表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『アニマル世界 無敵の五獣勇者』  作者: 三毛猫乃観魂
7/20

第6章 王都到着

 ついに王都にやってきた辰馬とココネ。

 魔女ルシーカ四天王の一人、テレット・イン・ギムダを倒した辰馬とココネは、当初の予定通り女王ティネムに会うため、乗合馬車に乗る。


 王都へ通じる道だけあり、しっかりと整備されていて乗り心地は快適、早速、ココネは寝ていた。

 警備体制も整えてあるので“人”の襲撃もなし。

 他の乗客はいい身なりをしている。

 もし正体がバレたらどうなるのか、考えたくもないこと。“人”だとバレないよう、猫耳の鬘は取れないよう十分に用心しておく。



 乗合馬車は王都に到着。乗客たちが降り、それぞれの目的の場所へ向かう。

 辰馬も降り、辰馬は座敷に押し込んでいた体を大きく伸ばして解す。

「ふみゃゃ~ん」

 欠伸をしながら、降りてくるココネ。

 全ての乗客が降りたのを確認してから、乗合馬車は去っていく。

「こっちこっち」

 まだ少し眠気の残る目をこすり、ココネが目的の場所に案内してくれる。


 王都の街並みは、豪華といえば豪華な造りの街ではあるが嫌味たらしさはなく、中学の修学旅行で行った京都や奈良の神社仏閣で感じた神秘性と同じものを感じさせた。

 あの頃は(あきら)もいて、とっても喜んでいた。今、ここに玲がいたのなら、すごく喜んだだろう。

「辰馬、何しているんです、こっちこっち」

 街に見とれていた辰馬は、ココネに促され終わてて後を追う。


 ココネを追っていくと、大きな門の前に着いた。かなり頑強に造られていながら、街の雰囲気を損なない門。

 門の前には頭の上から足先先まで甲冑に身を包んだ門番が二人いたが、ココネが二三話すと、通用口を開けてくれた。


 通用口を抜けた先にあったのは、街並み以上に神秘性を漂わせる建物。

「あの神殿に、女王様がいるのです」

 ココネに着いて大理石の石畳を進んでいた辰馬は、いきなり剣を抜く。

 一体、何をしているのかココネが訪ねる前に甲冑を纏った何者かの爪が剣とかち合う。

 辰馬は反撃に斬りかかるも、一早く読まれてしまい躱された。

 身体能力だけで攻めてきているのではない、しっかり“技”が仕上がっている。

『こいつ、出来る』

 兜で顔の見えないが実力者であることは間違いなし。

 辰馬は両手でしっかり柄を握りしめ、一撃を打つ。

 甲冑も負けじとばかり、爪で攻撃。

 剣と爪が衝突、火花が飛び散る。

 ここは王都の中でも一番警戒が厳重な神殿、なのに何故、襲撃者がいるのか?


 そんなことを考えているよりも辰馬を助けなくては、魔法を唱えようとするココネ。

 ポンと肩を叩かれ、顔を向けてみればエイダが笑顔でウィンクしていた。


 一進一退の激しい攻防を続ける辰馬と甲冑。爪の攻撃を剣で受け止め弾き、剣の攻撃を爪で受け止め弾く。

 両者、決定的なダメージを与えさせない、一発足りも。それぞれが理解できた、相手が相当の手練れであることを。

 一旦距離を取り、お互い睨み合う。

 両者同時に踏み込み、必殺の剣の一撃、必殺の爪の一撃を放つ。


「何故、止めた。あんたなら、簡単に俺の心臓を抉れたはず」

 爪は辰馬の胸の前で止まっていた。

「ならば問おう、何故、剣を止めた。貴殿ならならば、簡単に私の首を跳ねれたはず」

 剣は甲冑の首の前で止まっていた。

 辰馬と甲冑は同じ答えを言う。

「「殺気が無かった」」


「いやー見事見事、正面からローと打ち合うなんてよ」

 拍手しながら、エイダが近づいてきた。

「あたしゃ、エイダ・ガング、女王騎士さ」

 甲冑は兜を脱ぐ。

「私はロー・チェイス、エイダと同じく、女王騎士だ。貴殿の腕を確かめるような真似をして失礼した。だがどうしても確かめなくてはならなかったのだ、五獣勇者の腕前を」

 それはそうである、何せアニマル世界の未来がかかっているのだから。

「俺は後藤、後藤辰馬」

 交互にローとエイダと握手する。



 辰馬は神殿内に通された。

 白を中心にした石造りの大広間、左右けもみみの神官の立ち並ぶ赤い絨毯の先に置かれた玉座に座る虎のけもみみの女性、アニマル世界の女王にして巫女のティネム・メデランセス。

 “人”の辰馬から見ても、高レベルの美人、けもみみたちからすれば更なる高みに達するだろう。

 神官たちの中には辰馬を睨む者もいる、いくら鬘で変装していも辰馬が“人”だと知っているのだ。

 ここまでの旅の中、“人”がけもみみたちに何をしていて来たのか知っている分、睨む視線と品定めする視線が痛い。

 いきなり玉座から降りたティネムは赤い絨毯の駆けていき、他の神官の驚く中、辰馬の前に膝まづく。

「まずは遠い世界から無理やりに呼び出したこと、謝罪いたします」

 ココネが頭を跪き、ローとエイダが続く。

「ですが私たちにはあなた、五獣勇者様の力が必要なのです」

 語らずとも必死の感情が伝わってくる。

 女王が跪き、ココネ、ローとエイダが続いたことで、けもみみ神官たちも辰馬を中心に跪いた。

 五獣勇者とはいえ、“人”の辰馬に対する不信感がティネムの行為で消え去る。

 こんな風に跪かれると、全身ムズムズしてくる、ましてや相手は女王様。

「気にしないでください、俺にも戦う理由がある」

 魔女ルシーカを倒し万能薬を手に入れ、玲を助けること。自分勝手かしれないが、それが一番の目的。

 手を差し伸べ、ティネムを立たせる。



 謁見後、ティネムは宴を開いてくれた。

 山と海から集められた素材で作られた立食タイプ。平気で肉料理を食べている神官たち、上品に食べるロー、エイダは丸で飲み込むようにバクバク食べている。アニマル世界でけもみみとケモノは違うんだなと再認識。

 宴には一般の招待客もいて、神官たちとの垣根もなく宴を楽しんでいる。

 “人”の脅威が迫っている中、王都の様子を見ればティネムの優秀さが見えてくる。

 噂をすればなんとやら、ティネムが現れる。

「明日、私は儀式を行うため、聖地に向かいます。その護衛を五獣勇者様をお願いしたい」





 女王騎士ローとエイダとの出会い、女王ティネムと謁見した辰馬。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