150話 夢に導かれて
ついに150話にきました。
ですが、最近よく思う事があります。
この小説、今年中に終わるの?って・・・
当初の予定では余裕で終わるつもりだったのですが、少々不安です。伸びたらごめんね?間延びしないようには努力をするつもりです。
一夜明けた、次の日の朝、本来なら気持ち良い朝なはずなのに俺は敵に包囲されているかのようなプレッシャーを受けていた。
誤解させたかもしれないが、実際に敵がいるとかという事態ではない。
しかし、実際に軍隊に万の兵に囲まれたほうが気が楽だと言い切れるぐらいのプレッシャーである事は間違いない。少しだけ、大袈裟だが、轟を目の前にするぐらいと言っても過言ではない。
「ルナさん、スープを入れましたから、みんなに配ってください」
「分かったなの」
なんでもないようなやり取りだが、俺には分かる。
だてに寝食を共にしていない。時折、目で会話して、タイミングを合わせたのかという息の合い方で俺を見る視線・・・ヤバい2人が組んだと俺は戦慄を感じる。
俺が寝てる間に何があったと思うが知る術はない。
心当たりなど、1つしかない。2人に俺が隠し事をしていると確定されたということだろう。
「ねぇねぇ、何かあるのっ?」
そんな2人を見て、美紅に声をかけるテリアを見て、3人目が加入されるのも時間の問題だと俺は唇を軽く噛み締める。
ミドリ、ノルン、リル、そして俺を見守っている女神達よっ!!!俺を助けてくれっ!!!
今まで、轟と戦っている時ですら、助けて欲しいと思った事すらないのに初めて願う。
しかし、なんやかんや言って、みんなあっちを応援しそうで俺は泣きそうである。ノルンなど、心配するフリして結局向こうに行くというダメージ倍増させて楽しみそうで怖い。
頭の廻る美紅の事だ、あんな態度をして俺に警戒されないとは思ってないはず。警戒される事を想定して裏をかいてくるのか、警戒しようがどうしようもなくする気なのか、考えるだけで恐ろしい。
しかし、俺にも明るい情報もある事をその態度と状況が示していた。
きっと美紅は今すぐ聞き出す気はないという事である。
聞き出す気なら既にテリアを巻き込み済みだろうし、何より、俺に警戒させる前にやってくるだろう。
つまり、今の状況から見えてくる行動は俺に対する言葉にしないメッセージである事が分かる。
『もうすぐ、聞きますから観念して話しなさい』
ということである。
ルナはそこまでの考えはないだろうが、美紅ならそれぐらいは考えそうである。
残された猶予で素直に話せる明るい情報が得れる事を祈りつつ、ルナが持ってきたカップに入ったスープを受け取り、飲みながら2人の様子を窺う俺が情けなくて泣きたくなった。
昼を少し過ぎたあたりで俺達は村の名残しか残ってない場所に辿り着いた。昼はノンビリ取るのはやめて、歩きながら携帯食を食べながらやってきた。
来るまでの問題はいつもの事しかなかった。
ルナが携帯食は不味いっとごねたぐらいである。
改めて、村の入り口だった場所から見渡すと確かに、建物は壊れているものが多数だが、直そうと思えば直せただろうと思える。
モスの街の壊れ方と大差ないのに、この違いはなんだ?っと思う。
正直、違いなんてはっきりしている。
指導者、クリミア王女と村長のブロード、そして、住む者の意識の高さが決定的に違う為である事など、見れば誰でも気付ける差であった。
まあ、中途半端に帰ってきてて、邪魔されるぐらいなら、今の状況は歓迎すべきであるかもしれないと前向きに考える事にする。
とりあえず、見渡せるところ、ティティと出会った、丘になった場所から見渡す事にする為に移動をする。
到着するとティティが隠れていた小屋は原型をそのまま残して無事なところを見て、驚きを隠せなかった。
ここまで来る途中で無事な建物などなかった為である。
「もしかして、ティティ、あのままここに居ても無事にやり過ごしてたりしてそうで恐ろしいな・・・」
そんな俺の言葉に2人は苦笑して、テリアはここで王女と会ったの?聞かれて俺は頷く。
俺達は辺りを見渡すが、これっといった目に着くものは見当たらないので、手分けして何か見当たらないか捜す事にして別れる。
俺は北側を担当して捜す為に地道に捜しながら、誰もいないから声を出して、カラスに話しかけていた。
