15話 出発準備中
急遽、同日投稿になります。
15話です。よろしくお願いします。
初討伐をしてから5日経った。
ウサギを毎日10匹以上狩るようにして薬草採取平行して進ませた。結果、
突撃ウサギ63匹×銅貨5枚=銀貨3枚銅貨15枚
肉60個×銅貨5枚=銀貨3枚
毛皮63枚×銅貨3枚=銀貨1枚銅貨89枚
薬草100束×銅貨3枚=銀貨3枚
更に俺のトラウマになりそうになったゴブリンを親の敵とばかりに執拗に狙いトラウマ克服に貢献。
ゴブリン121匹×銅貨10枚=銀貨12枚銅貨10枚
になり、合計が目標の銀貨20枚を超えて銀貨23枚銅貨14枚になった。元々、持っていた銀貨2枚を合わせて、銀貨25枚超えである。
ちなみに肉が3つ少ないのはミランダに差し入れした為である。それが嬉しかったらしく宿代1日サービスしてくれた。
ルナと相談の結果、野外道具と俺の武器と山歩きになるという事でルナも攻撃スタイルが蹴りが多用の結果ボロボロになっているので二人の靴を買い直すということで纏まった。
魔法のほうは生活魔法は全て覚える事ができたが、未だにそれ以外の魔法をルナが教えてくれない。ルナ曰く、
「徹に他の魔法必要なの?」
最初の水の事故もそうだが調整次第で従来の攻撃魔法を超える威力が出る。そこは科学知識を齧ってて、現物を目で、TVで色々見てるが為、イメージが多様な為である。
調整次第で超えるからと言って違う魔法はいらないという訳ではないのである。それはそれである。覚えられないならともかく覚えてみたいというのはロマンである。しつこく強請り続けて根負けさせたルナは封印の地から帰ったら教えると言わせた。
その日の夜の食事の後に、ミランダにその旨を伝える事にした。
「ミランダ、俺達、明日準備したら明後日からクラウドを留守にするんだ」
「留守っていうから、旅に出るって訳じゃないみたいだけど、どこに行くの?」
「北門を抜けた先にある山に行こうと思ってるんだ」
あそこには何もっと言いかけたミランダは何かを思いついたようで黙り込む。
「あそこに何があるか知ってて行こうとしてると思っていいのかしら?」
少し、素直に答えるか悩んだがミランダに隠し事はできるだけしたくないと思っている自分に素直になることにした。
「知ってる、おっさんから話は聞いたからな」
「行っても何もできる事はないわよ」
かもなっと答え、ミランダの目を見つめ、
「行かない事には答えは出ないって思う。何故行くのかって言われても分からねぇよ」
俺は苦笑いをする。
ミランダは、そう、とだけ答えた。
おもむろにミランダは俺達を抱きしめて
「必ず、帰ってくるのよ。部屋は空けておくから」
「ありがとうなの、ミランダ、帰ってくるの」
俺は、ああ、とだけ答える。
ここだけで見ると感動的な感じなのに、ミランダ・・・俺の尻を撫でながらそのセリフは台無しだ。
ミランダにもう1泊分の費用を払うと俺達は部屋に戻って行った。
戻って行った俺達を見送ったミランダは、
「明日の夜はアレを用意してあげようかしら」
今ある材料、調味料を思い浮かべる。足らなさそうなものはなさそうだ。
「今日のうちに仕込んで1晩寝かせるのと寝かさないのでは大きな違いがあるしね」
明日の晩の徹達の顔を想像してクスクス笑いながら厨房へと消えていった。
特にあの後することもなかったので2人はすぐ寝てしまった為か、目覚めが気持ちいい朝を迎え・・・られてない女神がいた。涎を垂らした女神が日が上がり始めても惰眠を貪っていた。見た目、美少女なだけに涎はとっても残念感が半端ない。いつまでも寝かせてると準備にあてる時間がなくなるから額を叩いて起こす事にする。
