156話 やり直したい事
歯医者に行く事になったのが口の中で欠けた歯を発見したからだったのですが、いざ、行ってみて調べて貰うと虫歯は一本もないっと言われました。
なんだったのだろうっと言う話になると、口の中の状況をみる限り、歯石ですねっと言われました(;一_一)
歯石取りをしましょうっと言われて、下の歯だけしてきましたが、口の中が血だらけになりましたよ・・・どんなけ、歯石だらけになってたのでしょうか(泣)
歯石以外は歯も歯茎も健康そのものだったそうです。
皆さんも時間を作って取りに行かないとバイブルのように歯が欠けたっと騒ぐハメ・・・なるような人、そうそういませんよね(;一_一)
時間は遡って、徹と喧嘩して、飛び出したルナはルナの視力ですら視認できない距離の離れた場所の開けた場所で体育座りをして、イジけていた。
捜す為にこっちに飛んできたら、すぐ見つかるような場所でいるということが、今のルナの気持ちを表している。
そんなルナが呟く。
「徹の馬鹿、アホ、マヌケのスケベ」
私は徹と分かり合えなかった、さっきの出来事を振り返り、ぐるぐる廻って戻ってくるループする思考に囚われていた。
徹がおそらく私達の事を考えての事の結果が今の徹の態度であろうという事は分かっている。それでも、私は徹に話して欲しくて迫ったら、ここのところ、自分でもちょっと調子に乗ってたかもっと思っていた事を理由に爆発させてしまった。
私はただ、徹ともっと接したくて・・・いや、私は徹に甘えていただけだと分かる。勿論、緊急性がある時はしないが、そうでない時は徹にかまって欲しくて私は我儘になっていたと思う。
少し、申し訳ないなっとは思うのだが、ちょっと呆れた顔した徹がヤレヤレだとか、この残念女神とか言いながらも、かまって貰えると凄く嬉しく甘えていた。
あの人、ルナマリアも私には優しかったが徹のように甘えたいとは思った事はなかった。
この違いはなんだろうか?と、今1人になった事でそんな事を考え出していた。
簡単に言えば、徹に恋しているからというのが、誰に説明しても納得して貰えると分かるが、どうも私にはしっくりこない。
いや、勿論、それも1つの理由だとは思うがそれが全てじゃないと私は思うのだ。
どう説明したらいいのだろうか・・・
天啓、神である自分が言うのもなんだが、その答えに行き当たり、口にしようとした時に私の後ろから声がする。
「それは、徹が徹であるからなの、でしょ?」
私は飛び上がるように立ち上がると前に飛ぶようにして離れると、後ろを振り向く。
振り向いた先に居た者を見て、私の心臓が跳ね上がる。
「だ、誰なのっ!」
「すぐ、自分の中から浮かび上がる答えを否定するのは悪い癖。でも、それは治らない癖なのよね」
二十歳になり立てといった、水色に近い青の髪をポニーテールにしている私とよく似た格好をした女性が腰に手を当てて、懐かしい者を見るような目で私を見つめていた。
目の前の女性が言うように見た瞬間に浮かんだ答えはあった。だが、それは有り得ない。
「それは有り得ないって思っている顔してるわね。でも、その有り得ない事が答えなのよ」
そう言いつつ、ゆっくりとこっちに近づいてくる。
私も後ろに下がろうと思うのだけど、足が動いてくれない。
そうしていると、手を伸ばせば届きそうな距離まで来ていて、立ち止まる。
近くに来ると私に顔をよく見えるように、ゆっくりと左右角度付けてみせてくる。
「まだ、分からない?」
「あ、貴方は・・・」
煮え切らない私に嘆息すると、いいわ、私が言ってあげると言うのを見て、何故か止めようとしたが、間に合わず言われる。
「私の名前はルナ、そう、私は貴方の2000年後の未来の貴方よ」
私の思考が止まり、放心した。
「少しは落ち着いた?」
私が放心したのを理解してたようで、少し放置してから声をかけてきたようだ。
「なんで、貴方が私の未来だと言えるの・・・」
「自分でも分かってるんでしょ?理屈はともかく、私が貴方であるという事が?」
目の前の女性が言うように理屈ではない部分で、言われている事を肯定している自分がいた。
認めるという事は、わざわざ、未来から来たという事が楽しい理由であるはずがない。まして、今の状況はそれが許される状況ではないことは2000年後の私が知らないはずがないのだ。
私は何も答えず、じっと目の前の未来の自分を見つめる。
「どうやら、聞く程度には落ち着いてくれたわね。まず、私がわざわざ、未来から来た理由を言葉にしておくわね。アローラは魔神に滅ぼされるわ」
「私達がしてきた事は無駄だったの!」
なんとなくではあるが、思っていた事をそのまま言われて、私は動揺して叫んでしまう。
「そうね、私、今の貴方が無駄にしてしまうのよ。その続きは後でするわ」
私はそっちのほうを聞きたいと思っているが、まるで心を読むように言い当ててくる未来の自分に対抗できず、話を続けられる。
「アローラに徹も美紅もテリア、そしてアローラの子らが滅ぼされて、世界も滅ぼされた時、残るモノは私1人だったわ。魔神に徹達の後を追うつもりで挑むけど、まったく相手にされなくてね」
その時の事を思い出しているかのようで、とても悲しそうな顔をしていた。
「私を無視したまま、魔神は世界を渡ったわ。本当に、私だけ1人が世界に残されて、長い長い時間、呆けていたの。当然のように自分で命を断って、徹達のところに行こうと考えたけどね、初めて、魔神の欠片と戦った時に言われた言葉がグルグル廻って、死ぬに死ねなかったの」
