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第17話 拙僧、実は8年でインナーマッスルを(ry by一元

大変お待たせしてしまいました(汗)

第17話は少しですが従来のお話より長めです(当社比)


そんなわけで、ごゆるりと行ってらっしゃいませ~。

――――チョロチョロチョロチョロ…………………………カコン!!――――


「あの、一元さん。結局零泉おじいちゃんは……」


「すまない、やはり卒業式の方に行ってしまったらしい……」


《だよな、良く考えてみりゃアイツらは今日卒業式だったな……》


 階段を上りきった後。心也は疲れながらにも零泉に再会できる期待で胸を震わせながら静かな水のせせらぎと竹の高く澄んだ音――ししおどしの音が響く座敷で待っていた。

 が、良く考えれば銀牙達は卒業式。それに出席するともなればとっくに中学校・・・にいる事だろう。


「そっか、ごめんなさい一元さん。わざわざ探してもらったのに」


「何を申される、これくらいで謝らないで下され」


「はい、すみま……ううん、なんでもないです」


「もう8年ですか……いつお帰りに?」


 話題を変える為に一元は石段で聞きそびれた事をいまさらになって振ってみる。客人をまともにもてなせないようでは――と彼なりに考えたのだろう。


「はい、実は昨日帰って来たばかりでここに来る途中で商店街とか、懐かしい場所を周ってたんです」


「ふむふむ、そうでしたかそうでしか。つまりその懐かしい場所リスト・・・・・・・・・の中に恵泉寺ここも?」


 一元は心也の手に握られている紙に目ざとく気づくとそれを指して聞いた。

 ちなみにこれは姫上市こちらに戻ってくる時にあらかじめ行きたいところをリストアップしておいたものだたりする。


「あッ!? えと、はい。他にも高校の下見とかもしようと思ったんですけど……何か色々疲れちゃって」


「ほう、それはまた……何かあったのですか?」


「いや、ここに来る途中で絡まれたと言うか、絡まれに行ったというか……」


 するとにこにこ顔だった一元の目元がスッと細まり穏やかな雰囲気が一変になりを潜める。

 それに慌てた心也が手を振りながら急いで弁解に掛かかろうとするが――


その者達はそいつらぁ満月組みちづき人間モンじゃありませんか?」


 いきなり確信を付く一手。急所に当たった!!


「いや、相手は高校生ですし今頃警察の御世話に……第一、銀ちゃんのトコの人達が僕にどうこう何て」


「いや、十分にあり得ます。貴方アンタがいなかったこの8年間に色々と変わってしまったんです」


「はぁ……?」


 何だかシリアスっぽくなってしまっているのだが一向に自分が満月組に狙われているなんていう超展開というかぶっとんだ設定に納得というか理解が出来ていない心也。


「実は、組長カシラハメめられて組がパックリ二つに割れてしまったんですよ」


「おじさんが嵌められた!? え、あんなにやさしげな人が…………まさか、死んだr」


「ああ、死んではいませんとも。組長カシラは拙僧が本気で殴りかかっても顔面で受け……それでいて平気そうに笑ってられるのは組長カシラくらいなもんです」


「(そりゃそうだよ、貴方達みたいな【ターミネーター】が何人もいたら世界が可笑しく……もとい不自然におかしくなるに決まってるもん……)」


 一元の真面目な顔に何とも言いようのない笑いがこみ上げはじめてしまっている心也は“組長おじさん”の安否についてまだ詳しく聞いていない事にハッとする。


「一元さん。それでおじさんは一体どうなってしまったんですか?」


組長カシラは……組長カシラは現在【お勤め】に行ってるそうです」


「お勤め? 働いてるんですか?」


《殿、お勤めとはあちらの業界で言うところの【入所】。言うなれば警察の御厄介になっていると言う事でござる》


「えぇ~~~~ッ!? お、おじさん捕まったのッ!?」


 一元の話によれば5年前(心也が町を離れてから3年後)組長こと満月みちづき虎之助とらのすけは隣町の暴力団とのトラブルに巻き込まれた組員を助けに出向いたところ、そこには逮捕令状を持った警察官がいたそうだ。

 当然身に覚えが無い為に弁明をするのだが有無を言わせずに連行されて流れのままに逮捕されてしまったらしい。

 当然組内の人間は虎之助を慕って下についてるわけでお礼参りだの殴りこみだのを考える派閥出てきたらしい、がまぁなんとか抑え付けて“平和的交渉”に出て(無理やり)逮捕状の内容を知る事が出来たらしい。

