第12話 危険な香りとダンナぁぁぁぁぁぁ!!!! byアル&ダウ&カナン
いやはや、またまた遅くなりまして。
ごめんなさい、獅子乃です。
期末テスト中にアップなのでどうか大目に見て欲しいな、
とか虫の良いはなしはないですね、スンマセン。
今回は、色々、それこそ色々あってですね。
一言じゃ、言い切れないです。
では、久々の更新ですがごゆるりといってらっしゃいませ!
『幻獣界』東通り:雑貨屋ブラウニー
「……貴方は一体何を考えているんだッ!」
「…………(ガタガタ、ブルブル)」
ティターニアの暴走。この一言で一体何人がこの状況をすぐさま理解できるだろう。
心也が付けた『霊孤のお面』の効果によりせり出した狐耳と尻尾がとてつもなくキュートだった、それは誰の追随も許さない程に早く、そうまさに『神速』の如く心也に接近する魔物は無垢な子狐に襲い掛かったのだ。
……まぁいちいち説明する必要性は微塵にも感じはしないのだが、一応は、ね?
で、被害者たる狐ルックの少年は入店時にあれ程怯えていたハズのアンドルフの背に隠れてティターニアから隔離してもらっていた。
そして、誘拐犯(予備軍)というか性犯罪者(予備軍)のティターニアはお縄について芋虫の様に店の床を蠢いている。
「むぅ!! ……んん゛むぅぅうう゛!!(放せ!! ……シンちゃぁぁん!!)」
未だに抵抗するがアンドルフが丹精込めて作った縄がそう簡単に外れる訳もなく、猿轡を嵌められた口からは怨嗟を含んだうめき声が聞こえるばかり。
「……陛下、彼は突然こんな世界に堕とされたばかりなんですよ? 貴方が一番に出合ったなら貴方が一番分かってるでしょう。なのに何故、その、何というか…………とにかく! もっと女王としての威厳を保って下さい。でないと、シンヤ君」
「うん、お、お姉ちゃんって、も、もう呼ばないからね……!」
「む゛う゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!(嫌゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)」
それを見たアンドルフは灸を据える為にあらかじめ打ち合わせていた台詞を心也に言わせる。……実のところ怖い目に会っているのは自分なのだが、やはり幻獣界に来てすぐに出合ったことやその他もろもろで仲はそれなりに進展している。故に少しこの台詞を言うのが心苦しい、とアンドルフに先程までぼやいていた。
「……大人しくしてくれると約束できますね?」
「(コクコクコクコクコクコクコクコクコク!!!)」
愛しい心也との『濃密』な接触にリスクを掛けて再度試みて失敗すれば恐らく心也からも信用を失ってしまう。ならば大人しく、ぐっと堪えて末永くほんのりと甘い一時を過ごした方が絶対に良い!!
と、スーパーコンピューターばりの演算機能で思考をリセットするとアンドルフの問いに全力で首を縦に振る。
「……シンヤ君」
「うん、ごめんねティアお姉ちゃん。僕もこんなひどい事はしたくなかったんだけどね、お姉ちゃんが――」
アンドルフはティターニアの反応を見て害が無いとみた。そのまま後ろで控えて(震えて)いる、心也に合図するとティターニアの縄をほどく。
「はぁ、はぁ、シンちゃん……ごめんね、だから、ね、お願い……。私をお姉ちゃんて呼んで、お願い、私を見捨てないで……」
「だ、大丈夫だよ。ティアお姉ちゃんがまた、その、さっきみたいにならないって約束してくれたんだから、ティアお姉ちゃんは僕のお姉ちゃんだよ?」
「……(ティアお姉ちゃんは『僕の』お姉ちゃん、ティアは『僕の』お姉ちゃん、ティアは『僕の』、『僕のティア』)」
縄が解かれるとともに心也に対して誠意をこめた謝罪をするティターニア。いつもと少し違いしおらしくなってしまった彼女に困惑する心也はフォーローを入れた、ハズだった……。
「……陛下ぁ~、またお縄に付きたいんですかぁ~? 欲望がダダ漏れですよぉ~」