「なぁ、カラス。俺が思っている通りなら、お前の存在、フレイの力じゃないほうで、カラスとしての武器のほうの力、そのものに関わる話だと思うんだが、この村で何か他にないものを感じたりしないのか?」
ー無茶を言う主だ。まあ、今更な気がするがな。確かに、この村は他の地では感じない力を感じる気がするなー
少し、迷うようではあったが、何か違いを感じるようだ。
「どのあたりか分かるか?」
ーすまん、よく分からんのだ。足元から感じるようで遠くで感じるようで、まるで村全体から感じるように我の感覚がボケるー
俺はそうかっと呟き、頭を掻きながら、そう上手くは行かないかと苦笑する。でも、何かはありそうだと言う事は間違いはなさそうである。
「さて、頑張って捜すとしますか」
カラスにありがとうっと告げて捜索を再開した。
夕暮れに染まる空を眺めて、俺は呟く。
「まったく、手かがりどころか怪しい場所すら見つけられなかった」
昔から、探し物をして余り苦労らしい苦労をした事がなかったから安易にすぐ見つかると思っていたが、これは難航するかもしれないと項垂れて、丘の上の小屋へと戻っていった。
小屋に戻ると3人も戻ってきているが、お互いの顔を見るだけで結果は知れた。
「とりあえず、食事をしながら、相談にしましょうか」
美紅が提案してくるので、俺とルナは小屋の中を使える状況にする為に物をどかしたりしに行くが、ルナが邪魔になるので、小屋の外に放り出して、薪を拾わしに行かせて、俺1人で片付けを完了させる。
テーブルと椅子も無事だった為、それを利用して俺達は夕食を取り始めた。
「まったく、何も見つけられなかったの。本当に何もないかも知れないの」
「あれだけ、捜しまわったけどっ、まったく変な所もないし、変わった匂いする場所もなかったわっ」
俺と美紅も頷くと美紅が言ってくる。
「もしかしたら、おとぎ話で空想のお話なのか、既に違う地に渡っていなくなっているのかもしれませんね」
「俺も賛成だっと言いたいところなんだが、カラスが違和感を感じているそうなんだ」
まだ、ないっという判断は早計かもしれないっと俺が言うと皆がカラスを見つめる。
ー主、我は違和感は認めたが、あると言った訳じゃないぞ?-
みんなの視線を受けて、しどろもどろになったカラスが言い訳がましく言ってくる。
俺はちゃんと違和感があるっと言ったぞっと思うとカラスは沈黙するが、どこか少し不満そうな感じが伝わってくる。
俺はヤレヤレっと思いつつ、みんなに言う。
「カラスの考える違和感が、俺達が求めるものか分からないが、明日、もう1日だけ捜してみよう。捜してた場所を入れ替えて捜したら視点が変わって、気付ける物が出てくるかもしれないからな」
俺がそう締めて、食事が済むとみんな慣れない探し物で神経が疲れたようで、早めに寝る事にした。
早朝、目を覚ますと、みんな同じタイミングで起きたようで、お互い顔を見合わせていた。
何やら予感めいたものを感じる。
俺は以前、瀕死になった時に和也に話しかけられた時と同じ感覚の夢を見ていた。その夢である場所についたところで目を覚ましたのである。
「変な夢を見たんだけどっ!」
「テリアちゃんもっというか、この様子だとみんな同じ夢を見たんでしょうね」
テリアが溜息を吐きながら、言う言葉を美紅が締める。
「じゃ、確認しに行くの」
いつもなら起きたらすぐお腹減ったと煩い、ルナが食事の事を言わずに、そう提案してくる。
みんなは頷いて立ち上がると外に出るが、誰もどこへっとは言わない。行くべき場所は分かっている。
小屋の裏手にある幹が太い、1000年単位の樹齢がありそうな木の前に俺達は集まる。
じっと見つめていると、揺らぎのようなものが見えるとそこには小さな男の子がいた。ルルと同じぐらいの年頃に見える、どことなく生意気そうな子が現れるが、よく見ると透けて向こうが見えている。
「会えて、僥倖なのか、絶望なのか分からないけど、歓迎するよ。運命を転換させる子らよ」
生意気そうに笑い、鼻の下を人差し指で擦りながら、俺達を見上げて、声をかけてきた。
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