 それが何とも滑稽な話『危険物所持及び麻薬の不法所持』だそうだ。

 それを聞いた組員は腹を抱えて笑ったそうだ。何故か、と問われれば満月組の本来の目的にある。

 本来満月組の役割としては自警団に近い。他の地域シマからやってきた他組織おきゃくさんが悪い事しない様に目を光らせたり場合によってはお相手するのが彼らの仕事だ。ヘタに警察を呼ぶよりもこちらに頼った方がはやくて丁寧な仕事をすると評判が良かった、はずだったのだ。


――――家宅捜査でも何でもして麻薬だかなんだか知らねェが見つけ出して見やがれってんだッ!!――――

 当時の組員の誰だかは知らないがこう口々に警察へ訴えたらしい。

 こうして色々順序が逆になってしまったが組長の潔白を示す事ができる、そう確信した矢先だった。




「満月組の倉庫から大麻が詰まったビニール袋が見つかったそうなんです」


「そんな!? そんなの、おかしいに決まってる!!」


 話の流れが嫌な方向にだんだんと近づいているのに薄々感づいていた心也ではあったがよもやこんな展開が待っているとは思わず声を上げてしまう。


「それは拙僧等も驚きました。恵泉寺せっそうたちと満月組はこのあたり一帯の祭事を共同で行ったりする仲です。見てくれが少しおっかないですが根はしっかりした奴ばかりだと拙僧等も警察に言いに行ったのですが……」


「聞く耳を、持って貰えなかった?」


 黙って首を縦に振る。その表情は苦虫を噛み潰した様に苦々しく、悔しそうに歪んでいる。


《俺達がいない間にそんな事があったなんてな……》


「そこからなんです。銀牙ぼっちゃんが自暴自棄になり始めたのは」


「ギンちゃんが? いくら“泣き虫銀牙”なんて言われてたってそんな」


「いや、この事件を機に商店街を始めとし近所の連中の態度が一変して、隣町の奴らも活性化し始めたんです」


 ここに来た当初の目的がどっかに飛んで行ってしまった上にこの茶室の空気も最悪の状態である。

 心也は姫上こちらに戻ってきて幼馴染二人とまた楽しく学生生活を送る事が出来ると夢を馳せながら来たはずだったのにと気がめり込んでしまっている。


「具合が悪そうですが大丈夫ですか?」


「あ、いえ、何だか色々ありすぎて……あ、続けて下さい」


「そう、ですか。近所の視線は主に銀牙ぼっちゃんを、隣町の件は組み全体に影響をもたらしました。そもそも身に覚えのない証拠が元で捕まった組長カシラを裏切った奴が見つからないうえに」


「え、ちょっと待って下さい! 裏切りって……」


《満月は危険な仕事そういうことをするような組織じゃないんだろ? ならどっかと……たぶんこの場合隣町の奴らと手ェ組んで誰かが組長を嵌めたって事になるだろ?》


「そっか……」


「お分かりになられましたか。まぁ、ソイツが見つけてなおかつ隣町を力技でねじ伏せようとする強硬派と組長カシラが戻るまでの間、現状を維持しようという思想の維持派に分かれちまったんです」


「それがギンちゃんに悪影響を与えて非行に走っグレちゃった、ってことですか?」


 今度は苦笑交じりに首を縦に振る。どうにか更生はさせようとしてるんですが、と結果を見た以上こちらにも苦笑が移ってしまう始末である。


「失礼します、お茶とお菓子をお持ちしました」


「あ、ありがとうございます」


「まぁ、大体こんなものです。なので頭には入れて頂ければ結構ですし、分からない事があれば零泉せんせいがいる時にまた来て頂ければ」


 区切りのいいところで門下の人がお茶とお菓子(かりんとう)を持ってくる。

 

 ナイス門下生!


 さて、ここからは少し話を逸らして最近の変化やら駅周辺の進化について色々聞いた後たくさんのお土産(やっぱりかりんとう)を持たされて予定とは少し違うが帰路につくことにした。




――――姫上町・菊川家――――


「ただいまぁ~」


「お、お義兄ちゃん? お帰りなさ~い!!」


 気疲れはあれど帰りの道でまたあの階段に出くわすことをすっかり忘れていた心也。

 階段は上りがつらく下りは楽なものである。が、実はそれはあくまで精神論であり事実体に負担が掛かるのは下りらしく、自身の体重+重力=上りという公式があったとすると、下りは体重+重力+降りる際に体を支える何かしらの力=下りとなるらしい。

 雑学はそこら辺に投げておいて。

 上りで精神的に打ちのめされた階段は色々と何か抱えてしまった心也を下り階段で肉体的にも打ちのめして心身ともにボロボロ。

 ふらふらと浮浪者の様な足取りで家に着くとすでに学校から帰っていたのかほたるの声がする。が、何だか様子がおかしい?


