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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
8章 Road like yarnー糸のような道ー
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147話 相棒の由来

 次の日の朝、出発しようと思ったところで俺は皆に提案する。


「なんとなく無理な気がするけど、神殿跡に行こうと思うんだ」

「私もまだ無理な気がするけどっ、別にいいんじゃないっ?」


 テリアにも無理と言われるが、打てる手から打って行きたいという俺の思いを汲んでくれるように容認してくれる。


「そうですね、召喚場所に行くのは、今の情勢だと少し難しいでしょうし、行けるとこから行きましょう」

「力技で抜けれないの?」


 アニマルガールズの出番なのっ!と鼻息荒く、意気込むルナに美紅が、永遠に出番はありませんからっと言って、ドウドウっと落ち着かせる。

 その傍でコルシアンさんがガチで落ち込みながら聞いてくる。


「・・・トール君が言っているのは、クラウドの西にある神殿跡のことかい?あそこは禁忌扱いされて、謎の初代勇者の死の秘密が・・・あっ!」

「ええ、1度死んだようですが、生きてます。そこからアイツのところに行けるんですよ。ですから一旦、クラウドに帰ってから、コルシアンさんを置いて・・・」


 ガシっと俺の肩を掴んで鼻が触れるぐらいまで顔を近づけてくる。

 俺は下手に動いたらヤバいと本能で理解して、心の中で、おっさんにファーストを奪われるのは、いやぁぁーーーーっと叫びながら助けを求めようと視線を彷徨わせると、おい、君ら、なんで頬を染めて、ガン見してるんですか?助けてくださいよっ!

 あの3人は、あてにできないと判断した俺は、ゆっくりと後ろに下がるようにして、言い含めるようにしてコルシアンさんに言う。


「落ち着いてください。言いたい事があるなら、しっかり聞きますから、まずは座りましょう」


 俺はゆっくりと座らせる動作と思われるように手で押し返しながら、安全圏に到達したと思ったら、ルナをいつでも盾にできる状態にして問いかける。


「何か、問題でもありましたか?」


 俺はビクビクしながら、ルナの後ろから言っていると、男なら前に出て潔く逝ってくるのっ!っと言いつつ前に出そうとしてくる。

 お前らはさっきから何を期待しているんだっ!!いや、聞きたい訳じゃないから言わないでいいからね?


「私達は苦楽を共にした仲間じゃないか?帰り道にいけるところぐらい着き合うさ」

「いえいえ、大した手間じゃありませんし、というか、行きたいだけでしょ?」


 俺から目線を反らす、コルシアンさん。

 再び戻すと顔をキリっとさせてきてるが目が死んでいる。


「どんな危険があるか分からないところにトール君1人で行かす訳にはいかない。私も共にしよう!」

「最終決戦の地で、フレイに俺が指名された時、俺を足蹴にして、最後のトドメに蹴って、1人で対面させたのが誰でしたっけ?」


 再び、目線反らして、空を見上げる。鳥の鳴き声を追いかけるように、西を見つめて、呟く。


「今日はいい天気だから、ほら、見てよ。クラウドが見えるよ」

「クラウドは東でそちらは西です」


 韜晦するコルシアンさんを遠慮なしに空竹割りをするようにして、ばっさりいく。

 俺達の間に静寂が生まれる。

 コルシアンさんは俺の足に抱きつくと心からの叫びを言ってくる。


「お願いだ!私も行きたいんだ!連れて行っておくれよ!」

「最初から行きたいなら素直に行ってくださいね?」


 俺のファーストを奪われる恐怖に包まれた代償には少ない気がするが、これで勘弁してあげる事にする。

 俺は3人を見ると、残念そう、特に露骨にルナががっかりしているのを俺は無視して伝える。


「クラウドに戻る前に神殿跡に寄っていく事でいいよな?」


 みんなの了承を得て、俺達は馬車に乗り込み出発した。



 夕方に神殿跡に着いた俺達は、とりあえず、入る事にした。


 俺が発見した扉の開け方を見たコルシアンさんが俺を天才だと褒めてくれる。今まで馬鹿呼ばわりされてきただけ、喜びもひとしおであった。


 インプのいる部屋に俺達は向かう。

 扉を開けるとやはり、インプは居て、相変わらずの小馬鹿にした笑顔で出迎えてくれる。


「やあ?今度は何の用でやってきたんだい?」

「駄目元で来たんだが、あのクソ野郎のところにいけるか?」


 俺がクソ野郎と呼んだ事が面白かったのかクスクスと笑うと言ってくる。


「残念だけど、まだ時じゃないから開けられないね」

「今の言い回しだと、それがいつなのか知ってるのか、いつなんだ?」


 どうも君相手だと口が軽くなって困るよっと笑う。


「地下祭壇の召喚場所を破壊したらって言ってたよ」


 俺は溜息を吐くと、やっぱりかと心の内で納得する。

 こないだから、俺はどうも、偶然と切り捨てた出来事が気のせいじゃないような気がして来てたところで、予想通りな結果が帰ってきた。

 勿論、こないだまで、偶然と思っていたような形になったってことである。

 前から思っていた。いくら和也が優秀であっても限界がある。色々とおかしい事が多すぎた。あれだけの事を同時並行で調べて行動で来たというのはスペシャル過ぎる。

 それに、スーベラも言っていた、どうやって自分の事を知ったのだろうかと。

 スーベラの言葉通りであるなら、自分の世界以外ではまったく介入せず、見守ってただけのようだ。アローラで情報が拾えるのだろうか?