「ハッ!? 私の名前はティターニア、『幻獣界』の女王よ♪」
「どうしたの、ティアお姉ちゃん?」
「……正気を取り戻すと同時に君と初めてコンタクトした時の台詞が出てきてしまったのだろう」
「オホン! とりあえず、『霊孤のお面』はそろそろ外して、次の商品にしましょうよ(そうしなきゃまた手を出しかねないし……)」
我に返ったティターニアは自分の欲望を抑え付ける為に自ら場を仕切ると、アンドルフに次の商品を催促する。
「……うむ、ならば次の商品と行こうか。…………次の商品はこれだ」
そう言って心也からお面を外すと次の商品の紹介に移る。アンドルフが手に取ったのは紫色の小瓶。中には何か液体が入っており、開け口にはノズル、そして下に行くほど太く丸くなっている小瓶だ。
「それ、香水?」
「……よくわかったね。そうだよ、これは香水だ。だけど、ただの香水とは違うんだなぁ~」
心也はその小瓶に似た形をしたものを見た事があった。母親の香水である。どこかにお出かけする時には決まって付けていた、そんな記憶があったのだ。
それを聞いたアンドルフは心也の答えに満足げな笑みを湛えると、得意げな感じで後を濁す。
「お兄さん、ただの香水じゃないってことは何かすごいトコロでもあるの?」
「……そう、まずは名前だ。この香水は『夢魔の溜――」
「その香水買ったァァァァッ!!」
心也の問いに自慢げだった彼が告げようと、先ずはその香水の名前を挙げ終わる前に、ティターニアのけたたましい声が店内に響いた。
「ど、どうしたのティアお姉ちゃん……(ビクビク)」
「……貴方には売らない。いや、貴方には売ってはいけないのだ」
「何故ッ!! 何故なのッ!! その香水『夢魔の溜息』でしょ!? そんな『製造中止品』の化粧品、なんで持ってるのよ!?」
「……決まっている、私はこんな見てくれだが割と情報網は持っているつもりだ、まぁ相手は結構怖がっているのはヒシヒシと感じるがね……」
「ティアお姉ちゃん落ち着いて! お兄さんも、よく分からないけどお兄さんは優しいから別に怖くなんかないよ!」
『ああ、なんて良い子なんだッ!!』
アンドルフが告げた香水の名前、それに対し興奮を隠しきれない、というか解放状態でアンドルフに迫るティターニアを見て幼いながらその場の仲裁に出る心也。少し足が震えているところが可愛らしい、それ以前になんて良い子なんだッ!! と、一時休止を入れてなごむ二人。
「……オホン! さて、シンヤ君。この香水の名前は『夢魔の溜息』。この香水の効果は絶大なものでね、使用者に対峙した異性は否応なく、まぁ個人差はあるものの使用者の虜になる、といったものだ。簡単に言えば、シンヤ君がこれを吹きつけると陛下や、その他の女の人達はみんな、それはもうみんな君の事を好きになってしまう香水なんだ」
「ティアお姉ちゃん達が、僕を? すごいね! じゃあ、ティアお姉ちゃんが自分に吹き付けたら……」
「そう、シンちゃんがぁ、私の事をぉ、とってもとってもぉ、好きになっちゃうのぉ……」
アンドルフの説明に瞳をキラキラさせながら聞く心也。そこまではよかったのに、余計な質問をした為にティターニアは待ってましたとばかりに体をクネクネさせながら心也ににじり寄る。
「……陛下、縄」
「ぐっ……シンちゃんアレ欲しくない?」
アンドルフの縄の威力を知った彼女は二度も同じ過ちは犯さない。すかさず心也に買わせる為に話を振る。いくらアンドルフと言えども経営難の今だ、自分には売ってくれなくても心也になら売ってくれるかもしれない、そう考えての行動だ。
「えっ? う~ん、ティアお姉ちゃんの事はもう好きだからいらないかな……あ、でも、面白そうかな……ってティアお姉ちゃん!?」
「はぅんッ……!!」
が、帰って来たのは予想外、しかも斜め上方向の告白(だとティターニアは思っている)であった。ティターニアは思いもよらないその言葉に胸を締め付けられ、体中が熱く火照り、驚愕と歓喜とで表情が可笑しく、それはもう顔を真っ赤にしながら変な悲鳴を上げてぶっ倒れたのである。