「わ、あ、お帰り……」


「ただいま、ほたるちゃん。……どうかした? 僕の顔に……あ、そう言えばかりんとうさっき食べたっけ」


 ほたるの視線は疑問有り気に心也を見ているが何を勘違いしたのか自分の顔に先程のかりんとうが付いてるのだと思ったのかズボンのポケットからハンカチを出して拭い始めた。


「あの、お義兄ちゃん、だよね? 本物、だよね?」


「んむ? どうしたの、僕は心也ぼくだよ? 君の義兄あにで菊川家の養子むすこの菊川心也だよ?」


 義妹いもうとのおかしな対応に自身をすっかり説明しきってしまった心也。

 ほたるも何だが訳が分からないと言った様な表情をしている。


「あの、お義兄ちゃんって実は生き別れた双子の兄弟がいたり知り合いで人に化けるのが上手い『ヒト』っていたりする、かな?」


「へ? いや、いないと思うけど……あッ!?」


《拙者も思い出したでござる。確か、荷物運びの他に部屋の簡単な手入れを頼んでおったはずでござる》


 察しの言い方はもうお気づきであろうがもう少しお付き合い願おう。


「もしかしてさ、僕みたい、っていうか僕が何て言うんだろう燕尾服着て部屋の掃除してたりした?」


「した……。でもね、その人ニコニコしてるんだけどね、話しかけても気づいてるんだけどね、声が出ないのかな? 喋ってくれないから何かおかしいと思ったんだよ? お義兄ちゃん今朝まで声が出てたのに」


「あ、分かった分かった。まずさ、中入ろう? 恵泉寺行って来たからくたくたで」


 原因がほぼ確実に判明したので、後始末に掛かる為果敢に、それでいて気だるさMAXで心也は中へと入って行った。




――――菊川家・居間リビング――――


「いたね」


《いるな》


《いたでござるな》


 開口一番がなんともそっけない。義兄あにがこれからどんな対応をするのかと、少しビクつきながらみているほたる。

 彼らの眼前には――。


――――フキフキッ、パタパタッ、ゴシゴシッ、サッササッサッ――――


――燕尾服に包まれた心也そっくり、というか自身・・がせっせと掃除をしていた。


「ふぅ、じゃあ臣くんに変わって貰っていい? このまま晩御飯……は早いか」


《別に良いでござるよ。殿はゆっくり休んでいれば良いでござる。拙者は奴の仕事の続きもするでござるし、それから晩御飯の用意に取りかかれば時間もぴったりでござるよ》


「そっか、じゃあお願いするね」


「お義兄ちゃん、誰と話してるの? 真お兄ちゃん?」


 傍から見れば自然ナチュラルすぎる独り言でしかない訳で、事情を知るほたるであっても突然だとやっぱりびっくりする。


「いや、ほたるちゃんの7人? ……まぁいいや、7人いるお兄ちゃんのうち3番目のお兄ちゃん。臣くんって言うんだけどね、今日はそのお兄ちゃんが晩御飯作りたいって言うから買い物に行ってたんだ」


「そうなんだ。臣お兄ちゃん、か。どんな人?」


 思わぬ切り返し、急所に当たった!


《どんな人ってなぁ、犬だろ?》


《噛みちぎるでござるぞ、鳥》


「え、えと、一言じゃ説明できないな……でも優しい人で、僕達の中で一番世話焼きかもしれない、かな?」


 脳内戦争、もとい心内戦争が大変な事になりかけているが無視を決め込んでほたるとの会話に専念する。その中で出る彼の特徴が“世話焼き”というのは、まぁ後々分かる事だろう。


「それじゃ、よろしくね。……我、女王より賜りし、六匹の獣に告ぐ。我が半身にして【臣】の字を冠するいぬよ。我に変わりて、万事を成せ――――精神置換クロスチェンジ――――」


