表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
280/302

神様の大事な仕事24

 少しずつ気温が上がってきた、春真っ盛り。

 電話を切ってスマホを置くと、視線の圧を感じた。

 ミコト様、すずめくんにめじろくん、白梅さんと紅梅さん、そして鞠ちゃんまでが私を囲むように集まっている。ミコト様は両手を組んで祈るようなポーズまでしていた。


「……採用されました」

「わーいわーい! お赤飯ですねーっ!!」


 わっと喜びの声が湧いて、やれご馳走だやれケーキだと騒がしくなった。

 お祈りポーズをしていたミコト様は、目をうるうるさせながら微笑んで何度も頷いている。


「しょ、書類は数日で届くそうです」

「うむ……そうか、ルリよ、よう頑張ったな。ルリは本当によう頑張ってくれた」

「いえ……」


 両手をぎゅっと握って潤んだ目で褒められると、ちょっと後ろめたい。

 確かに頑張ったけど、全力で褒められるほどには頑張っていない気がする。


 ミコト様により効果を制御されたお守りは、それでもよく効いた気がする。

 前倒しで始めた転職活動は、かなりとんとん拍子に進んだ。とりあえず受けてみた資格試験の結果はまだ出ていなかったけれど、面接でそのことを話したら試験内容を尋ねられ、記憶に新しいから澱みなく答えることができた。並行して勤めていた会社が人員削減を決定したため、それに乗じて退職を申し出られたのもタイミングがよかった。

 今考えてみたらうまくいきすぎな気もするけど、あからさまなお守り効果とも言い切れないくらいのレベルのうまくいき具合だ。


「ではもう面接に行かなくてよいのだな、ルリはゆっくりできるのだな」

「あ、はい。でも再来週から新しい職場に行くことになりますけど」

「あなや! もうすぐではないか!」

「5月からなら新卒と一緒に研修受けられるみたいです」

「春休みは……春休みは二月あると言っていたではないか……!」

「ミコト様それ大学の話」


 引き継ぎと有給で3月を終えて、5月から新しい会社に行けるのは物凄くラッキーな方だと思う。休みが長いと気持ちが緩んでしまいそうなので、いい具合に始められそうだ。


「ミコト様と、みんなが支えてくれたおかげですね」

「うむ……喜ばしいことだ……ルリが楽しく働けるならそれはよい……よいが……!」


 複雑そうな顔をしているミコト様は、もっと遊びたかったようだ。


「ミコト様、次の会社は福利厚生もしっかりしてるので、休暇もちゃんともらえるみたいですよ。夏休みもありますし」

「そうか、では夏に旅行も行けるのだな!」

「行きましょう。久しぶりに海に行きたいです」

「海か!」


 パッと笑顔になったミコト様は、早速バカンスに思いを馳せたようだ。私も旅行はしばらく行っていないので、残りの2週間でもどこかに遊びに行きたい。


「ではルリよ、早速計画を練らねば」

「そうですね。みんなも一緒に行けるとこにしましょう」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