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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
2章 10年ぶりの再会
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23話 ヤツ再び

 梅雨の気温変動のためか風邪気味な気がします。みなさんは気を付けてください。

 では23話になります。よろしくお願いします。

 早朝といえる時間に出発の準備を済ませて、クラウドに戻る為に行動を開始した俺達は、森の中を歩いていた。


「しかし、偶然なのか、帰り道もモンスター出て来ないな?」


 今日の昼飯の為にも突撃ウサギには是非出て来て頂きたいと切実(美紅の胃袋に対応する為)に複数出てきてほしいのに突撃ウサギは勿論、ゴブリンも見かけない。


「それはそうなの。結界の効力がまだ続いているから」


 えっ?呟いて美紅を見ながらルナに問い返す。


「結界から美紅出てるから結界消えてるんじゃないのか?」

「うん、1年は効力は持続するはずなの。つまり1年は効果が同じだから美紅が結界から出たかどうか調べに来ない限り、ばれる事はないの」


 ウサギは獣だから結界が効かないはずだから偶然なんだろうがゴブリンはそういう事情らしい。

 なるほどっと納得してると美紅もそうなんですかっと言ってるところから本人も知らなかったようだ。


「ばれるとか言う話になったから気になったんだが美紅。勇者がいるっていうのはアローラの常識なのは分かるが、美紅が勇者だと知ってるのはどれくらいいるんだ?」


 少し考え込む顔した美紅が顔を上げる。


「アローラにはテレビや写真みたいなのはないから基本的に顔を合わせた人しか知らないはずです。伝聞で、特徴が漏れた程度の情報がやっとだと思います」

「彼女は城に軟禁されてたから城を出入りしていて、それなりに重要なポストにいた者か世話をしてたメイドぐらいとしか面識がないはずなの」

「となると、王都に近寄らなかったら、神経質になる必要性はないようだから気楽にいけるな。クラウドから離れないといけないとかなるとちょっと辛かったからな」


 胸を撫で下ろす俺を見て、美紅が申し訳なさそうに謝る。


「私がいるためにそんな悩みを持たせてしまって」

「いやいや、そんな重い話じゃないから。美紅も知ってしまったら俺と同じ事思うんじゃないかな?俺と同じ世界から来たんだから」


 どういうことですか?と聞き返してくる。イタズラの仕掛けに喰い付いたを見て笑うように答える。


「もしかしたら知ってるかも知れないけど、アローラにも米があるって知ってるか?」


 米ってキーワードに美紅が目を見開く。


「あるんですか?お米。2度と聞く事すらないと思ってたのに」


 やはり同じ世界の住人だけあって、かなり喰い付いてきた。その反応に満足した俺は、


「だけじゃない、味噌もあるし醤油もある。元の世界の料理も拡散してないだけで一部にはあるんだ。その中でも俺達の世界で嫌いな人を探すのが大変な料理も既に俺に口にした」


 なんなんですか!と俺を揺すってくる。凄い力だ、こんな小柄なのにやはり勇者なのだろう。今は食というもので暴走しているようだが。ルナも食べると言う事の執着は凄いモノがある。女の子ってそういうものなのだろう。美紅もやはり普通の、普通?普通・・・まあ、いいや、考えるのは止そう。


「ふっふふ、俺は美紅に会いに出発する前日の夜にカレーライスを食べたのだ!!」

「アレは美味しかったの。私は辛かったから蜂蜜入れたら幸せの味だったの」


 俺を離したと思ったらふらついて、ペタンと尻もちを着く美紅。10年、憧れて諦めたはずのものがあると知ったら俺もそうなったのかもしれない。すると美紅は泣き始めた。引っ張りすぎたか、と俺はオロオロする事しかできずにいたらルナが美紅を抱きしめて頭を撫でていた。


