スライムとテイマー、レオ
日差しが眩しい朝。レオは胸を高鳴らせながら、街の中心にある広場へと向かっていた。今日は待ちに待った、モンスターを貰える日なのだ。
この世界では、人々はモンスターと絆を深め、共に生活している。モンスターは人々の生活の手助けをしてくれたり、ダンジョンと呼ばれる危険な場所を攻略するパートナーとなったりする。レオは幼い頃から、伝説のテイマー、アレンの物語に夢中だった。数々のモンスターと心を通わせ、誰も到達したことのない最深ダンジョンを攻略したというアレン。レオもいつか、そんなテイマーになりたいと願っていた。
広場には、色とりどりのモンスターたちが集まっていた。勇ましい咆哮を上げる狼のようなモンスター、優雅に羽ばたく鳥のようなモンスター、大きな体で地面を揺らす亀のようなモンスター……子供たちは目を輝かせ、自分のパートナーとなるモンスターを選んでいた。
レオは少し緊張しながら、モンスターたちがいる場所へと足を踏み入れた。しかし、どのモンスターもすでに誰かに選ばれており、残っているのは数匹だけだった。しかも、そのほとんどは傷ついていたり、病気だったりと、状態が良くなかった。
「……やっぱり、僕には無理なのかな」
肩を落としかけたその時、レオは隅の方で小さく震えているモンスターに気づいた。それは、ぷるぷるとした水色の物体――スライムだった。
スライムは最弱のモンスターとして知られており、特別な能力も持たない。他の子供たちは見向きもしない。レオも、最初は他のモンスターに目が行っていた。しかし、そのスライムの、どこか寂しそうな、潤んだ瞳を見た時、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。
「……君、名前はあるの?」
レオがそっと話しかけると、スライムは小さく震え、プルン、と小さく音を立てた。
「プルン……か。いい名前だね」
レオは優しく微笑み、プルンに手を差し出した。プルンは恐る恐るレオの手の上に乗り、ぷるぷると震えた。その感触は、冷たくて、どこか心地よかった。
「決めた。僕のパートナーは、君だ!」
レオが高らかに宣言すると、周りの子供たちは不思議そうな顔でレオを見た。
「え、スライム? あんなの、育てても意味ないのに」
「弱っちいし、何もできないじゃん」
子供たちの言葉に、レオは少しだけ心が痛んだ。確かに、スライムは他のモンスターに比べれば弱く、目立った能力もないかもしれない。しかし、レオはプルンの瞳に、他のモンスターにはない何かを感じていた。
「プルンは、僕にとって特別なパートナーになるんだ」
レオはプルンをそっと抱き上げ、広場を後にした。家に帰る途中、レオはプルンに話しかけた。
「これから、一緒に色々なところに行こう。強くなって、たくさんの人と出会って、色々なことを経験しよう。僕とプルンなら、きっとできる!」
プルンはレオの言葉に呼応するように、ぷるんと跳ねた。その姿は、どこか嬉しそうに見えた。
家に帰り着いたレオは、プルンのために小さな水槽を用意した。プルンは水槽の中で気持ちよさそうにぷかぷかと浮いている。
「これからよろしくね、プルン」
レオはプルンに優しく微笑みかけた。プルンもまた、レオを見つめ、ぷるんと小さく跳ねた。
その日から、レオとプルンの、モンスターテイマーとしての冒険が始まった。まだ始まったばかりの、小さな、けれど確かな一歩だった。
この作品はGemini2.0を用いて作成しました。
私は一切文に手を加えていません。