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いつも見ていた世界  作者: 板井虎
第二章
43/57

第18話:色男の言い訳


「ルーカス隊長、気になってたんですけどここどこですか?」

「知らずに来たのか?」

「すみません…」

「ここはオラリオスとファタームの国境付近にある森だ」


 ファタームはオラリオスの隣国で、織物や芸術の盛んな国。


「ここから城までどれ位掛かるんですか?」

「スバローに乗って約1時間程度」

「スバロー?」

「世界最速の鳥型魔獣で、伝令や緊急時によく使われる」


 そんなのに乗って一時間は多分遠いんだろうな。


「ルーカス隊長はそれに乗って来たんですか?」

「ああ。こいつだ」


 ルーカス隊長の後に続き林から出ると、そこにいたのはにはなんと!





 でかいツバメ!!…みたいな動物(?)がいた。ツバメと違って体が大きくて少し細長い。全長3m位かな?

 体の色が深い紺色で、曲線が美しく無駄がなく、目がクルッとまん丸で可愛い。

 頭には兜を被っていて、首輪の様な物から紐が垂れている。そして背中に乗っかっている鞍にくっついている。

 …何ていうかね、服を着させられてるペットみたいなんだよ!!GJ誰か!!


「これがスバロー」

「すっっごい可愛いですね!名前はあるんですか?」

「イチロー」

「ぶふっ!!」


 どこぞの野球選手と同じ名前じゃないか!


「…どうした?豚みたいな声出して」

「いやっ!!す、素敵な名前だなって思って!!はい!」

「……」


 思いっ切り吹き出した私を怪訝に見るルーカス隊長に苦しい言い訳をした。


「あの、私もイチローに触ってもいいでしょうか?」

「ああ、じゃあまずあまり大きな動作をせずにゆっくり歩いて来い」

「何でですか?」

「スバローは基本的、性格は温厚だが臆病で、捕まえようとするとすぐさま逃げ出すので捕まえるのがかなり難しい。但し身の安全だと分かると大人しくなって懐く」

「へえ」


 ルーカス隊長がイチローの首もとを撫でると、イチローがルーカス隊長に頭を擦り付ける動作をした。か‥可愛い…!!

 私は気を付けをしながらゆっくり歩くと、イチローが私に気が付き、じっと見つめてきた。

 う〜、まん丸おめめが可愛いよ!

 興奮を抑えつつ側まで来ると、ルーカス隊長が止まれの動作をした。


「次はゆっくり両手を差し出せ」

「はい」

「イチローにつつかれても黙っていろ。その後、イチローが頷いたらゆっくりと触っていいぞ」

「わ、分かりました!」


 私がゆっくり両手を差し出すと、イチローは私をじーーっと見つめて、様子を見るように軽く手をつついた。さらにじっと待っていると、段々つつく速さと力が強くなってきた。


 つんつんつんつん…コツン!


「あいた!」


 イチローに頭をつつかれ、思わず声が出てしまった。

 するとイチローはぴたっと動きを止めて首を引っ込めた。


「声を出すなって言っただろ?」

「頭をつつかれるとは思ってなかったんですよ」

「取り敢えずしばらく我慢しろ」

「はい」


 ルーカス隊長はイチローを撫でつつ私の頭を軽くコンコンと叩いた。

 その様子を見たイチローはまた私をつつき始めた。

 イチローは何度も何度も私をつつき、ようやく私を見て頷いてくれた。やった!!

 ゆっくりゆっくり手を伸ばすと、イチローは頭を差しだしすりすりとしてくれた。


 ぎゃー可愛い!!


 毛はシルクの様につやつやで手触りが良かった。


「ルーカス隊長‥イチローに抱きついていいですか?」

「ゆっくり優しくな」

「はい!」


 私はゆっくりイチローに抱きつくと、イチローに頭をすりすりした。もうデレデレだ。

 イチローは首を傾げたが大人しくしていてくれた。


「あーもーイチロー可愛すぎ!」

「こいつは従順で甘えん坊だからな」


 ルーカス隊長は口角を上げると、私の頭を撫でた。何故わたし?


