今日は、あとの楽しみで。
掲載日:2020/06/13
健気な掛け声を絆されて、重い重い腰を上げてみる。
誰も見ていないよね。
縮こまってる手足を投げ出し、大好きだよ、なんて言ってみる。
誰も聞いていないよね。
心地いい駆け足の音に乗せられて、重い重い頭を上げてみる。
誰も見ていないよね。
怯えた猫のように引きこもった舌を踊らせて、愛しているの、なんて言ってみる。
誰も聞いていないよね。
変に遠慮なんてしなくていいよね。
憧れのあの人の声を真似して、寂しさは震わし愛しさは天に昇る声を響かせる。
誰も聞いていないから、いいよね。
憧れのあの人の仕草を真似して、哀しみは涙で喜びは心を照らす笑顔を輝かす。
誰も見ていないから、いいよね。
夜が明けたら、ドアを開けてみよう。
きっと健気な掛け声が聞こえてくるよ。
終わらない考え事が片付いたら、靴を履こう。
きっと心地いい駆け足が走り抜けていくよ。
みんな忙しいから、構わないよ。
下手くそな告白を道に並べたら、突然の雨は降る。
突然の雨は乱れ打ち。
繰り返す告白を不格好なリズムに乗せたら、生暖かい雨が降る。
生暖かい雨は涙の葬列。
懲りない告白を上の空に浮かべたら、失墜のダンスを踊りましょう。
ずぶ濡れの道は、いつの間にかせせらぎになる。
今日はまだ始まったばかり。
お楽しみはあとにして、もう一眠りいたしましょう。




