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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
1章 こんにちは!アローラ
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3話 身を滅ぼす前に素直になりましょう

 連日投稿です。3話目です。よろしくお願いします。

 徹です。

 イメージって色々、ありますよね?剣道家はストイックな感じがするとか、看護師はとても面倒見がよくて母性の塊のような人がやってそうとかなど見渡せばそういう先入観、フィルターを通すように見てる事ってありませんか?俺はそういう風に見てしまいます。

 小学生、中学生とも、毎回のように学級委員を務める。将来が有望視されるような可愛い子がいました。毎回、学級委員なんて面倒な事を進んでやるって世話好きで面倒見の良い子なんだって憧れてた事もありました。しかし、女の子同士の会話を偶然聞いてしまった時、本人が


「学級委員なんて先生の雑用手伝いって感じで面倒なんだけど、先生の覚えが良くなるから後々に響いてくるのよ」


 計算だと!って聞かされ、ちょっと人間不信になりかけた俺がいました。


 そこでみなさんに質問です。あなたはこれにどんなフィルターかけてましたか?



「キャー、ごめんなさい、ごめんなさい」


 もう何度目かの陶器が割れる音がする。5度目ぐらいまで数えてたがそろそろ2桁になるんではなかろうか。

 オッサンの虚ろな顔が笑えるが笑うと俺に怒りの矛先がきそうで笑えない。

 きっと、オッサンは自分の発言を後悔してることだろう。そう、この喜劇が始りはこんな感じだった。


 オッサンに連れられて、山小屋?ログハウス?どっちと呼べばいいか悩ましい建物についた。正直、村かどこかに案内してもらえると期待してた俺は、肩透かしを食らった気分ではあったが、現状が把握できてない今はオッサンだけを相手にするほうが楽かもしれない。

 そして中に入るとまあ、なんというかオッサンらしいちゃ、らしい部屋の状況。散らかり放題だ。

 そんな状況に呆けてたら、オッサンに掃除を押し付けられる。俺はダイニング、ルナは洗い場を。確かにダイニングは重たい物が多そうだったから、文句はあったが了承した。

 ルナを見ると肩に力が入りすぎてるようには見えるが真剣な顔で、


「やった事ないけど、私、頑張るの!」


 フンヌって感じでそう告げるルナは可愛く、微笑ましかった。


「小僧、嬢ちゃんに最後まで1人で頑張らせてやれよ」


 ルナの微笑ましさにやられたらしいオッサンは俺に釘を刺す。

 俺は、ああ、分かった、とは言ったものの何やら、喉に小骨が刺さったような気持ち悪さがあった。何がどうとは説明できない俺は、オッサンはどうするのか質問する事にした。


「ああ、ワシは先程のイノシシの解体をやっているから、その間にやっとけよ」


 ガハハっと笑いながら、オッサンは歩き去って行く。

 俺もそのまま、ボーとしてても仕方がないからダイニング周りの大きいものから動かし始める。

 気合いを入れてるルナが、


「頑張るぞ~オゥ!」


 無駄に可愛い、気合いの入れ方を見てて、ルナは小柄って感じはしないんだが、行動の所々に幼さを感じさせ、小さいイメージを持ってしまう。本当に胸さえあれ・・・略


 雑念を振り払い、片づけに専念し出す前に、


「いやー!黒い虫がーー!!あっ、お皿が・・・」

 

