表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
4章 ユグドラシルに導かれた者
64/242

60話 女とは可愛く、賢く、恐ろしく

 では、60話になります。よろしくお願いします。

 俺はユグドラシル、ミドリと別れて洞か出ててくると3人が待っていてくれた。手を上げて近寄ると3人が怪訝な顔をしたと思ったら揃ってジト目で俺を見てくる。

 代表するようにルナが俺に声をかけてくる。


「中で何があったの?」


 明らかに目が据わってる女神が俺を威圧してくる。

 俺はやや怯みながら答える。


「色々と事情を聞かせて貰ったり、なんで、ティティに宣託を授けたとか聞いて来たんだよ」


 ルナはへー、フーンと気のない返事をする。


「私達が聞きたいのはそんな事じゃないんですよ、トオル君」


 俺は思わず、後ろを取られただと!と呟く。気付くと俺の後ろには美紅がおり、そっと俺の背中に手を当てる。

 美紅さん?の心臓の位置に手を置いてるのが偶然ですよね?


 ビクついてるをクスクス笑いながら話しかけてくる我が妹ことティティが声をかけてくる。お願いしますから目の方も笑ってください。宰相にした時の顔のほうが優しすぎるよ?


「兄様、お二人がお聞きしたいのは、兄様の首に付いてるモノの説明を求めてらっしゃるのですよ?」


 ティティは自分の首の右側あたりを指を差しつつ、俺に手鏡を渡してくる。その手鏡は私のお気に入りなんですが、差し上げますと言われる。


 受け取った俺はティティが示した場所を見ると、ああ~これってテレビとか漫画で見たことある、ある。そうそう、アレ、アレ。

 口をパクパクさせる俺を見て、例の目が笑ってない笑顔で言ってくれる。


「キスマークですね、兄様」

「ちゃうねんっ!」


 まったく身に覚えがないキスマークにしどろもどろになる俺を囲む3人。

 右からは烈火のルナ、左からは絶対零度の美紅、正面には不動の如くの山のティティ。


 魔神より怖いと思える鬼神達が目の前にいた。


「その首に付いてるのは祝福なんですけどね。ユグドラシルからの贈り物ってとこだから兄様は気付かなかったとしてもおかしくはないんですよ」


 ティティがそう説明してくれて、場の空気が落ち着きを取り戻す。知ってるなら早く言ってくれよと思うがせっかく落ち着いた空気に乗るべきと思い、話しかけようと口を開きかけた時を狙った如く、ティティが話を繋ぐ。


「別に跡さえ付ければ何でもいいのにキスマークなのは何故なのでしょうね?」


 そう言うと、再びのトライアングルが完成する。


 王とのやり取りを見てた時もチラっと考えてたが、ティティは間違いない、Sだ。怖いからドは付けないが10歳になる前でそれが発現させてるティティは恐ろしい子!


「そ、それはアレだ。俺をアローラに呼んだ1人としてのきっと詫びみたいなものなんだよ」


 俺の必死の説明を聞いて、3人はビックリする。ルナと美紅の驚きとティティの驚きは違うようだが、素の3人に戻ってくれる。


「アローラに呼んだっていうのはどういう事なのですか?」


 ティティがが聞いてくる。そういや、ティティは俺が異世界人とは知らないんだよな。


「ああ、それは俺も美紅と同じ世界の住人なんだよ。ただ、美紅と違う経路でこっち来ていたようなんだが、どうしてアローラに来たのか今までさっぱり分からなかったんだよ」


 ティティは俺から目線を切ったと思ったら考え込みながらブツブツと考え事を纏めようと必死になってるようだ。


「どう言う事なの?徹」


 説明を求めるルナに中で聞いた話を順を追って話す。見初めたとか名前を教えて貰ったなどをボカすのは忘れない。何せ、何か大事なモノを失う恐怖が俺を突き動かす。


「何か釈然としないモノは感じるけど、事情は分かったの。何かをボカされてる気がするけど」


 俺の必死にボカしを感じとるアイツは神か!神でしたって久しぶりな感じがする。背中に冷や汗が流れているのがバレないかとドキドキしながら見守るが追及する気はないようだ。


 流れを逃さないと定評のある俺は流れに乗る。さっき乗り損ねたとか聞こえない。


「まあ、今回得た情報は気になるとこが多いが、緊急性があるのはモンスターを操ってる奴の阻止とその装置を奪取もしくば破壊するという事だと思うんだ。ティティ、ユグドラシルが言ってる洞窟に心当たりはないか?」


