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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
5章 槌が奏でる狂想曲(カプリッチオ)
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77話 赤髪の少女

 昨日、更新してから気付いたのですが、休んでる時のほうがブックマークと評価がついたのですが、連続投稿ってあんまりよろしくない?

 ちょっと考えてみます。

 クラウドを出て、2日経った時に村に着いた。そこの村で聞くところによるとドワーフ国の首都というか鍛冶ギルドの総本山的な扱いのようだがそこに行くのは馬車ではいけない山道のようだ。

 俺達は相談して、馬車をここで手放して歩く事を決める。


 時間も昼を過ぎてて今から出発しても深夜になると聞かされ、一晩泊ってから出発する事にした。


 日も暮れ村に唯一あった宿で食事を出して貰ったが、さすがドワーフというべきか、明らかに酒を意識した味付けの濃く辛い料理が多かった。ルナが若干辛そうにしていたが俺と美紅は平気そうに食べた。しかも、廻りのドワーフの飲みぷりが良く美紅の健啖家な食べ方を見ても視線を寄こすような人がいない細かい事を気にしない民族性を見たように思った。


「味の薄い食べ物が恋しいの・・・」


 そう言いつつ、リンゴを齧るルナ。

 次、注文する時は塩味だけの料理を別に注文してやろうと俺は思った。

 まあ、俺達も普通に飲み物が酒を出されそうになって慌てて止めて水にしてもらうという場面もあった。


 本当にドワーフというのは豪快な種族のようだ。デンガルグのおっちゃんを見てれば納得するしかないと思うが、種族的にそういう傾向があるってのはある意味凄かった。


「とりあえず、明日の朝に出発してドワーフ国の首都・・・なんて名前なのでしょう?」


 美紅が疑問に思ったらしく、俺に聞いてくるが首を振って答える。


「俺も気になって何人かのドワーフに聞いて見たんだが、「首都は首都だ!」って言われて終わりだった」


 凄まじく、自分に興味がない事にはどうでもいいというスタンスの極端さが半端ない。


「えっと、首都に向かい、鍛冶ギルドに行っておじ様の紹介だと伝えて会える方から情報を得るでいいんですよね?」

「ああ、その人から話を聞きださない事には前に進む事はできなさそうだ」


 多分、おっちゃんはドワーフ国の有名人じゃないかと俺は思っている。その紹介だとこの槌を持って行くとどんな事が起こるか理解不能だ。


「このまま話をしてても何も分からないだろうから明日の事考えて、早めに休もうぜ?」


 そして、俺達は早めに休む為に代金を払うと部屋に戻り、寝た・・・といきたかったが、酒盛りで盛り上がってるドワーフの喧騒に眠りにつけないと思ったらさすがルナ。あの騒ぎをモノとせず寝ている。ルナの大物ぷりに美紅と顔を見合わせて笑うとお互い毛布の中に逃げ込んで少しでも音を遮断させて寝る努力をした。

 結論、毛布の防御力は期待してはいけないという事を身を持って知った夜だった。



 次の朝、眠さに欠伸をしながら俺達は首都を目指し歩き始めた。


「2人とも眠そうだけど、私が寝た後、何かあったの?」


 怪訝な顔したルナが質問してくるが、俺はゲンナリとした顔をして答える。


「というか、なんでお前はあの煩い中寝れるんだ?」


 俺の言葉を聞いた美紅も秘訣があるなら是非と詰め寄る。

 ルナはえ?っという顔をすると言いにくそうに言ってくる。


「目を瞑って寝ようと思ったらいつでも寝れるものじゃないの?」


 もう、何も信じない!そんな不眠ブレイカーが存在するなんて・・・

 眠さの為に色々壊れてる俺はそんなくだらない事を考えながら猫背になりつつ山へと向かった。


 しばらく歩くと頭がはっきりしてきたのか眠さが飛んで元気になってきた。

 そんな俺を見て美紅は苦笑している。何かおかしい事をしているのだろうか?


「そんな血走った目で元気だって感じで歩いても怖いだけなの。そこの川の傍の木陰でお昼をするついでに寝るといいの」


 え?俺ってそんな徹夜明けのサラリーマンみたいな感じになってるの?それは不味い気がした俺はルナの提案を受け入れて、軽く食事をして寝る事にした。


 俺は美紅に揺すられて目を覚ました。食事をして横になったらすぐ寝てしまったようである。夢すら見ない深い眠りだったようで、アイツが出てこなくて何よりだった。


「そろそろ出発しますので川で顔を洗ってきたらどうですか?」

「そうするわ、起こしてくれて有難う美紅」


 俺は欠伸を噛み殺して川へと向かう。美紅も昨日は寝れてないのに俺を起こす側か、相変わらず隙のない美紅である。え?ルナ?寝てたはずなのに出てくる前の状態で2度寝に挑もうとしてたよ。


 美紅はルナにかかりきりな為、1人で川へ向かい顔を洗って目をすっきりさせる為に向かった。すると川の流れの音とは違う水音がするのに気付き、そちらのほうを近づいて行った。


 小さな滝がある前に少女がいるのに気付く、俺より1~2歳年下かな?といった少女で、髪は赤く、軽くウェーブかかった髪は肩のあたりで揃えられている。年頃の子と比べたら胸は大きい方であろうがまだ俺の食指は動かないがルナ達と比べれば圧勝の大きさで、とても形が良い将来性を感じさせる。全身の肌はやや病的に白く、あまり日に当たった事がないのではと感じさせる。

