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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
1章 こんにちは!アローラ
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2話 森の中でこんにちは

 では、2話目です。よろしくお願いします。

前略、母上様、徹です。お元気でいらっしゃいますか?徹はとっても元気でやっていますが心配してください。あるものを掛け金にして熱いレースが繰り広げられてます。まさに必死です、手に汗握る真剣勝負です。過去にここまで前向きに生きた事がありませんでした。自分でもここまで頑張れる男とは思ってませんでした。語りつくしたい事はもっとあるのですが、今日の所はこれぐらいにして置きます。きっと、きっと、また語りかけられる事を祈りつつ、アローラから徹の愛を込めまくりで届けさせてもらいます。では、また~


「徹、虚ろの眼差しでブツブツ言ってる場合じゃないの。頑張って走ってください。食べられちゃいますよ!!」


 早々に俺を囮にして木の上に避難をちゃっかり完了した女神が月明かりをバックにしているせいで表情は分からないが俺に向かって悲痛に聞こえる声音で叫ぶ。

 自分が安全を確保して初めて他人を労わるような感じなの?悲痛に聞こえる感じで言ってるけど、あんたが俺をあの危険なイノシシみたいなのに向けて、可愛い声で「ハイ、ドーン。」ってやらかして逃げた結果よ?どうなんよ?しかも女神の端くれなら、このイノシシぐらいそこの安全圏からなんとかできるんじゃないの?


「仮にも女神ならそこから魔法的なものでなんとかしてくれ~」

「女神にも出来る事と出来ない事があります」


 キリって音が聞こえるようなキメ顔でのたまう。この女神つかえねぇー!

 必死に逃げながら30分ぐらい前の出来事を現実逃避がてら思い出していた。



 ルナの手を引いて、扉を抜けた俺は、森のど真ん中といった景色の一部になるように神の世界からアローラに降り立った。

 辺りを見渡すも、どっぷり夜の森で道どころか獣道も分からないぐらい深いとこにいるようだったので、てっとり早くルナに質問してみることにした。


「ルナ、最寄りの国や村、人がいるのはどっちなんだ?」


 フォフェ?って擬音が聞こえそうな可愛い顔してるけど頭の上ではきっとハテナマークに彩られてそうで不安になるから、その顔は止めてほしい。


「知りませんよ?ここがどこかすら?」


 シーンという静寂が二人を包む。ちなみにシーンという表現を一般に広げたのはア●ムを書いてた偉大な漫画家らしい、本当かどうか知らないが。

 などと現実が目を反らした俺だが現実立ち返り、遭難から始まるハードモードが好みなのか?そんな所に門を繋いだのか、この女神は、まったく残念なのは胸だけでして欲しかった。すると殺気が一瞬、俺を貫いた。殺気の主は隣の女神。相変わらず、胸の事になると恐ろしく感がいい。


 使えない女神のことは置いておいて、確率論になってしまうが人が生活を営む上で水があるというのは最低条件になってくると思われる、川を見つけて沿って行けば人が住んでるようなとこに出る確率は高いのではないのだろうか?耳をすませば、滝のような音が聞こえるから川はあるだろう。音のするほうに向かうがてらルナに話しかけることにする。


「アローラってどんなとこなんだ?女神や魔神がいたりするとこみると魔法なんかあったりするのか?」

「ありますよ。徹のとこでもあったのですの?」


 お互いに情報交換しながら歩いた。

 その結果、分かり易く、剣と魔法の世界の中世が舞台な感じと解釈で間違ってないようだ。よく物語でもよくあるテンプレとか言われるが、こう渦中にいるともしかしたら、地球のほうがイレギュラーなのではとも感じられるが、アローラと地球しか知らないから分からないが・・・また話が逸れた。


 しばらく、歩くと水の音が大きくなってきて、そろそろだな~って思ってると草むらからクマさんではなくイノシシさんとコンニチハすることになった。

 蹄を地面に擦りつけ、出発は今か今かと俺達を睨みつける。

 ルナと目が合う。お互いに気付いたようだ、先に動いたほうがターゲットされると。

 どうするべきかと頭を捻ってるとにこやかな笑顔で見つめる顔こと、ルナがいた。何をするつもりなのかと思えば、


「ハイ、ドーン」


 ルナに突き飛ばされ、イノシシの気を引いてしまった。それを尻目にルナは近くの木を登ってしまう。

 ロックオンされた俺は必死に逃げ、木の上から応援するルナの形が出来上がる。

 ここで冒頭に戻る。


 この危機を乗り切ったら、ルナのオッパイ揉みまくってやる!!

