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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
8章 Road like yarnー糸のような道ー
181/242

169話 完全勝利、そして・・・

 文化の日だったので頑張って3つ目・・・あっ、日付が変わってしまってる・・・

 そこは誤差でドンマイで?(;一_一)

 やっと自分達の置かれた立場がどういったものかと理解が追い付いてきたようで、俺の視線に晒されるのを恐れてか、視界の外へと逃げようとする者が現れる。

 ちなみに出入り口にはルナとテリアがいて、出る事も入ってくる事もできないようにされている。特にルナがいる以上、軍隊総出攻めても建物の中である時点で、一気に攻めれない以上、ルナに負けはない。広いところでやっても魔法で壊滅させる気がするから、勝敗は動かないかもしれないなっと俺の頼もしい仲間達を見つめた。


 黙って見つめる俺のプレッシャーに耐えれなくなったのか、ジョーツが俺に聞いてくる。


「私達を処刑にするというのか?」


 震える声ではあるが、かろうじてなんて言ってるか分かる声で言ってきた。

 その言葉を受けて、重鎮の中には腰を抜かす者も現れ、第1王女、第2王女に至っては、なんでもしますから命だけはっと言って命ごいしてくる。

 これがクリミア王女が言ってくれてたら、本当に何でもええのっ!?っと言って、あの胸に飛び込まずにはいられない俺がいただろうが、下手に似てるだけに残念さからくる怒りは倍増であった。


 内心の怒りを顔に出さないように笑みを浮かべて俺は話す。


「まさか、貴方達が死んで、誰が得をするというのですか?ああ、確かに、貴方達に家族をいいようにされてた人達は、死んでくれたらスカっとするっと言う人もいるかもしれませんがね」


 処刑なんてしませんとも、生きてこそ償いはできるのですよ?っと言う俺を死の恐怖より恐ろしいものかもしれないと漸く気付いたようで、少しでも俺から距離を取ろうとするものが続出する。


「さて、私達が貴方達に要求するものは、大雑把に言わせて貰うと4つになります。あっ、ネリーさっきは出番を取ったので、お願いできますか?」

「そんな事を気にされなくても良いですのに、でもせっかくなので、私から伝えさせて貰いますね」



 1つ、エコ帝国は公式の場で3カ国へ向けて正式に謝罪をする。

 2つ、今回、3カ国に仕掛けた結果の損害賠償、慰謝料を支払う事。

 3つ、エコ帝国の奴隷制度廃止などを要求すると共に、その他の余罪を調べる為に3カ国の調査員の受け入れを容認する事。

 4つ、これらの3つを全てを果たした後、王には責任を果たす為に退位を求める。



「これが私達が貴方達に要求するものです。勿論、拒否権など与える気はないとご理解ください」

「そんなのは横暴だっ!調子に乗りすぎであろう」


 話す相手が俺からネリーに変わった事で調子を取り戻したかのように騒ぐ男を見つめるティティの目がゴミくずを見る目になっていて、どうしたのだろうと思いつつもネリーの返答を見守る事にした。


「調子に乗り過ぎですか?それはそちらの話ですよね?こちらだと言われるならどこがそうなのか、お聞きしたいものです。他人の家の物を壊したら謝り、買い直す資金を渡し、それが思い出の品だった場合、それに対する補償があってしかるべきでしょう?」

「ぐっ、そこは譲ったとしても、奴隷や調査員は関係ないであろうっ!私の所の奴隷は私がいないと生きていけない」


 唾を飛ばしながら騒ぐ、小太りで神経質ぽい顔した男がネリー届くんじゃないか?とハラハラするほど唾を飛ばしながら叫ぶ。


 俺はその男を面倒だなっと言う気持ちを隠さずに呼ぶ。


「そこのおっさん、えーと、誰なんだ?こいつは?」


 呼び掛けようと思ったら誰か分からなかったのでオルソンに声をかけると資料を俺に渡して説明してくれる。


「彼はこのエコ帝国の宰相の地位におられる立派な人です。以前、使者様の事で冒険者ギルドと揉めた時に、我が国の姫様に片手間に論破されてズコズコと逃げ帰った震えるぐらいにクールなお方です」


