54話 拝啓、母上様。俺に妹ができました。
では、54話になります。よろしくお願いします。
モンスターの群れを突破すべく切り開いて突き抜けたが住民を避難させた時と違い、モンスターが追いかけてくる。
このまま逃げても体力が尽きて泥沼かと思ったその時、ルナと美紅が反転したと思ったら美紅が大剣を抜くと横一線にハッと叫んで空を切ると先頭のほうを走ってたモンスターの20匹ぐらいが首や胴とさようならする事件が発生。その後ろで魔法を詠唱していたルナが、いつもの抜けた顔じゃない神秘性を感じる美しさを醸し出したと思ったら、一言、ストームと呟く。モンスターの中心で起こる竜巻。元の世界で海外の災害特集などで見た事あるハリケーンが目の前で起こっていた。
それを竜巻から起こる巻き込もうとする風に対抗しながらティティをしっかり抱えて、俺は問いかけた。
(なぁ、カラス)
-なんだ?主-
美紅の剣にカラスみたいなのが宿ってたりするのか?)
-何も宿っておらんよ。ただの剣圧で生んだカマイタチで切り裂いているだけだ-
(ストームって確か、あんなデカイものじゃなかったと思ったんだが間違ってたか?)
-いや、間違ってない。もっと小規模で2,3の数の相手に手傷を負わすぐらいのものだな。しかし、目の前のは50近い数を切り刻んでいるな、あれはおそらく原型は残らんだろう-
結論、扱ってるあいつらがやっぱりおかしい。
廻りを見渡すとミザリーは絶句しているがティティが相変わらず俺を見てニコニコしている。動じないティティ恐ろしい子!
-主よ、主のペースで強くなっていけばいい。何も強さとは目の前で起こってる全てではないよ-
カラスに慰められる情けない主の俺だったが、有難うと思念を送っておく。
モンスターの追撃を2人の活躍によって乗り越えた俺達は王都エルバーンを目指し歩いていた。
歩いてる最中にミザリーにユグドラシルの使者はルナか美紅ではないかと何度も確認されるが、一切の迷いもなくユグドラシルの使者はトールであるの1点張りであった。
俺も正直、あいつらのほうがそうじゃないのか?と思い、ティティに聞く。
「どうして、俺より強いあいつらが使者じゃないって言うんだ」
「逆に伺いますが、ユグドラシルの使者、人間でいうなら英雄になるのでしょうか?英雄は世界最強がなるのですか?」
切り返された俺は思わず、そうだと言いかけるが自分でもそうなのかなって思い出す。
「まあ、強いに越した事はないんじゃないのか?」
「はい、確かにそうだとは思いますが、私は、何かに悩み、苦しみながらも前に進み、そして、ある時は誰かの思いを背負い歩いて行ける人だと思います。そして、そんな人を見て他の人は着いて行きたい、背中を追いかけたい、守りたいと思わせる存在こそ英雄というのではありませんか?少なくとも私はユグドラシルの使者とはそういう存在だと思ってます」
ティティはえらく俺を買ってくれているようだが、そんな大層な人物じゃないんだがなっと俺は思う。
そんな事を考えていると俺の手を両手で包むように握って美紅が語りかける。
「私には英雄の定義なんて分かりませんが、今、王女が言った、英雄の定義はトオル君に当て嵌まると私も思います。例え、他に世界最強や誰もが認める為政者が現れようが、私は着いて行こうとは思わないでしょう。トオル君がトオル君だから私は一緒にいたいのです」
真摯に見つめる美紅の瞳が照れ臭くて視線をずらしたところでルナが笑顔で頷いている。
「いい加減、徹も私達が一緒にいるのはたまたまの巡り合わせぐらいに思うのは辞めて欲しいの。そして、徹。あなたの自分の価値にそろそろ気付くべきなの」
すぐには無理だとは思うけど、忘れないでねっと俺を優しく見つめるルナが俺の肩を触れる。
俺の価値か・・・目の前の3人が言うような存在とは到底思えない。胸がズキリと痛む。幻痛だ、分かってる怪我もしてないのにアレ以来、時折感じる痛み。俺にそんな価値ねぇよっと思いが俺に襲いかかる。無意識に胸を掻きむしるように服を掴む。
3人の少女がそんな俺の様子を痛々しそうに俺見つめていたが、そんな事に気付く余裕は俺になかった。
それからしばらく何事もなく道程を制覇していく。しいていうなら、余りに軽くて気付かず抱っこしたままになってたティティを降ろせと3人に言われて慌てて降ろした事ぐらいだろうか。降ろされたティティが機嫌が悪くなったとう追記するぐらいだろう。