 あ、ないんだった・・・救われねぇ。

 こうなったら孫●空が楽器の大魔王に使った手しかない!木の直前でかわして自爆に追い詰めるしか!


 思い立ったら即実行とばかりに木の直前でまさにギリギリでかわす。するとなんてことでしょう。イノシシのことイノちゃんもかわしてしまうではありませんか!すれ違う間際に合った目が「そんな古い手が通じると思ったか!」って言ってるような気がする。万事休すかと思ったその時、吹っ飛ぶイノちゃん。何が起きたのかと思って足元を見ると出っ張った石がある。まさかそれに引っかかって吹っ飛んだのかイノちゃん!飛んだ先には大岩があるじゃありませんか。減速することなく大岩に激突。大岩を粉砕!ストライク!!岩の下敷きになったように見えたが自力で出てきたはいいが、出たとこで力尽きたようで倒れる。

 棒を持って近づいてツンツンってしてみる、なんの反応もない。お亡くなりになられたようだ。イノちゃんは楽器の大魔王ではなく冷蔵庫の人だったのね。


 安全が確保されたのを理解したルナは木から降りてきて、


「徹ならきっと乗り切れると信じてました~」


 と言ってきたので信頼の証に後頭部を叩いておいた。


 このイノちゃん食えるのかな?意地汚いって思うかもしれないけど、今、俺達一切荷物がない。つまり食い物がない状態なのだ。食べられるなら食べないとイノちゃんの供養にもなるはず。持ち運べるような大きさでもないから切り分けたいが刃物もない。ルナの魔法に便利な方法がないか聞こうとした時、また何かが現れる前兆のように草むらが揺れた。


 俺達は、もちろん、いつでも逃げれるように重心を後ろにして逃げ腰全開で草むらを見つめた。


 草むらから出てきたのは横が明らかに俺の倍、縦は2メートルは超えてると思われる生き物だった。それを見たルナが、


「クマが出た~どうしよう、徹!!」


 そう言われてもやる事は一つ、後方にヘッドスライディングするよう飛び、周りの倒木のように擬態するが如く息を浅くする。秘儀、死んだフリだ。

 それを見たルナはクマと俺を交互に見ると俺の後ろのほうに行って足で押すようにしてクマに差し出すように動く。

 なんて女神だ、イノちゃんの時も思ったが我が身のためには俺を差し出す事に躊躇しないだと!


「よせ、ルナ、俺の完璧な擬態を邪魔するな。お前ならきっと無事逃げ切れる、俺の屍を乗り越えて先へゆけ!」

「ここで私が逃げたら徹のようにさっきのイノシシに追われるみたいに逃げ回らないとダメになるじゃないの。徹が囮になってる隙に私は無事逃げ切って見せるの」

「2度連続とか同じ手を使い潰すなよ。次はお前が頑張れ。木に登るといいらしいぞ」

「クマは木を登るの~!」

「ちぃ!」


 2人の醜い争いを続ける中、森のクマさんはプルプル震えていた。


「誰がクマだっ!ワシは人間だ!」


 徹とルナは弾けるようにクマを見た。


「クマさんが喋った(の)」

「クマじゃないって言っておろうが!だいたいクマに死んだふりするのは死ぬと同義じゃぞ」


 俺は恐る恐る、近づいてクマ(仮)に近づいて確認した所、確かに、良く見るとドワーフを思わせるような髭で、マタギの格好の毛皮を体に巻きつけるように着ていて、その皮が明らかにクマのものだ。だから見間違ったのだろう。ルナに告げる。


