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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
3章ー2 初代勇者の足跡を追え!
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44話 チートとフラグ、持たざる者と持たされた者

 では44話になります。よろしくお願いします。

 初代勇者の足跡を追う為にコルシアンが言うには、深淵の狭間と呼ばれる洞窟の入り口に今、到着した。早朝に出たのに夜にやっとのことだ。

 今は野営のための準備に追われているところだ。俺とルナは寝る為のテント張りに行き、美紅と御者が夕食の準備に勤しんでいた。意外にも貴族であるコルシアンではあったが何もしないのかと思えば、馬車から今、必要な物から明日の洞窟に入る時に必要な物を仕分ける作業を機敏にやっていた。あの走り方を見た俺としては別人のように見える。太ってる訳じゃないのにあの走り方が変だとは思っていたので質問したら、


「あの走り方のほうが可愛くて萌えるじゃないか」


 ワザとしてるらしい。30過ぎてるおっさんが可愛さ求めてどうする?需要どこよ?本当に不思議の塊のような存在である。


 テントの準備が済んでコルシアンの様子を見に行くと粗方終わったよっと言われ美紅の手伝いでもっと思って近づくと美紅が現れる。


「お食事ができましたから、皆さん集まってください」


 結局、みんな同じタイミングに終わらせてたようだ。


 今日の夕食は保存が効く硬いパンとマメとベーコンのスープだった。

 俺は硬いパンを掴み、考える。俺は異世界に召喚もしくば迷いこんだ。それなのにチートなんてない。もちろんアイテムボックス、時空魔法もないからこんな時、時間が止まってるからいつでも新鮮、ホカホカの食べ物が今、あなたの手元に~って事ができない。あらゆるチート異世界人はそんな事を当然のようにやってのけて巨乳のエルフに獣人とやらと、きゃっきゃうふふの楽しい食事を楽しむなんて理不尽、同じ異世界人なはず、神は何故、こんなにも残酷で残念なんだ!チロっと横を見るとハムハムと擬音が聞えそうな顔して美味しそうな食べ方してる女神を見て、項垂れる。

 無理だよな、高すぎる望みだったよね?


「トオル君、味、おかしかったですか?」

「ううん、そんな事ないよ?いただきます」


 マメとベーコンのスープを掻っ込む。やっぱり美紅の味付けミスがあったかもしれない。だって、いつもより塩味が効いていたから。



 食事が済んでまったりとした時間にこの洞窟のモンスターや罠について聞いてみようと思い、コルシアンに声をかけた。


「中の状況かい?罠に関しては、ほぼ気にしなくてもいいらしいよ。元々少なかったらしい上、解除し尽くされてるらしいから。ただね、モンスターはどんなのと聞かれても色々としか答えられないね。法則性がない感じで敵が現れるらしいんだ。極端な話、レッサードラゴンと突撃ウサギが一緒に現れるといったことが普通らしい」


 何それやっかいそうである。弱いモンスターだから油断したらその後ろから強敵とこんにちはってオチがあるってことを示しているのだから。


「1つはっきりしてる事があるんだ。最奥の結界前に本物のドラゴンがいるらしいんだけど、凄く強いらしい。戦って勝った者はいないそうだよ」


 そこで疑問に思う。どうやって最奥の結界に到着したのかと。


「多分、どうやってそこを抜けたのかと思ってるよね?そのドラゴンは大抵行ったら寝てるそうだよ。だから静かに抜ければ通れるらしいよ」


 そこまで危険を冒しても結界で先に進めないとなれば誰もいこうとはしないだろう。いるとしたら命知らずの力試し馬鹿ぐらいだろう。

 コルシアンはそれにねっと俺達を見渡して、語りかける。


「最奥の結界前までの地図があったりするんだな~だから迷う心配もいらないかも?本当にモンスターの脅威を払うのが大変なだけなんだよ」

「モンスターがやっかいなだけでなんてことないじゃないか」


 俺は溜息混じりに言った。

 それを見ていたコルシアンが眼鏡の位置を直して、明らかにいつもと違うトーンの低い声で俺に言ってくる。


「トール、君は何か勘違いしてないかい?結界前がゴールじゃないんだよ?むしろ、そこがスタートラインだ。そこで先人と同じで足止めされて帰るだけになるかもしれないが、そこで何か得て、その結界の先に行こうという気持ちで私は来ていたのだが君は違うのかい?」


 俺は震えた。コルシアンの言う通りだ。そこをゴールだと思っているなら行く必要すらあり得ない。普段の惚けた変態だと思っていただけにこのセリフは応えた。見た目に騙されたらダメと言う事を再確認する。


「すまない、ついつい、貴方を護衛をする事が今回の仕事だと思い込んでいた。自分から初代勇者の足跡を訪ねに行ってたのに」

「いやいや、私の身を心配してくれて、目的と手段があべこべになってしまってたのだろう。気持ちは嬉しいが、今回だけに限らず、自分が何の為に行動し、何を為さねばならないかと常に考えて行動するんだよ?君は1人じゃないんだ、むしろ、君の行動によって君の傍にいる2人の運命を決めると覚えておくんだ」


 中に入る前にこう確認できる時間が取れて本当に良かったよ、といつものコルシアンに戻って笑っている。

 自分に足りてない所をこう諭されるのは正直、反発したい気持ちもない訳ではないが、今、コルシアンが言ったように自分だけじゃなく2人にも影響する事だ。勘違い、間違いを諭してくれる大人の存在は有難かった。