日が暮れてきたので野営の準備を始めて済ませると美紅が作った料理に舌鼓していたところティティから提案される。
「トール様の事を兄様とお呼びしてよろしいでしょうか?」
思わず噴き出したが、口を拭うと俺は思った。
男にとって可愛い女の子に言われたい呼ばれ方ランキングというものがあれば、ベスト3に確実に入っているだろうと俺は確信する。
言葉より先に体が動く。俺はサムズアップをしていた。
「勿論さ!ガシガシ呼んでくれ」
きっと今の俺は最高に男前の顔してるはずだ。
ルナと美紅と冷たい視線なんて気にならないぜ!へっへへ!ミザリーが姫様、お気をしっかり持ってくださいとか、すげー失礼な事を言われてるがまったく気にならない。
母さん、1人っ子だった俺に妹ができました。星空を眺めながら息子同様サムズアップしてる母の姿が夜空にあった。
荒れてた場が落ち着き、俺は王都までどれくらいかかるか聞いた。
「このペースで行けば明日中は無理だな。明後日の昼前ぐらいに着くだろう」
ミザリーが答えてくれる。明後日かと思い、胡坐をかいている俺を椅子のようにしてるティティに事情は王都に着いてからじゃないと説明難しいか?と聞くと、
「ごめんなさい、兄様。やはり着いてから説明したほうが誤解が少ないと思うので、もう少し待って貰えませんか?」
大丈夫だよ~ちゃんと待つからとティティの頭を撫でる。妹とのスキンシップがたまらない。世のお兄ちゃんはこんないい思いをしてるのかと思うと殺意が芽生える。(兄というのは下が男だろうが女だろうがそう良いものではないと知らない徹は幸せです。)
緩みきった俺では埒が明かないと思ったのか、美紅が質問してくる。
「王女にとっての私達の存在はどういったものかはだいたいのところは把握したつもりですが、王都に行くという事は国の中枢、王に会うというのを視野に入れて伺いますが私達の立ち位置はどうなると思われてますか?」
それを受けて、まずはミザリーが答える。
「最初は姫様の客人として向かい入れられる形になるかと思いますが、その後は流動的に変化すると思われるので今の段階でどうとは言い難いとおもいます」
「私の宣託で見た者というのを宣言すれば、賓客として扱われると思いますから安心してください」
ミザリーの言葉に繋ぎ、ティティが補足する。
「その宣託の話は王達には話しているの?」
「いえ、話してあの村に1人で行こうとしても邪魔されたでしょうし、行けても戦か?って言いたくなる人数を同行させられてたら兄様に会えなかったでしょうから黙って置手紙だけして行き先を告げずに出てきました」
見た目からは想像できないほどヤンチャな一面もあるようだ。まったくと思いつつ再びティティの頭を撫でると零れるような笑顔を見せてくれた。
ルナ達も驚いた顔していたが俺達のやり取りをみて苦笑する。
それから寝る事になり、ティティに一緒に寝たいと強請られ、快く了承した俺だったが3人からの強烈な反対により、揉めた。
そして俺は今、ここにいる。
紐でグルグル巻きにされ木に吊るされていた。俺のなんで?といった顔をしてるのが面白いらしくルナが涙を浮かべるほど笑っている。美紅はやりすぎたかなっといった顔をしているが降ろしてくれる気はないようだ。
俺の寂しい夜はこれから始まる。
夜も明けて、早朝の食事の準備をする美紅が漂わせる匂いで俺は目を覚ます。
あの状況でも寝る俺に戦慄を感じたが起きた俺に気付いた美紅ではあったがまだ降ろしてくれないらしい。
食事の準備が済んでみんなが起きてきたのを見てさすがに降ろして貰えると思っていると普通にスルーされてみんなが食事を始めようとする。
「いい加減、降ろしてくれないか?俺が何か悪い事したのかよ。ティティ、お兄ちゃんはとっても困ってるぞ?」
俺に視線を向けたティティは申し訳なさそうに言う。
「みなさんがまだ降ろしちゃダメというんでもう少し我慢してくださいね?お食事は私が食べさせてあげます」
俺を吊るして、女同士でのパジャマパーティ?での効果で仲良くなったようで喜ばしい限りだが、それはそれという形にして頂きたかった。
魔法だと思うが土が階段になっていき、俺の下にやってくる。そこを登ってくるティティによる、はい、あーんをされる。
うん、妹にされる、あーんも良いものだと思いつつ素直に食べさせて貰う。
食事が済み、やっと降ろして貰った俺は体を解すのもほどほどにして草むらに走る。朝起きてから降ろして貰ってないんだよ?分かるだろ?
