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『アニマル世界 無敵の五獣勇者』  作者: 三毛猫乃観魂
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プロローグ

 けものたちの住む異世界転移ものです。

 黒光りする五つの石碑が並ぶ、神聖さが溢れ出る部屋。

 ここは神殿、その中枢に当たる場所、部屋の真ん中に白いローブを纏う、神秘なオーラを漂わせる女性が跪き祈っていた。

 流れるような黄色いストレートヘアーに黒い縞模様が入り、お尻からは黄色と黒のストライプ模様の尻尾が生えている、頭には虎の耳。

 彼女は女王であり巫女でもある、ティネム・メデランセス。

 ティネムが祈り、取り囲む神官たちは真言を唱える。神官たちの頭にもいろんな獣の耳、けもみみが生えていた。

 ここはけもみみたちの住む、アニマル世界。

 ティネムの祈りとけもみみの神官たちの真言が重なりあう。

 その時、神殿が大きく揺れた。

「何事だ!」

 けもみみ神官の1人が叫ぶ。

「“人”です、“人”が襲撃してきました!」

 神殿の入り口を守っていたけもみみ騎士の1人が報告に来た。

「五獣勇者召喚の儀式は止めてはならない。儀式が終わるまで、何とか持ちこたえよ」

 命を受けたけもみみ騎士は、急いで入口へ。

「おのれ、魔女ルシーカめ、五獣勇者召喚の儀式は邪魔させんぞ」

 けもみみの神官の強い決意。

 その決意にこたえるかのように神殿が揺れようが、ティネムとけもみみの神官たちは祈り続ける。

「異界におられます御方よ、アニマル世界を守護する五柱の神獣を御身に宿し五獣勇者となりて、我らが世界を守り給え」

 ティネムが唱えると、五つの石碑が次々と壊れて行った。



 神殿に攻め込んでくる黒い甲冑を着た騎士団。彼らの頭にはけもみみは無く、耳は人の耳、やたらにイケメンが多い。

 彼らは“人”。

 元々“人”はアニマル世界では少数民族で、辺境に住み、あまりけもみみたちとは接触はしなかった。

 ところが近年、“人”の中に強力な力を持つ魔女ルシーカ・アミラムスが生まれ、一気に勢力を拡大させ、アニマル世界の制服を開始。

 このままではアニマル世界がルシーカの手に落ちるのも時間の問題。

 だからこそルシーカを倒すため、ティネムは無双の存在、五獣勇者の召喚を行っているのである。



 剣で戦う“人”の騎士、けもみみ騎士は自身の爪と牙で戦う。

 “人”、けもみみ両方に魔法使いがいて、それぞれの騎士をサポート。

 本来なら“人”の身体能力はけもみみには及ばない。しかし魔女ルシーカの力により、今や“人”の身体能力はけもみみを上回るようになった。

 けもみみ騎士が押され始めた時、次々と“人”の騎士が紙屑の様に切り裂かれ、石ころの様にふっ飛ばされる。

「ローさんだ」

「ロー様が来てくれた」

 灰色の髪に歴戦の戦士の風貌を持つ狼耳の男、ロー・チェイスが“人”の騎士を薙ぎ払っていく。

「ぐえぇぇぇぇ」

 緑色の髪を持つ女性に体に巻き付かれ締め上げられた“人”の騎士が悶絶死。

 彼女の頭にはけもみみはないが“人”ではない。“人”の魔術師の放った光の矢を体をグニャリと、あらぬ方向に曲げて躱し、“人”の魔術師に飛びつき肩を噛み、牙を突き立てた。

 牙から猛毒が注入され、“人”の魔術師は息絶える。

「エイダだ」

「エイダ様も来てくれたぞ」

 緑色の髪を持つ女性、エイダ・ガング、毒蛇なのでけもみみはなくとものけものではない。

 ローとエイダは共に、最強と呼ばれるけもみみ騎士。


 ローとエイダの来たことで勢いづくけもみみ騎士。一気に敵勢力殲滅にかかる。

 いきなり斬り捨てられるけもみみ騎士、1人ではない、1人2人とどんどん斬り捨てられて行く。

 長剣を軽々しく振るい、けもみみ騎士を斬り捨てているのは戦場に似合わない爽やかな金髪の美青年。

 一旦はけもみみ騎士に流れは向いたものの、金髪の美青年の参戦により“人”の騎士が勢いを取り戻す。このままでは逆転があるかも。

 一飛びでローは髪の美青年の目前へ到達、鈍色の爪で斬りつける。

 奇襲攻撃だったのにも関わらず、見事に長剣で受け止める。

「出来るなお主、我が名は女王騎士、狼族のロー・チェイス」

「私は魔女騎士団長、バーニー・ナイエト」

 金髪の美青年、バーニーは名乗り返す、ちゃんと礼儀を心得ている模様。

 ローの爪を弾き、一太刀。

 後方へ飛んで躱すと同時、踏み込み両手の爪のラッシュ攻撃。

 その全てを長剣で受け止めるが、ローも反撃の隙は与えない。

 奇しくもローとバーニーは敵同士でありながら、同じことを思っていた“こいつ手練れだな”と。

 何人の仲間が倒れようとも、けもみみの騎士も“人”の騎士も攻め合い、どちらかが全滅するまで戦いは終わらないと思われた矢先のこと。

「双方、静まりなさい」

 凛とした声が戦場に響き渡る。

「五獣勇者召喚の儀式は終わりました。“人”の騎士たちよ、これ以上の戦いは無意味です、即刻、引きなさい」

 けもみみ神官に支えられないと立っていられないほど、衰弱しているとは思えないティネムの声が両団の戦いを止めた。

 五獣勇者の召喚阻止は失敗してしまった……。

 長剣を背負った鞘に納めるバーニー。

「最早、私たちの目的を果たすことは叶わぬ、騎士団を引こう」

 これ以上の戦闘は無駄な犠牲を生むだけ、団長が剣を収めたので、他の“人”の騎士たちも剣を収めて行く。

 敵とは言え、武器を収めた相手を攻撃するような奴はけもみみ騎士の中にはいない、1人として。



 撤退した“人”の騎士。

「大丈夫ですか、ティネム様」

 尋ねるロー、誰が見ても疲労困憊、隣のエイダも心配そうに見ている。

「心配はいりません、五獣勇者召喚の儀式で力を使い果たしただけです」

 力を使い果たすのも当然と言えば当然、異世界から召喚するのだから、回復には数日は必要だろう。

「ココネを呼びなさい、“人”の妨害で五獣勇者様の召喚位置がずれてしまいました」

 言われてみれば召喚されたはずの五獣勇者の姿はない、早速、けもみみ神官の1人がココネを呼びに行く。

「ココネなら間違いなく、私たちの元に五獣勇者様を導いてくれるでしょう」

 それはローとエイダも同感。




 今回はプロローグなので、まだ主人公は出てきていません。

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