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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
8章 Road like yarnー糸のような道ー
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160話 フレイはお節介焼き

 良くも悪くもなくという感じな微熱ぶり、休みまで持ってくれるといいんですがね・・・

 しんどいなら休めばいいやんって思うでしょ?前に体調不良で休んだ時、始めの3時間はゆっくりしてられるんだけど、書きたくてしょうがなくなってくるというのを体験済みなんです・・・

 エタったらなかったり、中途半端なとこで止めて違う話をすぐ書き始めるような事をしない人は似たような症状持ちなんでしょうね・・・

 一夜明けた朝、俺達は野営の片付けを済ませると、一路、クラウドを目指して出発した。

 カラスとアオツキのポテンシャルを引き出す可能性はオルデールのように科学者よりの存在か、鍛冶師による打ち直しによる方法の2種類しか思いつかない。


 前者はまったく心当たりがない。しいていうならインプに聞けばなんらかの示唆を得れるかもしれないが、希望は薄い上、時間が足らないと思われる。オルデールが和也のように生きて存在しているという話があるなら希望はあるが、そういう科学者よりに託しても、まずは検査、そして、どうやればいいかの思索に入り、徹底的な検証の後、やっとトライアンドエラーを繰り返しながらの実証実験が始まる。

 それでは間違いなく間に合わないであろう。


 もう1つ、神に頼るという選択肢もあるのだろうと考えなかった訳ではない。何せ、この二刀は神により作られた和也の武器を打ち直した物。

 なら、神にポテンシャルを引き出してもらうというのも自然に感じるが、それが可能ならミドリがあの時に示唆してくれていただろう。

 実際にできる、できないともかく、敢えて言わなかった意味があるはずである。

 ルナなら忘れてそうだと思った事は胸の奥にしまう。


 それで、後者であるが、これは積み重ねた実績とカンを頼りにやるので、ギャンブル要素はあるが、間に合うと思われる。

 そして、俺の知己には史上最高2代鍛冶師と謡われる、ガンツとデンガルグのおっちゃんがいる。

 賭ける相手としては申し分はないと俺は思っている。


 以前、カラスを整える程度をガンツに依頼してくれっと言ってきたのがカラスだったのが、俺の背中を押す強い理由にもなっていた。

 だが、同時にその時のセリフが不安を誘うものでもあった。カラスはこう言っていた。


ー我らは鍛冶師と違う者に造られたせいか、剣としてはナマクラなのだよ。元とはいえ女神の武器だから下手な鍛冶師には任せられないが、目の前のドワーフなら整えるぐらいは簡単にやるだろう。腕が足らないという訳ではなく、本格的にやる気なら道具が足りてないだけだー


 つまり、仕上げる為に何が必要なのかということである。

 そこで、俺は馬車の御者をしながら、カラスに話かける。


(なあ、カラス。以前にガンツに整えて貰った時の話なんだが、本格的にやるなら道具が足らないって言ってたけど、どういう事なんだ?)


ーふむ。まずは、我らをしっかり打つには、現存出回っている金属では、しっかり打てまい。他にもあるやもしれんが、あのガンツというドワーフはしっかり気づいて、できる範囲の事をやっていたから、直接聞いたほうが早いだろうなー


 どちらにしても、一度、2人に会ってからの話になりそうだなっと思い、空を眺めながら、手綱を握り締めていると、隣に影が差したので振り返ると美紅が立っていた。


「どうかしたのか?」

「隣、いいですか?」


 そう言われて、俺は黙って、横に詰める事で場所を空ける事で意思表示した。

 美紅が失礼しますっと言いながら隣に座る。


 俺は美紅が何を話しにきたのだろうと考えるが、隠してた事は全部話したつもりだし、美紅にそれは疑われてないと思っている。

 そう考えていると美紅は俺の腰にあるカラスを見つめる姿を見て、なんとなく理由を察した。


 最近、美紅は俺がカラスと会話をしてるような雰囲気になると、じっと見つめるようになっているのに俺は気づいていた。

 特にこのところ、ただ見つめるだけでなく、羨望と焦りが混じったような視線で見てくる事が多かったので、俺もどうにかしたほうがいいかもっとは思っていたが、美紅が動かないのに俺から動くのもどうかと思い、黙って見守っていた。

 これは、心の持ちようの話であると俺は気づいていた為である。


「こんな事を聞くのはどうかと思うのですが、トオル君はカラスと意思疎通ができるのですか?」

「ああ、できるぜ?相談もするし、愚痴を言い合ったりもする、美紅達にボコボコにされた時に唯一、俺を心配してくれる戦友だぜ?でもよう、聞きたいのはこう言う事じゃないよな」


