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タイムリミットのギリギリまで楽しみます。

2ページ目です。

お楽しみください。

「よ、おはよう」


そう声をかけた先にいるのは幼馴染で同期の大樹悠生。


茶髪の短髪で俺よりガタイいいのは羨ましいが細目は要らない。


「お!おはよう!

てかお前大丈夫なのかよ、感染したんだろ?」


軽いな。

あまりに軽すぎる。


まあもう人口も10万切ったらしいしな。

人類滅亡待ったなしだ。


「まあ…まだ初期症状だけだし大丈夫だろ。

…それよりさ、悠生のがやばいんじゃないか」


「はぁ?」


何言ってんだコイツ、みたいな目で見るな。

記憶力全くないとはいえそこまでなのか。


「ニュース見てないのか?

いや、それだけじゃなくてスマホとか、調べたりしてないのかよ…」


呆れながら隣の席につく。

高校の時はよく流行りのナントカとか言ってみんなで集まったりしてたと思うんだけどな…


「あー…覚えてねぇわ。

なんだっけ?」


マジで忘れてるよ。

流行病だろうが。


「ゾンビ化だよ、接触とか飛沫とか、そんだけで感染すんだからさ…」


「つまり?」


「もうわかるだろ、俺が感染してるからお前も危ないんじゃないのかって」


「あぁー!そゆことね!」


完全に理解した、と言わんばかりの笑顔で親指を立てている。

子供でもわかってるって言うのにお前はなんだ。


鳥頭か。

「鳥頭か…」


「鳥頭だって?ふざけんなよお前」


「やっべ」


怒らせちった。

まあよくあるしいいんだけどね。最近どうも喋らないと考え事出来ないんだよなぁ。


老けてきてるのか?まだ20代だぞ。オイ。


「何を遊んでる、仕事しろ仕事」


「うっわぁ出たクソ真面目」


「んな事言うなよ一応同期だぞ」


おはようございます、と軽く頭を下げて相手の顎を見る。

なんだか目を見ると目からビームされて死にそう。威圧感しかないんだよなぁ、この人…


あ、この人は高島憲潤…タカシマ、ノリホト、と読むらしい。

オマケにこの身長からあだ名はノッポさん。

何処ぞのスレンダーか。と思わず突っ込みたくなるが、ある意味そうかもしれない。


俺はこの人の裏の顔を知っている。




…





子供が、好きなのだ。





なんてかわいい。


別に小児愛者とかそういう訳じゃない。単純に子供が好きなだけ。ちなみに童貞。

…いや、童帝様だな。


「何ニヤけてるんだ」


「すんません」


ここにいる3人…俺含めて、3人。全員童貞だ。

女の子に触ったことすら幼稚園以来全くない。




「…うん、仕事しよう」


虚しくなってきた。

彼女いない歴=年齢なんて辛すぎる。


「急にどうした、テリカゲ…?」


テリカゲ…そう、俺の名前だ。

苗字は夏芽、照影と書く。微妙なキラキラネーム、そういうこと。


「いいから、仕事するぞ。

オールバックが爆発しちゃう」


高島さんが怒ることの隠語だ。

ノッポさんというあだ名は本人も知っている。


「ああ…おう」


面倒臭そうな顔をしてデスクを向く。その顔を横目に、俺は1枚の紙と封筒を取り出した。


勘のいい人、鋭い人はもう分かるかもな。




____




「うし…休憩休憩〜…」


企画書とかそこらの作成なくて良かった…てかあっても今更困るけど。

ちゅーか人類ほぼ滅亡してるのになんでこんな仕事あんだよ…



いや、滅亡しかけてるからこそか。

どうせ死ぬならやけくそでなんとやら、みたいな感じなんだろうな。俺がやろうとしてるのと同じ。


俺は今からこの封筒を上司のデスクに置いて逃走する。リアル逃走中をやるのだ。

当然リスクを伴う。一生…いや、地球が滅亡するまで働くことになるかもしれない。


だがやらないことには分からない。

やらないと、明日は変わらない。

だから俺はどんなに大きなリスクがあったって、やるのだ。

口座に金はある。いつかこんな会社辞めて遊んで暮らそうと言って貯めていた貯金だ。

感染したなら派手にやろうじゃないか。




____



「上司か?さっき監視室に行くのを見たが…」

「嘘だ…」


よりにもよって監視室に行くなんて…

この世の終わりだ…


「おい、真逆逃げようなんて思ってないよな?」


…図星だ。

うっ、と小さく声が出た。


「いいか?僕達は社畜だ。

例え社会が死のうと国が機能しなくなろうと働かねばならない。

だから僕はゾンビ化しても尚働き続けるあの人たちに尊敬の念を抱いている。いいな、君もあの人のようになれ。いいな?」


すごい圧だ。この人に聞いたのが間違いだった。


と、高島さんが俺の両肩を掴む。圧が増した。


そして襟が捲れる。ちょうど変色していた箇所が見える。


「…なんだ、これは。

刺青かなにかか?全く、呆れるな」


「えっちょっと待ってください」


刺青かどうかを確かめるため、襟をもっと深く捲る。


それは当然、曖昧な形をして一部分に留まっていた。


1部分だけ見て判断してはいけませんね。

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