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いつも見ていた世界  作者: 板井虎
第一章
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第4話:名前を知る前に個人情報が流出していました


 とりあえず落ち着いたところで、お互い何も知らないままなので、その場に座ると自己紹介をする事にした。

 

「まず、色々ご迷惑を掛けてすみませんでした。だけど貴方様のおかげでとても助かりました。本当に有り難うございます」

  

 最初に私は土下座をして謝った。これがジャパニーズスタイルですよ。


『うん?』


 やっぱりよく分かってないけど返事をしてくれる白い御方…だが良い!!


「私は天野沙恵と申します」


 私は頭を上げると自己紹介をした。うん、眩しいけどやっぱりちゃんと顔を見せないと失礼だからね。

 自分で言うのも難だけど、結構礼儀は弁えている方だと思う。

 じゃあ何で今まで自己紹介してなかったんだよ…っていうことになるけど、まぁ…全部出来ているかって言われると『うん』とは言えないのさ。だけど自分がされて嫌な事はあんまりしないようにしてる。


『アマノサエ?』

「はい、名前が沙恵で名字が天野です」

『沙恵?』

「そうです」

『沙恵』

「‥‥!」


 嬉しそうに笑う白い御方はもう天使っていうか女神かっ!てくらい美しくて可愛い。

 なんか『萌え~』って感じの中にズキューーーン!!って感じがするんだよ!もうこの笑顔見たら、どんなに機嫌悪くても一気に幸せになれるわ。とろける。


『沙恵?』

「あっ!」


  おっといかんいかん、自分の世界に飛んでくところだった。

 

 

「あの、貴方様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


 照れている時はどうしても上目遣いになってしまう。上目遣いが有効なのは可愛い子限定なのは知ってる。私がしてたらただのガン飛ばしにしかなってないだろうけどさ、直視できないし。

 

『名前は無い』

「えっ」


 どういうことだ?白い御方は全く気にせずに寛いでらっしゃる。


「では何と呼ばれているのですか?」

『色々』

「色々って‥例えばどんなのがあるんですか?」

『ジース、ルルバド、ディノー、グダ、アンロ、バシュ、ビューヌ、ラフーブ、シーリースー、ティーヴァスラー「もう結構です」

『そう?』

「はい…」

『分かった』

「……」


 きっと名前が無くて色んな人に名前を付けられたんだろう。確かとあるマンガにも存在の珍しさから様々な所に売り飛ばされて、その時々に名前を付けられていた子がいたな…。きっと白い御方もお美しいから…。

 私は哀れむ様に白い御方を見てしまった。だけど白い御方はただ不思議そうに首を傾げている。

 あぁ‥可愛い。


「私は何とお呼びすればよろしいでしょうか?」

『何でも良い』

「え」

『名前、呼んで?』



 …そんな風に微笑まれたら名付けるしかないじゃないですか!

 うーん、何て呼ぼう…。なんかもう天使とか神の名が良いんじゃないか?

 いや、けどこの御方はそんな神々より神々しく美しい御方だから一緒の名前なんかダメだ。

 悶々と悩んでいると、白い御方が覗き込んできた。

 その上目遣いは理性崩壊させる凶器ですか?


『呼んで?』

「……」


 透き通るような瞳が私を見つめる。私は目を閉じて、この御方の事を考え始めた。



 白い御方と初めて出会ったとき、私はこの御方の事を洗面所の蛍光灯だと思った。

 だって光っていたから。

 私が目覚めた時、この御方は朝日に照らされて美しかった。

 だって輝いていたから。

 私が泣き叫んでいる時、この御方の温もりに余計泣けた。

 だって温かかったから。

 

 この御方は…



「・・・レイ」

『?』

「貴方様の名前は【レイ】です」

『レイ?』

「はい」


 私は首を傾げる白い御方に名前の由来を説明をした。やっぱり名前って大切だしね。

 

「私の世界の言葉に英語と言語があり、英語には【ray】という単語があります。

 意味は希望の光り、輝き、放射線や熱線という意味です。

 私にとって貴方様は希望の光りであり、眩しく輝き、温かく包み込んで下さる存在です。

 だから【レイ】です」

『‥‥』

「ちなみに中国という国の漢字という文字の【(れい)】という文字にもかけています。

 このレイは『麗しい(うるわ   )』って意味です。ぴったりですよね!」

 

 笑顔で白い御方(まだ決まってないので呼べない)の方を見ると、小さく口を開きぽかーんって顔をされた。……やべぇ。ちょっとクサかったか?



「‥あの、気に入りませんでしたか?」


 心配になった私はおずおずと白い御方の顔を見つめた。


『‥‥レイ、好き』

「へ?」

『この名前、好き』

「ホントですか!?」

 

 やっほい!気に入ってもらえたよ!!

 

『沙恵ありがとう』

「っ!!!」


 満面の笑顔キターーーーー!!!!しかもこの台詞!!!恋愛感情無くてもこんな御方の好意を頂けるなんて!!

 もう一生分の幸せ貰った気がする。そろそろ幸せすぎて死ぬんじゃない?


「いやいやそんなお礼を言うのはむしろこちらで…。ではその、これからもよろしくお願いします」

『うん』


 私は照れつつニヤけながらレイ様と握手を交わした。



 はい、お名前が分かったのでこれからの生活のためにもレイ様にこの世界の説明をしてもらおう。カモン私の平穏生活。


「レイ様、ここの事を『レイ』

「へ?」

『私の名前はレイ』


 少しむくれた様に私を見るレイ様。本人は睨んでいるつもりなんだろうけど、私にとっては萌えでしかない。ニヤけそうな顔を何とか押さえた。


「えぇ‥そうですね。だからレイさ『レ・イ』


 余計むくれた。やばい可愛い‥‥ほっぺ触りたい。


『【サマ】はいらない。レイが良い』

「え、けど貴方様にそのような事は…」

『その喋り方も嫌い』


 えぇ~!?じゃあどうしろと?!喋るなってことか!!?


『喋るなとは言ってない。その喋り方が嫌い』

「ではどうしろと‥‥」

『いつも心の中で思っているような喋り方が良い』

「そうですか…」



 ……ん?今おかしい事聞こえなかったか?


『おかしな事は言ってない』


 ですよねー‥って、


「それがおかしいじゃないですか!」

『どうして?』

「普通心の声とか聞こえませんよ!!」

『私は聞こえる』

「何で?!」

『何でだろう?』


 不思議そうに首を傾げるレイさ『レイ!』…レイは最高に可愛いけど、もっと早く気がつけよ自分。そう、確かにレイの声は普通に聞こえるけど、頭にダイレクトに聞こえる声でもある。

 今まで声に出してないのに会話が続いていたのはレイが私の心の声を聞いていたからで…。まじファンタジーだな。さすが異世界、何でもアリだ。

 ‥ちょっと待てじゃあ今までずっと私が興奮しまくってた声も…


『うん、聞こえていた』




 ……オワタ。私はずっと「サトラレ」状態だったんだね。だけどまぁ‥仕方ないか。ここは異世界、私の常識は一切通用しない。これからは何でも受け入れていかなくちゃね。


『大丈夫?』

「ええ、とりあえず大丈夫です」

『そっか』


 落ち着ついた私にレイは私の頭をポンポンと優しく叩いた。

 …ホント可愛いなお前。



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