167話 こんな大人の階段は認めない
どうしてこうなった・・・交渉が始まるところまで書くだけで2話になるとは思ってなかったですよ・・・
という訳で2話分かかってやっと、交渉の席までの話のところまでかかったので、遅くなりやした。
本日は久しぶりの2話更新?です
目を開けると窓から朝日が漏れているのを見て、朝になったという実感に包まれる。
今日はエコ帝国との交渉という戦争をする当日を迎えていた。
昨日は、3カ国同士であれこれっと擦り合わせをしていたが、ガンツの一言で方針があっさり決まり、解散してしまい、時間を持て余して、熟読した報告書を読み直す時間に充てる事態になった。
ガンツは、言った事はこんなことである。
「喧嘩を売ってきたのはエコ帝国じゃが、買ったのは、トール、お前だ。お前の好きなようにやればいい。お前が困ったらワシは力を貸すのを惜しんだりせん。お前の作品をワシに見せてくれ」
まったく、ガンツは匙を投げてるのか、信頼を丸投げしてるのか判断に悩むような事を言うから困る。だが、どのように解釈するかというところから、ガンツは見てると俺は気付いていた。
俺のダチは本当に曲者、色者が揃ってる。最高だ、エコ帝国よりガンツの視線の方がプレッシャーだぞっと愚痴りたくなるが、俺はその期待に応える気でいる。
プレッシャーだとか思いつつも、俺は快眠で目覚めもバッチリであった自分も人の事は言えないかもしれないと思うと少し嬉しかった。
カーテンを開けて、日に当たっているとノックされる。俺はどうぞっと言うとドアを開けて入ってきたのは、オルソンであった。
「お早うございます。最後の仕込みのご報告に伺いました。ギリギリですが、間に合いそうです。今から設置に取り掛かるという連絡がありましたので、できれば、その者を労って貰えませんでしょうか?」
おそらく。3日間まともには寝れずにそれは不眠不休といった有様だったと思いますのでっと申し訳なさそうに言われるが、そんな事を言われなくても俺は労うどころか労わせてくれっとお願いしたいところである。
「当然さ、喜んでさせて貰うよ。それをすぐにしたいところだが、その前にもう1つオルソンに頼みたい事があるんだ。いいかな?」
「はぁ、なんでしょうか?」
何の話か、さっぱり分からないようで、おそらく普段の話し方に戻っているようだが、まだ気付いてないようだ。
「今日の交渉で、俺の補佐として着いて来て欲しいんだが?」
オルソンは表情を固まった。どうやら固まったのは表情だけでなく、心臓も止まった?っと聞きたくなるぐらい、顔が青くなっている。
しばらく、様子を見ていると、ぷはぁっと荒く息を吐くのを見て、どうやら呼吸も止まっていたようだと分かる。
「し、使者様。朝一からキツイ冗談はお止めください。意識が遠くなりましたよ・・・」
「いや、オルソン。俺は冗談を言ったり、からかった訳でもなく、本心で言っているんだ」
一瞬、俺の言葉を聞いて嬉しそうにしたが、すぐに落ち込んだ表情を見せたオルソンは言ってくる。
「お気持ちは嬉しく思います。ですが、私は間諜をやっているものです。表舞台に立つべきはなく、まして、使者様の補佐としてついて、その事がバレたら使者様のお顔に傷を付けてしまいます。ですから・・・」
「そんな事で傷つく顔なら一生残る傷を付けて、勲章だと言って誇ったほうがいい。それに、俺はオルソンが言う後ろ暗く感じている間諜っと言う事すら隠す気がない。むしろ、俺は優秀なオルソンが調べた事だから完璧さっとエコ帝国の奴らに叩きつけたいとすら思ってる」
逃げ腰のオルソンの言葉を遮り、俺は言い切る。
まあ、自分からオルソンは間諜だとは言う気はないけどなっと笑う。オルソンの仕事がしにくくさせるのも気が引けるからなっと告げる。
しかしっと言ってくるオルソンの瞳を見つめて、言葉をまた被せる。
「どれほどの男か見せてくれるんじゃないのか?いつでも声をかけて貰えるのを待っててくれるんじゃないのか?俺はオルソンのあの言葉が凄く嬉しかったのに嘘なのか?」
俺の言葉を受けたオルソンは、目を瞑り、身を震わせてると、片膝を着いて、頭を垂れる。
「嘘などありません。このオルソン、貴方のご希望に沿う仕事を全うする事を誓います。これ以上の喜びはありません」
「へっへへ、ありがとうな」
俺はオルソンの態度が想像以上に凄くて、逆にこっちが照れさせられるとは思ってなかったので、照れ笑いが漏れた。
いかん、俺は熱くなりすぎると、色々やらかしてしまうこの性格をなんとかしないと、と頭を掻いた。
「受けてくれて助かるよ。でも仕事の予定がだいぶ修正しなくちゃならなくなったはず。時間は少ないがいけるか?」
「大丈夫です。間に合わせてみせます」
生きた目をしたオルソンが不敵な笑みを見せ、自信に溢れた声で伝えてくる。
オルソンは、それでは、城に入る前には合流しますっと言うと、失礼しますっと言って、部屋をキビキビした歩き方で出て行った。
俺は再び、朝日が漏れる外を見つめながら、考えていた。これで美紅をフリーにできる。そして、俺が思い描くあの方法を実行して、エコ帝国の重鎮、本命の王の心を折る事が可能になると思うと笑みが漏れる。
後は俺がその流れまで持っていけるかどうかである。
だが、ガンツ、オルソンに格好を付けたし、俺も引き下がれない。やってやるさっと太陽を目を細めて見つめた。
