6話 冒険者ギルド登録
連日投稿になります。
6話です、よろしくお願いします
禁断症状、そうそれは人が生きていくうえで避けて通れない問題ではないだろうか?禁酒、禁煙、ダイエット、この言葉を聞いて良くない事だと言う人は少ないだろう。しかしだ、酒好き、ヘビースモーカー、太ってしまった人がこれらの事を実行、達成せずに挫折する実情が周りを見渡してもあるのではないだろうか?仕事終わりに1杯、食事の後の1本、3時のオヤツに深夜の夜食。
これらを聞いてドキっとした人もいるはずだ。そんな時のストッパーを外す役目をするのが禁断症状ではないかと俺は思う。
そして言うのだ、禁断症状から生まれた、もう一人の自分が、「ほんのちょっと先っちょだけ。」と、もう一人の自分はその先は勧めてこない。なぜならば、手を伸ばしたら最後、勧めなくても本体が暴走する事を知っているから。
しかしだ、これも手を伸ばせば届くような所にないとなるともう一人の自分は出てこない。が、届く所にあれば・・・
俺は今、冒険者ギルドに来ている。クラウドに入って正面に大きい建物があるなって思ったら、そこが冒険者ギルドであった。ギルドに向かう道すがら観光気分できるかと思ってただけに拍子抜けしてしまった。
登録するためにカウンターについた俺はおもむろにカウンターに飛びつき、子供が車の窓の外に乗り出して足をバタバタさせるような15歳がそこにいた。
「ゆーれる、お胸様が~み~ぎ、ひだ~り~」
俺のユートピアがそこにあった。アローラにやってきてから巨乳成分が欠乏してた俺は今、猛烈に幸せを噛みしめている!
後ろから万力を思わせる力を発揮したルナが俺の頭を鷲掴みにしてくる。しかし、アドレナリンが過剰分泌している俺を止めるのは無理な相談である。猫が猫じゃらしを追いかけるように幸せの塊を見つめる。
「えっと、ボク、何しに来たのかな?」
立派な胸を持った、ギルドの受付嬢は俺に問いかける。良く見ると引き気味でコメカミに血管が浮いてるのに気づけるはずだが、幸せな塊に釘付けの俺には見えてなかった。
受付嬢にされた質問を聞いた俺は、そんなこと決まっていると即答する。
「そのオッパイをもみ・・・ゲハッ!」
「ギルドに登録しにきたの、ふん!」
まず、俺を黙らせる1発を打ち抜いて、要件を告げてトドメをいれてくる女神が俺の後ろで仁王立ちしていた。やっぱりコイツは俺にたいして遠慮、容赦がない。
痛みに身悶えしてる間にルナが書類関係の手続きを俺の分もやったようだ。名前ぐらいしか書く事はないようだが。ちなみに俺の登録名はトールって書かれている。トオルって書けよって思ったが響きが似てるからたいした違いはないかと思いほっとくことにする。
「次はジョブの確認をしますので、この水晶に触れてください。この水晶に触れると犯罪歴があれば分かる仕組みになっており、あった場合は登録はできかねますので、ご了承ください」
そういうと、水晶をまずルナの前に置く受付嬢。
躊躇せず、水晶に触れるルナを見て、ジョブが女神とか出るんじゃね?って心配しだした時には結果が出たようで登録した紙に書き込み始めていた。
「ルナさんはモンクのようですね。見た目からは想像できませんでしたが、さきほどの彼を打ち抜いた拳を見たので納得のジョブですね」
普通の女神のジョブの代替品とかって白魔導師とか僧侶が定番じゃないの?僧侶は僧侶でも拳系のモンクってワロタ。もちろん、顔に出して打ち抜かれるようなヘマはやらない。
そして、受付嬢は今度は俺の前に水晶を置く。
「では、トールさん触れてください」
「触れていいんですか?」
ええ、どうぞっと受付嬢が言うので遠慮せずに触れることにした。胸に。
フニョンって擬音が聞えるような柔らかさが俺の手に伝わる、そして俺の顔に二つの拳の感触が伝わる。ルナと受付嬢の夢のコラボレーション、ダブルパンチが俺を打ち抜く。凄く痛い、反省はするが後悔はない。俺の右手がとても幸せだった。
ルナは俺の右手首を捕まえると水晶の上にあてる。幸せな感触をどさくさに紛れて2度目を狙うつもりだったが無理のようだ。
水晶から俺の情報が映し出されたようで、受付嬢が水晶を覗きこむ。そして、何故か2度見すると俺の顔をみて微妙な声を届かせる。
「トールさん、あなたの職業は開拓者です」
「え?それって未開の地で村を作ったりする人のこと?」
「いえ、開拓者というのは読めないジョブが1つあって、そのジョブの特性を見て開拓者と呼ばれているだけです。厳密に言うと開拓者というジョブは存在しておりません」
え、俺ってレアジョブなの?でも微妙そうな声で伝えてきてるし、良くないジョブなのだろうか。
受付嬢に説明を求める。
「開拓者って何なんですか?」