 これはどちらに最初に確認が取れる事になるんだろうなっと思いつつ、確認は今、取る事はできないだろうと思った。


「トール君、どうしてインプと親しげに会話しているんだい?」

「それはですね、このインプが初代勇者と契約した相手です。このインプの仲介があったから、初代勇者は今も生きてられたんですよ。こちらが敵対行動を取らない限りは襲ってきませんから、話してみればどうですか?」


 そうなのかね?というと、初代勇者の事をマシンガントークして、質問を浴びせ出す。

 それに目を白黒させたインプは俺に聞いてくる。


「彼は何者なんだい?いくら君が大丈夫と言っても、ああも遠慮もなく聞きまくられるとは思ってなかったよ。彼は大丈夫なのかい?」


 人としてっと付け加えて聞いてくるので、俺は事実を伝える。


「大丈夫だ、俺が見た限り、総合評価は、ギリギリ・・・アウトの人だから」

「それは、大丈夫じゃないよね?助けておくれよ」


 肉体ダメージを被る事はないし、夜には出るからそれまでの我慢だっと伝えるとヤレヤレと言うと、仕方なしにコルシアンさんの相手に戻った。


 俺は何気なくブラブラしてると、久しぶりに、あの人に手を合わせてくるかと思い、近づいて行くとある場所に目を奪われて、オルデールの記憶の事を思い出していた。

 その時のオルデールと和也の会話を思い出し、インプの下に慌てて戻る。

 コルシアンさんが色々聞いているようだが、断りを入れて、インプに質問する。


「お前はオルデールの記憶は見たのか?」

「ん?なるほど、気付いちゃったみたいだね。勿論、知っているよ。その事で僕から言える事は、エルフ国の国境沿いの村、君は行った事あるよね?あそこにヒントがあるよ」

「詳しく、教えてくれと言いたいが、どうせ、契約で話せないってことだよな?」


 その通りさっと肩を竦める。

 もっと分かり易い情報も欲しいが、しかし、ここに来た意味はあった。

 満足気にする俺の袖を引っ張るルナがいた。


「徹、今日はクラウドに帰るのは無理だから、そろそろ野営の準備しようなの。何より、お腹が減ったなの」


 確かに、腹も減ってきたし、野営の準備をする事にしよう。


「コルシアンさん、食事の時間までが質問タイムですからね?呼びに来たら諦めてください」


 小さい子供にもうすぐ帰るよっと伝えた時のように顔を歪めて嫌そうにしたが渋々、頷く。


「分かった。その時間までに全てを聞きだしてみせる」

「時間制限ができたのは有難いけど、この人、苦手だよ・・・」


 非常にやる気になってるコルシアンさんに戸惑わされているインプを横目に3人に準備しようかと言って外へ向かって歩き出した。



 4人で分担して、準備をするとあっという間に終わり、食事もできたところで俺がコルシアンさんがいる部屋に向かうと疲弊したインプが俺に目で助けを求めるほど、アグレッシブなコルシアンさんに追い詰められていたようだ。


 俺はコルシアンさんに食事ができましたっと伝えるが、もう少しだけだからっと言って質問を続けようとするが、連行していく。

 移動中も煩かったので、代案を伝える。


「あいつはいつもあそこにいるから、ここに来るだけなら信用の置ける冒険者なら誰でも連れてこれる場所だから、いつでも来れるでしょう?」

「なるほど、その通りだね。次来る時にはもっと良い質問を吟味してくるとしよう」


 引きずられず、自分の足でおとなしく、やっと着いて来てくれる。


 俺達は美紅とテリアの作った食事を食べていると、美紅が聞いてくる。


「食事の後で聞こうかと思っていたのですが、気になるんで今、聞きますね。インプに何故、オルデールの事を?」


 食事をする手を止めて、俺はカラスを触りながら答える。


「オルデールは、カラスは思念の強さが力になる剣、アオツキは思念を打ち消す力になる剣と初代勇者である和也に説明するんだが、和也は否定しているんだ。使っている俺からすると、カラスは気合いが乗り易い剣でアオツキは魔法に強い剣だと思ってたんだが、それも違うんだろうなっと気付いたから、何なのかを知ろうと思ってね」


 言葉に出さないが、和也がオルデールに頼む時に言った言葉も気になるがこれはまだ、みんなには話せない。


「だから、俺は知ろうと思うんだ・・・」


 夜空に浮かぶ月を眺めながら、言った。

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