 俺がへぇーっと呟き、ティティの目の意味も理解ができた思いだが、気のない俺と、虚仮にするオルソンに怒り心頭の宰相が噛みつくように文句を言おうとするのを無視して、オルソンから受け取った資料を声に出して読む。


「お前さんのとこの奴隷は全員、女性で、お外で犯すのが好きなジェントルマンらしいな?しかも、殺し文句が、俺より先にイカなかったら殺すって言ってるのか?しかも有言実行してるらしいし、今月だけでも3人殺したらしいな?」


 むしろ、お前のところにいたら死ぬんじゃないか?っと気のない顔して資料を第1王女と第2王女の間にいくようにワザと飛ばした。

 飛んできた書類を読んだのを確認してから、俺は宰相に言う。


「すまん、手が滑った」


 2人の王女が宰相を見つめて、さっきのほうがまともに見えるような事もしてるなんて、資料を触ってるだけでも穢れるとばかりに手から離すと、宰相が慌てて回収して、読んで青い顔して破り捨てる。


「おいおい、誰が破っていいって言った?」

「大丈夫ですよ、あれは予備なので」


 チラっと見せてくれるオルソンを見つめて、さすがっと言うと少し嬉しそうに笑顔をみせる。

 オルソンは、そっと他の資料を俺に渡して、下がる。


「宰相以外に文句のあるヤツいないか?」


 オルソンの資料を振りながら言うが誰も目を合わせてこない。

 自分にも後ろ暗い事があるから何も言えないようだ。


「文句はないようだから、次にいくぞ?オルソン、損害賠償と慰謝料の要求金額を伝えてやってくれ」


 俺がそういうと、ビクついたジョーツが、オルソンを睨む。

 睨まれたオルソンは意にも介さないハートの強さを見せて、淡々と語る。


「我々、3カ国がエコ帝国に要求する金額は、金貨100万枚です」

「ば、馬鹿な、城の国庫を引っ繰り返しても90万枚に届かないぞ!」


 呼吸困難に陥りそうになりながらも、オルソンに叫ぶが、オルソンはええ、そうですねっと気楽に答える。


「国庫の金貨と貴方が隠し持っている金額を合わせてもギリギリ届きませんね?」


 しれっと言うオルソンを目を見開いて後ずさりするジョーツを見て、これは少しだけ気持ちが理解できた。

 可愛い女の子の胸やパンツがポロリしまくる漫画の単行本をベットの下に隠していてばれてないと思ってたら、学校から帰ると机の上に整理されていた時の何故だっ!って気持ちと・・・えっ?違う?


 俺はオルソンの言葉を引き継いて話し出す。


「心配はいらない。エコ帝国の重鎮達はまさに忠臣だったよ。いざっという時の為に、国の資金を預かってくれていたよ」


 オルソンが調べ上げた100年分の国の資金の一時預かり帳をジョーツに見せる。

 読めば読むほど、顔が赤くなっていくジョーツとは反対に後ろから資料を盗み読みしていた者は、どんどん、顔を青くしていった。


「さて、エコ帝国の王、ジョーツさん。賠償金に異論はあるかな?」


 怒りに包まれているジョーツはないっと叫んで俺の言葉を飲んだを見て、ニヤリと笑った。

 重鎮達は王に縋りついて撤回を求めるが、今更、撤回と言っても聞く気などない。


「では、オルソン、徴収する内訳を伝えてやってくれないか?」


 オルソンは承りましたっと言うと、資料に書かれた内容を淡々と語りだす。

 語るにつれ、膝を折っていく者が続出していくが、ちっとも可愛そうだとは思えない。所有してる奴隷の値段から、隠し持ってる金、建物、土地の価値などを正確に調べられて言われる金額に文句を付けるものもいたが、誰一人として預かった金額以上の額に届く者がいなくて、マイナス分は目を瞑ってるのに、色つけたぐらいで何が変わる?っと言うと文句を言う者はいなくなった。

