僕のヒロインがいない件について
一章 僕のヒロインが強奪された件について
どうしてこんな事に……。ジリジリと照りが、暑いこの季節に僕の闘志はそれ以外に燃えている。
今僕は、学校の屋上に女の子と2人でいる。このタダでさえ、萌えるシーンを、更に、ドキドキするシーンにして変貌を遂げさせて欲しい?安心してもらおう。今から僕は、告白をするつもりだ。
「んで、こんなとこまで連れて来て何の用なの?」
「それは、その、ね?」
「もー。気になるじゃない。そんなの良いから早く言ってよー」
駄々っ子のように、上唇を尖らせながら、僕の腕に抱きついて、暴力的までな、そのおっぱいを押し付ける。
「あのー、七海さん。ちょっと良いかな?」
サッカー部の、真島優也だ。
「でも今はー」
「僕のことは、後回しでいいよ。話聞いてあげな」
これは、余裕だ!主人公たる所以だ。例え、七海に彼氏を取ることも、主人公の僕には、余力を残して出来るだろう。だが、安心してくれ。今は彼氏は居ない。確かな筋な情報だ。
「ほんと!?ごめんね。じゃあ、真島君なにかなー?」
「七海さん!そのー!僕と付き合ってください」
「はい!喜んで!」
えー。確かに主人公は、彼氏を取れるとか言ったよ?確かに言ったよ?でもね、相手はサッカー部のエースだよ?僕は、ただの平凡な学生だよ?比較して勝てるとこがあるなら、教えてもらいたいものだ。
「鈴谷くん!どうしよ!」
鈴谷は僕の名だ。そんな事よりも、こんなデレデレした、七海は見たこともない。頰を赤らめながら、手で、顔が見えるか見えないかの境目らへんで、顔を隠し、照れている。これがリア充のうざさだ。いや。真島のうざさか。
「よかったじゃん!おめでとう」
皮肉にも、この場に居合わせたせいで、祝いたくない事も、祝わなければならない。屈辱の極みだ。
「うん!ありがとうね!鈴谷くん!鈴谷くんの話は何かなー?」
ギクッと身体が大きく、反応する。汗が、滝のように流れ、動揺を隠せない
「何でもないよ!」
「えー。絶対嘘じゃんー!」
「そんな事よりも、真島君が待ってるよ?行って来なよ?」
こんなアシストいらん。だから、もう悪い夢なら、どうか覚めて欲しい。
「鈴谷くんが、そこまで言うならー」
「そうしな」
楽しそうに手を繋いで、屋上から去って行く2人を見て僕は、負のオーラを出しながら、どうする事もできない。ただ何かできることがあるとするならそれは、ヒロインを変える事だけだった。