれば、体はもはや異物のようには感じられなかった。


未完成ではある。


だが、応答してくれる。


それだけで十分だった。


部屋の向こうでは、リョウが気だるげに肩を回しながらストレッチしている。まるでただの稽古の一つであるかのように。メイは背筋を伸ばして立ち、視線を絶えず動かしていた――不安からではなく、分析のために。構え、重心、呼吸を読み取っている。タカシは少し離れた位置に立ち、いつものように静かに、前方に意識を向けていた。体は力みなく、しかしいつでも動ける状態。派手さはない。緊張も、傲りもない。ただ、揺るがない集中だけがあった。


指導者が一歩前に出た。


「これは試合ではない」


その声は、静寂を鋭く切り裂いた。


「鏡だ」


誰も動かない。


「お前たちは、自分が何者かを正確に見ることになる」


間が落ちた。劇的ではない。ただ、絶対的な静止。


「組め」


動きは即座に始まった。生徒たちが前に出る。視線が交わり、迷いなく組み合わせが決まる。


カイトの前に、安定した構えと揺るがない目を持つ少年が立った。


「ヒロ」


「カイト」


それ以上の言葉は不要だった。


二人は空いたスペースへ踏み出す。


指導者の手が下がる。


「始め」


先に動いたのはヒロだった。探るような動きはない。迷いもない。意志を乗せて前に出る。拳は肩から拳先まで一直線に揃い、驚かせるほど速くはないが、ためらいを罰するには十分な速さだった。


カイトは考えなかった。


動いた。


体がわずかにずれ、拳は肩をかすめて通り過ぎる。空気の動きが肌を撫でた。完全な回避ではない。だが、当たりでもない。


ヒロは即座に修正する。次の一撃は低く、肋を狙う。


カイトは回る――だが、完全ではない。


衝撃。


鈍く、重い力が脇腹に沈み、呼吸のリズムを崩す。奪い切るのではなく、乱す。遅れて痛みが広がる。締め付けるような、制御された痛み。


ヒロは焦らない。そこが違いだった。打ったあとに乱打しない。構えを保ち、重心を保ち、同じ精度で踏み込んでくる。


カイトはそれに気づく。


(力が強いんじゃない……安定している)


次の一撃――肘。カイトは腕を上げ、かろうじて受け流す。衝撃は前腕を通って深く伝わり、構えを揺らす。


後ろに下がれ、と本能が告げる。


下がらない。


(……引くな)


代わりに、わずかに横へずれる。


ヒロの次の拳が胸の前をかすめる。


近い。


近すぎる。


カイトは踏み込む。


今度は、ためらわない。


腕ではなく、腰から回る。肩が自然に追随し、最後に拳が届く。


音は大きくない。


だが、重い。


衝撃は力ではなく、タイミングでヒロのバランスを崩した。構造が一瞬だけ乱れる。


カイトは続ける。


短い追撃。制御された、直線的な一撃。


ヒロの足が滑る。


崩れる。


沈黙。


「止め」


カイトは一歩下がる。呼吸は整っているが、胸には先ほどの打撃の余韻が残っている。


ヒロは息を吐き、体を起こした。薄く笑う。


「対応、速いな」


カイトは答えない。ただ、その言葉が頭に残る。


(勝ったんじゃない……負けるのを止めただけだ)



---


二戦目は、あまりにも早く訪れた。


「カイト」


顔を上げる。


より背の高い、がっしりとした体格の少年が前に出る。


「シン」


位置につく。


「始め」


シンは待たない。


距離を一気に詰める。その動きはヒロより鋭い――測るというより、決めに来る動き。拳がまっすぐ顔面へ伸びる。


カイトは反応する――


遅い。


衝撃が頭を横に弾く。一瞬、視界が揺れる。


回復する前に――


ボディ。


重い。


肺から空気が一気に抜け、横隔膜が固まる。体が内側に折れる。


(……速い……)


シンは止まらない。


そこが違いだった。


ヒロが制御するのに対し、シンは優位を押し広げる。


次の一撃。より近く、より速く。カイトは防ごうとするが、認識に腕が追いつかない。ガードを抜けた衝撃が腕を駆け上がる。


足が滑る。


それで終わりだった。


シンが踏み込む。


迷いはない。


無駄もない。


最後の一撃が正確に入る。


カイトは崩れ落ちた。


木の床が背中を強く打つ。衝撃が響く。音が遠のく。呼吸が戻らない。


(……立て……)


腕に力を込める。


震える。


押し上げる――


抜ける。


シンが上から見下ろす。攻撃的でもなく、嘲りもない。ただ明確に。


「良くなってる。でも、まだだ」


カイトは歯を食いしばる。


「……ああ」


分かっている。


「止め」


指導者が区切る。


カイトは一瞬そのまま倒れていたが、無理やり体を起こす。体は抵抗し、筋肉は鈍い。それでも、立つ。


それでいい。


一歩下がる。


外へ。


脱落。



---


その事実は、失望としては来なかった。


沈んだ。


静かに。


重く。


(ここが、今の自分だ)


残ったのは八人。


リョウ。メイ。タカシ。そして他に五人。


カイトは端に立つ。もう試験の中にはいない。だが、完全に外でもない。


タカシが一瞬こちらを見て、小さく頷く。


「良かった」


同情はない。誇張もない。


ただの認識。


カイトも頷き返す。



---


残った者たちが再び位置につく。


空気が変わる。


より鋭く。


より集中して。


指導者が前に出る。


「続けろ」


再び組み合わせが決まる。


差はすぐに現れた。


ただの生徒ではない。


鍛えられた身体だった。


リョウは気軽なまま踏み出す。しかし合図と同時に、その緩さは正確さへと変わる。相手が先に大きく打ち込む――だがリョウはその内側に滑り込み、最小限の動きで回避する。返しは即座。整った軌道の掌底。衝撃は激しくはないが、決定的にバランスを崩す。続く足払いで終わる。


無駄がない。


メイは違う。


リョウが空間を制するなら、メイは方向を制する。


相手は速さで押そうとする。メイは退かない。回る。すべての打撃を逸らし、すべての動きを導く。止めるのではなく、流す。相手の一度の踏み違い。それで十分だった。角度の変化、適切な瞬間の押し――相手は地面に落ちる。


タカシの番。


静かに前へ。


相手は速く仕掛ける。評判を知っている動き。


タカシは急がない。


観る。


一撃――外す。


二撃――合わせる。


そして、隙が生まれた瞬間、踏み込む。


短い一撃。


正確。


直接的。


相手の動きが一瞬止まる――それで足りる。


崩れる。


タカシはすぐに一歩下がり、手を差し出す。


「ごめん。動き、良かった」


声に傲りはない。


ただ、誠実さだけ。


カイトは見ていた。


結果ではなく――


動き。


違い。


(……強いんじゃない……)


(……明確なんだ)


指導者が再び前に出る。


「そこまで」


静寂が戻る。


八人が残る。


カイトはその外側に立つ。


一部ではない。


だが、無関係でもない。


体はまだ痛む。


肋は締め付けられたまま。


腕は重い。


だが、思考は――


これまでで最も澄んでいた。


初めて、負けが失敗に感じられなかった。


それは――方向だった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


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