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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
9章 会者定離(えしゃじょうり)
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191話 踊らされて、悔恨

 昨日というか、日付が変わった時に予約入れようとして、そのまま投稿して朝起きてみるまで気付かないとか、ボケまくりのバイブルです。

 先ほど気付いた事なのですが、初投稿日が5月24日でした。つまり、昨日が丁度半年を迎えてた事を1日遅れで気付く、またまた、ボケまくりのバイブルでした(泣)

 勇者召喚の場所から出発して2日目の朝、私とテリアちゃんは眼前に広がる光景を凝視して固まっていた。その視界の端で苦笑いをしながら、一筋の汗を垂らす兵士さんがいたが、酷い話だが、どうでもいいと思える心境に追い込まれていた。

 いち早く立ち直ったテリアちゃんが、出でよ、大神っと叫んで出てきた狼に飛び乗るとシュタっという音をさせるように手を上げると心配そうな顔を作って言ってくる。


「私っ、やっぱりルナが心配だわっ!ここは美紅に任せて、ルナの応援に行ってくるぅ!」


 行けっと狼の腹を蹴るテリアちゃんを逃がさないとばかりに、全力で接近して襟首を捕まえると丁寧・・に引きずり下ろす。タイミングがギリギリだったようで、テリアちゃんは女の子が出してはいけない類のうめき声を出して、下ろされた直後に狼はトップスピードで駆け出して、遥か遠くまで走り、姿が消えた。危なかった、後、ワンテンポ遅かったら、テリアちゃんに逃げられるところだったと汗を拭うが、地面で仰向けで倒れたまま、逃げ損ねたテリアちゃんは私の顔を見て、顔を歪めてくるので清純風・・・に私はニヤリと笑ってみせる。


「ここまで来て、それはツレないのではないでしょうか?私達、オトモダチでしょ?」

「何っ?その響きがとっても危険なお友達って初めて聞いたわよっ。しかも、笑ってるつもりなんだろうけど、地獄に落ちて、手を伸ばしたら捕まえた相手を引き込もうとしてる亡者の笑顔にしか見えないからっ!」


 テリアちゃんの酷い言い様に傷ついた私は、目元を両手で覆ってさめざめと泣くが決してテリアちゃんから意識を外さす、逃げる隙を与えず、目元を拭うと肩を掴んで嘆願する。


「テリアちゃんだけが頼りなんです・・・私には無理です・・・」


 弱ったフリする私を冷めた目で見つめられるが負けず、泣いて懇願する。


「涙も流さずぅ、泣いていると押し切る美紅の根性には驚嘆するけどっ、私にも無理っ!やっぱり、ルナのところでお留守番すれば良かったっ!」

「私は器用に涙を流したりできないんだから、しょうがないじゃないですか」


 ミランダさんに、女の涙は武器よ?っと言われて、ルナさんと頑張ったが、私だけできなくて悔しかった思い出が蘇る。ルナさんにコツを聞いたら、


「徹にねだりにねだって、やっと買って貰った串焼きを食べる前に落としたと思ったら、自然に泣けるの」


 そんな理由で泣けるのは、ルナさんだけですっと叫んだものである。


 テリアちゃんとああだ、こうだっと擦り付け合いをしていると、凄く申し訳なさそうな声で私達に声をかけてくる兵士さんがいた。


「あのぅ~大変申し訳ない事をしたと思っております。わざとこういう状態であるのを伏せてた私達側が言えた事ではありませんが、ここまで来て頂いたので是非お力をお貸しくださいませんか?」


 兵士さん一同、調査員らしき人達が頭を下げて言ってくるので、声を荒らげる訳にもいかず、テリアちゃんと顔を見合わせる。


「このお怒りは、後ほどエルフ王にあたられる事で矛を収めて、お手伝いして頂けませんか?女性が苦手に思いそうな物のトップ1,2が群がるのを見て、なかった事にしたいお気持ちは痛いほど理解はしておりますから、何卒お願いします」


 何気に自国の王を売るこの兵士さんも太い精神をしてるようだ。なんとなく問題にされずに騒ぐエルフ王をティテレーネ王女に窘められて泣きそうだと思った。

 エルフ王の末路はどうでもいい。問題は目の前に広がる光景である。

 そう、モンスターの数も凄いが、そこに群がるのは両生類や爬虫類に分類されるモンスターとアンデット系モンスターが、直視するのを避けたいほど群がっていた。


「実は私、両生類や爬虫類系は駄目なんです・・・」

「前は少しだけっ、アンデット系が苦手だったんだけどぅ、ドワーフ国でトラウマになっちゃったわっ」


 2人とも1,2匹なら平気な顔をしてやれたのだろうが、数百、いや、千は越えてそう数に身も心も引いてしまったのである。

 せめて、トールがいたら、数が減るまで援護射撃で済んだのにっと呟くテリアちゃんの言葉に私も頷いて、何故、トオル君はここにいないのっとバックがある方向を見つめた。


 テリアちゃんと目を合わせて、溜息を吐くと絞り出すように言葉を口にする。


「行きましょう・・・か?」

「そ、そうねっ!さっさと終わらせるのがいいよねっ!」


 お互い得物を抜くとヤケクソ気味に突進してモンスターの群れに飛び込んだ。

 カエルのテラテラした体を切り裂いて気持ち悪さから自分が涙目になっている事を自覚して気付く。

 遠く離れたドワーフ国に居ると思われる友達に私は、語りかける。


「私も、涙を流す極意を掴んだかもしれません・・・」


 その極意を掴む代償には余りにも大きすぎると本当に泣きながら私はフレイドーラさんをがむしゃらに振り抜いた。



 戦闘はお昼前に終わり、エコ帝国の重鎮達が隠れていると思われる洞窟に到着すると、兵士さんと調査員は、後の調査はこちらでしますので、入口でお休みになられてくださいっと伝えると、洞窟へと入っていった。


