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225話 ここから俺は・・・

 気付くと俺は小さな女の子、艶やかな黒髪を肩まで伸ばしていて、目を見ると少し赤みが差していた、物凄く見覚えがあり、心あたりのある名前を問いかける。


「もしかして、美紅なのか?」

「そういう貴方はトオル君?」


 どうやら美紅で間違いないようだが、どうみても初めて会った時の5歳の美紅にしか見えない。

 そう思った瞬間にある違和感に気付く。その美紅と俺は今、目線が似た高さである事に・・・

 慌てて自分の体を触って確かめていくが否定したいが出来ない状況に追い込まれ出す。

 辺りを見渡すとそこは美紅と出会った神社のようでキョロキョロと見渡すと手水舎ちょうずやがあるのを見つけると駆け寄る。この短い距離なのになかなか着かないこの事実が俺を追いこんでいく。俺を追うように美紅もやってくるがそれに構わず、水面に顔を映すと認めたくない現実がそこにあった。

 そこにあったのは5歳当時の俺の顔がそこに映っていたのである。


 夢を疑って頬を抓るが痛い。ちょっと涙目になりつつ、振り返ると美紅に問いかける。


「美紅、アローラって知ってる?」

「どうやら、私が知っているトオル君のようですね・・・これはどう言う事なのでしょうか?」


 お互い首を捻るが答えが出ず、とりあえず、移動して色々見て廻ろうっという事になり、俺達は神社の階段を降りて行った。

 降りた先で撥ねた髪が耳みたいに見える赤髪の俺より小さな女の子を手を引いて歩く母さんに出くわす。

 美紅は赤髪の子を見て、テリアちゃん?っと呟くと親指を咥えたまま、ニヘラっと笑い返される。


「あら、徹。こんなところにいたのね?カズちゃん見てない?多分、マリアちゃんとミラちゃんと遊んでるんだろうけど・・・見つけたら、早く帰るように言ってね。なんたって、今日は海外の親戚の子のティテレーネちゃんを預かるんだから、パーティよ、パーティ」


 騒がしい事が大好きな母さんは楽しそうに赤髪の子に、ねぇっと笑いかけると、アンタも早く帰るのよ?っと言うと歩き去って行く。

 赤髪の子が振り返り、手を振りながら、お兄ちゃん、早く帰って来てねっと舌足らずな言葉で笑顔で言うと母さんに手を引かれて歩いていった。


「なんなんだ?色々、頭がパニックなんだが、何より母さんが言うカズちゃんという存在が凄まじく不安なんだが・・・」

「ティテレーネちゃんとかも言ってましたね?」


 俺達2人は放心していると、俺は尻を蹴っ飛ばされて転ぶ。イタっと言って振り返ると、お手本のようなボサボサの頭をした悪ガキが俺を見て、ニヤリと笑い、よぉっと言ってくる。

 固まる俺に威嚇するように睨みつけて屈んでくると、その子の後ろからきた栗色の髪を二つに分けて後ろで編むように束ねている少女が現れると少年の耳を掴んで引っ張る。


「駄目じゃない、ロキ!無闇に暴力は駄目って言ってるでしょ?ごめんなさいね、この馬鹿が何かやったみたいだけど大丈夫?」


 俺はその言葉に頷くと良かったっと笑みを見せると少年にキッと視線を叩きつける。


「今日という今日はお説教です」

「分かったからよぉ、着いていくから引っ張るなぁ!耳がちぎれるぅ」


 怒る少女に引っ張られて行く少年はどこか楽しげに連れて行かれる。


 俺と美紅は顔を見合わせて、呟く。


「今のってさ、マジか?」

「総合的に考えれば、かろうじて、そうじゃないかと・・・」


 その2人の後ろ姿を見送る。


 気を取り直した俺達は、商店街のほうにやってきた。美紅は記憶がおぼろげで自信なさげであったが俺は確信を持って言う。


「間違いない。ここは俺達が生まれた世界のようだぞ?今まで見てきた風景・・だけはな」


 すると本屋さん、俺が参考書・・・を買った場所から出てきた真新しいセーラー服をきてるのに既に健康的な色香が漂わせる少女が俺を見るとウィンクをしてくる。綺麗なお姉さんなのに俺は身震いをして両腕を抱くようにして身を守るようにした。


「お知り合いですか?」

「いや、初めて会ったはずなんだが・・・」


 誰なんでしょうねっと美紅が呟くが、俺は考えるのを放棄する。



 商店街の出口にくると美紅が指を差して言ってくる。


「確かこちらに行くと海がありませんでしたか?」

「ん?ああ、そこの長い坂を越えると堤防があってそこの先が海だな」


 とりあえず行ってみるかっと言うと美紅が頷く。

 長い坂を昇り切ると堤防が見える。近づいていくと堤防の上で座る人、いや、子供がいるのが目に入る。

 更に近づいて行くと、向こうも俺達に気付いたようで、立ち上がる。


 潮風に晒され、舞うような長い青い髪は絹のようにキメ細やかで、太陽に照らされ輝く。そして、俺達に向かって少女は手を振る。

 その姿を見た俺達は思わず立ち止り離れた場所にいるにも関わらず凝視する。美紅は口元を両手で覆うと俺を置いて少女に向かって走り出す。慌て過ぎて転ぶがすぐに立ち上がり、少女の下へと行くと飛び付くように抱きついて2人して地面に転がる。


 硬直が解けた俺はゆっくりと少女達に近寄って行く。

 近づいてくる俺に気付いた青髪の少女は俺の顔を見て、えヘヘっと笑い、褒めて、褒めてっと表情が物語っているが、胸を張るようにして気付かさないようにと無駄な努力をして言ってくる。


「私、頑張ったの。約束守れたかな?徹」

「おう、上等だ。それでこそ、俺の女神だ!」


 俺も少女達の輪に混じる為に走り出す。



 俺の高校デビューはここから仕切り直す・・・






   FIN

 ここまで、お付き合いして頂き、有難うございました。学もなく、初めて書いた小説だった為、お見苦しい事も多かったかと思いますが、それでも最後まで読んでくれて、2度目ですが有難うございます。

 前にも200話達成とか言ってたあたりでも触れましたが、初投稿が5/24でした。そして、終了した今日が12/24という合わせた訳ではないですが、ぴったり7カ月で終わる事になりました。合わせるなら半年にしとけと?本当に狙った訳ではないのでそこは許してください。


 このエンディングを思いついた時点で付けたタイトルだったのですがどうでしたでしょうか?無意味なタイトルだったと思われてたような感想を貰った事もあったのでどうしようかと悩んだ事もありましたが、もし、納得して貰えるようなら押し通したかいがあったというものです。

 この物語は終わって、始まりますが、皆様の心に残る作品になれたらとても嬉しく思います。


 最終話の更新後、おそらく1~2時間後に活動記録に今後の事を書くと思いますので良ければ覗いてみてください。

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