「さて、そろそろ行くぞ」

「はい」

「乗れ」

「乗れって…イチローに乗っていいんですか?」

「ああ」


 ルーカス隊長がイチローに乗ると、私に手を伸ばした。

 私がルーカス隊長の手を掴むと、ぐいっと引っ張り、自分の前に座らせた。


「え、ちょ、ちょっと!」

「嫌だろうが我慢しろ。落ちるぞ」

「し、しっかり掴まってるから大丈夫です!」

「……」


 そう言うとルーカス隊長は黙って放してくれた。

 心配してくれるのはありがたいんですけどね…お腹の贅肉が気になるんですよ!!自分で摘むのも虚しいのに、他人に摘まれるなんて言語道…どぅああっ!?


 ルーカス隊長はイチローの口に付いている紐を引っ張ると、イチローがピィー、と鳴いてすくっと立ち上がると、結構なスピードで助走をつけて飛び上がった。


「うぉあっ!!」


 いきなり飛び上がった衝撃で私はバランスを崩したが、ルーカス隊長がぎゅっと腰に抱いていてくれたので助かった。に、肉…!


「あ、ありがとうございます…」

「墜ちたくなかったら大人しくしていろ」

「…はい」



 仕方ないので私はルーカス隊長を椅子だと思って凭れた。この腕はシートベルトだ!うん!!


「イチロー速いですね」

「ああ」


 多分ジェットコースター位あると思う。だけど私達に空気の抵抗がほとんど無いのは、魔法を使ってるからなんだと思う。今はそよそよと風が吹いていて気持ちいい。


 イケメン椅子のジェットコースターか…。一回3000円でも一時間待ち位の人気アトラクションになりそうだな。いや、けどこの密着度だったらもっと値段を上げて安定した富裕層の顧客を…


「どうした?」

「へっ!?」

「顔がにやけてるぞ」


 しまった!つい金儲けに目が眩んで顔に出てしまった!!


「イヤラシい事でも考えてたのか?」


 ルーカス隊長は意地悪く笑うと私を抱き寄せて耳元で囁いた。


「うぁっ!!!ちょっとやめてくださいよっ!!」


 私が拒否ると意外にもあっさり離れてくれた。


「で、何を考えてたんだ?」

「いや、まぁ、何でもないです…ちょっ!!肉摘むな!!」

「んー」


 そう返事をしながらもルーカス隊長は私の肉をむにむにした。私はルーカス隊長の腕を引っ張ったが外れないので、仕方なく話すことにした。


「ルーカス隊長を椅子にしたら儲かりそうだなぁって思ったんですよ!」

「俺を?」

「はい。ルーカス隊長はイケメンでモテるじゃないですか」

「まあそうだな」

「で、ルーカス隊長に体を支えられて空中を散歩する有料サービスがあったら、多少高くても女の人が殺到しそうだなぁって」

「確かに」


 ルーカス隊長は私の考えに肩を揺らした。


「ルーカス隊長、お金に困ったらやったらどうですか?座ってるだけの簡単なお仕事ですよ」

「長時間座って端金稼ぐより、一回寝て大金貰う方が楽」

「うわ…。色男は言うことが違いますね」

「ん」


 ルーカス隊長が私の頭に顎を乗せて笑うので、頭がカクカクする。


「頭に顎乗せるのやめて下さいよ」


 少しムッとしながらいうと、今度はほっぺを下にして私の頭に置いた。…まぁ痛くないからいいや。



 特に話すことも無いので黙っていると、ふと思い出した。


「ルーカス隊長」

「ん?」

「ルーカス隊長って性別関係なく恋人に出来ますか?」

「バイって事か?」

「まぁ……そうです」


 失礼かと思ってオブラートに包んだんだけどな!だけどルーカス隊長は気にする様子もなく、いつも通りだった。


「別にどっちでもヤれる」

「…そうですか」

「大体突っ込む穴が違うだけだろ?」

「おい!」

「俺は突っ込まれるより突っ込む方が好きだから、女の方がいい」

「そこまで聞いてません!!」


 やめてくれよ生々しい!!

