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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
1章 こんにちは!アローラ
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13話 避けては通れない道もある

 用事で1日空けました。

 では、13話になります。よろしくお願いします。

 ゴン、という音で目を覚ました。目を覚ましたはいいが、体が動かない。これが金縛りというものなのか。前の世界でも体験した事がなかったがまさか異世界に来て初体験するとは・・・

 俺を起こした音はなんだったのだろう。金縛りの原因が出した音じゃないこと祈りたい、なんとか目線だけでもそっちに向けようと努力する。


「オレンジのジャム、いや、赤いジャムで最後の1個・・・」


 なんだ、どんな意味があるんだ。もしかして、呪術の一種なのか。

 戦うにしても逃げるにしろ、この体が動かない事にはどうにもならない。足掻いて、もがいて生き残ってみせる。


「うぉぉぉーーーーー」


 そして、徹の戦いはあっさり終わりを告げた。




「朝から徹はうるさいし、ベットじゃなくて床で寝てるし、なんか頭痛いし、最悪の目覚めなの」

「それはお前がベットから落ちたからだろ?そこから色々誤解が生まれたんだからな?」


 ルナの回復魔法で動けるようになった俺はルナに文句をつける。

 ちなみに俺が動けなくなってたのは極度の筋肉痛だ。確かに無理に動かそうとして思わず、うぉぉぉーーっとか叫んじゃったし。落ち着いて考えれば昨日あれだけテンション上がって飛び跳ねまくってたら筋肉痛になるのは必然だ。

 まったく朝からグダグダな俺達であった。



 実は夕飯を食べた後、俺はすぐ寝てしまっていた。ミランダにも体と魔力を使いすぎなうえ、貫徹後な為、早く寝るように言われて素直に寝たものだから買い物の話はまったく進んでなかったのである。


「昨日聞く予定だった買い物のことなんだけどさ、とりあえず替えの服とカバンあたり欲しいんだ」

「そうね、古着でいいなら銅貨50枚あれば男物は簡単に揃うと思うわ。カバンは私が昔使ってたのでいいなら譲ってあげるわよ?もう使ってないし」

「ほんとにいいの?それは凄く助かる。後はルナの服とかになるんだけど」


 ミランダはそわそわして俺達に言う。


「私、裁縫が趣味なの。特に女物の服を作るのが好きで、ルナちゃんの服は私に任せてくれない?お金はいいから」


 本当にミランダはハイスペック、裁縫はなんとなくここまでくるとやるだろうなって予想はついたがルナの返答次第である。


「ミランダさん、作ってくれるの?楽しみ」


 ルナの反応も上々で問題は解決を見た。

 古着を勧めてくれたとこの店主と知り合いらしく、声をかけておいてくれるらしいから買いに行くのは依頼をこなして帰ってきてからにすることにした。


「ちょっと待っててね。今取ってくるから」


 カバンを渡してくれるようで、ミランダは奥に引っ込んだ。

 しばらく待つと両手に持った二つのカバンを俺達に渡す。


「リュック型のはトールにね。ルナちゃんには肩掛けタイプのをどうぞ」


 正直、1つだけだと思ってた俺は、2つもいいのか?聞くと使ってないものを後生大事に持っておく趣味はないのっと返された。本当にミランダはいい人だ。ただ、俺のトラウマのマッチョのオカマなだけだ。


 話もまとまった事だし、朝食を用意して貰おうと思ったら今日からの宿代を払ってない事に気付いた。


「危ない、ミランダ、宿泊延長の支払い忘れるとこだった。5日延長で銀貨1枚払っておくね」


 あらあら、私も忘れてたわっていうミランダではあったがきっと嘘であろう。急かす気がなかったのだと思う。おっさんの紹介で信頼されてるだけであることを自覚していこう。これで銀貨1枚と銅貨10枚、今日も頑張って稼いでくるとしよう。


 食事が済んだ俺達は昨日の達成の報告と次の依頼を探すために冒険者ギルドにやってきた。


「はい、達成確認受理します」


 今日も受付はシーナさんだった。他にも受付嬢はいるがあえて変える理由はないし、凶悪な2つの物体を自然に視界に納めるチャンスが逃す理由もなかった。

 幸せな塊をチラ見しながらシーナさんに尋ねる。


「簡単な討伐系の依頼って何かな?しかも近場のやつで」

「突撃ラビットでしょうか?トールさんが薬草採取に行かれた森のちょっと入った辺りで見られるモンスターです。肉が食用で一般に出回るポピュラーな物です。毛皮も色々な用途に使われるため、買い取り相手は困らないでしょう。もちろんギルドでも買い取っております。討伐部位は頭の角となります」