 そんな中、重鎮達の目に悲壮な覚悟を宿すのに気付き、ニヤつきそうになる頬に力を入れて耐えて言う。


「あ、えーと、いないとは思うが、取られる前に持ち逃げしようと思う者もいるかもしれないから言っとくが無理だぞ?既にお前達の屋敷には、俺達の手の者に占拠されて、財産を押さえられている。奴隷を引き取るのと、無駄に装飾された館を破壊するのは、これから俺の連絡がいったら開始されるように手筈はついているんだな」


 俺達の見逃しに期待するのは止めないが、難しいだろうなっと我慢できずにニヤリと笑ってしまった。

 俺は石を取り出すと、それに向かって喋る。


「俺だ、徹だ。聞こえてたと思うが、実行に移してくれていいぞ。スマートに頼む」


 そう言うと、城外から爆音が響き渡ると窓に張り付く重鎮達の一人が叫ぶ。


「私の屋敷がぁ!!」


 どうやら最初の破壊されたのは彼の屋敷らしいが、次に爆発音が聞こえると違う者が叫んでいるが放置する事にする。


「どうやって、あんなに簡単に破壊していけるのだ」


 脂汗を流しながら言ってくるジョーツに俺は答えてやる。


「あれをやってるのは美紅だよ。アンタ達が勇者と呼ぶ存在さ。できて不思議じゃないだろ?」


 相当、エコ帝国に鬱憤が溜まってるから爽快だろうなっと俺は笑う。

 オルソンが俺を見つめてくるので、話を続けていいかと許可を求めていると判断して頷く。


「エコ帝国の忠臣達の頑張りで、金貨14万枚まで減殺する事ができました。払って頂けますね?」

「痛い金額だが、それぐらいなら払える。それ以上は勘弁してくれ」


 国庫の20%ぐらいで済むっと溜息を吐くジョーツに俺は言う。


「何言ってるんだ?国庫の金はアンタが退位した後に王になるものが国の為に使う金だぞ。それを使うのは道理が通らないだろう?14万枚と聞いて何か思い当たらないか?」


 俺がそう言うと、徐々に汗が顔に浮かび上がってくる。

 まさかっと呟くジョーツにオルソンが頷いて語る。


「その通りです。貴方が隠し持っている金貨14万枚を徴収させて頂きますというか、先程、使者様が石に語られた時点で回収に動いてますがね」

「人の金を勝手に取るとか、お前らは盗賊かっ!!」

「盗賊呼ばわりは酷いぞ?俺達はちゃんと徴収すると言って、お前は納得した。国の金を使えないのは、今さっき俺が説明したよな?許可なく勝手に他国で好き勝手やったお前が言えたセリフではないぞ?」


 プルプルと震えたジョーツが目を血走らせて叫ぶ。


「今まで言った事は撤回だ。所詮、口約束だ。共倒れになろうとも戦争を起こしてでも財産を守ってみせる」


 俺は白けて、ガリガリと頭を掻き、オルソンは肩を竦める。


「残念ながら、既に手遅れだぞ。俺がさっきこの石に語りかけたら、外で爆発が起きたのは分かるよな?俺の魔法で遠くにいるものに語りかける事ができる魔法を石にかけた物を美紅が持ち歩いているからなんだが・・・、これの強力なヤツを街に設置したらどうなると思う?」


 まさかっと呟き、顔を青くするジョーツにトドメを入れるべく語る。


「そう、今までの会話は首都のバックだけでなく、クラウドやモスでも聞こえているんだよ。そんな中、戦争するっと言って、退位させられる国王の、金もない元国王を助けてくれる国民がどれくらいいるんだろうな?それを知る為に戦争してみるか?」


