幕間 彷徨う者
短いです。
序盤最後の話になります。よろしくお願いします。
全身に駆け巡る激痛に耐える。体の中を蛇がワザと神経に触れるようにして這いまわる感覚と説明する以外に適当な説明ができない痛みを、3日耐えていた。
「くそぅ、が!いつまでやってりゃー気が済むてんだぁ!いい加減飽きやがれ」
痛みのせいで噴き出した汗により青色のライダースーツのような服から塩が噴き出して、青の中に白が生まれていた。
それだけの痛みに耐えながらでも目から発せられる気力に衰えは見えない。むしろ、10日前の自分と比べてもきっと今のほうが充実してると見た誰もが思ったであろう。
その男は長い間、答えを求め彷徨ってきた。その虚無感から色んな事をやってみたが満たされる事はなかった。
そんなある日、その男に無色透明だった世界に色を付けた男と出会った。その男と戦ったが正直、大人が赤ん坊と戦ってるよりも酷い戦力比でまったく勝負にならない弱さだった。しかし、そんな相手だったのにも関わらず、その男の心は躍り、世界に色付き始めた。
戦ってみて分かったが、まだ戦い方も知らず、これから成長する奴だと気付いた時は震えた。もしかしたら、こいつが俺が待ってた奴ではないだろうかと。
俺はあれから何度同じ問答を自分に問いかけてきただろうか。いつ俺は選択を誤り、どこだったら回避できたのだろう、いくら問いかけても何も返ってこない日々。そこで自分の前に現れた男はその問いに答える事ができる、示す存在かもしれない。
「俺の期待をうらぎんなよぉ~、なぁ、徹よ」
痛みによる汗を滴らせながらも獰猛な笑みを浮かべた。徹との再戦の日を楽しみが痛みを凌駕していた。
ふと見上げた空に浮かぶ月を見つめ、呟く。
「もうすぐだ、もうすぐ、俺が納得する答えが出る。だから、もう少しだけ待っていてくれ、シンシヤ」
あの猛獣のような表情が抜け落ちた素の表情をするがそれは一瞬の事で男は口の端を上げて目を瞑り、いつ終わるとしれない痛みに耐え続けた。
感想などありましたらよろしくお願いします。