「街に戻ったらミランダにご飯作って貰おうね。徹が言うにはミランダ以外で元の世界の料理を作ってる人見かけないようなの」

「ありがとう、ルナ」


 ルナに抱きついて笑顔を浮かべる美紅を見て思ったより2人の間にシコリがないようでほっとした。

 2人で笑い合ってるのを眺めつつ、俺は感じていた。



    俺、空気。



 しばらく、時間にして1時間ぐらい歩き続けたあたりで、俺はヤツに出会う事になった。勝てなかった思い出が蘇る。ただ逃げる事しかできなかった情けない俺の記憶が俺を蝕む。次こそはと負けられない戦いが目の前にあった。緊張の為、手に汗がにじむ。ルナは神妙な顔して既に木の上に待機している。美紅は俺とルナを交互に見つめ、どうしたらいいのかと思っているのであろう。若干震えているように見える美紅にルナは光る縄のようなモノを美紅に投げつけたと思ったら光る縄は美紅に巻き付き、ルナが引っ張るといとも簡単にルナの元に運ばれる。それを横目で眺めていたら、俺にサムズアップして私はいい仕事しましたっとばかりに会心の笑顔を浮かべる。あのアホ女神は説教確定だ、きっちり、かっちり、拷問(料理を前におあずけ)してやる。


 そう、ヤツはイノシシMk-2、略してイノちゃん2号、約し切れてないないのは気にしない方向でいこう。

 初めて会った時はイノちゃんの暴走による自爆で事なき済んだが、普通の異世界モノなら最初のモンスター、イノちゃんは獣だが、とか盗賊には勝つのが基本だ、自分の力に翻弄されながらか、理解してかは別れるだろうが。今日、俺は、仕切り直しをする。そしたら、異世界モノの主人公のように巨乳の彼女ができるかもっと夢想するバカがいた。

 イノちゃん2号!俺のフラグのための礎になってくれ!!


 俺の気合いが後押しになったのか、俺の心の迸りを心中で語ったと同時にイノちゃん2号が飛び込んできた。

 飛び込んできたイノちゃん2号を右にかわすと同時に横面を身体強化した左手で殴りつける。殴られてグラついて止まったイノちゃん2号の頭を蹴り上げて首元がフリーになったのを確認した俺はショートソードを抜き、首を一刀両断にした。血糊を振って払い落し、鞘に戻した。

 その時、俺は考えていた。巨乳のハーレムできたらいいなっと。この短い間で何足飛びかしている増長しまくった俺がそこにいた。



 イノちゃん2号の解体をする事でルナへの拷問をすると思いを封じる事に成功した俺は持てるだけの肉を持って、昨日のお昼を取った湖なのか池なのか分からない水場で食事をする事にした。


「この2日でほとんど肉しか食ってないから正直、違うモノも食べたくなって来てるな。そこで釣りしたら釣れるかな?」

「釣れても食べれるか分かりませんよ?」


 俺がぼやくと美紅が安全の為にやめときましょうと言ってくる。まあ、釣り道具もないからどっちにしろ釣れないんだけどね。でも、いずれその知識は必要になるかもしれないし釣り道具も拘らないならそれほど嵩張る事もないから購入を視野に入れておいてもいいかもしれない。

 ないもの強請りしても仕方がないからイノちゃん2号の肉を焼き始めた。


 今回は俺も肉にありつけたとだけ言っておこう。美紅も少し食べ過ぎちゃいまいしたとは言っていたがイノちゃん2号1頭丸ごと昼飯で消費されたのだ。おそるべし、美紅。



 食事が済んで、俺達はクラウドへと戻るために歩き始めた。そこからはモンスターはもちろん、ウサギもイノちゃんとも遭遇することもなく、穏やかな午後を満喫しながら歩き続けた。


 そして、夕方になる頃、クラウドの北門が見えてきた。


 さあ、マッチョの集い亭に戻ろう。

 振り返ってルナと美紅の顔を見て俺は笑いかけた。

 感想などもお待ちしておりますのでよろしくお願いします。

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