「開拓者というのは今まで存在してなかったジョブを発現させるかもしれない可能性を秘めたジョブです。過去に2度、ユニークジョブといったジョブを発現させたという記録があります」
なんか宝くじが当たれば左うちわで、外れるのが基本って感じの残念ジョブのようだ。ちょっと落ち込んできた。
「その読めない文字ってどんなのか教えて貰っていいですか?」
「いいですよ。こんな感じの文字のようなものが書かれてます」
そういわれて、受付嬢が書いた文字を見つめる。「ニー・・・」、ウォ!続きを読む精神力は存在しない。確かに可能性だけは存在してるジョブと言える。俺ってそんなにダメな存在なのかな。
ちょっと落ち込んでいたら、書類手続きが完了したようだ。
「では、ギルドについての説明に入りますね」
要約するとこうだ。冒険者同士ケンカしちゃダメだぞ?仲直りの手伝いはギルドはできないので、自分で頑張って、ギルドに登録してる状態で犯罪に手を染めると指名手配でザックリだよ?ってのがギルドの規則らしい。
そして、ランク制を取り入れているらしく、下がFから始まってアルファベットの逆順番で上がって、Aの次がSらしい。基本的に自分のランクの仕事しか選べないが、ギルド側と交渉次第で1個上のものが受けれる。だが、これは形骸化していて、1個上のものは余程の特殊なものじゃない限り、受けられるらしい。
と、そこまで説明し終わったら、登録料、銅貨5枚ですと言われる。
ルナと見つめ合う。俺達、今、金ないな。
「ちょっと待って、イノシシの肉を持ってきたからそれを売ってからでいいかな?手持ちがないんだ。」
おっさんに肉を渡してもらおうと思って振りかえると、そこにはおっさんはいなかった。まさか、肉を持ってトンズラとかか?さっきまで上がってた株は油断を誘う罠だったと言うのか!
と、などと心で罵っていると
「何をキョロキョロしてるんだ、小僧」
「おっさんがいないから捜してたんだよ。どこ行ってたんだよってか肉はどこだ?」
慌てる俺を見て、俺の手を取って掌にちょっと冷たいものを載せる。
「肉なら待ってる間に売ってきてやったぞ、銀貨1枚と銅貨30枚、思ったより良い値段で買ってもらえたようで良かったな」
この気配り、この顔から想像できなさがたまらんな、惚れてまう・・・まあ、この件はいらんよね。
正面に向き直り、受付嬢に聞く。
「2人だから銅貨10枚でいいんかな?」
「はい、銅貨10枚をお願いします」
銅貨10枚を受付嬢に渡す。
「では、登録証をお渡ししますので、少々、お待ちください」
そういうと、立ち上がり奥へと歩いていく。
待ってる間、暇だから話でもすることした。
「ギルドの仕事ってどんなのがあるんだろ?」
「依頼はそこらの柱や壁に貼られてる紙があるじゃろ?その紙に書かれてる仕事を選んで受付を通してする。ものによって、受けてなくても受理される常駐クエストっていうのもあるから、後で良く見るといいじゃろ」
周りを見渡すと確かに色んなとこに張り紙がされている。あれが依頼なのだろう。結構あるから良さそうなのを探すのも一苦労な感じがするな。やっぱり定番の薬草採取とかだろうか?討伐系はナイフしかないから無理かな?ルナの拳は凶器だからいけるだろうか?
キョロキョロしてると受付嬢が戻ってきた。
「こちらが登録証になります。お受け取りになられてください」
俺とルナの眼の前に銅色したカードを置かれる。
カードには、
トール 開拓者 F
とだけ書かれている。
必要最低限のようだ。
ルナ モンク F
まあルナのもチラと見たが同じようかかれている。
「以上で、説明と登録が終了しましたが、他にお聞きになりたい事がありましたら、今でもいいですし、後日でも質問してください」
「では、早速、その大きなオッパイ揉んでも・・・」
今日、何度目かの後ろから打ち抜くダメージが襲いかかる。
途中までしか言えなかった俺は、崩れ落ちる。そして、意識が朦朧としてる俺の襟首を掴んだルナが、
「特にないの。分からない事ができたら聞きに来るの」
「はい、いつでも聞きにきてください。後、彼を一人で受付にこさせないようにお願いします」
頷くルナに綺麗なお辞儀で俺達を見送ってくれた。俺はルナに襟首を掴まれたまま、依頼が張り出してるエリアまで引きづられて向かうのであった。
「馬鹿じゃ、心に秘めるじゃろ?普通は」
おっさんは溜息混じりに引きづられる俺を見る。
俺のオッパイが遠くなっていく。霞む視界はきっと室内の湿度が高くて霧状になっているせいだと俺は思う事にした。
徹は犯罪を犯したのに反応しないとか思った方、未成年、刑は執行された(タブルパンチ)、ファンタジー(便利な言葉)を3度唱えて、騙されてください。
次も連日に間に合うかもしれませんが一応1日余裕見ておいてください。
感想などありましたらよろしくお願いします。