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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
4章 ユグドラシルに導かれた者
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59話 ユグドラシルとの邂逅

 では59話になります。よろしくお願いします。

 洞を潜り、入ると何か膜のようなモノを通り抜けたような感覚に襲われる。おそらくその膜が選ばれた者とそうでない者を選り分ける場所だと何故か理解した。


 後ろを振り返るが元来た道は無くなり、上下すらどこが正しいのか分からなくなる場所に俺はいた。ルナ達を呼ぶが誰からも返事がなかったが違う人物?からの語りかけがあった。


「貴方が来るのを待っていました。勇者と同じ異世界からやってきた少年よ」


 俺は声らしきモノが聞こえた方向に顔を向けるとどこから現れたか分からないが俺より少し年上に見える少女がいた。新緑色の髪を地面に届きそうな長さで可愛さの中に美しさを秘めた不思議な調和と金と緑のオッドアイ。服装は初めて会った時にルナが着ていたワンピースのような巫女が着てそう服を着ていた。ワンピースから盛り上がる素晴らしきモノを見ても、いつものようにエロい気分にはならない。


 おそらく、目の前の少女がユグドラシルであろう。ティティが成長したらあんな感じになりそうだと思う。

 正確に言うなら、宣託の巫女はユグドラシルの特徴を受けて生まれてくるのではないだろうか?


「どうして、俺が異世界から来たと知っているのですか?ルナですら俺が目の前に現れた時はびっくりしてましたが?」

「それは、貴方がこの世界に来るキッカケを私も手伝ったからです。そして、アローラで初めて本当の意味で勇者としての可能性と資格を持つ人物なのですよ?」


 今、衝撃的な事実をいくつかぶつけられ、俺の中で時が止まったような感覚に襲われた。

 俺を召喚した人物、いや、正確には手伝ったという言葉からすると俺を召喚した人物の1人と言う事なんだろうが、遂に疑問に思ってた事を答えてくれる人物に出合う事ができた。


「今の一言だけでも色々聞きたい事が生まれてきたのを質問してもいいですか?」

「ええ、答えられる事は全て答えましょう」


 了承を得た俺は質問する事にする。


「俺を召喚するキッカケを手伝ったと言うからには主導したモノがいるはずです。それは誰なのですか?」

「すいません、いきなりこう言うのは心苦しいのですが、約定で本人と会うまで私のほうから漏らす事ができません。ただ、これだけは言えます。必ず、貴方は会う事になります。会わないと始まる事も終わる事もできないでしょうから」


 本当に申し訳なさそうに言われる。


「では、俺は元の世界に帰る事は可能ですか?可能であればどうすれば?」

「可能かどうかと問われれば、可能です。しかし、全て、貴方自身の行動が答えを変えていきますから私の今の答えがいつまでも正しいとは言えません。現時点で帰れる可能性はあると答えます。方法は貴方を召喚した本人に聞いてください」


 これも約定に定められたモノなので申し訳ありませんと言われる。

 今までの話の流れから見て、俺を召喚した者はユグドラシルより高位な存在なのか?あまりに行動を制限をかけられすぎてるように感じる。

 おそらくその辺りも聞きたいが答えてはもらえないだろう。

 だから俺は次の質問をする事にした。


「初めて、勇者になれる可能性とは何なんですか?今までにも勇者はいたし、現に今も美紅がいるじゃないですか?」

「それは人が勝手に言ってるだけの勇者です。貴方も見たはずです。冒険者ギルドで美紅の職業が勇者と出ましたか?違ったはずです」


 確かに魔法戦士と表示されてた。あの時はおかしいと思ったがそういうものかと納得してたが違うようだ。


「そして、人が言う、開拓者というジョブは本来、貴方専用のジョブだったのです」

「え、どういうことですか?開拓者と呼ばれるジョブは昨日今日にできたジョブじゃないですよね?」


 俺の専用ジョブという割には色んな人がなってて残念ジョブと認識されているはずである。


「はい、人が言う開拓者というのは実の所、可能性の塊の人物か可能性がまったくない人物のどちらかがなってしまうジョブなのです。過去に2名だけ貴方ほどではありませんが可能性があるものが発現して成功を収めた者がいます。それ以外の方は本人のやる気や意思薄弱な為、何かになる可能性が生まれなかった者が弾かれるようにして開拓者に収まってます」


 何か開拓者が自由業みたいに聞こえてくると俺は思ったがそれより疑問に思ってる事を先に聞く事にする。


「聞いた話と今の感じからすると俺が生まれる前から決まってたように思うんですが、そんな昔から俺がアローラに来るのが決まっていたのか?」


 頭がショート起こしそうになっているが必死に食らいついて聞く。


「先程は貴方専用と言ったので混乱させてしまってるようですが、正確には私達が見初めた人物専用というのが正しいのです。確かに次があるかは分かりませんが今まで私達が見初めた人物は貴方が最初になります」


