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《無能》と蔑まれた少年、SSSランクの死神と契約し無双する〜幽冥の纏術師〜  作者: 福寿 草真@異世界エステ書籍版2025/12/25発売
第1章 死を纏う霊者 編

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1-17 食堂にて

次回辺りで1章クライマックスに向け、話が大きく動き出します。

よろしくお願いします。

 この日から、模擬戦も日課となった。

 数々の工夫を凝らしながら、ルティアに挑みは負け、挑みは負けの繰り返し。


 結局1週間が経過して、5回模擬戦を行なったが、当然のように一度も勝つことはできなかった。

 ましてやそれ以上に、彼女に傷を付けることすらできなかった。


 ルトは改めて、ルティアとの間にある明確な差を思い知らされていた。


 と、


「ルトさん、本日の模擬戦はいかが致しましょう?」


「とりあえず時間取れそうだよ。……今日こそはルティアさんに一撃入れたいなー」


「ふふっ。させませんよ」


 昼。いつものように食堂の端の席で、ルトとルティアは向かい合うようにして昼食をとり、談笑していた。

 ここ最近の話題と言えば、学園の事も少しはあったが、主には模擬戦についてである。


 昨日の模擬戦はどうであったか、主にルトの戦闘面について話し合っていた。

 それでも終始ニコニコと楽しそうにしているルティアの姿が妙に印象的であった。


 ここで一通り話し終えたのか、話題が転換する。


「そういえば、アロンが帰ってくるの今日だっけ?」


「はい。確か本日の夕刻頃と言ってましたわ」


 いつもならばここにアロンも居るのだが、今日は何故居ないのかというと、実は1週間前から遠征に出かけてしまっている。

 何でも1年の魔術師がこぞって受講する講義の中に遠征をするものがあったらしい。


「だよねー。何か1週間だけしか空いてないのにもう何ヶ月も会ってない気分だよ」


「何か、恋人を待つ乙女のようなセリフですね」


「どこが!?」


「ふふっ。さて、どこでしょうか」


 毎日のように会っている為か、ルトの鈍い一面を理解しているルティアは、からかうように言って、口に手を当て笑う。

 そして、すぐに会話を続けるように口を開く。


「私も、お二人と出会ってからはとても濃い毎日を過ごしているので、ルトさんの思いも、わかる気がしますわ」


「わかってくれる? ……早くアロンも交えて昼食をとりたいなー」


「ふふっ……ですね。アロンさんが早く帰ってくる魔術でもあれば良いのですが」


「あーそれ良いね。アロンー早く帰ってこい! って言ったら、アロンが登場するみたいな──」


 と。そこで、突然ルトの視界が暗転した。

 そして、聞き慣れた声がルトの耳に届く。


「だーれだ」


「え……!? 待って! まさかアロン!?」


 振り向くと、そこには話題の少年、アロンの姿が。


「おう! 久しぶりだな!」


 言って、ニッと笑う。対しルトは目を見開くと、


「えーー!? もしかして僕って魔術師の才能があったの!?」


「違うわ! ルトの背後へそろりと近づく俺に気づいたルティアちゃんが、話を合わせてくれただけだよ!」


「…………え?」


 呆然と視線を前方、つまりルティアが居る方へと向ける。

 ……あのルティアが息を殺しながら、腹を抱えて笑っていた。


「えええええーーーー!?!?」


 二重の意味で驚くルト。


 そんなこんなで、アロンも交えた久しぶりの昼食タイムが始まった。


 ◇


「ところで、アロンはどうして早く帰ってこれたの?」


「ああ、いやなんて事はないさ。帰路に魔物が少なくてわりかしスムーズに帰ってこれただけだよ」


「それは、ラッキーでしたね!」


「おう! おかげでこうして2人と久しぶりに昼飯を食えた! 感謝だな!」


 言って、アロンが眩しい笑顔を浮かべる。


 と、ここでルトが周囲を見回すと、ふと疑問を口にする。


「そういえば、何か今日の食堂いつもより閑散としてるけど、何でだろ?」


 1週間1年の魔術師が遠征に向かっていた為、ここ数日は普段よりも利用者が少なかった。しかし今日はそんな昨日までと比べても明らかに利用者が少なかった。


 アロンはそんなルトの疑問に、ああと頷くと、


「何か入れ替わりで2、3年の先輩達が全員遠征に向かったみたいだぜ」


「え、全員? そんなの今まであったっけ?」


「いや、無かったと思う。何か術師協会の決定で今年から始まったらしいぜ」


「面白い試みですわね」


 言ってルティアが手を合わせる。


「なー。とりあえず俺達は、来年参加できるように頑張らねーとな、ルト」


「だね。頑張ろう」


 とりあえず次の序列戦で1勝、後期でも1勝だ。そうしなければ、こうやって3人で昼食を共にする事も出来なくなってしまうのだから。


 と、ここで再び話が切れると、そういやさとアロンが話を続けた。


「俺が居ない間、2人はどんな話してたんだ?」


 首を傾げるアロン。

 ルトはルティアに目をやり、彼女が頷くのを確認すると、かねてより話そうと思っていた、パトロールと模擬戦について話を始める。


「実はさ──」


 話を終えると、アロンはフルフルと震えると、


「ずりーよルト! ルティアちゃんと模擬戦とかよ!」


「ははは、ごめんね。アロンが遠征に行ってなければ、もっと早くに話したんだけど。……それで帰って来たことだし、アロンも一緒にどうかな?」


 それに対し、アロンはキョロキョロと2人の様子を目に収め、そこに拒否反応がない事を確認すると、


「2人が良いって言うなら喜んで参加させてもらうぜ!」


 言ってニッと笑う。


「よし、決まりだね! 早速だけど、アロンは今日空いてる?」


「おう! 余裕で空いてるぜ! 寧ろ空いてなくても無理矢理空けるくらいだぜ!」


「おっけい。なら、いつも通り放課後ここ集合ってことで良いかな?」


 ルティアが頷き、アロンがおう!と口にする。

 これによりこの日の昼休みは終了。


 3人は各人次の講義へと向かった。

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