 しかしだ、1つだけ納得できないのは、アローラにきてからの俺を諭してた人物の顔を思い出すが、ミランダとコルシアン。存在がまともな人がいない・・・見た目から諭す大人って人からの忠告とかない現状がちょっと悲しかったりしたが忘れる事にする。


 隣にいた美紅が俺の手を取って微笑む。


「私達も一緒にいます。1人で抱え込まないで相談してくださいね?」

「ありがとう、美紅」


 反対の肩に手を置かれたからそっちに顔を向けるとルナがぺ○ちゃんのような顔してウィンクしながらサムズアップしていた。頬に渦巻きがある幻想が見えた気がする、ルナ、恐ろしい子。


「ありがとう、ルナ」

「いたた、なんで頬を引っ張るの徹!」


 ついついやってしまった。だが後悔も反省もない!

 場に笑いが生まれ、穏やかな空気が流れる。


「君達は面白いね。でも、そろそろ寝ておこうか?明日から洞窟を攻略するんだから体調は万全にね?」


 そう、コルシアンがそう場を締めて解散してテントで寝る事にした。



 早朝、目を覚ましてテントを出るとコルシアンと御者が話をしてるとこに出くわす。


「いざとなったら荷物も私達も無視してでも逃げるんだよ?もちろん、馬車は持って行ってくれていいからね?」


 御者はありがとうございますっと言って頭を下げている。

 コルシアンは俺が起きてきた事に気付いて、おはようって言ってきて、事後報告になるがと言って、今の判断でいいよね?と聞いてくる。


「おはようございます。はい、俺もその事が気になってたんで聞こうと思ってた事なんで異論なんてないですよ」


 俺の返事を聞いて、ありがとうと笑うと御者にそのようにと再度言い含めた。


 ルナと美紅がテントから出てくるのを確認した俺達は朝食にする事にした。

 昨日の夜と同じメニューだったがそれだけだと寂しいだろうと美紅が火で焙ってチーズ溶かしたを各自のパンにかけていく。やっぱり美紅は出来る子だ。俺は美紅の頭を撫でる。嬉しそうに笑う美紅が印象的だった。



 朝食が済んだ俺達は食後休憩を挟んで洞窟に入る為に入り口前に立っていた。


「さて、行く覚悟は完了かい?」


 コルシアンに言われると俺達は頷いて、洞窟へと入っていた。



 中に入るとコルシアンが用意した地図の力が大きく、楽に攻略できた。戦闘は本当に節操がないとしか言えない組み合わせで出てきて、一度出てきた魔物で不覚を取りそうになったモノもいたがなんとか切り抜けた。

 最後の結界前の階層に降りる階段を降りていた。


「徹は本当にお馬鹿さんなの!魔物に飛びついて捕食されそうになるなんて本当に馬鹿なの」


 二度重ねて馬鹿を連呼されるが今の俺は一切文句言えない。実際に捕食されそうになって2人に助けて貰ったのである。美紅ですら、ジト目で俺を見るレベルである。


「あはは、あれは痛快だったね。ラミアが出てきて、迷いもなく剥き出しのおっぱいに飛びついたトールには同じ男として尊敬するよ」


 コルシアンは目に涙を浮かべて笑ってくれているが周りの温度差を考えて欲しいものである。

 仕方がなかったのである。そこにおっぱいがあって剥き出しだったのである。しかも、大きかった、そう、とっても大きかったのである。いつ飛びつくの?今でしょ?と俺に呼び掛ける天使がいたがどうやら悪魔の偽装だったようだ。

 前を見ると階段の終わりが見えてくる。


「そろそろ最下層に着くぞ」


 気を引き締めていくぞっとばかりに気合いを入れよう声をかけるが、2人の俺談義が終わらない。


「トオル君はもっと自制心を養う必要があるんです。シーナさんの事とかもそうですけど」

「そうなの、徹は女の価値を胸に一点突破させすぎなの。特訓の必要性を感じるの」


 俺は恐ろしい言葉を聞いて身震いをする。

 そんな俺達を見て苦笑するコルシアンがまとめてくれる。


「トールの特訓はともかく、もう最下層に着くからドラゴンがいるんだよ?もうちょっと緊張感持とうね?」


 そう言われて、現状把握に至った2人はすいませんとコルシアンに謝る。

 ついでに特訓の是非も否定して頂きたかったが贅沢は言えない。




最下層に着いた俺達はそっと中の様子を窺うと、ドラゴンさんは起きていたようで目が合ったところ、目礼して俺は階段に戻る。


「ばっちり、起きてるよ、ドラゴン」


 俺達に沈黙が降りる。やはり騒がしかったか?

 2人がシュンっとしてる。


「いや、2人のが原因だと思わないから落ち込むなよ?」


 2人を慰めると階段の向こう側から大音量の低い声を響かせてくる。


「初代の縁の剣を携えた男、出てこい。お前を待っていた」


 俺、歓迎されてるぽい?切実に初代勇者に仕込まれていたフラグは全力でお断りさせて頂きたいんですがっと思い、周りを見ると3人が俺から距離を取っているのを見て涙目になった。

 感想などありましたらよろしくお願いします。

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