表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/242

プロローグ

 バイブルさんと言います。長い話になるとは思いますがお付き合いして頂けると嬉しいです。

 街までの話が長いですが、後々に意味が出てきますのでご辛抱頂きたいとおもいます。

 では高校デビューに失敗して異世界デビューのスタートです。

 3月の終わりの18時頃、夕日も落ち、夜が覆う時間帯、大人も子供も家路へ急ぎ足気味になるそんな時間。一人の少年はノンビリ自転車を漕いでるように見せかけて、どことなく緊張させているのが見え隠れさせていた。


 俺の名前は徹、名字はないぜ!(本当はあります。中二が完治しておりません。立石が名字です)後、一週間で高校に入学する15歳、彼女はいません。まだ、この歳ならおかしくないよね?よね?年齢イコール彼女いない歴って!

 すまない、取り乱したようだ。高校に行くにあたって古い自分とさよならすべく、俺と同じく、高校入学を控えた者どもは虎視眈々と準備に余念はないだろう。もちろん、俺も座して何もしないなどあり得ない。髪を染めたり、お洒落に気を使ってみたり、中には究極ダイエットをして、知り合いですら、お前誰だよと言わしめるような強者もいるかもしれない。

 まさに、今日から俺は、である。

 様々な試行錯誤はあるだろう、しかし、この根底にあるものは、ほぼほぼ、異性にもてたいという願望からきてると言っていいだろう。否定する者もいるかもしれないが否!否だ!腹を割って話そうぜ?俺達は同じ道なき道を進む開拓者だ。先人達が通った道に似ていても自分で切り開かないと進めない道なのだから。

 もちろん、俺も開拓者としての一歩目を歩くために今、とある場所に向かっている。3か月の事前の情報集め、現地探索も済ませて、俺は今日決行した。


 場所は、駅前商店街の奥の袋小路にある寂しい感じがする本屋さん、ここで今日から俺は、をする。

 しかし、扱うブツは危険物である、レジに誰がいて、客層、客の人数の予測をするために3カ月かけた。今日は木曜日で明日に人気雑誌の単行本などが発売するため、前日は客が少ないと予測している。しかも、18時から閉店の21時までの短い時間の木曜日は皺くちゃなお婆ちゃんがレジに立つ。中学生で既にこの危険なミッションを済ませた強者は語った。


「バアちゃんの時はロボットのようにレジを打って売ってくれる。初心者に優しい相手だ」


 イージーモードで進める事に抵抗がない訳ではないが強者が語った、ハードモードの話を聞いた時、耐えられるか分からないと思ってしまったものだ。

 なんて事を考えながら自転車を走らせていたら本屋さんが見えてきた。胸の高鳴りが俺をときめかせてきた。あそこが俺は初めての戦場。


 キッキィー、とブレーキーの効きがが甘くなってきてるような音をさせて店の前で自転車を止めた。

 店に入るとレジにはお婆ちゃん、イエース!!事前情報通りだ。

 そういえば、来店の目的を伝えてなかった。俺は参考書を買いにこの店にきた。もちろん、女の子にもてるための事前知識を得るために必要と判断したのだ。

 今時、情報系ならスマホがあれば大概の情報は取得できる、もちろん、今回の俺が求めているものも然りだ。それをそこまでしなくてもスマホで調べるだけでも充分だと思うんだがなと、強者なダチに言った時の言葉は震えた。


「お前はそんな敷居の低い方法で手に入れた情報を本番になってブルわず使えるというのか?新兵が安全が約束された方法で訓練で鍛えられても人を初めて殺し一人前と呼ばれるらしい。そんな安全な方法でお前は満足か?」


 俺は男へと歩きだす道への一歩として、心の童貞を捨てると決めて今日、ここに俺はいる。

 そろそろ暖房はいらないような気もするがちょっと暖房が利きすぎている店内を迷いもなく、とある参考書の前に向かう。その棚の上に「R18お断り」と書いた札が眼に入る。

 大丈夫、俺の家の近くに国道18号などない!(徹は勘違いしております。)

 1週間前ぐらいから目を付けていた参考書がまだあるのを確認した。

 手を伸ばそうとした、その時、現場で事件が発生した。


 レジのほうで動きがあったのだ。

 な、なんだと、お婆ちゃんから若い大学生風の綺麗なお姉さんにクラスチェンジだと!俺の頭の中で緊急警報、住民避難注意勧告レベルが発生を知らせていたと同時に強者のダチの注意が蘇る。


「平日に稀にだが大学に通ってる孫の綺麗なお姉さんが入る事がある。売ってくれるには売ってくれるんだが、青少年の心をえぐってくる。あれは絶対にSだ、真正のだ!新兵が挑むにはハードすぎる、トラウマものだ」


 俺は戦慄した。フリーズしていると、お姉さんと目が合った。ニヤリとされた、まさにターゲットされた瞬間だ。参考書に伸ばした手をどうしたらいいかで混乱していたが、良いか悪いか、店に客は俺だけ、お姉さんの視線は俺の一人占め~激しく嬉しくない。

 お姉さんの視線が、ぼ、僕の事、チキン野郎だとか罵られているような気がする。股の間にあるものがキュっと一回り小さくなったような気がした。

 出直すか?という考えが一瞬よぎる。待て、今日は僕は、いや、俺は心の童貞を捨てると決めたのではないのか!ここで逃げて明日はあるのか。


 意を決して、参考書を掴む。レジのお姉さんの口が、ほう?って感じに開くのを確認した。お姉さんのほうを向いて、レジの前に立つと、ほう、よく来たな小僧!って声が聞こえるようだった。どこのピラミッドを建てようとしたファザコンの帝王なんだろうか・・・

 震える指先に掴んだ参考書をそっと音もたてないようにレジの台の上に置く。


「高校聖書、「今年の春から高校生、春奈15歳。たわわに実るEカップ」で間違いはありませんか?」


 お姉さんは営業スマイルをしているようだが、口の端の上がり方が大きすぎるような顔をして、丁寧にサブタイトルまではっきりした声で読み上げる。

 ぐはっ、こういう事をされるとダチから聞いてはいたが想像を超えるダメージだ。しかも、こっちが反応するまで次の手順にいかない徹底ぶり。

 血反吐を吐く思いで、はい、と返事すると1200円になりますと言われた。

 自分の中にある気力を総動員させて、1500円払う。

「高校聖書、「今年の春から高校生、春奈15歳。たわわに実るEカップ」1200円。1500円をお預かりしまして、300円のお返しします」

 

 復唱されて立ってるのが精一杯な感じで、ありがとうございましたと送られ店を出る。屍一歩手前な感じではあるが見事、店の外へと生還を果たした。

 ふっふっふ、俺は帰ってきた、あの死地から最初の1歩としては大成功と呼べるのではないだろうか!いや、落ち着け、家に部屋に帰るまでが遠足、ではなく任務完了ではない!


 自転車のカゴに参考書を突っ込み、浮かれる気持ちが抑えられなくなり、全力でペダルを漕ぐ。商店街を抜け、家への近道の人通りのない裏道の直線で更に加速する。

 ああ、今、俺が走ってる道はまさにビクトリーロード、俺の歴史はここから始まる。俺の行き先はきっと光輝いている。ほれ、目の前に光輝いた場所が俺を歓迎するように待っている。

 俺はその光の中に速度も緩めず突っ込む。

 輝かしい光が俺を包む。神に祝福された如くに・・・って待て、道の真ん中で光の塊がある訳ないやーん。


 俺の最初の1歩から失敗したと、俺の歴史書には書かれるようだ。

念の為、徹が買った本は水着の写真集です。

感想などありましたら、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