出発の準備が済んで俺達は王都へ目指した。
そして、次の日の昼前に俺達は王都に到着した。
ちなみに前の晩も、みの虫にされたと追記しておこう。
感想などありましたらよろしくお願いします。
徹がみの虫にされてた夜。その向こう側
私が兄様と一緒に寝たいと言ったばかりに3人にロープでグルグルに巻かれ、
木に吊るされている姿と顔見て、ちょっと笑ってしまった。
兄様の、キョトンとする顔がとても幼い子供のように見えて、とても可愛く見
えてホッコリとしてしまった。
ルナさんと美紅さんも同じように思ったようでルナさんはクスクスと笑い、美
紅さんは苦笑していた。
「姫様、テントの準備は済んでおります。野獣の心配はありませんのでごゆっ
くりとおやすみください」
野獣と言う時に兄様を睨むミザリー。実力はそれなりにあると聞いているが人
、いや、この場合は男で良いのでしょうか、どうやら見る目がないようです。ど
うか兄様限定でそのままでいてください。ミザリーは胸が豊かで兄様の視線を釘
付けにされた、嫌悪感からか内面を見ようとしてない。洞察力的な話になると明
らかな不合格である。
私はルナさんと美紅さんを同じテントに誘い、一緒に寝る事にする。
2人は快く応じてくれて、私は心で喝采を挙げた。兄様の話を聞くチャンス到
来である。
「お二人はどうやって兄様と知り合われたのですか?」
まずは軽いジャブから入れてみる。
「どんな出会いと言われても突然に脈絡もなく会ったって感じだったの。その
後、私達は美紅を封印の地から救出する事を目的に生活基盤を押さえながら冒険
ギルドで仕事しながら準備したの」
「美紅さんは勇者なのですか?」
ルナさんはアッいう顔して美紅さんと顔を見合わせるが、私は笑顔で言う。
「深くは追求しません。兄様がしたと言う事はきっと意味があるはずと思いま
すので無駄に他言しないと誓います」
ミザリー、貴方もですよ?私の名にかけて黙っているようにと伝える。
私は続きを促す形になるように質問する。
「封印の地には魔神の欠片がいたはずですがどうしたのですか?」
ルナさんはポツリポツリ説明してくれたが兄様が活躍したあたりになると饒舌
になって説明する。いかにカッコ良かったとか徹が笑いかけてくれて頑張れたと
か、最後には何も言わなかったのにこっちの意図を汲んで、魔神を引きつけて意
識から私を消すほど自分に引きつけてくれたから勝てたと我が事のように自慢す
る。
「待ってください!トオル君が凄いのはその後、私を助けに来てくれた時が1
番です。あの時、言ってくれた言葉は私は一字一句言えます」
拒絶する私に熱く語りかけてくれた兄様の言葉に心が震えたとか、差し出され
た手を握った時の安らぎなどをそれは嬉しそうに語る美紅さん。
お互い、自分の時のほうが凄いと睨みあうが、ハッと睨むのを止める。
「前もこれで言い合いになって出入り禁止になったお店の事をバレた時のお仕
置きはもう2度体験したくありません。同率1位と言う事で収めましょう」
美紅さんからルナさんに停戦を伝えると顔を青くさせたルナさんがもうアレは
勘弁なのっと言って停戦を受け入れる。
兄様は2人に一体何をしてというのだろう。とても興味はあるが聞き出すのは至難の業に思えたので放置する事にする。
その後もおだてつつ、兄様の話を引き出し続けた。
カラスとアオツキを手にする時の心の試練の話で2人がトリップして語る姿に
少し嫉妬したりする場面もあったが・・・
2人は自慢をしているつもりなのであろうが、私が知らない兄様の話を補完す
るという目的を着々と進めているとは気付くまい。フッフフ。
とは言え、興味がある存在の話をお互いにすると仲が深まる。私達3人は仲良
くなっていくのを感じた。
「話を誇張されすぎではありませんか?あれは只のスケベでしょうに」
そう呟くミザリーの言葉は私達3人に届かなかったのは本人にとって幸せであ
っただろう。
そんな話があってたまるか!!とバイブルは言いたいです(^。^)y-.。o○




