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第十二話 それから。

 放課後。

 つぼみと秀に、香苗に徹平に夢花。全員そろって帰るのは久し振りだ。

 川を見下ろす位置にある道の上。吹き抜ける暖かな風が土のにおいを運んでくる。

「まさか、お前らがくっつくとはなぁ」

 しみじみと、徹平が呟いた。傍らを歩いていた秀は、指で頬を掻く。

「まあ、俺もまさか、こんなに早くこうなるとは……」

「いや、俺はまさか、おまえがつぼみを好きやとは思わんかったっていいたいねんけど。俺、絶対ツボミは振られると思ってたからな」

 そう返した徹平の声が聞こえたのだろう。香苗や夢花と一緒に前を歩いていたつぼみが振り返る。

 後ろ歩きしながら徹平に向かって舌を出した。

「べーっだ。テッペーのアホ」

 徹平はそんなつぼみを指差した。

「コレやで?」

「まあ、コレやけどな」

 と、秀は苦笑めいた顔をする。

「でも、コレがええんやろ? シュウ。一目惚れやもんな」

 振り返って、にひひと笑う香苗。

「え? シュウくん。そうやったん?」

 驚いたように、そして、どこか嬉しそうな声をだす夢花。

 つぼみは、えっ、えっと声を出しながら香苗と夢花を交互に見る。

「あ、おまえ、何でばらすねんっ」

 つい、口を滑らせた秀の肩に、徹平が腕を置く。

「そーおやったんやー。シュウくん。俺ちっとも気付かんかったわー」

 からかう気満々の顔を近づける徹平に、秀は眉を寄せた。

「ふん。付き合うのは先こされたけど。その次は俺の勝ちやな。テッペー」

 今度は徹平が眉を寄せる番だった。

「ん? ちょお待て。お前、それどういう意味や」

 秀は、徹平の腕から逃れ、走りだす。走りだすついでに、つぼみの手を取った。

「コラー。待て、シュウ。ツボミー」

「え? なになに? おもろいこと?」

「どこ行くのー。シュウくん。ツボミちゃん」

 背後から三人の声が聞こえてくる。

 秀に腕をひかれて、つぼみは笑みをこぼす。

 振り返って徹平たちを見る秀の顔が、笑顔で嬉しくて。


 関西の町、兎有町とあるちょう

 ここにまた一つ。

 恋のつぼみが、花開く。





ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

今回は春・花小説企画参加第二弾作品となりました。


企画が始まり、前作の投稿を終えた後に、ベッタベタの恋愛ものを書こうと思い立ち書かせていただいたのが今作となります。本当は連載ではなく、短編として書きだしたんですけども。予想以上に長くなってしまいました。


以前から、恋愛ものが苦手だといっておりましたが、ようやっと恋愛ものを書くことに慣れてきました。以前はもう、恥ずかしくて恥ずかしくて。今回はもう、恥を捨てて書かせていただきました(笑)


今回はすべて会話は関西弁という初の試みをさせていただきました。いかがでしたでしょうか? わかりにくかったでしょうか。ここが分かりにくい、意味が分からない等あれば、気軽にお教えくださいませ。今後の執筆にいかしていこうと思っております。


今回は今まで書いた恋愛ジャンルの小説の中で、一番テンションが高い作品になったと思います。それもこれも、きっと関西が舞台だからですね。書いててとても楽しかったです。


長々書きすぎました。

では、最後に企画の規約にあります。この作品に使った花とその花言葉を書かせていただきます。


この作品のテーマに使ったお花は、おわかりのとおり、鈴蘭スズランでございます。

作中で描いております通り、鈴蘭の花言葉は『繊細・優雅』ですが、鈴蘭の花言葉は他にもまだありまして。この作品のメインテーマとして使った花言葉は『幸福の訪れ』でございました。こちらは一切作中にはでてきません。と、いうかあえて隠しました。


すこしでも、幸せ気分を感じていただければ幸いです。


出典先はhttp://hanakotoba-labo.com/このサイトでございます。


ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございます。それでは、またお会いできることを願って。

愛田美月でした。

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