 ルーカス隊長は美形で雰囲気がエロいから行為の姿が想像できてしまうのが怖いんだよ!!!本気でその情報はいらなかった!!

 ルーカス隊長はくっくっと喉を鳴らした。


「だが、恋人にはならない」

「…面倒とかそう言う理由ですか?」

「ん」


 つまりセ●レか。ルーカス隊長らしいっちゃらしいな。束縛とか嫌いそう。


「じゃあルーカス隊長はテレウスさんの事、どう思ってるんですか?」

「どう?」

「恋愛対象かどうかですよ。テレウスさんがルーカス隊長の事が好きだって事、気付いてますよね?」

「テレウスはただの部下だ。それ以上でもそれ以下でもない」

「じゃあその事ちゃんと言った方がいいですよ」

「言った結果、お前に当たった」

「あー‥そうでしたか」


 私が気まずそうに答えると、ルーカス隊長は溜め息を吐いた。


「あいつは割り切ることが出来ない性格だから、手を出すつもりはない。あいつも俺に迷惑が掛かると思って自分から迫ることはなかった。だがサーイェが出てきた事で焦ったんだろう」

「私が女で、しかも補佐だからですよね?」

「ああ。俺の側に来る女は大抵関係を持っていたし、身分が高かったり美人が多かったから。だから自分と年が近くて、今までと毛色の違う女だから気に食わなかったんだろう」

「つまりブスが出しゃばってんじゃねえよ!!ってことですよね?」


 ルーカス隊長はくすりと笑、宥めるように私の頭を撫でた。


「サーイェは毛色が違うって言っただろ?俺達とは違った容姿だ」

「まあ、そうですね」

「テレウスもこの国では珍しい容姿をしている」

「あ、やっぱり珍しいんですか?」

「ああ。ミリストの民だ」

「ミリスト?」

「隣国のランリングの中でも敬虔な信教徒が多い土地だ。貿易があまり盛んではないから、布教や巡礼意外で国から出ることはあまりない。つまり国外に居ることは珍しい」


 へー。そんなに貴重だとは思ってなかった。


「外国ということもあって、言語も違うから騎士団に入った当初はなかなか馴染めなくて苦労していた」

「ああ、だからカタコトなんですね」

「ん」

「だけど私と口喧嘩してるときは普通に喋ってましたよ」

「普通に?お前がランリング語を話していただろう?」

「え?私、普通に喋っていただけです」

「いや、喋っていた。何を話しているか分からなかったから、周りの連中はすぐに止めなかったんだ」

「えー‥」


 またチート能力発動ですかね?どうやら多言語が話せるらしい。翻訳こんにゃく、いらないね!

 …あれ?みんなが何言ってるか分かんなかったら、私が叫んだ内容が漏れてないって事じゃない?

 けどさっき、ルーカス隊長は面白いから止めなかったっていってなかったっけ?


「ルーカス隊長もランリング語話せるんですか?」

「ん」


 じゃあ内容はモロバレか。ちっ!!じゃあ困った時の記憶喪失設定でいこう。


「何で話せるんでしょうね?」

「お前が分からないのに俺が知るわけ無いだろ」

「ははは‥ごもっともです」


 呆れたように言うルーカス隊長、私はあははと苦笑した。


「まあ今はいい。そんな感じで自分と似た境遇のサーイェは、すぐに周りにも溶け込み、騎士達と仲が良くなったから、尚更嫉妬心が沸いたんだろう。だから安心するために俺に迫ったが、サーイェに邪魔された」

「あ、やっぱり邪魔でしたよね」

「俺は別に構わない」

「そうですか」


 ルーカス隊長はたとえ行為の最中を邪魔されても平然としてそう。


「そして告白は断られ、挙げ句俺とサーイェをいちゃついてる場面を見たら…」

「ぶちギレたくなりますね」


 それは何だがすごい申し訳ないことしてしまったな。だけどほんとにワザとじゃないし邪魔したくもなかったよ!!


