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いつも見ていた世界  作者: 板井虎
第一章
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第10話:凡人の冒険~チートへの目醒め~


「さて…」


 私は旅に出かける準備をし始めた。いつまでもここにいても始まらないしね。

 まずは食料。これは大切だよね。レイが採ってきてくれた果物があるから何とかなるか。あ、バナナ持ってこ。確か栄養分が豊富だったはず。少し固めのを持っていけばその内熟すだろうし。確か近くに大きな葉っぱがあったから、それに包んでいくか。

 あと水。うーん、なんか入れ物ないかなー。あ!私ペットボトル持ってたわ。奈由とカラオケに行く予定だったから持ち込もうと用意してたんだよね。コンパクトな1ℓが2本だから2ℓ。フリーだと結構飲むからね!その水が無くなったら旅の途中で補給するしかないか。大切に飲もう。

 靴はどうしよう…。片っぽはヒールが折れてるしな。うーん、やっぱり素足で歩くのは危ないから、もう片方のヒールも折って履くしかないかな。さようならヒールよ‥生きるために犠牲になってくれ。思いっきり地面にガンッとぶつけると、あっさり折れた。君も寿命だったんだね、安らかにお逝き。

 あとは懐中電灯とか欲しいけど、これはケータイのライトを使えばいっか。電池無くなっちゃうから貴重に使わないとね。

 他にはー…あ、ナイフかなんかあると便利そうだよね。サバイバルしてる人とか持ってそうだし。だけど刃物なんか持ってないよ。普通遊びに行くのにそんな物騒なものは持ち歩かない。ふむ…あ、バッグにオロナ●ンCが入ってるわ。瓶を割れば刃物の代用になるか微妙だけど、後でやってみよ。


 よし、旅の準備は完了―。いざ、グランドラインへ!…なんちゃって。




 一人旅初日。

 道はよく分からないのでまず湖の近くの場所へ戻ってから出発しよう。あそこでレイに西の村を教えてもらったから、そこでレイが指していた方角に向かって歩いていけばそのうち着くはず。だけどあそこまで行くことすら大変だったからなぁ…多分4日じゃ着かないね。けど歩くしかないか。自分で生きていくって決めたんだから。

 やる気を出して歩き始めると、初めて来たときよりも早くに湖に辿り着いた。もしかして昨日歩いたから体力がついたのかな?それに今日は身体も軽く感じる。元気なうちにさくさくと歩きますか!私は余裕ができたので歌を歌いながら歩き始めた。


「あーるーこー♪あーるーこー♪わたっしはげんき~♪」


 この歌覚えやすいよね。もちろん映画の方も大好きさ!ちっちゃいトト●を飼いたいと思ったよ。私はト●ロメドレーを歌いながら樹海を歩き続けた。

 しばらくは結構平らな道のりだったけど、お昼過ぎくらいから木々の根が地面から飛び出すくらい力強く根付いていたり、大きな石の段差があったり、地面に苔が生えていたりして扱けそうになった。さすが樹海だ…。そんな感じでえっちらおっちら歩き続けていたら、辺りが暗くなり始めたので今日は歩くのをここまでにした。夜の森って危ないって言うしね。魔獣が出るかもしれないし。


 私は大きめの木の根元に凭れると、持ってきた果物を食べた。うん、甘くてうまい。果物は疲れた身体に染み渡るように私の体力を回復させた。食べ物ってすごいな。

 私は果物を食べると早々に寝た。明日も沢山歩くんだから体力を回復させなきゃね。明日筋肉痛になりませんように…。

 私は寝ようと思ったけど、やっぱり夜の森は冷えた。登山で遭難した人の一番の死因は確か凍死だった気がする。…私の旅は一日目で終了なのか?