「イタっ、何々、何があったの??」
「いい加減、起きろ。今日は色々買い物があるんだから」
「あ!もしかして、おでこが痛いのって徹が叩いたの?酷いの、揺すって優しく起こしてくれてもいいじゃない!」
やったけど起きなかったと言うと嘘なの!って切り返してきた。だが、真実は伝える気はない。
「あのまま寝過したら朝食は抜きだったぞ?」
「それは一大事なの」
慌てて起きたルナは裏庭へと走って去って行く。あいつをコントロールするにはやはりこの手が一番のようだ。俺も顔を洗う為にルナの後を溜息を吐きながら向かう事にした。
朝食を食べながらミランダに買う物は何かと問われたので答えた。
「野外道具はどこで買っても大差はないと思うけど、武器と靴は私のお勧めの場所に行く事を勧めるわ。後、買う物にマントを足すのを推すわ」
なんで、マント?って顔をすると、ミランダが説明してくれる。
「トール達はテント買うつもりあるんじゃない?でもテントって結構嵩張るのよ。もっとパーティメンバーがいるとか馬車があるとかだったらあったほうがいいんだけど、2人だと持てる量の限界が見えてるのよね。だけどマントがあれば、山道である獣道歩く時も草や枝で傷つく可能性を下げれるし、雨が降れば合羽代わりになり、寝る時には毛布の代わりになるのよ?」
マントって色々使えるんだな。
「だからマントは安いのは銅貨20枚もあれば買えるけど奮発して銀貨を使うぐらいのものを買うのを勧めるわ。マントはケチらないほうがいいわよ。そういえば、あなた達、ザックの仕事請け負ったのよね?ザックのとこでマントの仲介もやってたはずだから良い所を紹介してもらうといいんじゃない?」
ザックさんか・・・あの人というか、あそこのメンツが苦手だ。まあルナを前面に押し出したらうまくいくとは思うが。
「分かったの、ザックさんに紹介して貰えるようにお願いしてくるの」
ルナとミランダが笑いあって頷く。
「私が勧める、鍛冶屋なんだけどザックと反対側の東門よりなのよね。地図を書いて渡すから行ってみてね」
渡された地図の目的地にはグルガンデ武具店と書かれている。有難く受け取ると丁度、食事が済んだ俺達に飲み物を出してくれる。
「今日は買い物でうろうろしてるから昼は屋台で済ませるから弁当はいいよ」
「分かったわ、大事な買い物ではあるけど楽しむ事も忘れちゃだめよ」
飲み物を飲みきった俺達はミランダに行ってきますと言って宿から出ていった。
さて、最初に疲れそうなザックさんの用事を済ませてからグルガンデ武具店に向かう事にする。
ルナは優しくしてくれた人達に会えるのが嬉しいらしく浮かれ気味である。それに引き換え、俺は落ち込み気味であった。
向かっている以上、いつか着く訳で到着したザックさんが管理してる倉庫にやってくるとルナを見つけた現場の方々がワラワラと寄ってくる。色々話しかけられて、ルナは頷いたり、笑ったりしてる。なんか、僕、いらない子になってる気がする。
「お、トールじゃないか、何してるんだ?」
ザックさんが現れて、僕を認識してくれるのあんただけや~、悪く色々思ってごめんなさい、と思いつつ、今の状況を説明する。
「良いマント扱ってるとこを紹介して貰いにきたらルナちゃんはあのように囲まれて、お前はぼっちしてたってことか」
うん、説明して改めて言われると更に凹むね、狙って言ってませんか?