 ラビットってことはウサギなんだろう。なんとかなりそうだ。


「どの辺りに依頼出てるか分かりますか?」


 後ろを振り返り、依頼が貼られてるとこを見ながら聞く。


「いえ、常駐依頼なので、討伐部位だけ持って来て頂ければ依頼達成になります。討伐報酬は、1匹に銅貨5枚です」


 なんとなく、しょぼいって思ってしまったが、戦闘訓練と肉と毛皮の嵩増しでトントンって祈ろう。

 そういえば、イノちゃんの時もそうだったけど剥ぎ取りできないんだよな。おっさんがやってる時に見ようかと窓の外を覗いたら血がドバーって出て見るのやめちゃったし。


「剥ぎ取りとかした事ないんですが、教えてくれる人に心当たりありませんか?」

「近いとこだったら南門に向かう途中にある肉屋さんが銅貨5枚で基本的な事を教えてくれますよ」


 やっぱり剥ぎ取りは覚えておかないとダメだろうし、依頼受けるついでに行ってくるかな。


「ありがとうございます。それと依頼って同時に2つとか受けれますか?」

「大丈夫ですが、依頼失敗した時にもちろん違約金と同時に受けれなくなる期間が設けられるので気を付けてください」

「ルナ、薬草採取も同じ場所でできるから依頼書取ってきて」


 分かったの、と言い行こうとしたとこでシーナさんに呼び止められる。


「薬草採取ぐらいならこっちで処理しておいてあげるわ。半ば常駐依頼になりかけてるのよね」


 苦笑するシーナさんの揺れる胸と同じ速度で俺は頷く。


「そうなんですか、じゃ、俺達は依頼に行ってきます」


 いってらっしゃい、とシーナさんに見送られる。


 ギルドを出る時にルナにぼそっと伝えられる。


「徹、シーナさんの胸をガン見しすぎなの。シーナさんも気づいてたの」


 あれぇ?チラ見のつもりだったんだけど、男のチラ見は女からするとガン見って言うからな。チラ見してたのは顔だったのは周知の事実である事は徹は知らない。



 剥ぎ取りを覚える為、肉屋を目指して歩いた。そして、肉屋の前に着いた俺はルナに、


「ルナも覚えてほしいんだけどいいよな?」

「えー、ちょっと面倒なの」


 消極的な反応をするルナを見て、どうしたもんかと思案したところ名案が浮かんだ。


「剥ぎ取りを覚えて収入アップしたら昼飯解禁になると思うんだけど」

「徹、何してるの?早く剥ぎ取りを覚えて、収入アップなの!」


 俺の手を引いて店に突入しようとするルナを見て、ルナのコントロール法を今更ながら理解しだした。


 剥ぎ取りの指導を受けている時のルナがアグレッシブだったとだけ伝えておこう。



 さて、初討伐をするために南門から森へと向かったが特記するような事はなくピーターがルナに鼻の下伸ばしたぐらいである。2日前は俺だけだったしな。

 森の前に着いた時、お姉さんに会って言われた事を思い出した。その事をルナに伝えると、


「私が必死に仕事してる最中に女の子と占いして遊んでたの。でも、勇者のとこの山に行こうとしてる事をあてたりしてるし、廃墟になった神殿ってのも気になるの。一度会ってみたいかも」