 あー、さむ。私が両腕で身体を包むと、不思議と身体が温まり始めた。こんなに温まるものなのか?なんかぽわーんって感じに温かいんだよ。そう、レイに包まれている感じ。

 …もしかしてこれがおまじない効果か!レイありがとよ!おかげで凍死しないで済みそうだわ。

 私はレイに感謝しながら眠りについた。



 一人旅2日目。

 たっぷり寝たおかげで全く昨日の疲れも全く出ず、筋肉痛にもならないで朝から絶好調!朝ごはんにバナナを食べて、やる気を出して樹海をもりもり歩いていたら、お昼頃には湖を発見。貴重な水も手に入るし、身体も洗えてスッキリさ!もう服と下着は諦めたヨ…乾かないと動けないし。

 湖の周りには、ススキみたいな草が風に揺られて綺麗だった。日の光を沢山受けて、それを吸収しているようにススキもほわほわと光っているように見えた。不思議な光景だなー。

 それからは●の谷のナウ●カメドレーを歌って歩いた。あれも良い映画だよね。私もナ●シカみたいにメーヴェに乗りたいな。慣れる前に墜落死しそうだけど。

 昨日はぼこぼこした道だったけど、途中から割りと平坦な道になったので歩きやすかった。昨日と同じように暗くなってきた頃に私は足を止め、木の側に座って休んだ。


 ふぇー、今日もよく歩いたなぁ。今までじゃ考えられないくらい歩いてるよ。向こうにいた時は運動もあんまりしてなかったから、持久走したくらいで筋肉痛になったもんだ。それなのに今はサバイバルしても平気にだからね。おまじない効果か…。

 だけどこれってやっぱりチートだよね。レイが『魔獣が居る』って言ってたけど、私はまだ一度も遭遇してないし。もしかしたらこれもおまじない効果かもしれない。他には何の効果があるんだろう?ちゃんと聞いておけばよかった。



 一人旅3日目。

 今日も森を歩き続けていると、川を見つけたのでそこで水分補給。体を洗ったけど、川の水が冷たくて気持ちよかった。すっかり自然に順応してきたな自分。川から上がると私は川沿いを歩く事にした。もしかしてこの川に沿っていけば村に着くんじゃないのかなぁって思って。よくあるよねそういうの。文明が発展したのだって川の側の地域だった気がするし。もうあんまり覚えてないけどね。頭は使わないとどんどん衰えていくんだよ…。

 まぁそんな訳で私は川沿いを歩いていくことにした。この川はとても澄んでいるので、川の生物がちらほら見えた。魚やウーパールーパーみたいな生物や、亀に魚の尻尾が付いたような生物も居た。うーん、ファンタジー!なんか可愛いな。

 気分がノってきた私は、今日はもの●け姫メドレーを歌いながら歩いていった。もの●け姫には沢山動物が出てくるけど、私は山犬やヤックルに乗りたいと思った。乗るのがすごく楽しそうだもん。可愛いし。あ、コダマも可愛いよね。頭をカクカクさせるけど、どういう原理なのか知りたい。

辺りが暗くなると、川の近くにある林に入り、そこで休むことにした。今日もよく歩いたなぁー。結構頑張ってるから、もしかして明日くらいには村に着くんじゃないかな?よし!明日のためにも早く寝よう。





 森が静まっている頃、犬の遠吠えのようなものが聞こえてきて少し目が覚めた。うつらうつらしていると、小さくガサガサッと音がした。

 ……もしかして、魔獣?えぇぇ!?わたし武器持ってないよ!オロナ●ンCならあるけど、元気ハツラツにはなっても武器としては小さすぎて役に立たないよ!!

 私は念のために自分の荷物に手にとり逃げる準備をしていると…やっぱり出てきた!!

 うっわ‥まさにモンスターだ!木の間から出ている姿を見ると、全体的には狼なんだけど、頭には牛のような角が生えていて、目が赤く光り、牙が少し口からはみ出している。魔獣はこういう強面が普通なのかな…って呑気に考えてる場合じゃない。逃げよ!


 荷物を持って走り始めると、魔獣も追いかけてきた。一生懸命走るけど、人間が狼型モンスターの足に敵う訳が無い!!走ってすぐに狼が息をする音がすぐ後ろまで聞こえてきた。

 ヤバイこのままじゃ私、食い殺されちゃうよ…。自分で生きるって決めたのにこんな所で野たれ死んでたまるかぁ!!!もっと働け私の足ぃいっ!!