 えらく細かい所まで分かるのは、何せ、彼女は真っ裸だからであった。

 俺達はお互い固まったように動かなくなり、硬直している。勿論、このままでいるのも不味いとは分かっている。しかし下手に動けば叫ばれてルナ達に殺される恐れがある為に動けない。でも、分かってる。きっと未来は変える事のできる未来と変えれない未来があるという事を・・・


「きゃぁぁぁーーーー!覗き魔いる!!」


 ふっ、もう何も怖くない。受け入れ準備は完了していると俺は悟った男前な顔をしてその時を待つ。下半身のガクガクした震えた足がなければ、全国の女子高校生のみなさ~ん、と叫べば黄色い声援が貰えたかもしれないぐらい男前だったはずである。

 体を隠して川に沈む少女の行動と飛び出してきたルナ達のタイミングはバッチリである。さあ、こい!俺の覚悟は完了している。


「待って、俺も事情が分からない。わざとじゃないんだ。許してくれ!」


 テンパってもう俺自身何を言ってるのか分からなくなっている。とりあえず、はっきりしている事は徹も生きてるの・・・命大事だよ?って事だが、俺に向かってくるルナ達の目を見て希望を捨てたほうが良いと悟る。

 俺は再び寝る事になりそうだ。それがどうか短い眠りである事を切に祈り、ルナの拳が俺を打ち抜くのを確認して意識を手放した。



 ハッと怖い夢を見た後のように飛び跳ねるように俺は起きた。赤髪の女の子の沐浴姿を見た事によりルナ達に殺される夢を見た。


 俺が起きたのに気付いたルナが、確認してくる。


「ちゃんと蘇生魔法成功したと思うけど大丈夫?」


 今、蘇生魔法と聞こえた気がするがきっと回復魔法と聞き間違ったと自分に言い聞かす。廻りを見渡すと日がだいぶ傾き、美紅は料理の準備に追われていた。が、その前で美紅の調理風景を楽しそうに見ている赤髪の少女が目に入る。


 おかしい、あの子は夢で出てきたはずの女の子のはずだ。傍にいるルナに確認を取る。


「なぁルナ、俺、お前達にボコボコにされる夢を見たんだ。沐浴中の女の子に遭遇してしまって、覗き魔扱いされて、お前達に必死に説明しようとするんだが問答無用にされる夢をな」

「へ、へぇー、夢の中の私達は酷い事をするの」


 思い切り目が泳いでいるルナを見て、どうやらあれは夢ではなかったようである。

 ふぅ、と溜息を吐き、俺は立ち上がり、無事生きてるって素晴らしいと実感しつつ、美紅がいるところにやってくると美紅が申し訳なさそうな顔をしている。正面の女の子はフンっと横を向いてこっちを見ない。


「トオル君、ごめんなさい。落ち着いて考えたら、顔を洗うのを勧めたのは私だから覗きに行ってないって分かったはずなのに」

「気にするな・・・とは言い難いが、俺もなんて言ったら納得して貰えるか必死に考えたが説得無理と思ったぐらい状況は悪かった。笑って済む状況だったからいいが、ここぞって時は気を付けてくれ」


 はいっと落ち込む美紅の頭を撫でた後、美紅の正面にいる少女に視線と体を向けて、頭を下げる。少女は、なっ、と声を上げて突然の俺の行動にビックリしているようだ。


「今の美紅の様子だと事情説明はされてワザとじゃないとは聞いているかもしれないが、故意だろうが事故だろうが君に取ったら恥ずかしめを受けた事実は動かない。俺でできる事で何か詫びをさせて貰えないだろうか?」


 先程まで気の強さが前に出ていた少女はしどろもどろになって、俺と美紅に視線を交互に泳がしていた。


「だから、言ったの。徹はきっと誠意を持って謝ってくるって」


 後ろから少女に、ね?本当に自分から謝ってきたでしょ?といい、少女の傍に行くと両肩を掴んで、言ってごらんっと笑顔で伝える。


「フン、詫びといったよねっ、しばらく、資金や食べ物をアンタ持ちの旅に付き合わせてっ!」


 頬を赤くして俺から視線を切る。

 安全な旅ならあっさりOK出した内容ではあるが、今の俺達に着いてくるというのは危険すぎるように思っていると美紅が優しげな視線を寄こして俺に言ってくる。


「トオル君が何を心配しているかは分かるつもりです。ですが彼女はその危険を承知でトオル君を捜していたようなのです。エルフ国でトオル君がした事を知って頼みたい事があるがその前にトオル君の傍で見極めたいそうです。なので一応、確認の意味でも危険を説いてみましたがそれでも意思が変わらないそうです」


 俺は少女を見つめ、意思は変わらないか?と聞いた。


「その為に私はここにいるのっ!あんたが駄目って言っても着いて行くからっ」


 噛みついてくるように言ってくる少女に俺は横に首を振る。


「言わないさ、堂々と一緒にくればいい。でも、まずやらないといけない事があるだろ?」


 俺がそういうと少女は警戒するように身構える。

 その様子を見て苦笑いをして俺は手を差し出す。


「俺の名前はトールだ。赤髪の君は?」

「テリアよっ!しばらく世話になるわっ」


 顔を真っ赤にしながら握手をするが視線を合わせないのになかなか手を離そうとしない。

 苦笑が漏れそうになるが、なんとなく仲良くやっていけそうな気がした。

 感想などありましたらよろしくお願いします。

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