「ギリ人類かもしれない。人(仮)昇格でいいかも」

「人だというのに、まあいい、こんな森深くそんな格好で何をしてるんじゃ?」


 確かに俺は黒で統一されたシャツにジーパン(ミッションの為に夜間に紛れて目立たないかもという希望を込めて事前に準備した)で、ルナはワンピースのようなもの、森の中にいるような格好ではない。

 素直に話したところ、面倒になりそうな感じがするルナが女神だと分かるとやっかいそうだ。ただ・・・さっきのやり取りを見てて女神と信じてもらえるかは悪い賭けになりそうだ。もちろん、信じてもらえなくてルナ号泣ってオチで。なにそれ、俺、その絵すげー見てみたい。


「俺達も何が何やらで分かってる事が少ないんだが、多分、すぐそこの川の上流で落ちてすぐそこの滝のそばで気絶してたもんで、イマイチ状況把握できてないんだわ」

「上流ってことはこの山頂にある村のほうから来たのか?」

「ああ、山村って感じの小さい村だったな」


 あそこから来たのかと勝手に納得してくれる。適当に言ったけどこのオッサンに思い当たる村があって良かった。

 後、思ったより、この山は標高が高いという事を覚えておこう。地理把握は早いほうがいいしな。


「で、俺が徹でこっちがルナ。オッサンは?やっぱいい、オッサンで通すから」

「待て待て、俺の名前はザウスって名前があるんだ、ちゃんと呼べ」


 分かったよ、オッサンと言うとオッサンは目頭を抑えて空を眺める。年で疲れ目なんだな、きっと。


 復帰したオッサンは、イノさんを見て、


「お前さん達が仕留めたのか?」

「俺の拳を唸らせたらこんなもの、余裕よ」

「その割にはクマを見た瞬間に戦意消失してたようだが。しかし、本当、この大岩にぶつかって自爆じゃろ?」


 オッサンが後ろにある砕けた岩を指差し、呆れた顔して俺を見る。

 俺はもちろん、無視をした。生きるための逃げはアリなのだ。


「どうするんだ?このイノシシ」

「食ってやるのが供養だと思ってるんだが、運ぶにしても解体するにしても出来ないから困ってたところなんだ」

「ふむ、一宿と解体、運搬で半分寄こすというなら手を打ってやってもいいが?」


 むむ、少々足元を見られてる気がするが、このままだと捨て置くしかないこの状況、選択肢は1択か。しかし・・・

 そんな風に悩んでいると俺の隣からクゥーと可愛らしい音が聞こえてきた。音の発信源を辿るとルナが真っ赤な顔して俯いている。

 オッサンはニヤリと笑って、決まりじゃろ?と俺の肩を叩いてくる。

 どうせ選択肢は選べるほどなかった、溜息ついて、了承する。


「契約成立じゃ、今日はボタン鍋だ~」


 俺では持ち上げられるとは思えなかったイノちゃんを軽々と片手で背負い歩いていく。


「ザウスさんってやっぱりクマさんじゃないんですか?」


 ルナに確認されてショックを受けたようで乾いた笑いしながら歩いてる姿は先程より小さくなっているように見えた。

おっさんには、この辺りの地理など、この世界の常識を聞き出そう。このおっさんは常識とか怪しそうな気もするがルナよりはマシだろう。特に文無し状態から脱却しないことには生活もままらん。15歳ですでに生きていくための稼ぎの話を真剣に考えてる。日本にそこまで考えてるような15歳はどれくらいいるのだろう・・・想像したら泣けてきた。

 今日はヤケ酒だ、肴には困らん!とドスドスと足を鳴らして進む。目端に涙があったように見えたのはきっと俺の錯覚だったのだろう。


 今日は、オッサンが潰れるまで酌を勤めようと決めた俺だった

 今回は連日投稿になると思います。31日に投稿すると思いますので間に合えばよろしくお願いします。

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