再びノックをされるが今度はメイドが食事の用意ができましたっと連絡にきただけであった。
俺は頷くと、みんなが揃って食事を取る事を約束してた事を思い出し、慌てて、顔を洗って服に着替えた。
食堂に行くと既にみんな揃っていて、ルナが、フォークとナイフを握り締めて、遅いのっとお怒りなだけで、みんな、おはようっと挨拶してくれる。
「兄様の事ですから、ノンビリしてたら、朝食の約束を忘れてたっという話でなないかとヒヤヒヤしておりましたよ?」
「あははは、そんな訳がないじゃないか、マイシスター」
ティティに完全にバレてるようだが、俺は全力でシラをきることにした。
クスクスと笑うネリーが言ってくる。
「ティテレーネ王女。トール様を苛めるのはそれぐらいにしときましょう。そろそろ、食事にしましょう。我慢の限界にきてる方もおられるようですから」
「そうなの!もうお腹減ったなの、限界なの!」
ルナが、うがぁーっとばかりに両手を掲げるようにして叫ぶ。そこは照れてくれよルナ・・・
俺だけがそう思っている訳ではないようで、美紅は苦笑して、テリアは顔を両手で覆って恥ずかしがっていた。
微笑ましく笑う者と苦笑する者に分かれながらも食事が開始された。
ある程度食事が進んだところでエルフ王が俺に声をかけてきた。
「どうだい?トール殿、今日の交渉はいけそうかい?」
「ええ、みんなが頑張ってくれましたから、俺はその用意された道を堂々と歩くだけですよ」
俺は自信ありげに笑みを深める。
エルフ王は、ウンウンっと嬉しそうに頷きながら言ってくる。
「でも、少しぐらい失敗してもいいんだよ?私達もいるのだから、というか、少しだけでいいから失敗しなさいっ!」
「なんでまた、そんなに失敗を推してくるんです?」
エルフ王は一度目を閉じると、クワっと擬音が聞こえそうな目の開き方をしたと思ったら、格好悪い事を格好良く言いきろうとする。
「格好良くキメて、私の愛する娘のハートが鷲掴みにしようとする作戦は阻止なのだよ!娘は誰にもやら・・・」
言い切らせて貰えず、隣にいたティティに銀色の何かで頭を突かれていた。少し血が出ているように見えるのは気のせいだろうか?
「娘よ、何をするんだ。痛いではないか」
「お気に召さなかったですか?愛するお父様に似合うと思った髪飾りなのですが?あっ、給仕さん。フォークが汚れて使えなくなったので替えをお願いしますね」
やっぱりフォークやんっと突っ込めたら、今日の交渉は、一言で決着できる自信がある。つまり、突っ込む勇気は存在しないってことである。
ティティに似合うと言われて、デレっと表情がだらしなくなったエルフ王はご満悦である。久しぶりに会った時からずっと普通だったから、この病気からは治療済みなのかと思っていたがどうやら、潜伏してただけのようだ。
やはり不治の病であったかと俺は目頭を押さえた。
食事が済んで、ティティに嬉しそうに渡された正装を持って部屋に戻った。
部屋に戻り、渡された服を広げてみると漫画でしか見た事のないような鎧を着てない時の騎士の服ようなものの、白で統一されたようなを見つめる。
こんな服を俺が着たら笑われないか?っと呟く俺は今、パンツ一丁である。第三者が見ればその格好で考えに耽るのが笑えるよって言われる事は頭になかった。
今、履いているパンツを見つめ、少しくたびれているように思った俺は、見えないところも気合いをいれるべきだと思い、カバンから一番、まともそうなパンツを引っ張り出して、今履いているパンツを脱いで、新しいパンツに足を通し始めたところで、突然、扉が開いた。
「徹、何してるの!二度寝してるんじゃない・・・の?」
飛び込むように入ってきたのはルナで後ろには全員集合していた。
ルナの視線が俺の顔から徐々にしたに移行して行き、ある一点に到着すると固定される。真っ赤な顔してフリーズしたようだ。
後ろでは食事の時にはいなかったクリミア王女と美紅がキューっとよく理解できない声を出すと倒れ、テリアは、最低ぃ!!っと叫ぶと後ろを向く。
「なるほど、なんとなく状況は理解しました。ティテレーネ王女、トール様は立派ですか?」
「なんと申しましょうか、5年後が待ち遠しいと言っておきましょう」
それは僥倖ですっと笑みを浮かべるネリーを見て、どこかに飛んでいた俺の心が帰ってくる。
状況を整理しよう。
俺は着替えようと思って、パンツを良いものに履き換えようとして、履き換えているところを扉を開けられて今に至る・・・ふむふむ、理解した。端的に言うと俺は今、マイサンがパォーンしてると言う事を・・・
今更ながら、パンツを引き上げると俺はベットの中に飛び込む。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!なんじゃ、こりゃぁぁ!!」
俺は肺にある空気を全部使うようにして叫ぶ。
「ふぅ、青いの~。あれぐらいで照れるようじゃ、先が思いやられるわい」
「そうですな。むしろ、見てくれっと言うぐらいになるようになって一人前ですね」
そう言うエルフ王にガンツは、お主も大概問題ありじゃぞ?っと言うが、一向に気にした風じゃないエルフ王の笑い声が響くが、俺の耳には届かない。
俺はただ、こう思っていた。
私は貝になりたいと・・・
俺はそっと心を閉ざした。
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