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つながらない夜

◆一人目の難民の話


 遠く離れた別々の二つの島。二人の難民はそれぞれの島で一人ぼっちの夜を過ごしていた。


 一人目の難民は陰険で人を見下す癖があったため、現実でもネットでもみんなから嫌われ一人ぼっちの島に追い込まれた。そんな彼の唯一の生命線は、ネットの海とつながる電波だけだった。そんな電波がその夜突然、つながらなくなった。


 今、彼はこれまでにないほど絶望していた。ゲームはもちろん、電波がつながらないからとネットの海にいかなる不満を吐き捨てることも、どこかの誰かに助けを求めることもできないのだ。いや、仮に電波が使えても、助けを求める彼の叫びは、どこの誰にも届くことはないだろう。



◆二人目の難民の話


 二人目の難民も同じく、電波がつながらず、一人さびしく過ごしていた。それでも、彼は決して絶望しなかった。


 一方、遠いところの大陸では彼を知る人たちが彼を心配していた。いつもならこの時間帯には必ずつながるはずなのに、ここ数日間、彼の方からつながりがないのだ。ひょっとしたら今、彼は大変な目にあっているのかもしれない。彼の異変を察した人たちは世界中の人々に電波を発し、呼びかけた。


「みんな、彼に電波を届けてあげて!」


 呼びかけを受けた人々はみんな疑うことなく、すぐに彼に電波の力を届けた。


「大丈夫?」

「今助けるから」

「もう安心して」


 世界中から電波の力が集まる。するとふしぎなことに、彼の電波が復活した。ネットの海とのつながりを取り戻した彼は、助けてくれたみんなに電波の力を送り、自分の無事を伝えた。


「みんな、ありがとう。もう大丈夫だよ」



おわり

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