突然の事にどうしていいかわからない二人を置いて、ティターニアは一人自分の世界に浸りきっている。その証拠に口元は緩み、よだれがあふれかえっているのだ。
大方の原因とティターニアの状態から、これは放っておいても大丈夫だな、とアンドルフは分析しこのあと起こるティターニアの変化を見越して商品と心也自身を店の奥へと案内する。
心也は突然倒れたティターニアが心配だった。何故倒れたのかは見当もつかないし、何だか息も荒い。顔は真っ赤だから熱があるのかもしれない、幻獣界は自分の常識が通じないからそう言う風邪かなんかに掛かってしまったのかもしれない。
そういう考えが頭の中をぐるぐると渦巻き不安が募る。表情は次第に暗くなっていくのだった。
それに気が付いたアンドルフは心配いらない、と声を掛けて見るのだがなかなかその場から動こうとしない心也に、迫りつつある危険を明かすにはちょっと早いかなとか、でも早くいないとそれこそ地獄絵図というかみせられないよ! というか。
「……シンヤ君、陛下は本当に大丈夫なんだ。この国の女王にしてこの国を守る衛兵が何人束になったってかすり傷すら出来ないんだから――」
「でも、顔とか赤いよ? 熱とかないの? ……一人は、もう嫌だし、ティアお姉ちゃんにまで何かあったら……」
「――……むぅ、だが陛下に不用意に近寄ったらきっと君が大変なことになるぞ?」
「たとえば?」
「……さっきみたいに『自主規制』を『自主規制』で『自主規制』されてしま――」
「……(ガクガクブルブル)」
「……ね? 今にケロッとしながら戻ってくるから、さぁ、続きは私の部屋で話そう。さぁついて来てくれ」
愚図る心也は『霊孤のお面』で学習した事を思い出してティターニアへの不安を自分の身への不安に変わったところで心也の手を引いて店の奥へと入って行った。
心也の目に映ったのは全てが真新しいものばかりだった。
現実を、元の世界を生きていたら見る事が出来ないようなものばかりだった。
店の奥、そこにあったのはアンドルフの私室へと繋がるドアと、二つの作業机、そして壁一面に貼り付けられた『魔術装具』と床の3分の1を占める武器や鎧の詰まった箱の山だった。
「わぁ…………」
「……驚いたかい? これでも昔は傭兵だったもんでね。この手の物をたくさん扱ったもんだよ」
「ここにあるの全部、『これ』と同じ、なんだぁ……」
心也は感官とした様に口をあけながら壁を見回したり、箱を覗いたり、さっきの不安げな表情はどこへやらだった。
「……シンヤ君、『これ』って何のことだい?(それにしても表情がコロコロ変わるなぁ。まぁ本来子供はこうあるべきだと思うがね)」
「ん、ああこれね。さっきお店の人に貰ったんだ。「あっきのひとみ」って言うんだって。宝石みたいでキラキラしてるんだよ」
そう言って心也は羽織っているローブの内側に付けて貰った悪鬼の瞳をアンドルフに見せる。
そして、先程貰った時より幾分か紅く輝いている事に気づく。元々持っていたのは心也自身だが何分知識が無い為にさっきより綺麗に見える程度。
だが、この輝きに秘められた意味は警告。その名の通り悪鬼の瞳がこちらを狙っているぞ、というのが由来である。
そんな説明を心也にしていると怪しい影に思い当った――変態である。が、
「ダンナ、それはナイとオモうゾ!」
「ヘイカはユカでビクビクしてるからガイはナイヨ!」
「ソイツ、ニンゲンなノ? ダンナ、ウチはカクれるノ?」
「……君たちか、いや大丈夫だよ。紹介しよう、僕のビジネスパートナー達の……アル、ダウ、カナンだ」
突然誰もいない机の方から声が聞こえたのだ、しかも3つ。
口調がどうも訛りの抜けない外国人の様に所々が片言なのである。
新手の不思議グッズにしては意思のある生き物って感じだったし、でも見えないから透明人間!?