 こんな美人に初めて見初めたと言われれば男の本懐である。


「今、思いつく事で聞きたい事は後1つ。その主導した人物に会う為にはどこへ行けばいいのか聞かせてくれないか?」

「私から言えるのは2つです。初代勇者の足跡を追う事とその勇者を愛した女神の事を調べていけば、必ず標にぶつかります」


 と、言われる。

 俺が今までやってきた事が無駄にならないどころか必要な事だったと知り、ホッとすると同時に初代勇者のメッセージを思い出し、複雑な気分になる。


 顰め面をしてる俺を見て、悲しそうな顔をしていた。


「貴方が何に苦悩してるかは分かります。言える事は頑張ってくださいとしか言えない私を許して欲しいと思います。こちらから一方的に期待して苦悩を背負わせているのですから」

「爺ちゃんが言って事だけど、男は美人に期待されて奮い立てないようなら男とは語れないって言ってたし、俺も美人に気にされてると思うだけで有頂天ですよ?」


 爺ちゃんにそんな事言われた覚えはないが、美人の顔を曇らせたままにするのはポリシーに反する。

 ありがとう、と微笑まれて俺はやっぱりチョロい男だったの実感させられる。きっと鼻の下が伸びているだろう。


「今、初代勇者の話が出て思い出したんだが、エクレシアンの女王の事を知らないかな?」

「ティテレーネに聞いてみなさい。きっと、ヒントになる事を言ってくれるでしょう」


 あの子、ちゃんと覚えているかしら?顎に指を当てて首を傾げてる。

 明確な答えは言ってくれなさそうだから、ちょっと心配だがティティに聞く事にする。


「俺から聞きたい事はとりあえず聞いたと思う。聞きたい事ができたら、また来ていいかな?」

「はい、いつでもいらしゃってください」


 優しい頬笑みを見せて、答えてくれた。


「じゃ、そちらから俺に伝えたい事もあって入れてくれたと思ってるんだが、その内容を聞かせて貰えるかな?」


 俺がそう言うと、ユグドラシルは、はい、聞いてくださいと言い、淡々と語りだす。


「貴方もお気付きかとは思いますがモンスターを操っている者がいます。愚か者はエコ帝国の重鎮です。一部が暴走してるのです。それ以外の人物達は自分に影響がない限り、傍観を決め込んでいますので内側から、その様な者らを裁こうという動きに期待をするだけ無駄でしょう」


 国の重鎮がほぼ全員が賛同してるというオチよりはマシだが、かなり腐った組織のようだ。

 まあ、エコ帝国の腐り方も気にならないこともないんだが、もっと気になる事がある。


「どうやって、モンスターを操るんだ?1匹や2匹とかならそういう職業があるのかな?って思うんだが」

「はい、ダンジョンのモンスターを管理する方法を利用した意識誘導・・・・して操作しています。それができる装置をエコ帝国の重鎮が受け取って操作しています」


 今の説明で気になる所があった俺はそこの説明を求める。


「意識誘導と言う事は思うがままに操るとは違うってことか?細かい事を命令できないが、西に行きたくさせるとか、別に腹が減ってないのに急に腹が減った気分にさせられるぐらいしかできないという解釈でいいのかな?」


 その解釈で問題ありませんと言われる。

 となると後、残る大きな問題は、誰がと言う事になる。聞こうと視線を向けると頷かれる。


「もう、疑問に思っているとは思いますがエコ帝国の重鎮に渡してる存在ですよね?あれは、魔神側の手の者が渡しています。勿論、重鎮は相手が魔神側の者と知らずに取引しているようですが、少しぐらい疑うという事を知らないのかと怒鳴りたくなります。自分が騙されて損するのかということは必死に疑ってましたが・・・」


 怒ったり、呆れたりと大忙しの美人さんに癒しを感じつつ、その装置の性能をもう少し聞く。


「その装置の射程は意外と短く、自分の目で見えない距離まで離れると効果を失うという欠点があります。ですので、今回の件では少なくとも始めは近い所にいたはずです」

「そうなるとまだ、そいつはこの国にいるんじゃないのか?」


 その通りです、話が早くて助かりますと言われる。


「その人物は王都から東に行った所にある湖の傍にある洞窟に潜伏してます。貴方にはその装置を奪って、私に渡すか、壊して欲しいのです。あれは人が使っていいものではありません。勿論、作ろうとするのもダメです。貴方といえど知りたいと言われてもこれは人に教える事ができない事になってます」


 別に知りたいと思ってないから聞く気はなかった。だが、美人の頼み事は聞く気満々だった。


「分かった。その件は俺に任せてくれ」


 お願いしますっと言われて、ルナ達がもう俺を待っててくれてるかもしれないと思い、帰り道を開いて貰う事にした。

 すぐに扉のようなモノを俺の目の前に出してくれる。


 そして、扉を抜けようとした時に、ふと気付いて、振り返って聞く。


「なぁ、名前はなんて言うんだ?ユグドラシルが名前じゃないんだろ?」


 俺に突然そう聞かれて虚を突かれた顔をした後、破顔させる。


「私の名前はミドリです。私と2人きりの時しか呼ばないようにお願いします。真名なので無闇に知られる訳にはいかないので」


 日本人ぽい名前にびっくりしたが良い名前だと俺は思った。


「じゃあな、また会おう、ミドリ」

「はい、また会いましょう、徹」


 初めて、名前で呼ばれて照れ笑いが漏れる自分を意識しながら扉を抜けてユグドラシルの外へと戻っていった。

 感想などありましたらよろしくお願いします。

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