《御心のままに……》


 毎度の事視界を一時的に奪い去る眩しい光がリビングに溢れる。

 急な展開という訳ではないがまたもや直視してしまったほたるは小さな悲鳴を上げ目を抑えるている。


「ん……んう? あれ、あ、あ、ああああ!! さ、さっきの執事さんが二人ぃぃぃぃぃぃ!?」


「お初にお目に掛かるでござる。拙者は殿と師匠より頂いた【しん】の字を冠する者、名をおみと申すでござる。これからはこの家でお世話になるでござるのでどうぞよろしくお願い申し立て待つるでござるよ」


「は、はぁご丁寧にどうも……ってちょっと待って下さい」


「えと、貴方が臣お兄ちゃんで、えと、あっちのが、その、何?」


 視界が晴れると義兄あにが立っていた場所には燕尾服を身に付けた臣也おみが鎮座していた。

 その様はまさに『二重に出歩く者ドッペルゲンガー』。相対した者は悲惨な死を遂げると言う都市伝説が本物なら……。と思っているのも束の間。

 臣の性分からきっちりとした燕尾服が異様に義兄あにの姿にマッチしながら奇妙な言葉遣いによる自己紹介。

 空気に流されながらもハッと気づく方向修正能力に内心ふむふむと頷く臣。


「ふむ、彼は式神。拙者達は昼間に商店街に行ったのでござるが……ちょっと貰いすぎてしまった故彼に荷物運びを頼んだうえ帰るまでの留守を頼んでいたんでござるよ。さて……おいで・・・


 ほたるの疑問を寸分狂いなくピンポイントで見抜いた上での説明。さすが心也の心内良識人№1を誇る実力である(?)

 臣の声に反応した式神は臣也の眼の前で止まると――。


――――ボボンッ!!――――


「きゃあ!? 何、何なの!?」


「落ち着くでござるよ。ほら、良く見て見るでござる」


――白い煙を上げて爆発したのだ(と言っても血肉を辺り一面にぶちまけたりそう言うのではない。あしからず)

 先程の光と言い、臣の姿や口調だったり、今度は爆発である。

 もう何が何だか分からなくなり始めているほたるをなだめると煙の元を指差した。


「…………ワンッ!!」


「わん? わん、って犬?」


 煙の元には茶色い毛並みをもこもこさせ世の愛犬家の目を総垂れにする猛獣……柴犬がいたのだ。

 瞬間――。


「きゃあぁぁぁぁ!! 何これ、何コレ!? え、この子さっきの人!? こんなの、こんな……よしよ~し♪」


《そう言えばほたるちゃんは無類の動物好きだったね》


――某動物王国の王様の如く茶色い毛玉の猛獣を撫でまわす。


「その子は利口な子でござってな。拙者やほたる殿の兄上で在らせられる殿を幾度もサポートしてくれた列記としたパートナーなのでござる」


「はぁぁ~~……そうなのぉぉ~~……お利口さんなのねぇぇ~~」


――――ワンワンッ、ワォォォォォォ……ボフンッ!!――――


 自分の事の様に誇らしげに語る臣也を余所に猛獣の餌食とりことなっていたほたるの手から弾かれる様にして飛び出した式神は何度か鳴くと一際長い遠吠えと共にまた爆発する。


「あ、あ、あぁぁぁぁ~~!! 臣お兄ちゃんあの、あのワンちゃんが、ば、ばば爆発……ってあぁぁぁぁ~~!!」


「おや、込めた魔力が切れたのでござるな」


 残念そうな顔をしながらほたるの足元には犬をかたどったのだろうか、一枚の型紙をポツリと落ちていた。

 昼間に込めた魔力がちょうど帰るはずの時間に合わせた時刻(要するに今)を迎えたのと同時に切れてしまったのだろう。

 魔力を込め直せばまた幾らでもしきがみ召喚よびだすことは簡単なのだが寂しそうな顔をするので何だか兄らしく頭に手を置きながら臣也はいつでも会えるでござるよ、というと擽ったそうにほたるはうつむくのだった。




 さてさて、一悶着あったものの式神がやっていた部屋の掃除の後始末をほたると二人で終わらせると、その流れのままに台所キッチンに立つと昼間に買って(貰い物も含む)きた食材を並べていた。


「わぁ、こんなにたくさん買ってきたの?」


「いや、何と言うか、もちろん買ったものもあるのでござるが……半分くらい貰って来たでござる」


 え? という風に驚いた表情をみせるほたる。

 内心、私が行った時はこんなにおまけしてくれた事何か無かったのに、と目の前のじゃがいもを売っていただろう店のあんちゃんや柏木コロッケ店のお爺さんに心の中で呪詛を唱えているに違いない。