 そう思っていたら、急に身体が軽くなり、走るスピードも速くなった。え?何で??

 ……まぁいいや後で考えれば。今は逃げることを考えなくちゃ!!

 走っている最中に服やバッグが草木に引っかかったり、枝で身体を傷つけながらもがむしゃらに走り続けると、いつの間にか魔獣は見えなくなっていた。

 もう大丈夫かな…?魔獣が追ってくるような感じもしないので、私は走るのをやめたがいつ来るか分からない不安に駆られ、森を歩き続けた。服や身体はボロボロだけど、幸いまだ歩くだけの体力は残っていた。


 さっきのだけど、やっぱり魔法だよね。だって今まで重かった体が急に風に乗ったみたいに軽くなったし。あれは車並みの速さで走ってたよ。

  試しに私は体が軽くなるイメージをしてみた。だって魔法の使い方なんて分かんないもん。イメージしかないっしょ。そしたら…ホントに軽くなった。その場でジャンプをしたら、木を突き抜けて空に跳んでいた。

 …すげぇ!!!これってなんかNAR●TOみたいだ!!私忍者になれるよ!!あー、けど痛いの嫌だし、殺しとかマジ無理だからいいや。同じ忍者だったら忍●ま位がいい。毎日ほのぼのして平和だ。

 私はもう一度ジャンプをすると、森を一望した。お!あそこで木が途切れてる!!じゃあもう少し……あぁ。落ちた。私は着地すると、もう一度確認するためにジャンプした。今度は宙に浮くイメージをしながらジャンプしたら…浮いた。

 こ‥これは武空術!修行もせずに使えるようになるとかガチでチートだ!!

 私は周りをよーく見渡して、木の途切れている方向を確認すると、ゆっくりと着地した。

 レイのおまじない効果すごいな。有り難い、有り難いけど…!!これは祀り上げられる可能性が増えてしまったんだよ!!!

 うーん、他の魔人がどの程度できるか分からないけど、私のやる事が魔人以上にすごい事だったらヤバイな。その内ばれるかもしれないけど、極力抑えておこう。

 私は納得すると、魔法で体を軽くするイメージをしながら歩き始めた。意識して使えば便利だな。他にも色々できるかもしれないけど、私は平和的な魔法だけで十分だよ。




 森を歩き続けると、だんだん空が白み始め、私はようやく森から抜け出す事ができた。森の下には遠くに小さな村があるのを発見した。

 あぁ、ようやく村が見えた…。頑張ったんだね私。4日で着くのかよ!!とか思ってたけど、本当に着いちゃった。これで私も頑張った一員になれたよ!

 私は森を疲れきっていたが、ふらふらしながら気力で村まで走っていった。いくら魔法で身体を軽くしていても、ずっと歩いていれば疲れは溜まる。それに、早く安全な場所で休みたい。やがて私は無心で村を目指して走り続けた。




 着いた…。ようやく‥人の居るところに…来れた……


 朝早いせいか誰も居なかったけど、小さな村まで来て安心した私は、急にどっと疲れが出てその場に倒れた。





 一応伏字&元ネタ解説

・オ●ナミンC-元気ハツラツになる栄養ドリンク。

・グランドライン-某有名海賊漫画に出てくる世界を一周する航路。

・トト●-スタジオ●ブリ作品の『となりのト●ロ』に出てくるキャラクター。

・風の谷●ナウシカ-スタジオジ●リ作品。

・ナウ●カ-上の作品の主人公

・も●のけ姫-スタジオジブ●作品。

・NA●UTO-人気忍者マンガ。

・忍た●-ほのぼの忍者マンガ。個人的にアニメの印象の方が強いです。

・武空術-ドラゴン●ールより。空中に浮く術。


 はい、雑な説明でごめんなさい。だけど説明無くても分かるものばかりですね。笑

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