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135話 予言の一族の里

 地域差はあるかもしれませんが急激に冷え込んだように思います。皆さんも体調管理に気を付けてくださいね。

「何やってんだシュナイダー?」

「わ、私はシュナイダーではない!シュタイナーだっ!」


 どうせ偽名を名乗るなら、もう少し頑張れ!っと肩を叩いてやりたいぐらい誤魔化しけれてないシュナイダーは別人だっと力説する。

 確かに、美紅達が付けていたような付け耳は装備しているが間違いなくシュナイダーだ。

 そういえば、クリミア王女の傍にいなかったなっと今頃、思い出す。


 美紅が溜息を吐きながら、シュナイダーに声をかける。


「私達が放り込んだ場所の水は美味しかったですか?」

「馬鹿言うな!下水の水なんて飲んだなんて・・・」


 俺達の間に静寂が生まれる。

 関所を守る兵士達も俺達の様子を見てどう対応したら良いか悩んでいるようだ。


「なぁ、事情は分からんが、お前に腹芸は無理じゃないか?」


 憐れみを込めた視線でシュナイダーを見つめるとプルプル震え出す。

 急に走り出したと思ったら、兵士達の前に行くと格好を付けて言う。


「みんな、騙されてはいけない!あいつ等は賊なんだ!力を合わせて撃退しよう!!」


 シュナイダーの言葉を信用しようっという動きが見える。マジでか?って思うほどシュナイダーの信頼は大きいようだ。


「頭の悪い者同士惹かれるものでもあるのでしょう」


 俺達だけに聞こえる声で言うと頭を抱える美紅。

 このまま斬りかかってこられると面倒だからシュナイダーにカマをかけることにする。


「なぁ、シュナイダー、お前がここに居ると言う事はグリードの指示だろ?」

「そんな奴は知らない!私は帝国とは無関係だ」


 既に偽名を名乗る事も忘れているところもそうだが、帝国と誰が言ったのであろうという突っ込みどころ満載過ぎて、疲れてきたのでトドメを刺す事にする。


「グリードなら俺達が仕留めた。だから待っててもグリードは勿論、エコ帝国もやってこないぞ?」


 シュナイダーはキョトンとした顔で俺達を見てくる。下手に二枚目がすると憐れさが引き立つ事この上ない。

 ルナはその顔が面白いようで笑うのを我慢しているが、お前も時々、あんな顔してるからな?っと言いたい気持ちを抑えて見つめていると、シュナイダーが聞いてくる。


「本当に?」

「俺の言葉は信用しづらいだろうから状況で考えろよ。定期連絡は途絶えてないか?本来ならもうグリードは到着してないとおかしいんじゃないのか?そして、極めつけが何故、俺達がグリードより先に来ているかって考えたらどんな答えが出るよ?」


 シュナイダーは徐々に汗が吹き出し、滝のように流れ出す。


「シュタイナーさん、大丈夫!俺達が着いている!」


 最初から俺達に敵対心バリバリだった兵士がシュナイダーを励ます。

 油の切れたロボットのように振り返って兵士を見つめるシュナイダーに笑顔で励まし続けるが、いきなりスムーズに動きだしたと思ったら、兵士達に背を向けて俺達がいないほうへと走りだした。


「今回は、君達に花を持たせたあげるよっ!次、会う時は覚悟したまえっ!!」


 もう3流臭がする捨て台詞をすると、兵士達を一瞥もせずに逃げたした。


 あんな小物を追いかける気も起きず、見送る。

 シュナイダーを励ましていた兵士は項垂れて地面に手を着いていた。


「俺達が信用できるできないはともかく、アイツは信用したのは間違いだったな」


 俺がそう言ってもピクリともしない兵士を放っておいて、他の兵士に声をかける。


「もう前提は崩れて何が正しい判断か分からなくなっていると思う。だから、もう一度言う。俺の素性をテリアに確認を取ってくれないか?それで、本当に知らないと言われたら俺達を追い払う為に剣を抜けばいい。だが、知り合いだった場合、ここで強行して追い出したら、誰の責任になるかは言う必要ないよな?」


