エピローグ
決戦が終わって……。
眠っている玲、鼻血は拭き取っておいた。
核心はしているが、万が一の場合も、静かに見守っている辰馬とココネ。
「う、う~ん」
微かに声を漏らし、玲が目を開く。
周囲を見回した後、ハッと自分が赤い女性物の服を着ているではないか。
「何で僕、女の子の服を着ているの!」
恥ずかしくて、顔が真っ赤っか。
この仕草、疑う余地などなく、玲そのもの。
「玲!」
思いのあまり、辰馬は抱きしめてしまう。
「な、なななななな~ななっ」
ますます顔が赤くなる玲。
「ルシーカの意思が残っていたとしても、これで完全に昇天したのです」
辰馬は話した全てのことを。
「そんなことがあったんだね……」
不幸中の幸いだったのはルシーカが誰も殺さなかったこと。だからこそ、話せたし、玲も受け入れることが出来た。
自分の手のひらを見つめる玲、バチバチと黒いスパークが生じる。ルシーカは昇天しても力は残っている模様。
出した手のひらのスパークを消す。
ほんの短い時間、考え答えを出す。
「この力、誰かの役に立つために使いたい」
ルシーカが悪党だとしても、玲はそうではない。どんな力でも使い方次第で善にも悪にでも薬にも毒にもなる。
「そんなことなら、俺もやるぜ」
辰馬も五獣勇者の力を持っている。
「私の魔法も役に立つのです」
もうココネはアニマル世界には帰れない、図らずとも裏切ってしまったのだから。なら、この世界で生きていくしか道はない。
でも後悔はしていない、自分で正しいと思って選んだ選択の結果なのだから。
この先のことは何も決まってはいないし、まだ見えてきてもいないが、とりあえずやるべきことは決まっている。
「帰るか」
辰馬にうんと頷く玲、きっと父親の正太郎も心配しているだろう。辰馬にも家があり、家族がい。
本当のことはとても言えないが、何とかごまかすしかない。
辰馬と玲とココネは、一緒に歩き出す。
「あのね、辰馬くん、家に帰る前に服を着替えたいんだけど……」
今、来ているのは女物の服、確かにこれでは恥ずかしくて、とても家には帰れない。
「似合っているのです」
似合っていても、嫌なものは嫌。
ココネの言葉は無視することにして、服の調達に向かう。
ここで一旦、終わります。続きを書くかはまだ未定。