「私の時は」


「私の時は、何でござるか?」


「私の時はこんなにおまけしてくれた事無かったのに……。お義兄にいちゃん達ばっかり。ずっと贔屓にしてた私とママと……て、アレ? ママ?」


「そうでござるよ。久々に帰って来たのもあるでござるが瑞穂殿の名前を出したとたんに殿せっしゃたちを忘れていた方々もとたんにおまけしてくれたでござるよ」


 予想道理の言葉が出てきたのは少し驚いたが、途中口をついて出た瑞穂ははの名。

 どの店にも共通して瑞穂の名前を出せばとたんに自分しんやの事も思い出し、なおかつ愛想よくおまけをしてくれたのだ。


「そっか……ママか……。臣お兄ちゃん」


「何でござるか?」


「臣お兄ちゃんは心也おにいちゃんからどのくらいママの事聞いた?」


「どのくらい、でござろうかなぁ? 瑞穂とほたるおふたりと別れたばっかりの頃は毎日。一緒に見ていたのには変わりないでござるが殿には殿の感じ方があるでござるからとっても新鮮な視点だったでござる」


「へぇ~……じゃなくて! どれくらい、どんなことかとか、あるでしょ?」


「(とか何とか言われても困るでござるよ。心の談話室なかで殿も聞いてるでござるし……)」


 何だか妙な展開になってしまっているがしんやに許可なくべらべらと個人情報を流すのは、葛藤をしている臣に助け舟到来。


心也マスターなら寝てるぜ? 昼間は魔力解放してたし疲れてたんだろうよ。ふらふらしながら部屋に入ってたぜ、はるの部屋だけどなwww》


「(何故止めなんだ! くぅ、今は妹様を静めねば……。このままだと何やら取って喰われかねない気が……)」


 葛藤を余所に臣也のエプロン(現在臣は燕尾服にエプロンという格好)の裾をくいくいと引いて答えを催促する。その勢いは臣が本当に恐れているソレになりかねない。


「その、綺麗で優しくて可愛くて面白くて良いお母さんだ、と行っていたと思うでござる(ただし8年前の発言でござるがね)」


――――ギリリィィッ!!――――


 とたんにほたるの口元から目の前の可憐なうら若き少女が出すとは到底思えない歯ぎしりが部屋に響きわたる。

 まずいでござる、と背中に滝の様な汗を流しながらとって付けた様に場をつくろう。


「そ、そう言えばほたるちゃんはお兄ちゃんお兄ちゃんって後ろついてきたり、素直で笑顔がとっても可愛いなぁ、とか言ってたでござる!! (たぶん、言ってた? と思うでござる)」


 瞬間――。


――――ぱぁぁぁぁ!!――――


「お、臣お兄ちゃん!! そ、そそそれホント!? お、お義兄にいちゃんが本当に言ったんだよね!?」


「も、もちろん間違いないでござる!! (殿、申し訳ありませぬ)」


 思わぬ裏切りを知らずにぬくぬくと温かいベッドですやすやと寝ているだろう心也は起きたのちに大変な目に会う様な会わないような事になってしまうに違いないのであった。

はい、とこんな感じで第17話はおしまいでありんす。


お詫びの言葉と言い訳は獅子乃じぶんの活動報告をご参照ください。


途端にシリアスな内容にしてしまったのですがこれが関連するのは遠い先。

というのも忙しすぎるのがみんな悪いんだ……!(悔)


さて、今回出てきた新キャラ:一元さん。

彼は元ヤン住職というトンデモな方(?)です。

これからたぶんそういう・・・・シーンを含むと出るでしょう。


はい。以上こんな感じです。


え?臣が燕尾服ってどういうこっちゃって?

それは次回のお楽しみに……あ、やっぱりほどほどに期待してください。


さて、恥ずかしながら心からのお願いを申しあげたいと思います。



……どうか、どうか感想を下さい!!

14話以来一度も感想欄のカウンターが回らずモチベーションが……。

まぁ、実力や才能がこういう事態を引き起こしているのは百も承知。

みなさまの生の声を聞きたいのです。

ここをこうしてほしい。こうするともっと良くなる。

雑談をしに来てもかまいません、むしろ大歓迎です!


なのでなにとぞ、なにとぞよろしくお願いいたします!

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