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『アニマル世界 無敵の五獣勇者』  作者: 三毛猫乃観魂
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第7章 聖地巡礼

 辰馬とココネは聖地へ向かう女王ティネム護衛に参加する、特別な仕事を任されて。

 宴の後、寝室に通された辰馬とココネ。

 聖地に向かうティネムの護衛を頼まれた辰馬。今回、聖地へ向かうのは思い付きなどではなく、毎年一回ある女王の定例行事である護国を祈る儀式で、“人”の侵略が始まっても行っているとココネが教えてくれた。

 たらふく食べたココネはふかふかのベットの上でウトウト、沈没するまで時間はかからないだろう。

 こんこん、部屋のドアがノックされた。

 こんな時間に誰だろうとドアを開けた辰馬は、そこに立っている人物を見て驚いてしまう。

「夜分失礼いたします」

 部屋の前に立っていたのはアニマル世界の女王であり、巫女のティネム。


 突然の女王様の訪問、意図せず辰馬は背筋を正し、ココネの眠気も吹っ飛ぶ。

「明日の護衛の任ですが、折り入って五獣勇者様に頼みたいことがあります……」



 翌朝、白い馬に乗りティネムは聖地へ向かう。護衛のローとエイダはいかにも軍用といった黒い馬。けもみみ騎士たちの半分は馬に乗り、半数は徒歩。馬に乗れない辰馬は徒歩、ココネも付き合って徒歩。

「……」

 昨夜、直接ティネムから特別な仕事を頼まれた辰馬、その内容はココネも耳にしている。

 聖地は王都の近くにある山の頂上、坂道を登っていく一同。

 ローとエイダ、けもみみ騎士たちにとって毎年通っている慣れ親しんだ道なのでスムーズに進んでいるが、周囲の注意を怠らない、いつ“人”が襲撃してくるか解らないのだから。

 辰馬とココネも警戒している、しっかりと。


「!」

 いきなりローが護衛の列から外れ、馬を走らせた。

 何事かとけもみみ騎士たちが視線を向けた時には、襲撃を仕掛けてきた“人”が爪で切り裂かれていた。

 気付けばエイダは“人”に噛みつき、毒を流し込でいる。

「“人”の襲撃だ!」

 各々の武器を手に取り、けもみみ騎士たちも戦いに参戦。

 辰馬は剣を抜いて襲い掛かってきた“人”と戦い、ココネは魔法で応戦。



 けもみみと“人”が戦っている場所から離れたところにある大木。

 太い枝に中肉中背の男が乗っかっていた。居酒屋に入れば見かけるような顔立ち、ただ眼付だけはやたらに鋭い。

 魔術文字の描かれたロングボウを構え、矢をつがえ弦を引く、矢にも魔術文字。

 ロングボウと矢に書かれた魔術文字が輝きを放つ。

 このロングボウと矢には魔女ルシーカの魔法が掛けてあり、飛距離貫通力は倍、矢は命中した途端、爆発する仕様。

 遠く離れているにも関わらず、男、魔女ルシーカ四天王の1人、デューティ・クーサーンにはしっかりとティネムの姿が見えていた。

 狙うは心臓、矢を放つ。


 一早く、飛来する矢に気が付いたのは辰馬。

 矢が早すぎる、今からではティネムを逃がすのは無理。昨夜、仕事を頼まれれたことでティネムの近くにいたこともあり、反射的に飛び出す、盾になるために。

 矢は辰馬に命中するなり、爆発。


 巻きあがる煙。爆発の威力はかなりのもの。直撃を受けたなら、生き延びる可能性なんてありえない、肉体が残っているかも怪しい。

「辰馬ぁぁぁっ!」

 事態を悟ったココネの悲しい叫びが鳴り響く。

 風が吹き、巻き上がった煙が飛ばされる。


 立っていた何事も無かったかのように、全身を頑丈な外骨格に包まれたずんぐりむっくりの姿で。

「――辰馬なの?」

 ココネが訪ねると、首を縦に振る。

 ティネムには、今の辰馬の姿が何なのかすぐに解った。

「甲獣クラタス様」


 アニマル世界を守護する五柱の神獣の一柱、防御を司る甲獣クラタス。

 その強固な外骨格は剣鎗斧矢、ありとあらゆる物理攻撃を弾き返し、火水風土雷、全ての魔法を通さない。

 着ている鎧も多重構造の強固なものへ。


 辰馬の変身に驚きはしたものの、ほんの一時のこと、すぐにデューティは気を取り直し、第二、第三と次から次へと矢を放つ。


 どんどん飛来する矢の全てを辰馬は自分の体で受け止める。

 矢は命中するなり爆発するが、甲獣クラタスの頑丈な外骨格は傷つかない、何度爆発しようとも、かすり傷一つも。

 かといって敵との距離がありすぎるため、こちら側からの攻撃手段がなく、防戦一方。


 襲い掛かってきた“人”の集団を全部片付けたローとエイダ、けもみみ騎士たち。

 矢が飛んでくる位置から、およそではあるが敵の居場所は解るものの、攻撃に向かった途端、爆発する矢が飛んでくるのは明白、容易には近づけない。

 ココネの魔法も距離がある過ぎる。

 攻撃を防御できても、こちら側からの攻撃の手段なし。

『敵の前まで行かなけりゃ、埒が明かないぞ』

 矢の爆撃を受けながら、辰馬は心底、そう思った。

 辰馬の中で“何か”の力が目を覚ます。


 甲獣クラタス化した辰馬の姿に変化起こる。顔には嘴、両手は力強い翼、両足には鈎爪、体を赤色の羽毛が覆う。

 その姿は猛禽類、鎧も最軽量に変形。

 突然の変身に驚いたが、それは一瞬のこと、すぐにデューティは新たな矢を撃とうとした。

 その時間は与えない、大きな翼を羽ばたかせ、あっという間にデューティまでの距離を詰める。

 デューティが行動するよりも早く、鈎爪で両肩を掴み、けもみみ騎士たちの所まで運ばれ、ど真ん中に落とす。


「あれは翼獣ルーシグム様」

「翼獣ルーシグムなのです」

 ティネムとココネは同時に声を出した。


 アニマル世界を守護する五柱の神獣の一柱、空を司るルーシグム。

 大型の紅の翼を持つ猛禽類の姿、大空を自由自在に羽ばたく、それも高速で。


 けもみみ騎士たちに取り囲まれるデューティ、得物の弓は長距離でこそ威力を発揮する武器、短距離では思いっきり不利。それ以前に辰馬に肩を掴まれたときに落としてしまっている。

 相手は“人”、それも魔女ルシーカ四天王の1人。殺気立つけもみみ騎士たちはそれぞれの武器を構える。

「その者を殺してはなりません!」

 ティネムの一括が、けもみみ騎士たちの動きを止める。

「聞きたいことが、いろいろありますので」

 チラッと辰馬とココネの方を見る。これがティネムから頼まれた特別な仕事、自らほ囮にして、敵を釣り上げる。

 結果、予想以上の大物が釣れた。

「あなたには聞きたいことがあります、そう―、例えば魔女ルシーカの居場所とか……」

 そっぽを向くデューティ、痩せても枯れても魔女ルシーカ四天王、どんな拷問にかけられても沈黙を守る自信がある。

 そんなデューティに、とびっきりの笑顔を見せるティネム。その笑顔は見る相手によってはゾッとさせるものであった。

「私にはどんな相手でも、口を割らせる方法がありますので」




 今回、神獣変身は一気に2体行きました。

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