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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
5章 槌が奏でる狂想曲(カプリッチオ)
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79話 男同士の会話

 セリフの前のスペースですが自分で見ててもこっちのほうがいいような気がしてきました。なので、できれば、明日からの盆休みを利用して直してみたいと思います。

 今、置かれている状況が理解できずに放心する。だってさ、鍛冶ギルドに来たと思ったら作業場だったりおっちゃんの名前出したら平伏せられたと思ったら、次は宴会やってるんだぜ?まだ日が高い時間から始めてから既に日付が変わろうかという時間になってるのに始まった時のテンションのまま飲み続け得るドワーフってここまでくると呆れを通り過ぎて尊敬するよ。


 ルナなんか特殊スキル、不眠ブレイカーを発動させて気持ち良さそうに俺の肩を使って寝ている。横を見るとテリアが美紅の膝枕して貰って寝ていた。ヤツも特殊スキル持ちか!


 美紅に聞こえるだけの大きさで話かける。


「これは苦行か?」


 正直、大声で叫んでも無視されそうではあるが叫ぶ元気もないのだよ。

 美紅は苦笑しながら言ってくる。


「どうやら、おじ様はドワーフ国の1,2を争う鍛冶師だったようですね。しかも、弟子入りしてくる奴を追い返すのが面倒だからと雲隠れしたということのようです」

「それはなんとなく素人の俺から見ても凄いと思ってたから有名人だとは思ってたけど、ここまでその知り合いがきただけで騒ぐほど凄いのにはびっくりしたな」


 美紅は優しい目で廻りを見渡すと、首を横に振る。


「勿論、おじ様が凄いというのもあるとは思うのですが、皆さん、こうやって騒ぐ理由があればなんでもいいって思ってるんじゃないでしょうか?」


 俺も美紅に倣って廻りを見渡す。あの楽しそうな顔と楽しそうに話をしてるように見えるのに噛み合わない話をして笑いあってるあの集団。


「ただの酒飲みの肴に捕まっただけやん!」

「そうですね」


 俺と美紅は顔を突き合わせて苦笑いをして、日が上がれば終わるだろうと思い、それまで頑張ろうと気合いを入れた。



 最悪、その時間になれば終わるだろうという意味で言ったのに本当に朝日が昇るまで続いた宴会が続いた。さあ、みんな帰って寝るなり、この場で寝たりするのかな?って思っていると何事もなかったように作業場に戻って火を起こして槌を振い出す。


 それを眠たい目で見つめ、俺は思った。


 コイツら絶対おかしい!


 20時間近くぶっ通しで酒飲んで騒いでたのに寝もせずに鍛冶してるなんて、三大欲求の食欲、睡眠欲、性欲の睡眠欲を凌駕する鍛冶というより自分の趣味に傾ける欲望が凌駕するとかありえな・・・いこともないかもしれない。

 趣味で突っ走り過ぎて体壊す人っているからな・・・


「トオル君、どうしたのですが?遠い眼してますが?」

「いや、なんでもないんだ。うん、なんでもない」


 どこかで宿でも捜して一眠りするかと考えだした時に目が覚める。よく考えたら俺がここにきた目的何も進んでないよ!

 昨日、受付といってたドワーフを捜すと昨日と同じところで槌を打っていた。


「あの~すいません。昨日の話の続きよろしいですか?」

「なんだっけか?ってかアンタは誰だ」


 なんだろう、このリセット疑惑。コメカミにちょっとしたマークが出るぐらいは許される気がする。


「えっと、デンガルグさんの紹介で伺った者なのですが・・・」

「なんだと?証明できるものはあるのか!」


 何か恐ろしいと感じる自分がいるが勇気を振り絞って取り出す。

 取り出した槌を見たドワーフは平伏したかと思えば、立ち上がって後ろを向いて叫ぼうとする。


「デンガルグさんの知り合いがきたぞ!えんか・・・」

「それはもうええわっ!!」


 持ってた槌で割と身体強化してなかったとはいえ、割と手加減してない力で殴る。

 ドワーフの受付は、ウゴっとうめき声をあげて倒れる。

 思わず、魂の遺伝子が俺を突き動かしてやってしまった。ヤバいかと思っていると、殴られた頭を押さえながら立ち上がる。


「槌は鍛冶で使うもんで殴るもんじゃねぇーよ」


 頭をガリガリと掻きながら何事もなかったように立ち上がる。

 な、なんだと、ドワーフは不死身なのか!

 俺が勝手に一人で戦慄を感じて話が進まないと美紅が頭を抱えて代わりに話をしてくれる。


「トオル君が酷い事してごめんなさい。デンガルグさんの紹介である人といいいますか、エクレシアンの鍵について詳しい方を紹介して頂きたくやってきました」

「ああ、なるほどな。確かにデンガルグさんの紹介でもなければ門前払いにしたな。それでも紹介してもいいものだろうか。今、ちょっと立て込んでる」


 受付のドワーフは顎ヒゲを弄りながら唸る。

 復帰した俺が問いかける。


「何かあるのか?」

「個人的な事だから俺から言う訳にはいかん。とはいえ、無碍に帰すのもなんだから会わせるところまでは世話をしよう。それより先はお前ら次第だ」


 若干、考えるのが面倒になったという雰囲気が漂うのは気のせいだろうか?