 俺が言わんとするところは伝わっているようで、年長者ぽい人が若い奴に確認してこいっと伝えると戸惑い気味の若い奴が走り去る。


「おかしな動きをしたら、迷わず斬りかかるぞ?」


 俺は好きにしてくれっと言って、近くの倒木に腰を落ち着けて待つ事にするとルナは俺の隣に座り、美紅は俺と兵士の間になるように立っていた。


 しばらくすると確認に行かせた若い奴が焦った様子で帰ってくる。

 報告を聞いた年長者は顔を蒼白にさせると俺達に近寄ってくる。


「も、申し訳ありません。おっしゃる通り、テリア様とお知り合いであられることが確認が取れました。しかも、獣人国の女王より、偉い方だとは知らずに失礼をしました事をお詫びします」


 震える声で必死に言ってくるのを俺は手を振って、気にしないで良いっと伝える。

 案内を頼むよっと伝えるとガチガチに固まった様子で、こちらですっと言われ、案内される。

 そして、第三者に言われて、自分の肩書って重いんだと認識させられる。

 これは持て余しそうだと呟くと美紅が言ってくる。


「私達がいます。頑張っていきましょう」


 美紅とルナは笑顔で俺に伝えてくる。

 俺にはこいつらがいるっと思うと力が沸いてくるが、やはり、俺は男の子、できるとこまで意地を張って1人で頑張ってみたい。


「ありがとう。手に負えないっと思ったら助けてくれると助かる」


 頑張るっと思ったのに微妙に情けないセリフを吐く。

 俺の微妙な気持ちが伝わったのか、2人に笑われてしまう。

 2人の笑い方が優しく、ムズ痒い思いをしながら、案内されて渓谷を渡るつり橋を進んだ。



 つり橋を渡りきってしばらく歩くと小さな村といった風の場所に出た。少ないながら自給自足をしているようで土地が少ない割に家より畑のほうが目に付いた。

 村民の俺達を見る目がどこか敵対とは違うが排他的な雰囲気がしていると感じた。

 まあ、この特殊性を考えれば、致し方がない部分もあるだろうとは思うが、それで気持ちまで納得できるかという話ではない。


 俺達は年長者の兵士に案内されていくと、小さな山っと言っても標高600mはありそうな山に見える階段の前に来ると振り返っていってくる。


「テリア様は、この山の上にある社にてお待ちになられてます。そこに見える階段を昇られると着きます。私はここより先に入る事を許されておりませんので案内はここまで、お許し頂きたいと思います」


 俺が分かったと言うと一礼すると去っていった。

 気付かれてないと思っているようだが、俺達から離れられると思った瞬間、はっきりと安堵された。

 こういう事は地味に堪えてくる。


 俺達は目の前にある階段を昇り出すと辺りを見渡していた美紅が言ってくる。


「なんとなく元の世界の神社に似た雰囲気がありますね」

「社って言葉が出てきた時点でそれぽいなって俺も思ったよ」


 階段の作りから色んな所で和を感じさせるものがチラホラしていた。階段を昇る前にあったモノが鳥居そのものだったので、それほど予想を裏切らないモノが頂上にありそうだと思う。


 頂上に昇ると予想通りの光景がそこにあった。


「本当に神社みたいですね。ここなんて境内そのものですよ」


 美紅は懐かしそうに見つめる。多分、俺と会った境内を思い出しているのであろう。

 まあ、実際にはだいぶ違うのではあるが、雰囲気は近いと言えると俺は思った。

 美紅がトオル君とこんな感じの場所で初めて会ったのですとルナに説明しているのを横目で見ていると声をかけられる。


 白と朱色のお約束のツートンの衣装を纏った、つまり、巫女装束を着たテリアが俺達の前に現れて言ってきた。


「お待ちしておりました。ようこそ、予言の一族の中枢へ」

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