と、一人であわあわしてる心也にアンドルフは彼らのいる辺りを指差す。
アンドルフの指差す方向には茶色いもこもこした塊が3つ、こちらを向いて置いてあったのだ。
「わぁ! リス? ハムスター? 可愛いね、ヌイグルミみたいだねぇ~」
「リスとはシッケイな! オイラはリッパな『獣人』だゾ!」
「そうだ、オデはリッパな『獣人』その、ハムなんたらとイッショにするんじゃないヨ」
「ヌイグルミよりもカワイイにキまってるノ! ウチは『手伝い妖精』ヌイグルミじゃナイノ!」
机の上の毛玉、それははっきりと意思を持った生物だった。
茶色いふさふさした毛、丸くて愛らしい瞳、リスやネズミの様なサイズ、愛玩動物の様に愛でてしまいたくなるようなキュートな生物は自分たちを『獣人』と言った。
そりゃ、リスとかネズミはもちろん動物だから獣と称しても良いが……何と言うか可愛いのが台無しだと思う。
「びーすと? 獣っていう意味だよね? ブラウニーっていう動物いたかな?」
『だ・か・ら! 『獣人だってば!』』
「……シンヤ君、『獣人』と言うのはね、その、動物とかそういうのじゃないんだ。何と言ったら伝わるだろう…………その、動物みたいなヒト?」
「動物みたいな?」
「……そう、ここに来るまでに羽が生えてたり、尻尾が生えている様なヒトは見なかったかい?」
「うん、たくさん見た。あの人たちが『獣人』っていうの?」
「……そう、だな。で彼らも例によって『獣人』の仲間に属される。『手伝い妖精』っていうのはね、私のような商人の手助けをしてくれる『妖精』の仲間、だが本来の『妖精』は『半獣人』と呼ばれる種がほとんどだ。なんというか珍しいってことだな」
「う~ん……なんか難しいね。とにかく、この子たちは動物みたいなだけで立派なヒトってことは分かった」
この世界にあふれる人種。その理解に苦しみながらも、目の前の小動物がヒトなのである、と言う事を理解したのであった。
だが、その説明に出てきた新しい単語に頭がパンクしそうになっている心也はう~んと頭をひねっているまま。話題を元に戻そうと、アンドルフから口火を切る。
「……それより、だ。今シンヤ君は何者かに狙われているみたいだね。ここに来るまでに物騒な事は……陛下の事だからあったんだろうね」
「でも、別に怖い人に何かされたわけじゃないよ? なんていうか、ティアお姉ちゃんが……」
『ぅあんっ!……シンちゃん、ダメぇ……そんなっ!……あぁああ、良いぃぃっ!!!!』
「!?(ビクッ)」
心也の言葉を遮るかのように、ドアを隔てた隣の部屋からティターニアの絶叫ともとれる嬌声が聞こえてくる。それを聞いた心也は当然ビクッと体を震わせて驚く。
「……陛下、これ以上ブラウニーの評判を下げて……あの人は悪魔か…………」
「お兄さん、泣かないで。僕また来るから、ね? 今度はお父さんとお母さんと」
「……ああ、スマナイ(そうだった、彼は両親が行方知らずだったんだ。大人である私がそんな子供に慰められるなんて。それにしても、良い子だな……)」
「ダンナ、ハヤくヘイカをトめたホウがイいゾ!」
「そうだヨ、ハヤくしないとまたおキャクさんがコなくなるヨ!」
「そうなノ! ハヤくトめるノ! ダンナがイかないならウチがイくノ!」
「……了解だ、恐らくタダじゃ済まないから『回復薬』を用意しておいてくれ。あ、ついでにあのスカーフの説明も頼んだよ」
『逝ってらっしゃい』
「……逝って、きます……」
どうにか止めなければこのお店の信用が、それこそ本当に地に落ちてしまうだろう。心也が行けば、貞操の保証は出来ない。いたいけな少年の心に大きな傷を作ってしまう。かといって助手たちに頼める訳が無い。あんなに小さな生き物が大きな生き物を倒すには、それこそ運と何かしらの特殊な力でもない限り……。で、結局自分が行く事になってしまった。これを、自分の命を、店の信用と天秤にかけたのなら自分の命を喜んで捧げよう。
