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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
8章 Road like yarnー糸のような道ー
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145話 初代勇者からのメッセージ ②

 キャラクター紹介がまったく手つかずだ・・・寝るまでにはやってみせますよ!

 俺達はワビ湖を眺めながら、どうやって島へと渡ろうかと思案中である。

 1人づつ飛んで連れて行くという選択肢もなくはないが、3往復しなくちゃならないうえに魔力の無駄使いな気がしてならない。無駄じゃない使い方で飛んでられるなら、常に飛んでたほうが楽だしな。

 しかも、この方法だと水竜が襲ってきた場合、対処がしにくいという問題がネックだ。

 水の上を歩く方法もあるがそれもまた同じ理由で行き詰まる。


「あれこれ奇策を考えるより、王道でいくのが良さそうだな?」


 俺がそう言うと皆はどう言う事?と呟かれるのを見て、もしかしてアローラではそういう発想がないのかっと思い、口に出す事にする。


「こういう時に船が調達できない時は、お手製の船、丸太を繋ぎ合わせたイカダを作ったりしない?」


 顔を見合わせる皆を見て俺はマジかと呟く。

 簡易的な船はどうするんだ?と聞くと木をくり抜いて、所謂、カヌーのような船を作るそうだ。

 渡るだけならそれでもいいんだが、今回は水竜とやり合う可能性がある以上、それは頂けない。


 とりあえず、作ってみようっと皆に言うと代案がある訳でないので、作る事に決まった。

 その辺にある木を切り倒して、10本用意した。

 ちょっと多いように思うかもしれないが、戦闘の可能性を考えたら、足場が多いほうがいいに決まっている。

 その丸太を見つめて、ルナが聞いてくる。


「繋ぎ合わせると言ってたけど、どうやるの?」

「ロープを使えば縛れるとは思いますが、持っているロープ全部使う事になると思います。ここで全部消費するのは万が一の事を考えると得策じゃないように思うんですが?」


 ルナの言葉に美紅が質問を被せてくる。

 それについて俺に代案があって、イカダを勧めたので問題なかった。

 俺は論より証拠とばかりに、丸太に所々を触れていき、全て触り終わると丸太を湖に投げ入れていく。


「右手に土を左手に風を弾けて、引き寄せろ、混合魔法。土風」


 手を胸の前で3回叩く。

 すると丸太はお互いを呼び合うように纏まっていき、イカダが完成する。


「ホフェー、本当になんとかなったけど、バラバラになったりしないの?」

「ああ、勿論、丸太が壊れるぐらいの衝撃を受けたらどうにもならんがね」


 俺がやった事は、簡単に言うと磁石を疑似的に作るといった事をしたのである。俺が触れた場所を起点に磁力を発生させて結合させているというのが答えである。


「トオル君、これって生物同士でもできるんですか?」

「ああ、それを前提に考えた魔法だから当然できるさ」


 俺がそう答えるとテリアが、あっ、っと呟く。


「ねぇ、トールっ、その魔法を使ってミラの胸と自分の手に発動させたくて作ったんじゃないよねっ?」


 俺は何も反応を示さず、島を見続ける。

 ルナと美紅が俺の前に廻り込み、見つめる目は明らかに容疑者から格上げされて逮捕令状を突きつける直前の刑事さんの目をしていたが、俺は必死に虚勢を張り続ける。


「トール君も男の子だ。未遂なのだから許してあげたまえ。それよりも島へ向かおうではないか」


 珍しく助けてくれたように見えるが、早く行きたくてしょうがないだけなのがはっきりと分かったが、今は有難かった。

 今、この流れに乗らなければ、ワビ湖に沈められるかもしれない予感がヒシヒシするんだ!