 パリンという音が俺の元に届いた。黒い虫というは、おそらくGだろう、世界が違ってもいるんだろう。

 そして、なんとなしに悟ってしまう。

 小骨の正体はきっとフラグだったのだろうと。



 そんな感じで始まり、俺が数えてた5度目辺りでオッサンが帰ってきた。

 ルナは涙目になりながら割ったコップを箒で掃き集めいる。それを見つめている、オッサンも涙目である。凄まじく、こっちはどうでもいい。

 ちなみに俺はすでに掃除は終えている。

 ルナは、まだ1つとして洗えてる食器は存在しないだろう。触れた物は全て綺麗にゴミ箱に直行してる。ある意味、掃除をしていると言えなくはないだろう。字面的に。

 視線を感じるとオッサンが俺にSOSを送っているのに気付くが目を反らそうとすると回り込むように現れて、ギブギブって感じでアピールしてくる。

 言いだした手前、自分が止める訳にはいかないのだろうが知った事ではない。

 更に目線を反らすと今度はルナが俺にSOSを送ってるではないか、逃げ道はどこにも存在してないではないか。

 ルナのSOSを受け取ることにする。どっちか取らなければならないなら選択肢を作る意味から吟味しないとイカンぐらい悩むまでもない話だった。


「早く終わらせて、飯にしようぜ。腹減ってるから手伝ってやるからよ」

「まあ、初めてってのは大変だから、今日は小僧と一緒にやるのがいいじゃろ」


 この流れに乗らないならいつ乗るの?今しかないっしょ?ってノリでオッサンが偉そうに許可を出すフリをする。


「ザウスさんがそういうなら私も徹に手伝ってもらう事にするの」


 ない胸を張るルナ。


 なんだろう?このやるせない気持ち、ルナの面倒事はフリーパスでくる流れがアローラに降り立った瞬間が確立されてきてないか?どこかで、この流れを断たねばと心に秘めながら、しぶしぶ、洗い物を片付けにかかった。


 俺が介入したら10分で完了した。

 実際、洗うものを洗っただけだし、本格的な掃除をするわけじゃなかったからな。何より、ほとんどの洗い物はルナによりゴミ箱行きにされている。ゴミ箱を見つめると死屍累々といった様相を呈していてルナのほうに視線を向けると澄ました顔してた。いや、良く見ると顔から滝のように流れる汗が澄ました顔を通し切るのは無理だった。ゴミ箱を見つめていた俺にプレッシャーを感じるようだ。

 あれだけの犠牲を考えると罪悪感に苛まされるようだ。


 でも、待てよ?俺にイノちゃんを押し付けた時、クマ(ザウス)に生贄にしようとした時にルナは罪悪感を感じた顔したか?酷く納得できない。

 せめて、この罪悪感を増幅させて鬱憤を晴らす意味でも見つめ続けてみた。

 追い詰められたルナは、


「汚名挽回、料理は私にお任せなの!」


 取り戻しちゃダメなものを取り戻そうとしてるよね?ある意味、任せたら文字通りになるね。

 オッサンがなんていうか、俺は眺める。オッサンの顔を見た瞬間、俺の胸を打った。

 清々しいまでに悟った顔をしてる。アレは何かの覚悟を決めた男の顔だった。オッサンにあそこまでの顔をさせるのはオッサンが凄いのかルナが凄いのか分からんが、どう動く、おっさん。


「嬢ちゃん、ワシ、まだ死にとうない」


 情けなさすぎる、オッサンのギブアップコールだった。


 オッサンは自分から進んで、夕飯はワシが作ると言って、ルナを追い出し、一緒に出て行こうとした俺を捕まえ、小僧は手伝えと残留を強制される。そんな俺をみて、徹の変わりに私がって言いだしたルナを見て顔を青くさせてたりなかったりしつつ、俺は溜息をつきながら、頭を掻いて二人のやり取りを眺めて、何時になったら飯食えるんだろうと思いつつ、もう一つ溜息をついた。



ルナにはテーブルを拭く作業と川に水を汲みに行くという栄誉ある仕事を振る事で明日への糧を守り抜いた俺達は、オッサンの宣言通り、鍋、ボタン鍋を作って、箸をつつき合ってた。

 うん、美味い。ちょっと癖があるけど味噌風味の出汁が田舎料理ぽくていい!あれ?味噌あんの?なんか本気で俺、大がかりなどっきりかけられてるんじゃないよな?と最初に思った疑いが再燃してきた。外を眺めると再燃したと思われた疑いはボヤの段階で消火される。だって、月が2つ浮かんでるんだぜ?異世界決まりでいいよ・・・


 本題の食という問題は当面クリアしたので副題の現在地、今後の身の振り方を考えるためにオッサンから情報収集することにしたいが、先にオッサンの事を聞いてみよう。オッサンが何者なのかとか分かると考え方の偏りとかが見えてくるだろうしな。宗教関係の人に神の事聞いても基本的に神に対する良いイメージに偏るように意外と考え方の寄り方が見えてくるというのも状況判断材料になることがあるというのが俺の持論だ.


