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9話 家に帰るまでが冒険

 縮地でエドワードのそばまで行き、エドワードを抱きかかえ2km(キロ)先の、城門から二度目のテレポートしたときのテレポート先まで戻ってきた。


「なにやってんだ、ばかやろう。コジローは戻って、早く衛兵捕まえてこのことを伝えろ。俺が少しでも時間を稼ぐ間に討伐隊を組むんだ。ファフニールがどこかへ去ったらそれでよし、王都へ向かったらコジローおまえが倒すんだ、いいな!」


 エドワードは苦しそうに、無くなった右肩のあたりを押さえている。


「エドを置いていけるわけないだろ」


「王都には100万人以上の人が居るんだぞっ! こんなところでモタモタすんな!」


 俺が止めどなく涙を流しているのを見たのか、血走っていたエドワードの目が少し優しくなる。


 そんなことより早くエドワードを治さないと。

 周りの風景は涙で何も見えないのに、ステータスを表示するとステータスはくっきり見えてる。どういう仕組みなんだろうと考えたが俺なんかに分かるが訳ないと思い、そのことは今は置いといてステータスを確認すると、レベルが10,737,513でスキルポイントが10,737,418もあった。経験値に至っては536,874,7773,455,655で、もう一桁上がったら読み方が分からない。ステータスに至っては全部がSSSSSとなっていてSって何だよとステータスにツッコむ。

 祝福とヒーリングのレベルを10に上げる。

 なんかいつもと感じが違うが、確認するのは後だ。


 エドワードに祝福を発動すると欠損した右腕が元に戻る。よかった元に戻った。


「コジロー、祝福使えたのか?」


 エドワードが驚いた表情で聞いてきた。


「さっき使えるようになったんだ」


「それってどういうことだ?」


 エドワードはまだ俺の秘密を理解してないようだ。


「クリストフに祝福してもらう前は、祝福は使えなかったんだ」


「それじゃまるでクリストフに祝福してもらったから、祝福が使えるようになったって言ってるぞ」


 たぶんエドワードは気が付いている。


「そう言ってるんだよ」


 俺は決定的な一言を伝えた。

 俺がヒーリングを唱えている間、エドワードはずいぶん深く考え込んでいるようだった。


「コジロー、そのことは誰にも話すんじゃねぇぞ。お屋形様にもだ」


「わかった」


 エドワードの忠告にしたがって、このことは口外しないでおこう。

 ファフニールとの戦闘に備え、再度ステータス画面からスキル画面を表示し力強さレベルを5から10へ、急所看破レベルを1から10へ、隠密レベルを1から10へ、格闘レベルを1から10へ、暗闇レベルを1から10へ、重力レベルを1から10へそれぞれ上げた。


「コジロー、助けてくれてありがとうな」


 エドワードから素直にお礼を言われると、なんかくすぐったい。

 索敵スキルでファフニールを監視していると、西の方へ移動し始めた。スピードから考えて飛行しているようだ。


「ファフニールは西に向かって飛んで行って、索敵の最大範囲を超えたよ」


「そうか、恐らくやつはトロールの血の匂いにつられて近づいてきたんだろう。戦闘してる間に近づいてきたのに気が付かなかった俺が悪い、すまんコジロー」


「そんなことはないよ、気が付かなかったのはお互い様だし、お互い怪我しなくて……ま、怪我しちゃったけど無事で良かった」


 エドワードが謝ってくるが、そこはお互い様ということにしておきたい。


「それじゃ王都に戻るか。テレポート頼めるか?」


「ああもちろん、それじゃ城門のちょっと前までテレポートするね」


 エドワードの要求でテレポートして帰ることにした。


 城門までくるとクリメントが立っていたのでギルド証を見せる。


「コジロー、ギルド証は確認したから城門を通ってくれ。

 それよりエドワード、北の方でドラゴンを見なかったか? 側防塔(そくぼうとう)の上の連中が10Kmくらい北にドラゴンが飛んでたって言うんだ。東から西に飛んでいったようだが、何か見なかったか?」


 クリメントの話だと王都の側防塔の上からファフニールが見えたらしいが、結構な距離があるからドラゴンと見間違えしたようだ。


(やっこ)さんに気にいられたんで、ちょっと遊んでやったよ」


 エドワードはそう言って、破れた右腕の服を指さした。もちろん右腕は俺の祝福で回復しているので、クリメントは腕が食いちぎられたとは思わなかっただろうが。


「ドラゴンにちょっかいだされて服だけで済むとはさすがエドワードだな」


「あれはドラゴンじゃなくてファフニールだったよ、間近で見て命からがら逃げてきた俺が言うんだから間違いない」


「それは本当か? お前が言うなら本当なんだろうな。おいロベルトこっちへ来い」


 クリメントはファフニールの名前を聞くまではエドワードのちょっとした武勇伝くらいにしか思ってなかったようだが、ファフニールの名前を聞くと顔つきが変わった。


「さっき報告に来た側防塔のやつらのうちの一人を捕まえて、報告にあったドラゴンはSS級魔獣のファフニールだって訂正してこい。SS級魔獣の報告の手続きは覚えてるよな? 馬を使っていいから、必ず側防塔で実際見たやつを一人は連れて行けよ。急いで行ってこい」