そう思いきったアンドルフは念のための保険を助手たちに頼むと、それはもう死地に向かう兵隊の様な顔つきで店の方に続くドアを開けるのだった。
「それじゃ、いまからオイラタチがダンナにカわってショウヒンのアピールをするゾ!」
「これは『相殺手ぬぐい』っていうんだヨ!」
茶色い小動物こと『手伝い妖精』の二人、アルとダウが引っ張って来たのは白いスカーフだった。見た感じ特に変わった点が見当たらないのだが……。
「ただのスカーフじゃないノ! イマからやるコト、よくミておくノ!」
そう言って彼らの中でも唯一女性(メス? と聞いたときに手を噛まれかけた)のカナンが自分と同じくらいの裁縫針を持ってこちらを見ていた。
しっかりと担いだ裁縫針をどちらかと言うと大柄な方、ダウに向けて突貫する。このまま針が当たれば恐らく体の大きさ上大怪我を負う。
危ない、と気づいた頃には機敏な動きをしている彼女の持った裁縫針がスカーフごとダウを――貫かなかった。
「え、え、なんで!? 確かに当たったのに? 普通のスカーフだったのに?」
心也は困惑しながらもえ? え? とダウをあちこちから観察する。
「この『相殺手ぬぐい』はどんなコウゲキ、マホウ、あらゆるマジナいのエイキョウをモジドオりソウサイするノ!」
「すごい! 僕もやってみていい?」
「もちろんだゾ! こうやってしっかりカブせるんだゾ!」
その効果に感動した心也は自分もやってみたい、と大きく手を挙げる。
アルは心也の手にしっかりとスカーフを被せると、後ろで控えていたダウが心也の手に思い切り裁縫針を突き立てる、が――
「ん、本当だ痛くないよ、これ! これがあればどんなに危険な事をするときもこれを持ってれば怪我知らず、だね」
「そうヨ! これがあれば、どんなにツヨいマジュウとタタカってるトキもアンゼン……あ!」
「あ!(これお兄さんに持たせた方が良かったんじゃ……)」
試してさらに感動。得意げなダウが自慢げにスカーフの効果を説明している時に彼は気づいた、心也も。他の2名に目を向ければ、恐らく自分と同じ顔をしているに違いなかった。
「ま、まぁスぎたコトはいちいちカンガえてもシカタないノ! ほら、ダンナがカエってきたらテアテすればイいノ! キミも、ダンナはジョウブなカラダしてるからシンパイないノ!」
そう言ってカナンが他2名を促して回復薬の準備をする、背を向けたその瞬間、たったその瞬間に――思わぬ侵入者が来訪する。
――――バリィィンッ!!――――
通りと反対側についた窓ガラスが大きな音を立てて割れる。大小さまざまな破片が床に転がるが早いか、突然の侵入者は心也を軽々と担ぐとあっと言う間に、それこそ10秒と掛からずに、心也を連れて窓から出て行った。
その無駄の無さ過ぎる動きに、良すぎる手際にポカンとするがすぐさま顔を見合わせて力一杯叫んだ。
『…………だ、ダンナぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
助手たちの悲鳴を聞いてか、ガラスの割れる音を聞いてか、勢いよく店と繋がる扉があいてアンドルフとティターニアが飛び込んでくるが――文字通り、一足遅かったのであった。
お帰りなさいませ。
今回も7000くらいでした、いや、大変大変。
大変と言えば、私生活が色々大変で、まぁ色々ありました。
獅子乃の私生活は置いといて、心也君が誘拐されちゃいました!
あわわ、どうしましょう!そうしましょう!(謎)
ま、獅子乃の作風にバッドエンドは存在しません。
バッドエンド嫌いなんです、鬱になりますから。
ふんふん、続きは……秘密にしておきましょう、その方がいいですよね?
さて、なんかたくさん新しい単語が出てきちゃいました。
次の後書きが遅刻の謝罪文で埋まるか、新単語で埋まるか。
新単語で埋めれるように頑張りますね。
では、感想の方おまちしてます(制限を緩くしました!!)
それでは次回の更新でお会いしましょう、ごきげんよう♪