 俺がそう言うと、美紅は目線を逸らして、前に向ける。


「本当に聞きたかったのは、フレイとどうやって会話ができるようになるかじゃないのか?」


 美紅は肩の力を抜いて、溜息を1つ吐くと眉を下げて言ってくる。


「やっぱり、気づかれてましたか。その通りです。私は一度たりとも、フレイドーラさんが剣になってから会話を交わせてません。ですが、ワビ湖でトオル君はフレイドーラさんと会話されてましたよね?」


 身を乗り出すように聞いてくる美紅にちょっと焦りながら俺は答える。


「いや、あの時は何も聞こえてないぞ?基本、持ち主が聞こえる状態で、他人に聞かせる気がないと話せないと思う。ああ、でも、魔神の欠片と戦った時は、不鮮明だが一応聞こえたな」


 俺は思い出すように呟くように答えた。

 美紅は、私は何も聞こえてませんでしたっと呟いて俯く。

 こないだからの美紅の様子がおかしいと気づいてから、俺なりに何に悩んでいると考えて、気付くとどうしたらいいかと考え続けた結果、俺なりの答えは既に用意していた。


「トオル君、私はフレイドーラさんを使いこなせないから、話しかける事ができないようなんです。どうしたら良いのでしょう・・・」


 俺はそれは順序があべこべだよっと言ってしまいそうになったのを飲み込む。

 その代わりに用意していた言葉を伝える事にした。


「俺がカラスと会話したのは、モンスターパニックで村の前にいるモンスターをどうしようっと思い、力を求めた時だった。俺が力を求めたら、フレイの力を宿した力の解除させるというものだったようだ」

「私は既に力を求めています。じゃないと2代目勇者とまともに太刀打ちができません」


 どうやら、この件では美紅はかなり追い詰められているようだと再認識するに至る。

 普段の美紅ならきっと気付けるような事であるはずのことが理解できてない。


「それはあくまで、俺の場合だ。きっと、フレイは、美紅に気付いて欲しい事があり、それをキーワードに自分自身を封印してるんだと俺は思うよ」


 フレイってドラゴンはとてもお節介焼きのだからなっと美紅に笑いかける。

 だが、美紅はそれほど余裕がないようで、俯いたまま、悔しそうにしている。

 美紅の様子を見て、良くない兆候だなっと俺は思うと同時に、フレイが何を伝えたがっているのかを正確に理解したような気がする。

 これは、美紅に言葉で知らせる術を俺は知らない。いや、伝える事はできるが、美紅に正しく理解させるのは、俺にはできる自信がない。


 まるで、知ったかする嫌な奴と同じような言い様になるのは、勘弁してほしいと思うが、美紅が自分で答えに行き着く必要がある。

 だから俺は、美紅に伝えられるだけ伝える。


「ゆっくりとは言っても焦るだろうが、フレイが何を求めて、封印してるか考えてみればいいんじゃないか?」


 俺は美紅の頭を撫でながら、美紅がそれを乗り越えられるようにと祈りながら見つめた。




 そして、エルバーンを出発して4日目の朝にクラウドに到着した。


「さて、ガンツと話をするために、連絡を取ってくれそうな所と言うと冒険者ギルドとミランダの伝手ぐらいしか思いつかないな」


 俺はそう3人に問いかけるように言うが、3人もそれ以上は思いつかないようだ。


「とりあえず、冒険者ギルドに行って、シーナと相談するの。ここでグダグダしてても時間の無駄なの」


 いつものように屋台に目を釘付けにしながら、俺の服の袖を引っ張る。断るつもりで俺も見ると、串焼きを焼く人がいつもの親父じゃなくて、俺達と年が変わらなさそうな女の子が揺れる胸が邪魔そうにしながらも、汗を掻いて透ける服も気にせず、勤労に勤しんでいた。

 肉を取り扱うと色々、豊かになっちゃうのかなっと俺は眺めながら思い、俺はルナに甘い男だと呟く。


「仕方がないな、行く前に串焼きでも買っていく・・・ウグっ」


 歩き出した俺の襟元を強く引っ張られて、首が絞まる。


「先にやる事があるでしょ?ルナさんを言い訳にミエミエなんですよ!」


 お怒りの美紅に引っ張られる俺は首が絞まってるっと美紅の手を叩いて、ギブ、ギブと許しを請うが無視されて、冒険者ギルドへと引っ張られていった。


「串焼きを食べ損ねたの・・・」

「トールも学習しないわねっ、でも、国と連絡を取れるのが冒険者ギルドはまだ理解できるけど、ミランダならなんとかなりそうだと、普通に思ってる、この3人もおかしいっ」


 項垂れるルナとミランダに戦々恐々なテリアが引きずられている俺を追いかけるようにして、冒険者ギルドへと目指した。

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