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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
3章ー1 初代勇者の足跡との遭遇
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34話 最高の報酬

 本日2話目になります。順番ずれてたりしませんよね?

 神になり損ねた悪霊との戦いの結末になります。

 では34話になります。よろしくお願いします。

 隠し部屋を飛び出し、礼拝堂へと着くと力の奔流、神に成り損ねた、大魔導師と呼ばれたオルデールに追い付く。アイツとあの世界にいた時にアイツが俺の事をだいたい分かったように俺もアイツの事がある程度理解した。

 アイツの求めてた真理、野望なども分かったが正直どうでもいい。そんなものはどうでもよく、コイツ、オルデールに語った初代勇者の女神に隠すかという理由の一端のほうが重要だった。ルナに俺は語れるのか、初代勇者が求めたのは神を殺す力を超えるものだった事を。何故そんな力を魔神を封印してから求めたのかは分からないがあまり良い予感はしない。

 知りたくもなかったと言いたい気持ちもあるが知っているからできる事もあるはずである。もしかしたら知らずに良かれと魔神に挑んで消滅させたら手遅れであったかもしれない。

 だが、まずは、この胸糞悪い、オルデールをぶっ飛ばしにいこう。


 初代勇者の剣を握りしめる。すると何故かこの剣の名前が浮かび上がる。ショートソードような長さの柄のない剣はカラス。そう認識すると刀身が真っ黒に染まる。カラスって烏っとかレイブンとかそっちの締まる名前じゃないのかよって突っ込んだが変更はないようだ。もう1つの片刃のナイフより長い、ドスみたいな剣がアオツキ、蒼月とかじゃないの?と無駄と思いつつも突っ込むがやはり無駄だった。くすんだ蒼い刀身に変化する。


 2つの剣の目覚めのように刀身が変化した時、俺の見える世界が激変する。

 目に見えない、見えないはずの場所の状況が今、見てるかのように錯覚、いや、これは認識できてる。勘違いじゃない。俺の後ろにいる2人から送られる熱い視線?え?なんで?さっき騎士宣言したみたいな事いって時より込められてる思いが強いと感じる。正直に言おう。目の前のオルデールより怖い。あの視線の情報カットできないかな?って思ったらできた。これで落ち着く事が出来る。


 落ち着いた俺は今はなんでできるかって言う当然な疑問を捨てた。それは些事・・だ。使える物は使う。するとオルデールの魔力が1点に集まりだす。


「ルナ、美紅、散開!魔法がくるぞ!」


 ルナは右に、美紅は左に走る。俺は奴の頭上に飛ぶ。頭と足が逆転してる態勢でオルデールを見る。今までの俺だと身体強化してもこんな真似はできなかった。万能感に包まれる俺は吠えるように叫ぶ。


「でっかい魔法打つ準備をしろ!」


 オルデールが集めていた魔力をアオツキで斬り裂く。何故か斬り裂けると俺は分かった。

 俺が魔力を斬り裂いたのを見た2人は詠唱と魔力集中を始める。


「神の成り損ない、大魔導師、どれでもいいが、俺はお前に負ける気がしないさ、嘘だと思うならやってみろ。タイムリミットはあいつらの詠唱が終わる時だぜ?」


 魔力を迸らせて見えない魔力そのものをぶつけようとしてくる。

 俺はその魔力の塊を視認・・してかわす。弾幕を張るように打ってくる魔力をかわしつつ、懐に飛び込むと俺は身体強化を全開にして斬りつける。

 腕、肩、腹、足とくまなく斬りつけるように乱打するがオルデールは首と心臓と顔を傷つけてなるものかと守っているようだ。

 魔力の塊になっているからそんな局部だけ守っても意味ないだろうに、俺を乗っ取ろうとした執念がこういう無駄もさせるのだろうか。


 乱打してて気付いたがやはりカラスよりアオツキのほうが魔力を斬り裂く力が強いようだ。アオツキで斬りつけた場所が戻す魔力が追い付かなくなってきたのかそのままになってる箇所が増えてきたようだ。


 俺に斬られながら魔法を打ってくるが避けられるか、アオツキに斬り裂かれて俺にダメージらしきダメージを与えられない。数で避けられるなら避けれない大きさにすればいいと思ったようで俺を目の前で無防備に魔力を溜め出す。


「もうこうなると憐れみすら感じるわ」


 俺はアオツキでオルデールの頭から真っ二つにする。こんな目の前で溜めのいる魔法を使おうとするオルデールは精神も死んでるのかもしれない。大魔導師と呼ばれたオルデールと戦いたかったな。