 先程まで考え込んでたティティだが、一考した後、首を振る。


「ごめんなさい、兄様。私は地理などは大雑把にしか把握しておりません。この辺りに詳しいモノに聞いて参りますので私の部屋でお待ちください」


 話の続きはティティの部屋ですると言う事で決まり、俺達はティティと別れてティティの私室に向かった。



 そして、ティティが連れてきた学者風の男が伝えた事実に俺達は唸る事になる。とっても厄介な感じがする。


「姫様から伺った場所で心当たりがある洞窟は1つあります。そこは曰く付きの場所なのですが、皆様は2代目勇者の事はどの程度、ご存知ですか?」


 学者に問われるが俺達3人は顔を突き合わせるが誰も知らなそうだ。正面を見るとティティも知らなさそうである。


「まったく知らないと言っていいと思う」

「なるほど、確かにエコ帝国では特に禁忌扱いで情報封鎖されているでしょうからしょうがありませんね」


 うんうん、と1人で納得していく。学者ぽい人である。そういう意味ではやはりコルシアンは変であった。


「では、2代目勇者の話から始めましょう。2代目勇者は召喚されてた時から横暴な人だったようです。金、名誉、女と欲の強さに当時のエコ帝国は手を焼かされたと記録に残ってます」


 初代とは違う意味でというか小説とかであるテンプレのダメなほうの勇者そのものみたいにやっかいな人物だったようだ。


「訓練、実地を繰り返して、最後の力試しにと選んだのが皆様がおっしゃる洞窟になります」


 凄まじく嫌な予感がする。カンに頼らなくても分かるレベルに他の3人も顔を顰めている。


 何やら先読みされて、面白みがなくなったとばかりに溜息ついた学者が続きを語る。


「その洞窟は魔神になんらかの縁があるとされた場所だったようです。そこに2代目勇者が入った後、戻ってくる事はなかったそうです」


 2代目勇者が帰ってこなかった為、急遽、3人目を召喚して生贄にして封印を強化したという酷い話らしい。


「少なくとも戦闘力は折り紙付きだったようで、中に入って無事に戻れるとは考えられずに下手に触れて暴発のような目に合えば目も当てられないと誰も調べには行っておりませんので中の情報はありません」


 危険と分かってハチの巣を突くのは馬鹿のやる事って過去の人は言いたかったのだろう。


 正直、行くのはお勧めできませんと言われるが俺、いや、俺達は行かないという選択肢を選ぶ気はなかった。

 俺は学者に礼を述べるとティティに頼む。


「目的地までの移動経路と洞窟から一番近い村なり街を調べておいてくれないか?後、食糧関係の手配も頼めると助かる」


 ティティは頷くと学者を連れて出ていく。


 出ていくティティを見送った俺達は消耗品や洞窟で使いそうな道具は勿論、今回は湖の傍にある洞窟だ。きっと水絡みで困る事がありそうだから防水性のあるカバンとかあれば買いたい俺だが街の状態を考えると無理と判断して城の中で調達する事を2人に説明して、メイドを捕まえて資材関係を扱ってる者のところに案内して貰い、説明して集めて貰った。


 それから、遅めのお昼をみんなで取りながら、俺達は明日にも出発する事を決める。

 最寄りの村まで馬車で3日かかるらしい。直線距離ではもっと早く着くらしいのだが、渡れる橋が遠回りする必要がある為だ。


 ここで問題が発生した。ティティが着いてくると言って聞かない。


「さすがに不味いだろう?絶対、王様は認めないと思うし、あの親馬鹿全開の親父さんは下手したら軍を動かすぞ?」


 俺が親馬鹿と言った辺りで少し悲しそうな顔をしたティティだったが言ってくる。


「お父様は、娘としてではなく宣託の巫女が傷つく事を恐れておられるだけです。宣託を受けれなくなれば用済みです」


 出合ってから初めて、年相応な顔を見たと思ったら悲しそうな顔だった事が俺は堪えた。

 ティティは自分の役割を早い段階で理解して早熟してきたのであろう。王族としての処世術などを覚える事を必死になってた為、身近な親の素直な気持ちを受け取る術を知らずに今に至ったのではないだろうかと思う。


 俺はそっとティティに近づき包むように抱きしめる。

 兄様!?と驚く妹の頭を撫でながら心に届けとばかりに自分の言葉に思いを乗せる。


「なぁ、ティティ。愛情ってこうやって直接する事だけが愛情じゃないんだよ。本当は王様もこうしたいんだと思うぞ。さっき、宣託を受けれなくなったら用済みだって言ってたけど、他人の前じゃ残念そうにはするだろうけど、内心は踊り狂ってそうだと俺は思うぞ?だって、お前を今、俺がやってるように堂々として親馬鹿してられると喜ぶさ」