「まあ、ルナちゃんのマントも必要だろうし、ついでにお前の分も紹介するのはやぶさかではないが、頼まれてくれるか?ギルドに持って行って欲しいものがあるんだがマントを買ったらウチにもう一回顔を出してくれや」
西門のほうに行くからついでといえばついでだから了解することにした。
「よし、商談成立だ。この通りにあるサマンサ服飾店ってのがあるからそこで売ってもらうといい。この割符を持っていけば3割は引いてくれるぜ」
俺はお礼を言って、ルナを呼ぶ。若干、現場の方々の目が、やんのかごらーって言ってるような気がしたが見なかった事にする。
「ザックさんに紹介してもらったから買いに行こうか」
「ルナちゃんのはいいのちゃんと選ぶんだぞ、ケチったら分かってるだろうな?」
現場の方々はその言葉に合わせるように拳を鳴らす。
「お店の人のお勧めを買いたいと思います!」
むさ苦しい男共はウンウンと頷いて俺達を見送った。
ザックさんに紹介されたサマンサ服飾店は本当に近くにあった。中に入ると小柄な可愛い店員さんが出迎えてくれた。小柄な店員さんはとても凶悪なものをお持ちであられました。シーナさんと争う大きさではないのだが、あの小柄にアレはおかしいと言いたくなる代物が2つ成っていた。そうオッパイである。
俺はラッキースケベを装って突貫しようと近寄ると、ルナににこやかに笑ってた店員さんがルナの死角をついて俺に近寄り、俺の顎下にチクリとするものをあてる。この大きな針って毛皮とか縫う時のやつじゃ・・・
「アタイは、男には興味ないんで、向こうで籠売りしてるデザイン性皆無のマントでも選んでてくださいや、性能だけは保障しますんで、男には勿体ないんですがね。」
というと針を元に戻して振りかえったルナに笑顔で、
「こちらにお客様に似合うマントがありますのでどうぞ~」
なんだあの違いは・・・間違いない、あの店員さんはザックさんの関係者だ!きっと商売の繋がりだけじゃない。同業者の匂いがする。
俺は忘れる前にザックさんの紹介であることを伝える事とする。
「すいません、ザックさんの紹介できたものなんですが」
そういいつつ割符を店員さんに差し出す。少し嫌そうに俺から受け取ると
「一層、サービスさせて貰いますね。さっさ、こちらです」
極上の笑顔をしてルナをエスコートする。その後ろを着いていこうとするとどうやったらあの可愛い顔がこうなるんだろうって顔して、顎で籠売りのほうを差す。俺の対応は据え置きのようだ。
仕方がないので一人で籠の中を漁る事にする。単色のものばかりで装飾といった作りは一切なかった。もう選ぶ基準が大きさと色のみである。膝下ぐらいの長さの茶色のマントにすることにした。値段を見ると銀貨1枚のようだ。
それからしばらく時間を持て余し気味で待ってるとルナが帰ってきた。
「お客様には装飾の凝った物のほうがよくお似合いだと思うんですが」
「あの可愛いのが良かったのだけど、傷ついたらショックだから止めといたの」
ルナが選んだのは俺と同じ茶色のようだが、なんだ?表面の光沢が俺とだいぶ違う。
「その中でも選ばれた、このマントの肌触りは最高で通気性も抜群で、汚れても表面なら水を流すだけで簡単に汚れは落ちます。勿論、合羽としても性能は保障します。」
「俺のマントもそうなの?」
俺もマントを広げて、聞くと空気読めよって顔した店員さんが
「いえ、そちらはそこまでの性能はありませんが、クラウドにある他の所でその値段でそれ以上の物はないと言わせて頂きます」
口調は丁寧だが表情が裏切っていた。
ここにいるのが辛くなってきた俺は、勘定お願いしますと言う。
「ルナさんのマントは銀貨6枚ですが銀貨3枚でいいですよ。あ~あなたのは銅貨70枚でいいです」
なんか色々、諦めてたけどね。
代金を払って店を出る事にした。勿論、ルナにはまたのご来店お待ちしておりますって言ってもらえたのに俺はケッって言われた。
心が折れそうになりながらザックさんの所に来ると大八車に乗せられた荷物が待っていた。
「お、ルナちゃん質のいいマントを選んだんだな。もうちょっと装飾とかあるのにしても良かったんじゃないか?」
そういうザックさんに店員さんに説明した通りの話をまたする。
「さすが、いい子だな、ルナちゃんは」
良く見ると建物の影でスタンバってた現場の方々の姿が見えた。ルナの答え如何では俺の身は無事で済まなかったかもしれない。
「これをまさか運べと?」
「ああ、そうだ、お前、一人で運ぶんだ」
だからザックさんと絡むの嫌だったんだよな。愚痴ってもしょうがないから溜息を噛み殺しながら素直に運ぶために引こうとする。
「徹、1人じゃ大変なの。私も手伝うの」
「ルナちゃんはいい子だな」
向こうの現場の方々の中には男泣きしてる人もちらほらいたりする。
一路、俺達はギルドに向かう事になった。
長くなりそうになったので2回に別けて更新する事にしました。
感想などありましたら、よろしくお願いします。