「はい!」


 城門を出るときに会った若い衛兵を呼び、おそらくSS級魔獣を発見したときにやらねばならない手続きを彼に任せたに違いない。ロベルトと呼ばれた若い衛兵も緊張した面持ちで側防塔の方へ急いで走っていった。


「エドワードさん、報告感謝します」


 クリメントはそういうと城門には別の衛兵を立たせ、自分は投石器(カタパルト)隊の方に向かうと部下に言ってる声が聞こえた。


「コジロー、俺たちは冒険者ギルドで依頼完了を報告しよう。あと、SS級魔獣を見つけたら冒険者ギルドに報告する義務もあるんだ。衛兵からも連絡は来るとは思うけどな」


 先ほど通った道を逆に冒険者ギルドの方へ向かう。

 ギルドに入るとまずは依頼掲示板の方へいき、掲示されていた依頼書をエドワードがはずし、それを俺に渡してくれた。


「これを受付でギルド証と一緒に渡すんだ。そういえばパーティは解散しておいてくれ」


 エドワードに言われた通りパーティを解散させた。


「この依頼を俺とエドワードの二人で達成しました」


 依頼書とギルド証をステラに渡しながら、初依頼達成を伝えた。エドワードも俺の動きに合わせギルド証をステラに渡した。


「依頼にあるトロールはどうしましたか?」


 ステラが確認をしてきたので、エドワードは隠しから巾着袋を取り出し反対の手の指で巾着袋を指さした。


「それでは地下一階へ行って討伐したモンスターを受け渡してきてください。

 モンスターの受取証を貰えるので、それを持って受付まで持ってきてください」


 そうステラに言われ階段を向おうとしたところで、エドワードがファフニール遭遇について報告した。


「SS級魔獣のファフニールに王都北10Kmの地点で遭遇した。その後魔獣は西の方に飛んで行ったようだ。衛兵からも正式な連絡があると思う」


「少し確認させてください。SS級魔獣ファフニールに王都北10Kmの地点で、エドワード様とコジローさんが遭遇し、その後ファフニールは西の方へ飛んで行った。情報については以上ですか?」


「ああそれで間違いない」


「それではSS級魔獣遭遇手続きをしておきます。後日聞き取り調査が行われることがございますので、ご了承ください」


 エドワードの報告を正式な報告書としてステラが作成するようだ。エドワードと一緒に地下一階の魔獣の解体場所に入っていた。


「討伐した魔獣の納品か?」


「ああ、トロールだ」


「そこのテーブルに置いてくれ」


 エドワードが中に居た人の指示に従い、テーブルにトロールの頭と胴体を置いた。


「見事な切り口だな。魔導石も壊れてない。この死体はギルド経由で換金するって事でいいのか?」


「それで構わない」


「お金は売れた後だ。数日で売れることもあれば、数か月待つこともある。それじゃこの受取証を上に持って行ってくれ」


 中に居た人から受取証を受け取り、一階の受付に戻る。

 エドワードがステラにトロールの死体の受取証を渡すと、ステラがギルド証を発行したときに使用した機械のところに行き、俺とエドワードのギルド証を順番に挿し機械を操作した。


「コジローさん今回の依頼は完了しました。報酬は千クローネになります。トロールの売却益については売却後、売却価格の70%をコジローさんに渡しますのでギルド証を持って受付に来てください」


 ステラに説明を受け渡していたギルド証を返してもらう。

 千クローネを財布に入れ百クローネ銀貨を5枚取り出す。


「エド、依頼を一緒にこなしてくれてありがとう。報酬は半額でいいよね? はい五百クローネ」


 エドワードにお礼をいい報酬の半額を渡す。エドワードは無言で受け取り、財布にしまう。


「お屋形様のお屋敷にもどろう」


 エドワードに言われ冒険者ギルドをあとにする。


 フィンの屋敷に入るとすぐにセバスチャンが迎えに来た。俺とエドワードの姿を見て、俺たち二人にお風呂を進めてきた。


「借りてる服なのに済まない」


 俺がセバスチャンに謝ると、即座にセバスチャンが否定する。


「コジロー様は主人のお客様でございますから、お気になさらずに。エドワード様もご一緒されてはいかがでしょうか、お着換えもお二人分ご用意いたします」


「そうだな、コジロー一緒に入るか」


「はい」


 セバスチャンに勧められ、エドワードと一緒にふろに入った。俺の服は汚れてるし、エドワードに至っては汚れだけでなく右肩あたりから切れてなくなっているのだから、着替えさせるのが執事の役目というものなのだろう。