 私達は特に反応を見せず、生活魔法のクリナーで身を綺麗にすると膝を抱えるように座って身を寄せ合った。

 テリアちゃんが口を開く。


「穢れちゃったねっ」

「そうですね」


 テリアちゃんの目が深い闇を称えていた。きっとテリアちゃんが見る私も似たような感じなのであろう。


「なんて言ったらいいのっ?手拭が落ちてると思って拾って広げたら、洗濯前の男物の下着を直視したようなっ?ううんっ、そんな生温いものじゃないわっ」


 言いたい事は分かる。それ以上に酷い体験を数百という数を体験してきたのだから。

 身はクリナーで綺麗になるが、心を綺麗にする魔法はないのだ。

 だが、トオル君のを発見した時、反射的に懐に・・・してませんからね?風で飛ばされてどっかにいっただけです。


 2人でボゥーとしていると奥から走ってくる人の気配がして、そちらに目を向けると息を切らした兵士さんがやってくる。


「お疲れの所すいません。予想外の光景がこの先にありました。是非、見に来られて下さい」


 一瞬、まだ中にもウジャウジャいるのかと思ったが兵士さんの強張った顔がその予想は違うと教えていた。

 テリアちゃんに視線を走らせると頷かれて、立ち上がると兵士さんに案内をお願いしますっと言うと兵士さんはこちらですっと言って走り出した。


 奥に行くと少し広い場所に勇者召喚の場所にあった魔法陣に似たモノが描かれていた。その魔法陣は薄らと光っているのを見て、何か良くない予感がしたが、調査員達が固まる方向で兵士さんが私達を呼んだ。

 近くに行くと10人ほどの服装は豪華だが中身は貧相な者や、歩く肉ダルマっといった感じの者が苦しんで死んだと誰が見ても分かるような顔して息絶えていた。


「この者らが私達が捜していたエコ帝国の重鎮達です」


 悔しそうな顔して呟く兵士さんを見て、確かに私も何人かは見覚えがあったから間違いはないだろう。

 何故、死んでいるのだろうと一瞬思うが、考えるまでもないっと自分で結論を出した時、気にする場所はそこじゃない事に気付く。


「皆さん、すぐにここから出ましょうっ!これは罠です!!」


 皆が顔を見合わせると迷いもなく走り出す。私は加速して先頭を走り、洞窟の出口付近に人影、老人のような姿を見た瞬間、迷わず、フレイドーラさんを振り抜いて、かまいたちを放つ。

 しかし、手ごたえもなく、かまいたちは打ち消されてしまう。


「ふぉふぉふぉ、危ない危ない。もう少し気付くのが早かったら結界の発動が間に合わないところでしたよ」

「トランウィザード・・・」


 そこにいたのは間違いなくトランウィザードであった。私は魔神の加護を受けし2人はエコ帝国の重鎮達を助ける事はないから、きっとこの場にいないっと思っていた。が、私達を引き寄せる罠として使うつもりだったら、いてもおかしくなかった。全ては思いこみからくる盲目ということのようだと唇を噛み締める。


「あの女神はいないようですが、ああ、いないほうが良かったかもしれませんね。絶対に壊せないはずの結界を無視する術を知っているかもしれませんからね」

「絶対に壊せない結界なんて存在しません!」


 そんなものがあるなら魔神を封印するのに使用しているっと私は思う。

 言い切る私を楽しそうに見つめるトランウィザードは、


「いえ、あるのですよ。私と轟君がどんなに頑張っても少なくとも壊すどころか傷を付けることすらできない結界がね。五日間・・・限定の結界ですがね」


 五日経つと何もしなくても崩れ落ちる失敗作のような結界なのですよっと私を嗤ってくる。

 さっきの手応えのなさから嘘は言ってないと分かってしまう。


「私達を五日間ここに閉じ込めてどうしようっというのです!」

「いえね、そこで普段の疲れを癒して頂きたいと私からのプレゼントのつもりなのですよ」


 馬鹿共が、しばらく滞在する為に色々持ち込んでいるので余裕で五日の生活は保障をしますよっと嗤う。

 のらりくらりとかわすトランウィザードに苛立った私は、何があるのですっと叫ぶと、フードから見えている口が厭らしく三日月を描くように歪むと言ってくる。


「アローラにエピローグを運ぶモノが降臨するのを邪魔させない為ですよ。その日まで六日間・・・を邪魔しそうなものの足止めが必要なのですよ」


 結界が五日間で足止めしたいのが六日間と言われて、私は気付く。


「もしや、降臨先は勇者召喚の場所!?」

「御名答です。いくら頑張っても1日では到着できないでしょ?」


 楽しくてしょうがないとばかりに私を見つめて嗤う。


「それでは、私も暇ではありませんのでお暇しますね。ああ、そうだ。中にある魔法陣は用がないので憂さ晴らしに破壊するなり、お好きにどうぞ」


 作り笑いのジジイ笑いのふぉふぉふぉっと嗤いながら去っていくトランウィザードを睨みつけながら、ここにはいない親友に私は願う。お願い、貴方しかもう動ける人がいません。あの者の企てを止めてと無茶だと分かっていても願う事しかできない自分が許せず、結界を素手で殴って、拳から流れる血をテリアちゃんが手拭で拭って、回復魔法を唱えて言ってくる。


「今っ、私達が出来る事はルナ達を信じる事と結界が解けた時にすぐに飛び出せるように体調を整える事っ。もしかしたら、私の狼なら間に合うかもしれないっ」


 朝の時の狼の加速を思い出し、薄いが希望はあると歯を食い縛って、有難うとテリアちゃんを抱き締めた。

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