「よし、後はイカダに帆を張る為の木を立てるだけだっ」


 2人の視線を振り切り、イカダに装着すると自分のマントを帆替わりにして取りつける。


 俺はイカダに飛び乗るとコルシアンさんも喜んで乗り込む。

 そんな俺達を見て、嘆息をすると3人も乗り込んでくる。


「ルナ、島に向けて、風を送ってくれないか?マントで受けて船を進ませるから」


 ルナは伊達に神ではない。魔力量も半端ないのでたいした痛痒も感じないだろうと判断してのことであった。


「えぇー面倒なの、徹がやればいいの・・・」


 俺は秘密兵器を投入する。まさにルナの口の中へと・・・

 突然、放り込まれて目を白黒させるが、入れられたモノを口の中で転がせると幸せそうな顔をする。


「仕方がないの、しょうがないからやってあげるの!」

「やっぱりっ、ルナって、あっさり奇跡だって起こしてくれそうっ」


 俺の秘密兵器アメの力は絶大であった。



 順調にイカダは進み、もう少しで島へ着くかなっと思っていると、どうやら、お出迎えがきたようで水面から気泡がたち始めたと思ったら、水竜が現れる。


 俺達は臨戦態勢になると、水竜が威嚇をしようとしたが、美紅に視線を固定すると固まる。

 美紅の威圧に恐れているのかと思ったら、どうやら違うらしい。

 視線の先を良く見ると美紅の持っている武器、つまりフレイを見ているという事が分かる。

 水竜はフレイの格を感じて、恐れを抱いたようで後ずさるように下がると再び水の中へと戻っていった。


 しばらく戦闘態勢を維持するが帰ってくる気配がない為、戦闘態勢を解除すると、フレイを見つめて呟く。


「本当にお前は強いドラゴンだったんだな。核だけなのに恐れさせるんだから」


 俺がそう言うと嬉しかったのか、鼻息が荒くしたかのように、剣から少し炎が漏れる。

 その様子に俺は苦笑するが、美紅の様子がおかしい事に気付く。

 フレイを見て、複雑そうな表情をしているのに疑問に思うが、イカダが島に到着して、コルシアンさんが降りようっと急かしてくるので視線を外して、また見ると既にいつもの美紅に戻っており、聞き損ねる。


 島に降り立つとコルシアンさんが言ってくる。


「私のほうで分かった事の中で場所を示すような言葉は1つしかない。中央に石碑があるという言葉しかなかったから、きっとこれがそうなのだろうと思っている。だから、まずはそこに向かおうではないか?」


 俺達は異論はなく、頷くと嬉しそうに島の中心を目指して、先頭をスキップしかねない雰囲気でコルシアンさんは歩き出した。



 しばらくすると、ルナが進行方向と少しずれたところに石碑ぽいのがあるのに気付き、俺達は進路を調整して進むと俺の目に石碑の存在を確認できた。

 コルシアンさんも気付けると、いてもたってもいられなくなったようで、走り出したので俺達も苦笑しつつ、追いかける事にした。



 辿りつくと情緒を壊すかもしれないが畳一枚分といった大きさの石碑が建っていた。

 コルシアンさんは石碑にある文字を必死に書き写しだす。

 俺達も石碑を眺める。

 やはりと言うべきか、今回も日本語のメッセージがあった。



 旅をして、世界をその目で刻め


 人と出来事を肌で感じ、全身で受け止めろ


 そこに至る道が正道


 決して、独りよがりになってはならない、正しい答えを得たいならば


 行き先に迷ったら、勇者を呼び寄せる場所へと向かえ


 お前が俺と違う、正しい道を選ぶ事を祈る



 今回も、どう言う事だよっと叫びたい衝動に駆られるメッセージである。手っ取り早いのはあのクソ野郎の胸倉を掴んで聞きだす事だが、会いに行く手段はない。

 呼び寄せる場所というのはきっと、召喚場所の地下神殿とかいう場所だろうと思う。いずれ行く予定だったから、問題はないのだが、偶然なのだろうか?


 振り返ると3人が俺の後ろで待っていた事に驚き、後ずさるが、構わず聞いてくる。


「なんて書いてあったの?徹」


 今回は隠す事がなかったので素直に書いてある通りに伝える。

 美紅が顎に手を添えて、呟く。


「正しい答えですか・・・どう言う事でしょうか?」

「さあな、アイツが言ってるだけで本当に正しいか分からないうえに、抽象的過ぎて、要領を得ないな」


 相変わらず、勿体ぶったメッセージばかり残す和也に怒りを覚えるがこの場で怒っても意味はない。


 俺達が、考えても今は分からなさそうだという結論に至った頃、コルシアンさんはホクホクした顔して戻ってくる。


「いや~思ったより、だいぶ少なかったけど、あった部分はとても興味覚える事だったから、凄く満足だよ。これは解析が必要な事じゃないけど、纏めたいから、一旦、モスの街まで戻らないかい?1日くれたら纏められると思うからさ」


 滅茶苦茶、手に入れた玩具で遊びたくてしょうがない子供のようにウキウキしたコルシアンさんは、帰ろ、すぐ帰ろうっと騒ぐので、俺達は苦笑しつつ、イカダの場所へと歩き出した。

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