 今度こそ力尽きたようで地面に手を着いて項垂れた。


「例えば、首都で食べるにも困っている者達に手を差し伸べていて、助けを求め、泣いている者達に寄り添っていればなぁ、重鎮達の暴走でこんな事態になってたら」


 ルナとテリアが護る扉を親指で指し示しながら続ける。


「あの扉を叩いて、お前を助けようと国民は駆け付けてるよ。自分だけが肥える事ばかり考えて、義務を放棄しているお前に力を貸してくれるものなどいないさ」


 くそう、くそうっとしか言わなくなっているジョーツを見て嘆息すると強い視線を感じたような気がして、窓に目を向けるが気のせいだったのか誰もいなくて首を傾げる。


「使者様、まだ王が退位した後の王の選定が残ってます」

「そうだったな。ジョーツ、まだ話は残ってる。全てが済んだ後、お前の後を継ぐ者の話がまだだ」

「エコ帝国は世襲制だ。血縁関係で言うなら、我が娘、第1王女のプリシアが相応しい。なんだったら、お前が婿入りして治めればいいだろうが」


 ジョーツはヤケクソ気味で言ってくるが、あんな目の腐った女はこちらからお断りだ。しかし、名前は可愛らしいのに、勿体ない相手に付けたものだ。


「駄目だな。あんな王女じゃ、最悪、アンタより酷い可能性が生まれる」


 じゃ、第2王女のっと続けようとするので、それもないっとバッサリと言う。


「では、誰なら良いと言うのだ。世襲制以外では無駄と知っていても抵抗するぞ!」

「世襲制だけを重んじたらいいんだな?」


 そう言うと頷くので俺は体を横にずらして後ろにいるローブを深く被っているものを前に出させる。フードを取るの美しい金髪が零れ、目は少し勝気だが美少女といった女の子が現れる。


「お久しぶりです。お父様。何度なく命を狙われましたが、無事に生き残っております」


 そういうと頭を下げてくるクリミア王女、自分の娘を見て、驚愕の表情で固まっていた。それはそうだろう、何度となく命を狙ったが殺せず、差し向けた者が自分だと気付いていると分かっていれば当然だろう。


「そちらの世襲制を推す要望も叶えられ、俺達としてはアンタ達の傀儡になりそうにない人物で安心できるという意味で任せられるとなるとクリミア王女しかいないもんで良かったよ。世襲制だけで納得してくれて」


 もうジョーツは今度こそ何も言えずに項垂れた。


「後の細かい打ち合わせは、人を寄こすからしっかり話し合ってくれ」


 今日は疲れただろう?ゆっくり休んでくれっと言って、俺はみんなに行くぞっと出るのを促す。

 最後に出ようとした時に気配を感じると俺のポケットに何かが入ったのを感じて取り出してみると小さく折りたたまれた紙であった。開いて中を覗くと自分で目を見開いているのが分かるほど驚き、一読するとすぐにポケットにしまう。


「徹、何してるの?さっさと帰るの」


 扉の向こうから顔だけ覗かして急かすルナにスマンっと言って出る。


 廊下に出ると、みんなが俺を見つめて、笑みを浮かべていた。


「兄様、完勝です。全ての要望をこちらの通りに通しましたから、言う事なしです」

「そうですね、あそこまで上手くいくとは思っておりませんでしたから、痛快でしたね」


 ティティとネリーが楽しそうに笑みを浮かべて俺に言ってくる。

 俺は頬を掻いて、そうかっと言うだけに留まる。

 クリミア王女が俺の手を掴んできて、爆弾を投下する。


「婿入りの件は真剣に考えて頂いて結構ですよ?というかなりませんか?」


 顔を真っ赤にして言ってくるクリミア王女にティティとネリーが噛みつく。


「クリミア王女が王位についたら、決着を付けましょう。兄様は渡しません!」

「勿論、私も参戦しますよ?貴方達は敵です」


 その様子を見つめて、ガンツは笑い、エルフ王は、娘はやらんぞっと親馬鹿を爆発させて俺を睨んでくる。

 俺は頬を膨らませるルナに声をかける。


「戦況不利の為、逃亡するから、ほとぼりが冷めた頃に帰るんで先に戻っておいてくれ」


 そう言うと窓に足をかけると窓の外に飛び出した。


「トールがにげたっ!!」


 テリアの叫び声でティティ達も我に返り、窓から俺を呼ぶが、今、帰ったらヤバいという本能の導きに従い、逃亡した。




 そして、1時間と経ってない時間の後、俺は北門の向こうの城壁の裏にやってきていた。


「待たせたか?」

「いきなり呼び付けたんだぁ、これぐらいは許してやるぜぇ?」


 俺は隙を見せまいと身構えて轟を睨みつけた。

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