「なぁ、オッサン、ここってどこなんだ?なんで山の中でオッサン一人で住んでるんだ?」


 少し躊躇したようだが、オッサンははなしてくれる。


「ワシは、2ヶ月前までこの国、エコ帝国の近衛騎士をやっとたんだ」

「ルナ、水取ってくれない?」

「入れてあげるよ~」

「聞いといて、最後まで聞けよ、本当に近衛騎士だったんだ」


 このおっさん、いきなり冗談から突っ込んできたと思ったからスルーしようとしたが、疲れ気味な声のおっさんが近衛騎士説を押してくる。

 俺ももうすぐ16になることだし、譲るということを覚えて、生温かく受け止めるとしよう。


「帝国に雇われてた傭兵のおっさんが山の中でなんで?」

「お前が認めたくないのは近衛騎士の部分か!まあ雇われてた部分は同じだからいいがな」


 だって、髭モジャの2m近くあるような、おっさんだぞ?突然、目の前に現れて人類と思ってくれる人がいるの?って見た目で近衛騎士はないでしょう。実際に俺とルナはクマと認識したしな。


「2か月前、ある人物の護衛、いや、アレは逃亡阻止が目的だったのだろうな、一応、保険って意味合いしかなかったがな」

「逃亡防止って犯罪者でも連れて歩いてたのか?」


 おっさんは首を横に振る。


「いや、1人の少女だ。ただの、とは言えないがな」


 ただのってなんだろうと思ってなんとなくルナを見ると意味があるのか分からないが、エッヘンって言いそうな顔して話を聞いていた。きっとアレは何も考えてない。

 おっさんは話を続ける。


「その少女は世界を救うカギになりうる存在、そこまで言えば、お前さんでも分かるだろ?」


 ごめんなさい、おっさん、俺分からねぇーって口に出そうになった時にルナの様子がおかしいことに気付く。先程までのマヌケなルナの顔ではなく、表情が乏しく、一瞬別人か?と思わせるぐらい顔をしていた。無機質に感じさせる声音でおっさんに問いかける。


「それは、勇者。護衛して連れて行った先は封印の地ということで間違いはありませんの?」


 肩をビクッとさせて、ルナの言った内容にか表情に驚いたのか分からないが反応を示す。

 俺は正直、ルナの顔が怖くてに1票で。

 でも勇者か、魔神がいるならいてもおかしくはないよな。勇者が女の子ってのがちょっと意外な感じはするけど、「俺、勇者始めました!!」って展開はやはりなかったようだ。


「ああ、そうじゃ、魔神を封印するために勇者、いや、少女と表現がしっくりくるな、少女を魔神の封印の地に連れて行った」

「ザウスさんは連れて行ったらどうなるかは知っていたのですか?」

「もちろん、知っていた。アローラでそれを知らぬ者はおらんじゃろ」


 どういうこと?俺だけが置いてけぼりを食らってるんですが。事情を聴きたいがどうやらアローラで知らぬ者がいないって話を聞くというのは、2人が作るシリアスな空気が邪魔をして聞けない。


「勇者を触媒にして封印なんてせずに、共に手を取り合って魔神を討伐すべきと神託があったでしょ?」


 ルナに言われた、おっさんは虚を突かれた顔をして、


「お前さん、神託をちゃんと聞いてるのか?普通は神託が届かないようにするもんだろ?」

「え?届かなくする?どういうことです?」


 胸元をゴソゴソと漁る、おっさん。


「ほれ、このペンダントがあれば神託が届かなくなるようになる。子供のお小遣いで買える、アローラに住む者、全員持ってる物と思ってたんだがな。」


 そういいつつ、ペンダントをしまう。

 横を見ると涙目のルナが俯いていた。


 俺、どうしたらいいの?

 次話ですが6月の第一週のうちに投稿すると思いますので気長に待っていてください。

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