 風呂から上がり綺麗な服に着替える。


「コジロー様、エドワード様、そろそろご夕食のお時間ですので、ダイニングへ移動しましょうか」


「セバスチャン、お屋形様も一緒か?」


「はいエドワード様、主人も主人の家族もご一緒する予定です」


「そうかそれじゃコジローご飯を食べに行こう」


 セバスチャンのエスコートで、エドワードとダイニングルームへ向かった。ダイニングルームに入るとフィンの家族は既に席についていた。奥からフィン、エリス、エレノア、クリスティンの順で座っていた。俺はフィンの前に座らされ、エドワードは俺の隣に座った。


「エドワード、今日はコジローさんとどこかへ行ってきたのか?」


「コジローがCランク冒険者としてギルド会員になったんで、Bランクの依頼で北のトロールを退治しに行ってきました」


「おおそうか、それで依頼は達成できたのかな?」


「俺とコジローの二人ですからね、楽勝でした」


 フィンの質問にエドワードが答えた。フィンは後で詳しくと言いたげな視線をエドワードに送った。

 そうこうするうちに料理が運ばれてきた。牛肉のステーキに、サーモンと玉ねぎのマリネ、蒸した皮つきのジャガイモが1枚の皿にのっていた。他にバケットが入ったバスケットがテーブルに置かれ、ワイングラスに赤ワインが注がれた。


「それではコジローさんの初依頼達成を祝して、乾杯」


「かんぱーい」


 フィンの一声で食事が始まった。クリスティンだけはワインではなく黄色い飲み物……たぶんオレンジジュースを飲んでいる。

 フィン一家は慣れているのか非常に上品な形で食事をされているが、俺がいることで、いつもより上品さを演出しているとしたら申し訳ない。逆にエドワードは思った通りのワイルドな食べっぷりで、ステーキも手慣れた手つきで結構大きめに切ってはガブリッといっている。俺の方はステーキを全て一口大に切ってから食べ始めたいが、客の分際で自分の家での食事よろしくやったら、何者だよと思われるのではないかという小心者根性で、ちらちら周りを見てはそれにならえで食べている。

 ジャガイモは結構ボリューミーで塩をふって食べるのだが次回があれば是非じゃがバターにしてもらいたいところだ。

 マリネはちょっと酸っぱくて俺には合わなかったとは言え、こんなこと言えるはずもなく完食した。


 食事が終わるとエリスが俺のそばまで来た。


「娘を助けていただき本当にありがとうございます。クリスティンもこっちに来て、きちんとお礼を言いなさい」


 エリスがそう言うとクリスティンがトコトコ歩いてくる。俺はクリスティンの目線に合わせるため膝をつき腰を落としてクリスティンを迎える。


「お兄ちゃん、悪い人たちから私を助けてくれてありがとう」


 クリスティンが丁寧にお礼を言ってきた。


「どういたしまして。怪我は無かった?」


「はい!」


 クリスティンは本当にいい子だ。頭を撫でながら褒めてあげる。


「クリスティンは悪い奴らに捕まっても泣きわめくわけでもなく、取り乱すわけでもなく、とても偉かったぞ」


「えへへ」


 クリスティンが照れてる横に姉のエレノアが立っていた。恥ずかしくて目を合わせられないなぜか中二病を再発している俺。そのくせ異世界テンプレイベントが起きないかと期待している。


「妹を助けてくれたこと、それともう一つ風で飛ばされた妹の帽子を拾ってもらった事、本当にありがとうございます。とても感謝しています」


「どういたしまして。

 それほど大したことはしてないですし、そのおかげで美味しい食事にありつけたので、こちらの方こそお礼を言いたいくらいです」


 エレノアはお礼を言った時と、俺の返事を聞いた後に軽く頭を下げた。


「それでは私どもは下がらさせいただきます。主人からお礼があるそうですから、必ず受け取ってくださいね。それから王都に居る間は遠慮なく、ずーっとうちにお泊りください、娘たちもその方が喜びますから。

 それでは失礼いたします」


 エリスがそう言い部屋を出ていくと、エレノアが母親の背中をつつき何かの合図を送りながら出ていく。続くクリスティンがトコトコ歩いているのが可愛い。

 フィンがふところから革の巾着袋をだしながら、俺の方に近づいてくる。


「エリスが話した通り、私からのお礼をお渡しします。五百個のアイテムが入る魔法鞄です。アイテムが1つ中に入ってますが、これもコジローさんへのお礼です。

 どうぞ受け取ってください」


 フィンが約束のお礼をしてくれた。


「この世界の事を教わったことにも感謝していますし、お屋敷に泊めていただけるだけでも有難いです。本来ならこの魔法鞄はお断りするべきですが、エドが持っていたので是非欲しくなっていたので、有難くいただきます。

 このお礼は何かの形で必ずお返しします」


 魔法鞄のお礼に俺の空手形ではバランスがとれないが、ここで生活する上で是非欲しくなっていたので、有難くいただくことにした。


「私はコジローさんと出会えただけでも幸運だと感じておりますので、魔法鞄は遠慮なくご使用ください。それでは娘の件について分かった事がありますので、コジローさんにはお疲れとは思いますが、もう少しお付きあいください」


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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