 同じ男だから王様が考えてる事がきっとティティより分かる自信があると言い切る。証明できない時は自信満々に言い切って押し切るのが俺流だ。


 ティティは俺の胸に顔埋めると年相応な取り繕わない泣き方をしてくれる。泣きながら俺を罵詈雑言する内容は伏せさせてくれ。とっても俺も泣きたくなっているから・・・

 それを見ていたルナは笑い転げ、美紅は痙攣する腹の筋肉と苦しい戦いを余儀なくされていたがどう見ても劣勢であったとだけ言っておこう。



 泣きやんで落ち着いた頃を見計らってティティに声をかける。


「じゃ、城でおとなしくしていてくれよ?」

「はい?着いて行くと言ったはずですよ?」


 話が噛み合わない兄妹。


「え?待て、あの流れはおとなしく残るって感じが普通じゃないか」

「普通通りにってなんで私が合わせないとダメなんですか」


 おかしい、あんなに良い感じに話が纏まったかのように見えたのにここにきてどんでん返しが待っていようとは!


「大丈夫です。お父様の説得は私にかかれば簡単です」


 そういうと出ていくティティ。


 まあ、あの親馬鹿全開の王様がそんな危険な場所に行くのを許さないだろうと俺は思い気楽に構え、2人に夜までに装備のチェックしとこうと言う。

 そんな俺を残念そうに2人が見て言ってくる。


「徹はとんでもないモンスターを覚醒させちゃったの」

「女の子が腹を括った怖さを知る事になりますよ?トオル君」


 溜息1つ吐いて2人は出ていく。


 え?どういうこと?



 次の朝、城の外に用意されているという馬車があると指定された場所にくると胸を張ったティティとミザリーが馬車の前で旅支度が済んだ格好で待ち受けていた。


「男親なんて娘にかかればチョロいもんです」


 自信に溢れる笑顔を輝かしてる横のミザリーは頭を抱えていた。


「貴方が余計な事を言うから姫様が恐ろしい人になってしまいましたよ」


 俺はミザリーに愚痴られる。


 とりあえず、俺はもう1度言わせて貰う。


 え?どういうこと?

 感想などありましたらよろしくお願いします。
















 前話の徹がユグドラシルと邂逅中のルナ達


 トオル君がユグドラシルの洞に入っていくのを見送った後、ルナさんと私は並んで一緒に入って行った。

 一緒に入って行ったはずなのに気付けば1人で木の迷路をうろうろしてる自分がいて、とても落ち着く空気に包まれながら散策をするように癒されながら歩いた。

 私自身としては特にユグドラシルに会いたかった訳じゃないからこのままノンビリしていても良かったのだが、みんなを待たせるのも悪いと思うと私の気持ちに反応したかのように目の前がブレたと思ったら洞の出口に到着していた。


 洞から出るとルナさんが泣き崩れている姿を目撃する。傍にいるティテレーネ王女はどうしたらいいのかと右往左往してるのを見て、私に任せてくださいと伝えるとお願いしますと伝えると私達から離れた。


「どうしたのですか?ルナさん」

「私、私・・・!!」


 私に抱きついて更に号泣するルナさんをなんとか落ち着かせようとし、事情を聴くと、洞に入って私と別れてから、ユグドラシルと対話をするために呼び掛けていたらしい。


「私も神なんですけど、私の神託は誰も聞いてくれないの、どうしたら聞いてくれるの?教えてユグドラシル!」


「なんで貴方はそんなに信頼され、愛されているのに私は煙たがられて信頼されないの?」


 などと訴えながら歩いたそうだ。この時点でも思わず、零れそうになる涙を堪える。

 しかし、ルナの試練はまだ続いた。


 そう叫びながら歩いていると見えない力でルナは洞の外へと放り出される。出てきたその時の顔は見ていて切なかったと後にティテレーネ王女は語る。

 対話の済んでないルナは洞に戻ろうとするが今度は入れず、透明の壁を叩き続けたそうだが、無理と分かり泣き崩れたところで私が帰ってきたようだ。


 なんて言ったらいいか分からなかったからだとは思うがやり方が酷いですっと思いを届かすつもりでユグドラシルを睨む。


「やっぱり、私は駄目な女神なのかな?」

「そんなことありません!ルナさんは立派な女神です!」

「そう言ってくれるのは美紅だけだよ!ありがとう!!」


 私はルナさんを力強く抱きしめ、女の友情を深めた。



 なんて事があったかもしれません(^。^)y-.。o○

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