「…これは私は謝るべきなんですかね?」

「悪いと思うなら謝ればいい」

「うーん…もういっその事テレウスさんを補佐にしたらどうですか?」

「だからあいつは公私混合にするタイプだから無理だ。何の解決にもならない」

「私も公私混合してるほうだと思うんですが…」


 しばらく隊長室に寄り付かなかったし。


「サーイェは自分の仕事は全部こなしていたから仕事に支障はなかった。それにお前を俺の補佐にしたのはサーイェ自身の安全の為だ。危険な仕事はしたくないだろ?」

「あー‥そうでしたね」


 平和過ぎてすっかり忘れてたけど、騎士って魔物退治や危険な仕事もするっていってたね。


「じゃあどうしますか?」

「話すしかないだろう」

「ですよねー」


 私達はそれぞれ溜め息を吐いた。面倒臭いな。


「まぁ…頑張りましょうか」

「ん」



 これから起きるであろう事に気を重たくしながら、私達は遠くを見つめた。






 城が見えてきた頃、ルーカス隊長はガイシス団長に連絡を入れた。



「あ…城だ」

「ああ、このままサーイェの家に直行する」


 ルーカス隊長はイチローの手綱を引っ張ると、イチローはチュピッ!と鳴いて、スピードを落として伸びやかに飛んだ。

 そしてどんどん私の家に近付いてくるにつれて、徐々にスピードか落ちて庭を目指した。庭にはラヴィーナ、ヒヨ、さんガイシス団長、ロイス副団長がいた。

 イチローがばっさばっさと翼をはためかせ、地上に降り立ち、ルーカス隊長に体を放してもらい、私はイチローから降りた。


「サーイェ~!!」

「うわぁっ!」


 降りると同時にラヴィーナは私に抱きついてきて、その勢いで私達は地面に転がった。

「う゛ぅ゛~‥ほっほんとにっ!ほんとに無事で良かったです〜!!」

「ラヴィーナ…」


 唸り声を上げながらラヴィーナは私に泣きついた。


「サっサーイェが辛いのを知っているのにっちゃんとっ癒してあげられなくてごめんなさい!私っ私!!」

「ラヴィーナ…」

「だけどラヴィーナ、どうしたらいいのか分からなくて…!!」

「ラヴィーナ」

「は、はぃい」

「心配してくれてありがとう」


 私は泣きじゃくるラヴィーナを安心させるように抱き締めた。


「うっうぅ…」

「ラヴィーナは何も悪くない。ラヴィーナがいてくれて良かったよ」

「サーイェ…」

「ラヴィーナが居なかったら、私はまだ鬱で、自分を傷つけていたと思う。だから、ありがとね」

「サーイェ~!!」

「うぐっ!!」


 ラヴィーナは感激して私を強く抱き締めたので、私も抱き締めたけど、限界だった。


「ラヴィーナ…」

「ひっく‥!ひっくっ!!