 必死に仕事って、失敗して尻拭いを昨日、俺にさせた事、この女神忘れてるようだ。ルナも興味持ったようだし、特に目的がなかったら行ってみようかと言う事でまとまった。


「そのためにも、頑張ってお仕事しましょうか」


 オゥーっと気合いを入れるルナが微笑ましすぎて、笑ってしまう。俺もそこそこルナに対して父性本能を刺激されてるのかもしれない。


 森に入ると、ウサギを探しつつ、薬草採取してまわる事にする。


 それからしばらく経つがウサギは見つからない。薬草は順調に集まっているがどうしたものだろう。


「前回、薬草採取に来た時も見かけなかったんだよな」

「私達が思ってるより奥に行かないといないんじゃない?」


 そうかもなっと思って森の奥へと進んだ。しばらく進むと少し開けた場所に何かいるのを発見する。


「徹、ウサギがいるの」


 小さい角が付いた子犬ぐらいの黒い毛玉みたいなモノが6匹ほどいた。

 俺とルナはカバンを地面に置くとルナは拳を握り、俺は腰のナイフを引きぬいて、身体強化するために魔力を循環させ始める。


「初めての戦闘だから気を引き締めていこう」

「徹は自分の事だけ心配したらいいの。私は大丈夫なの」


 掃除してるルナのイメージが安心から遠い感じではあるが、初めてだから心配してる余裕はないかもしれない。

 俺達はそっとウサギに近づいていく。やはり野生の生き物、俺達が近づくだけでこっちに気付いた。気付いたと思ったら俺達に向かって、各自突進してくる。

 俺は慌てて身体強化を発動させ、突進してくるウサギの射線上から外れるように体をずらし、ナイフの刃を向けた状態で残すようにして前進した。当たり所が良かったようで首元を切り裂き、1匹目を倒す事に成功する。追撃するようにもう一匹跳びかかってきたが、ナイフの刃合わせが失敗したようでガチンって音をさせてウサギの顔を強打し、吹っ飛ばした。ひっくり帰ったウサギは起き上がるが脳が揺れたらしくふらついてるのを好機と捉えて、まともに動けないウサギの首元を刺して終了した。


 残りの4匹はルナが仕留めて既に剥ぎ取りに入っている。チラ見してたがルナは男らしく跳びかかってくるウサギを避けずに拳と足で叩き落としていた。

 ルナは少なくとも俺よりは戦えるようだ。ちょっと悔しいと思いつつも俺もルナに倣って剥ぎ取りを始める。

 結構、俺もやれるという実感は感じたがまだ刃をうまく合わせられないようではどうにもならないなって思うが身体強化はほんと使える。ミランダに感謝。


 そんな事を考えながら血抜きしながら解体を進めていると、草むらから音がするのに気付く。それから時間を置かずに草むらから醜い子供っといったボロい服、いや、腰に布を巻いているかのような格好をし、こん棒や折れた剣を振りかざして飛び出してきた。


「なんだ、この子供みたいなのは!」

「ゴブリンよ、徹、モンスターなの、人間じゃないの!」


 人間じゃないって言われてもそうすっぱり割り切れない。襲いかかってくるゴブリンは俺に2匹でルナに5匹だ。俺は必死にかわし続ける。

 そして、自分が震えていることに気付いた。

 武器を向けられ、殺意を叩きつけられる体験は生まれて初めての事、そんな状況で動けなくならずにかわし続けてるだけでも褒められる話だ。


「徹、頑張って耐えてなの、こっち片付けたらそっちにいくから!」


 5匹のゴブリンに囲まれてるルナが俺を元気づける。

 その言葉を聞いて安堵した自分がいた。なんだろう、この胸から込み上げるもの。なんで、ほっとしてるんだ、俺、自分の倍以上の数を相手にしてる女の子に助けられるのを待つ?あり得ない。例え実力が向こうが上でも俺にも通さないとダメな意地がある。男の意地である。命と天秤にかけるような事かっと他人に馬鹿にされる事もあるだろう。しかし、俺は女の子の前で意地が張れないならいつ張るって言うんだと言いたい。言いたい事はこれだけだ、後は・・・


「立ち向かうだけだ!」


 声に出して自分を叱咤する。恐怖心と戦い、震えを武者震いだと思いこむ。ナイフを構えろ、さあ、俺のプライドの戦いだ。


「せいやーーー!!」


 飲まれそうになる自分を気合いを入れた声を出して奮い立たせ、手前のゴブリンの胸元に飛び込む。ナイフを逆手に持ち、空いてる左手を右手に添えるようにしてゴブリンの胸元、心臓狙いで突き刺す。

 耳障りな高い声でギャーーと叫ぶ。続きざま、次のゴブリンに向かうためにナイフを抜くと血が噴き出す。

 仲間がやられたのを見たせいか少し躊躇したようだがこん棒を振り上げ、襲ってくる。

 振り上げられたこん棒をかわして首元を切り裂いた。

 首元からは血が噴き出し、口から血を吐いてるせいか叫ぶ事もできずにゴブリンは倒れて息絶えた。


「お疲れ様、徹」


 ルナは俺を労わりの表情で見つめる。

 どうやらルナのほうが先に終わらせてたようだが、見守ってくれたようだ。

 俺の初の命のやりとりを乗り越えたと思った同時に込み上げてくるモノがあったが無理矢理飲み込んだ。

 急ぎ、帰りたいと思うが剥ぎ取りも済んでないから帰れない。急いで剥ぎ取り済ませて帰る事にしよう。



 街に向かって歩き出したのはそれから1時間後の事であった。

 短い部分だけではありますが、プロローグ以来のシリアスを混ぜてみました。しばらく、ちょくちょく混ぜていく予定です。だからコメディじゃないって言ったでしょ?

 感想などありましたら、よろしくお願いします。

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