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第20話 占い街 カーラング 1

 

 山を下ると、再び草木が生い茂る森の中へと入るが。いつもとは違う。


「ここか」


「ええ。ここですね」


 森のでかい木々の上を見ると、そこには木製の建物がずらりと建っている。ジャックのいた世界で言うツリーハウスだ。辺りを見ると俗にいうポンヤ族と呼ばれる狸人みたいな生物がローブを付けて歩いている。

 カーラングはだいぶにぎわっているようで、他の種族や動物たちを見かけた。

 見た事ない生き物が商店街で買い物をしている姿は、ジャックにとってその世界に来た当時は不思議に感じていただろうがが、今だと、その不思議も感じていなかった。

 ジャックは辺りを見渡して、自分が今どこにいるかを示す物を探す。

 近くに木製の看板が立てかけられているのを見つけ、近づいてみた。



《占い街 カーラング》


 ハスラーは無精髭を触りながら呟く。

「カーラングか」


「まずは宿屋を探しましょう。話はそれからです」


 ジャックは街並みに漂っている種族の姿を見ながら彼の言葉にうなずいた。


「ああ。そうだな……にしてもポンヤ族だけじゃないんだな」


 ジャックの言葉にハスラーはポンヤ族とは別の種族がカーラングに歩き回っている光景を微笑みながら見つめ、彼の言葉に反応する。


「もちろんですよ。皆、未来や今後の展開について期待を持っているから、占いを受けに来るんですよ」


 ハスラーの発言に対してあまり良い印象を持ってないのか、ジャックは無関心な気分を出した。


「そんなもんかね。占いはあまり好かないな」


 ジャックの言葉にハスラーびっくりしている。


「ええ!? そうですか? 僕は好きなんだけどなぁ」


 2人が宿屋に向けて探し始めようとした時、後ろから突然1人のポンヤ族がジャックに話しかけた。


「おい! そこのあんた、ちょっとした面白い余興やってるんだ! 体験してみないか?」


 ジャックは、その声に反応する。


「俺か?」


 反応した先には青いローブを着たポンヤが立っていた。背は小さくローブのフードで顔は口元ぐらいしか見えなかった。


「そうそう! そこの見た事ない種族のあんただよ。俺はおたくらがどんな奴か当ててやるよ」


 どうやら見た事ない種族というのはジャックの事を示しているそうで。青いローブのポンヤはゆっくりと近づいて、ジャックの顔を見つめながら説明した。小さい背でありながらも目力はとても大きい。

 ハスラーはその姿にすごい期待した眼差しをさしているが、ジャックにとってこの光景はあまり好きじゃなかった。


「ん!? なんだよ!」


 ジャックの反応に対してポンヤはさっそく、彼らの身元を推理する。


「ああ。あんた、旅人だね。しかもベルマンから来た……」


 ジャックはそう答えるポンヤに息をのんで反応する。


「ほぅ……」


「あたりです!」


 ハスラーは驚いた。

 青いローブの彼はそのままジャックについて説明する。


「以前は役者かなんかしてたのかな……。とにかく演劇とかをたしなんでいた」


 彼が披露している推理余興の内容が当たっている事に少し、焦りを感じた。


「お、おぅ……」


 ジャックの態度を気にする事なくポンヤの彼は、そのまま推理を続けていく。


「それにあんたら何かを追い求めているな? 例えば物とか、そうだなぁ……円盤みたいな物とか?」


「何故それを!?」 


「これが俺の余興ってもんだぜ」


 ポンヤは、ジャックに見せるように左手を見せつけた。狸の肉球。

 若干赤く膨らみのある肉球。


「どの世界でもこういう事は共通なわけだな」

 

 ジャックは、溜息を吐き、ポケットからフォンダ硬貨を数枚取り出して彼に渡す。


「毎度あり」

 

 渡した後でジャックは推理余興をしたポンヤに告げる。


「でも、やるじゃないか。じゃあ、次は、宿屋はどこか教えてくれ」


 するとその言葉を聞いたポンヤは、左手の手のひらをジャックに見せる。

 手のひらを見せられた彼は、ある事を示しているのを察した。


「別料金かよ」


「へへっ。そういう事」


 ジャックはポケットからフォンダ硬貨を取り出して、ポンヤの手に置いた。

 ポンヤは、宿屋の方にフォンダ硬貨を握った左手で示し、答える。


「毎度あり! ……で宿屋はあの奥さ。分かる? あの赤い木の上に建ってる茶色いレンガでできたツリーハウス」


「あれですか?」


 ハスラーはポンヤが示すツリーハウスに対して指を指して確認した。

 それはカーラングでは1番大きな赤い木の上に建っている3階建てで構成された壁が茶色レンガのツリーハウス。

 ポンヤ族はハスラーが示す指に対して答える。


「そう。俺たちは、マーザの宿って呼んでる」


 ジャックは、反応した。


「マーザの宿?」


 ポンヤは腕を交差させて自慢するような素振りをしながら説明をする。


「俺たちの中でマーザは母親みたいなもんでさ。皆から慕われてる。勿論、そこら辺のポンヤ族とは違う」


「?」


「まぁ、実際に会いに行けば分かるさ」


 そういうポンヤを尻目に、ジャックは宿屋に向けて歩き始める。


「そうか。行くか。ハスラー」


 ハスラーは、首を縦に振り、うなずいている。


「ええそうしましょう」


「もうちょっとくれよぉ」


 そう言いながら2人の後ろを歩くポンヤ族に対してジャックはため息をついて、自分のポケットからフォンダ硬貨をもう1枚、親指で後ろに弾いて渡し、2人は宿屋に向けて足を動かせて行った。



記念すべき第20話です! 新しい街へ入りました。ここからカーラング編です。


宜しくお願いします。

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