「もう、ゆっくり眠れ、オルデール」


 俺はカラスで右半身を叩きつけるように振って美紅を目がけて飛ばす。左半身を回し蹴りをしてルナに飛ばす。


「飲み込んで弾けろ!フレア。」

「唸れ、デュポーン!」


 ルナが風魔法と美紅が炎魔法がオルデールを飲み込む。飲み込まれてそのまま消える。断末魔すらなく、静かに消えていった。



 俺はオルデールの存在理由が少し悲しく思っているとルナと美紅が俺の傍にやってくる。


「大丈夫なの?徹?」


 心配そうなルナが聞いてくる。同じように心配そうに俺の服を掴む美紅。

 俺は心配してる2人に、大丈夫だっと笑いながら伝えようとしたその時、カラスとアオツキを手から落とす。そして自分の体を抱えるようにして俺は倒れた。



「本当に信じられないの!あの場面でアレはないの。ちょっとカッコイイかと思ったのに」

「あはは、大丈夫です。私はカッコ良かったと思いますよ?トオル君」


 お願い、もう殺して・・・俺は今、どん底にいた。あの時、倒れたのは初めて身体強化した時と同じ理由の全身筋肉痛である。今まで出来なかった事をあれだけ乱発してれば体が限界を迎えるのは当然である。前に学習してたはずなのにやってしまったのだ。

 前回同様ルナに回復魔法をかけてもらったが全快とはいかず、酷い日焼けした次の日のように触られたら悲鳴を上げるかもしれない情けない状態なうえに荷物持つ余裕がなく美紅に持って貰ってるという情けなさ2倍である。

 今は帰るためにクラウドに向かって歩いている。クラウドに着くのはおそらく夕方になるだろう。俺がまともな状態ならもっと早いんだろうが・・・

 ルナの愚痴を聞き流しながら俺は踏みしめるようにしてクラウドへの帰り道を歩き続けた。



 夕方が終わりそうになった頃やっとクラウドに帰ってきた。


「徹がちんたら歩くからこんな時間になったの!」


 美紅がまあまあとルナを宥める。

 何も言い返せない俺はトボトボと東門を抜ける。抜けた先に俺達を待ち構えていたらしき人物がいた。あれ?デジャブ?しかし、よく見るとスカート履いた女の子のようだ。オランダの民族衣装の花を売ってそうな格好である。少しきつめな目をしてて可愛いとは言いづらいが美形である。近づくとやっと俺は気付く。


「お前、ルルか?なんで女装してるんだ?」

「女装じゃねぇ!俺は女だ!」


 俺はへっ?と間抜けな声を出すと、後ろで見てたルナが俺だけに聞こえるように説明してくれる。


「使徒というのは巫女の役割があるから女の子しかいないの」


 中性的だなってとは思ってたが、確かに美人顔って感じである。

 はぁ~と感心してるとルルが俺に聞いてくる。


「トールがやってくれたんだよな?ねぇちゃんの呪いを解いてくれたんだよな?」

「呪いの元凶は倒してきた。ねぇちゃんも無事みたいだな」


 ルルがここにいるってことはそういう事だろう。嬉しそうな顔したルルがもう大丈夫と俺に抱きつく。

 もじもじしだしたルルが真っ赤な顔していつもより1オクターブ高そうな声で話かける。


「ねぇちゃんを助けてくれた、お礼できるものが今は何もないんだ。後ろのねぇちゃん達にも必ず払うから待っててくれないか?」


 報酬なんて貰うつもりはなかったが、ここで断るのはルルを傷つけそうだから頷いておく。


「トールにだけに聞いてほしい事があるんだ。耳を貸してくれ」


 俺はなんだろ?っと思ってルルの目線ぐらいまで屈むと耳を向ける。


「トールだけに特別報酬・・・・。受け取ってね」


 なんだ?って思うと俺の頬に柔らかく暖かいものが一瞬触れて離れる。俺の後ろでルナと美紅が騒いでいる。


「俺のファーストキスなんだぜ、大事にしてくれよ!」


 顔を真っ赤にしたルルが慣れないスカートに四苦八苦して走り去る。

 走り去るルルの後ろ姿を見ながら苦笑して、


「最高の報酬だな」


 とても暖かい気持ちになりながら背後から迫る極寒の冷気に身震いする。



 変態、鬼畜、ロリコンと呟くあの危険人物をどう処理したらいいものやらと頭を抱えた。

 感想お待ちしております。

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