最後の試練、ゴーレムとの死闘
レオとプルンが闘技場に足を踏み入れると、巨大なゴーレムはゆっくりと動き出した。その巨体は、一歩踏み出すごとに大地を揺るがし、凄まじい威圧感を放っていた。
「プルン、融合進化最大出力!行くぞ!」
レオは迷わずプルンに指示を出し、自身も短剣を構えた。先程の魔法薬の反動はまだ残っているが、ここで全力を出さなければ、生き残る道はない。
プルンはレオの言葉に応え、再び最大限の融合進化を果たす。体表には複雑な紋様が浮かび上がり、炎、水、土の力が激しく渦巻いている。
ゴーレムは巨大な拳を振り上げた。それは、風を切る音だけでも脅威を感じるほどの威力だった。
「プルン!土の壁!」
レオの指示で、プルンは即座に土の力を解放し、巨大な土の壁を出現させた。ゴーレムの拳は土の壁に激突し、大きな音を立てて砕け散った。しかし、土の壁もゴーレムの力の前には長くは持たない。
「水と土!泥沼だ!」
レオは続けて指示を出す。プルンは土の壁の残骸を利用し、周囲の地面に水を注ぎ込んで巨大な泥沼を作り出した。ゴーレムは泥沼に足を取られ、動きが鈍くなった。
「今だ!炎と水!水蒸気爆発!」
プルンは泥沼全体に炎と水の力を放出し、巨大な水蒸気爆発を引き起こした。ゴーレムは爆発に巻き込まれ、体の表面の岩が剥がれ落ちていく。
しかし、ゴーレムはそれでも倒れない。その体は、想像以上に頑丈だった。
「くっ……これでも効かないのか……!」
レオは歯を食いしばった。プルンの力は最大限に発揮されている。これ以上の攻撃は、プルンに大きな負担をかけることになる。
その時、レオはゴーレムの体の一部に、ひびが入っているのを見つけた。水蒸気爆発で剥がれ落ちた岩の下に、脆くなっている部分がある。
「プルン!あそこを狙うんだ!炎の力を集中させて!」
レオは指を指して指示を出した。プルンはレオの意図を理解し、その部分に全ての炎の力を集中させた。
高熱の炎が一点に集中し、ゴーレムの脆くなった部分を焼き尽くしていく。ついに、その部分が崩れ落ち、ゴーレムの体の一部に大きな穴が開いた。
ゴーレムは苦悶の唸り声を上げ、動きが止まった。
「今だ!フレイムバースト!」
レオは最後の力を振り絞って叫んだ。プルンは残りの全てのエネルギーを放出し、巨大な炎の塊をゴーレムの穴に叩き込んだ。
轟音と共に、ゴーレムの体が内部から爆発した。巨大な岩の破片が四方八方に飛び散り、闘技場全体に轟音が響き渡った。
爆発が収まると、そこには、岩の破片だけが残っていた。巨大なゴーレムの姿は、跡形もなかった。
レオは息を切らしながら、地面に倒れ込んだ。プルンも元の姿に戻り、レオの側に寄り添っている。
「やった……勝った……」
レオは呟いた。長かった戦いが、ついに終わったのだ。
その瞬間、闘技場全体が眩い光に包まれた。そして、クリスタルの竜の声が響き渡った。
「よくやった……汝らの力と覚悟、しかと見届けた……」
光が収まると、闘技場の中心に、祭壇から放たれた光が降り注いでいた。その光は、レオとプルンを優しく包み込んだ。
「宝玉の力を、受け取るが良い……」
クリスタルの竜の声と共に、祭壇の宝玉が、レオの手の中に吸い込まれていった。
宝玉は、温かく、優しい光を放ち、レオの体の中に溶け込んでいく。レオは、体の中に、今まで感じたことのない、強大な力が満ちていくのを感じた。
そして、レオとプルンの、深淵の迷宮での冒険は、終わりを迎えた。彼らは、伝説を超え、新たな伝説を刻んだのだ。