さすが、自分の事だったせいか、その状況でなら私が思い出す言葉はこれしかないっと思った。
「ルナ、考えるだけで止まるな、分かり切ってると諦めてカッコ付けないで、足掻いて、無様でも生き残る。可能性が0%ならもがいて0.1%を生み出そうぜ」
と私に笑いかけながら言ってくれた言葉だと私は確信した。
「私は、その言葉を胸に2000年、本当に気が遠くなるような長い時間を1人で、修行に修行を重ねて、神力を上げて、自分の力を使いこなす努力して神格を上げたわ」
だから見た目が少し変わって、年を経たのかと理解する。擬態しなかった場合、見た目が成長するという事は神力が上がって、神格がクラスアップするという事だから。
とは言っても2000年ぐらいで神格が上がるというのは異例ではないだろうか?未来の自分はどこまでストイックに頑張ったのであろう。
「そして、手に入れた。私は時を操る時空魔法を完成させたわ」
そんな事ができた神がいたという話を私は聞いた事がなかった。
「ふっふふ、誰もできなかった事が自分が出来た事を驚いているみたいだけど、私は自分というものが分かってなかっただけで、本当はできる子だったのよ?」
ない胸を張って・・・自分に跳ね返ってきて2倍のダメージを被りながら、驚いた。
微笑んでいた未来の自分が、笑みを消して真面目な顔をして続きを話し出す。
「そして、私は時を越えてたわ。丁度、私と徹が出会った時に合わせて、跳ぶと世界の浄化作用というのかしら、私が来ただけで過去が変わろうとしてたわ。私達があの世界からやってきて初めて会う人物はザウスさんではなく、ダングレスト、ダンさんだったのよ?」
あの時は驚いたわっと呟き、苦笑する未来の自分を見て、私はこんな顔で笑うようになる未来があるのかと言いたくなるぐらいに胸が締め付けれるような悲しい笑い方をした。
「そこで、私は自分の知っている過去と違うようになると困った事になるから、修正をする為に最小限の介入をする事にしたわ」
「あ、徹が会ったという占い師って貴方だったの?」
私がそう言うと、その時の事を思い出しているのか、少し遠い目をして言った。
「2000年ぶりにあった徹は、最後に見た時と比べて、やっぱり、どこか子供ぽさが強くて、可愛かったわ。貴方も分かるだろうけど、その後、どんどん逞しくなっていき、隣にいるととても安心させてくれる、とても大きな存在になるイメージが強く残っていたから、見てて、とても心が温かくなったわ」
その言っている意味が良く理解できた。言われて思い出すと確かに徹の最初の頃の顔とやはり、男らしさが出始めているように思う。
「徹とカラス達の出会いは間違いなく必然でなくてはならなかった。だから、まだ徹が公言してない勇者を助けに行くという言葉で信用を勝ち取り、カラスを取りに行くキッカケにしようとしたわ。でも、そこで問題がまた発生した。美紅を助けた後、徹、そして、貴方達は私が伝えた事を忘れて、美紅の立ち直る為に時間を浪費しようとしていた。美紅はカラスを手に入れてから起きるモンスターパニックをキッカケでなんとか戦えるようになるのに・・・」
歯痒い思いをした事を思い出しているようで、軽く唇を噛み締める。
「モンスターパニックが起きてからでは、カラスの下へ行くどころじゃなくなり、下手をするとそこで徹が死んでしまう恐れがあったので私は、ルナマリアの使徒になるはずだった少女、ルルに目を付けたわ。ルナマリアの神力は覚えがあったから、予知夢と誤解する程度に見せて、貴方が見れば、漂う神力が反応して偶然見せたかのように感じさせた」
それを聞いた時、私は思った。
「まさか、ルルの姉の呪いにも一枚噛んでるのっ!」
「いいえ、あれは本当に偶然、それがあったから、ルルを利用する時に心の呵責が楽で助かったわ」
本当にあの時は、あれがなければ、やるかどうかで悩んでしまって別の手を模索してて、何もかも手遅れという可能性も否定できなかったっと呟く未来の自分を見て、なんとも言えない気持ちに包まれる。
その後も小さな違いが生まれて、四苦八苦したようだ、その中でも特に焦ったのがエルフ城で私と美紅との戦いの時だそうだ。
「私が徹が現場の近くに来た時に邪魔をして、出てくる時間を調整したから、私の知っている過去と同じタイミングにはなったけど、早く来た時は本当に焦ったわ。あの出来事は私達と徹との間の絆を強めるキッカケになった素晴らしい事があった日だったから、変える訳にはいかなかったしね」
そうだったでしょ?っと優しい目をして問われて、私は無意識に微笑んで頷く。その時に徹に淡い気持ちに気付き、育んで、徹達と別れて、1人、あの世界に戻った時に、はっきりと自覚したのだ。徹が好きだと・・・
「その後も小さな誤差が生まれたわ。その度に見守るか、介入かと選択をし続けて、やっと今、私が知っている未来に辿り着いた」
そのセリフを言った未来の私の顔に影が刺した。
つまり、いや、もっと早くに気付くべきだった。私に正体を明かしに現れた時点で、徹だったらきっと正体が知れた時に気付いたと思われるが私は今になってやっと理解する。
「徹達が死ぬ時が近いって言うのっ!!」
私の叫びが未来の私に突き刺さっているはずだが、痛痒も感じてないかのように、無表情になって言ってくる。
「だから、最初に言ったでしょ?今の貴方が無駄にすると?」
過去の自分を恨めしく嘲笑い、涙を流しながら未来の私が睨みつけてきた。
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