 着いてこいと言われ、まだ爆睡中の2人を叩き起こして、受付のドワーフについて行った。



 作業場、ドワーフはギルドと言い張る場所の奥へと連れて行かれる。突き当りにあるドアの前に来ると、ここだっと言われ、ドアを開けるとドワーフは去っていく。え?繋ぎせずにそのまま帰るの?と思ってる間に受付のドワーフは曲がり角を曲がって姿が見えなくなる。

 仕方がないので俺達は顔を見合わせて、失礼しますっと言って中に入る。


 中に入ると丸テーブルに丸椅子があるだけの部屋であった。その丸椅子に座るドワーフはジョッキでおそらく酒を煽りつつ、こっちをチラっとみた。


「帰れ」


 その一言だけ言うと手酌でジョッキに酒を注ぐと煽る。


「俺達はデンガルグさんの紹介で来た者です。お話だけでも聞いて頂けませんか?」


 おっちゃんから受け取った槌を目の前のドワーフに見せる。

 先程から反応がなかったドワーフが僅かなりに反応を見せる。その反応を見た俺は気付いてしまう。同じ男である俺はそれを見なかった事にできない。


「どうか、お話を聞いてください。私達はどうしても貴方に聞かせて頂きたい話があるのです」

「帰れ」


 美紅が必死の思いを伝えようと頑張るが、目の前のドワーフは再び、同じ言葉を捻りだすが、先程と違う事がある。俺から視線を切らないのだ。俺が気付いたようにこのドワーフも俺に気付かれたと自覚したのであろう。


 再び、言葉を重ねようとした美紅の肩を掴む。トオル君?と俺が何をするつもりなのか分からない美紅は戸惑う。戸惑う美紅に何も答えずに後ろに下がらせる。

 そして俺はドワーフの目の前に立つとドワーフも俺が来ると椅子から降り、下から俺を睨む。


「おっさん、あんた、デンガルグのおっちゃんの友達かライバルとかだろ?今さっき、俺が槌を見せた時の反応で分かったよ」

「だったらなんだと言うんじゃ、小僧!」


 先程まではボソっと言った話し方だったのにも関わらず、腹から響く声で俺に言ってくる。下手な威圧よりビクっとくる。

 しかし、俺も引く気はないから腹に力を入れて、言い返す。


「デンガルグのおっちゃんの槌を見て、今の自分の姿を見られたと誤認して恥ずかしくなったんだろ?」

「小僧が何を語る!お前なんぞに分かってたまるかっ!ワシが何に悩んでるのかも知らん癖にっ!」


 俺は上体を反らしてドワーフの頭に頭突きをして、踏ん張るドワーフと額と額で相撲をするように競り合う。


「おうおう、最初の帰れと言ってた時から考えたらえらく舌の潤滑油を良いやつに替えたのか?よく喋るじゃねぇーか。ああ?おっさん、そうやってグチグチやってる自分が嫌なんだろ?すっきりしようぜっ!」

「この小僧がぁぁ!!」


 俺を押し返そうと更に力を入れてくる。


「トオル君、いきなり何をしてるですか。私達は喧嘩しにきたんじゃないですよ」

「そうなの、喧嘩腰で纏まる話も纏まらないの!」

「アンタ、なんでそんなに切れてるのっ!」


 3人が喧嘩を止めようと言ってくるが、


「「女は黙ってろ!!」」


 俺とドワーフは息がピッタリと言わんばかりに3人に怒鳴り返す。


「悩んでる事があるなら俺に話してみろよ。少なくともここで女々しく酒飲んでるよりずっといいだろうがっ!」


 ジリジリと押し返す。


「小僧に話をしたからって何がどうなるというんだ」

「だから、俺が・・・」


 グイっと前に押し出して、さっきよりも上体を反らして勢いよく額に打ちつける。


「力になってやるって言うんだよっ!!」


 俺に打ちつけられたドワーフは大の字になって倒れた。


「ドワーフと頭突き勝負して勝つ小僧、お前は何者じゃ?」

「俺か、ちょっとだけ大きいオッパイが好きな好青年、トールさ」


 ドワーフはくっくく、と笑ったら爆笑する。本当に楽しそうにふっ切れた笑い顔をして俺を見つめる。


「つまり、馬鹿か。なら勝てないのも道理じゃ」

「それはひでぇよ。で、おっさんの名前は?」


 ちょっと拗ねた顔をしながら俺は聞く。


「ガンツじゃ、ガンツだろうがおっさんだろうが好きに呼べ」


 俺はガンツに手を差し伸べると手を掴んでくる。ガンツを起こすとお互いに笑みが零れるのを見て、何やら友情めいたものを感じた。


 さて、事情を聞こうと口を開こうとしたら俺の肩を掴む者がいた。ルナである。


「徹、女は黙ってろはないんじゃないの?酷いと思うの!」


 ルナの横に並ぶようにして睨む美紅が短く叫ぶ。


「正座っ!」


 そう言われると俺は条件反射のように正座する。横を見るとのっそりと俺の横に正座するガンツの姿が・・・


 俺の顔を見るとニヤリと笑う。俺もニヤリと笑い返す。ガンツが俺の事をどう思っているか分からないが決めた。俺はガンツの友達だ。なんとなく仲良くやっていけそうな気がする。


 ニヤけてる俺を見た2人の怒りとお説教がヒートアップする。愁傷な態度をしてても俺達2人の口元はニヤけたままであった。


「どうでもいいが、このお嬢ちゃん達、女を見下した発言を怒ったのは初めだけで、胸の事ばかり言っておらんか?」


 俺だけに聞こえる声で言うガンツ。その返答とばかりにガンツにだけに見えるように苦笑いをしてみせた。

 感想などありましたらよろしくお願いします。

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