「そろそろ‥退いてくれないとヤバい…」

「え?」

「抱きついてくれるのは嬉しいけど、ちょっと‥苦しい」

「えっ!?」


 流石にぴったりとくっ付いて全体重を乗っけられると圧迫されて苦しいわ。


「ご、ごごごごごめんなさいっ!!!」


 ラヴィーナは真っ赤な顔をして私の上から退いた。


「いえいえ、ラヴィーナみたいに可愛い子になら押し倒されてもいいよ」

「えっ!??」

「さらりと口説いたな」

「本心ですが何か?」

「サーイェもなかなかいけない女だ」

「ルーカス隊長には負けますよ」

「どうやら、心配要らないようだな」

「ふふ、そうみたいだね」


 ルーカス隊長と軽口を言い合っていると、ガイシス団長とロイス副団長の安心したような声が聞こえた


「あ、ガイシス団長、ロイス副団長…」

「全く、みんな心配してたんだぞ」

「うん、マーリンドはイライラして訓練中に他の騎士に当たるし、ジャンも口数が少なくなるから、騎士団内の空気がピリピリと緊迫してたよ。お陰でみんな仕事や訓練に身が入らなかった」

「ご、ごめんなさい…」


 申し訳なくて、合わせる顔の無い私は俯いた。私が居なくても書類の提出が遅れる程度だと思ってたから、まさかこんなに影響が出るとはとは思わなかった。


「だが、それだけみんながサーイェの事を心配していた証拠だ」


 顔を上げると、ガイシス団長が私の顔を覗き込んでいた。


「おかえり、サーイェ!無事で何よりだ」


 ガイシス団長は爽やかな笑顔で私の頭を優しく撫でてくれた。頭を撫でる温もりが、まるで私の心の重りを払ってくれているようで私の心は軽くなった。

 ぼーっとガイシス団長を見ていると、急にキリッとした顔に戻った。


「勝手に抜け出したサーイェには後でちゃんと罰則を受けて貰う。覚悟しておけよ?」

「は…はい!」

「いいこだ」


 ガイシス団長はにっと破顔すると、また私の頭をわしゃわしゃと撫でた。


 やばい!…これはぐっとくるわ!!だって近距離でこの笑顔はね!?真顔からこの爽やかスマイルは反則だって!

 私は思わず照れ隠しのためまた俯いた。


「あの、私、昨日お風呂入ってないんで汚いし臭いだろうから触らない方がいいですよ」

「そうか?俺は気にならないけどな」

「…………」

「くっ、ガイシスもなかなか悪い男だな」

「? 何がだ?」

「ふふ、確かに質が悪いね」

「?」


 ガイシス団長は茶化されているのに気付かない。

 ほんとにね!天然ほど厄介な者はいませんよ!!そこ!笑わうな!!


「さて」


 私を撫でていた手はぽんぽんと優しく叩くと、離れていった


「じゃあテレウスを釈放してもらいに行こう」

「はい!」

「しかし、サーイェが帰ってきたのを陛下に直接報告しなければならないんだ。…サーイェを連れてな」

「……」


 やっぱり会わなきゃ駄目か…。


「大丈夫か?」


 事情を知っているらしいガイシス団長は心配そうに私を見た。

 会いたくなくても、会わなきゃテレウスさんが釈放されないんなら行くしかないじゃないか。

 私は小さく深呼吸をすると、ガイシス団長を見上げた。


「…大丈夫です。どこに行けばいいですか?」

「謁見の間だ」

「ガイシス、俺が連れて行く」


 今まで後ろで様子を見ていたルーカス隊長が名乗り出た。


「うちの隊の問題だ。それが筋だろ?」

「ああ、そうだな。じゃあ陛下には連絡を入れておくから、ルーカス達は謁見の間へ向かってくれ」

「ああ。サーイェ、行くぞ」

「は、はい」


 思わずどもると、ラヴィーナは心配そうに私を見つめた。私はそれに笑顔で応えた。


「大丈夫」

「けど…」

「いつかはちゃんと話さなくちゃいけないことだし、今回は一人じゃないから、きっと話せるよ」

「……」


 ラヴィーナは複雑な表情で俯くと、ルーカス隊長を見据えた。


「ルーカス隊長、サーイェをお願いします」

「ん」


 ルーカス隊長は短い返事だが、しっかりとした声で返事をした。


「じゃあ行くぞ」

「はい」


 私はラヴィーナに手を振ると、ルーカス隊長についていった。



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